■■膝蓋骨脱臼■■

もしあなたの飼っている犬が小型犬で、骨折や外傷の可能性もないのに時々後ろ足をびっこをひいたり、痛がったりしていたら、膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)とよばれる病気かもしれません。これは「病気」というよりむしろ「状態」と言った方がいいかと思います。特にポメラニアン、チワワ、ヨークシャー・テリア、パピヨンなどでみられ、その名のとおり膝のお皿がはずれる(脱臼する)ことをいいます。「状態」と呼びたい理由は、これらの小型犬はもともとはずれやすい犬種であるためです。牛でもみられるぐらいなので、当然大型犬でもみられることもあります。

 

■■原因■■

原因は、もともと(先天性)であるか、何かの拍子に一度はずれてしまい、以後はずれやすくなったり、腱がのびてしまったりと、関係のあるものがいくつかあります。ほとんど先天性と言ってもいいかも知れませんが、膝のお皿がはまっている溝が生まれつき浅いとか、内また(あるいはガニまた)っぽいとか、腱が骨とくっついている部分の位 置がちょっとずれているなどが考えられます。この病気(状態)を治すには手術しかありませんが、手術ではそういった不都合な状態にあるものを整復することになります。

 

■■症状■■

膝のお皿がはずれやすく、いつもはずれているか、はずれたり戻ったりします。専門的にはグレード(段階)があって、たまにはずれるものが最も症状が軽く、はずれっぱなしになっている状態のものは最も重症であるとされています。膝のお皿を触ってわかる人は、親指と人さし指で軽く左右に動かしてみて、小型犬なら主に内側に、大型犬なら主に外側にお皿がはずれるかどうか試してみることもできます。正常な犬の場合は指で動かそうとしても、そう簡単に動くものではありません。ただし、現在すでに痛がっている場合はかわいそうなのでそっとしておいてあげてください。ちなみに、お皿がはずれていても痛がらないことも多いので気がつかないこともあります。お皿は足の水平方向の回転を制御しているので、お皿がはずれることで足が内側や外側にひねられやすくなり、それによって膝の部分にある色々な腱に負担もかかります。痛くなる場合というのは、腱が伸びてしまったり切れてしまったりした時は、激痛がはしると考えられますし、ねじれて関節の骨どうしがこすれることで、骨の形が変わってしまい、それが原因で痛みをともなうことがあります。

 

■■検査■■

この病気は触ってもだいたいの推測がつく病気なので、触診(触ってする診察)だけで診断がついてしまうかもしれません。けれど飼い主さんには「?」と思う方が多いので、きちんと説明するために、あるいは将来の手術の時のために、レントゲン検査を行うのが一般 的であると言えるでしょう。

 

■■治療■■

根本的な治療は外科手術に限られます。しかし、症状が軽い場合、つまり常にはずれているわけではなく痛みも少ない場合は、痛がった時にだけ痛み止めを飲んでやり過ごすこともあるかもしれません。最近ではレーザー治療や鍼灸も行われるようになりました。また、手術後リハビリが必要なことも多く、再発もあるといわれているので、獣医師とよく話し合って、飼い主さんの判断にまかされることになるでしょう。おそらく獣医師は「必ずやりなさい」とは言わないはずです。手術後絶対安静期間は2〜3週間、その後のリハビリ期間は手術した足をきちんと地面 について歩くまでです。

 

■■まとめ■■

この病気について考えていると、どうしても犬を購入する時の判断基準にいれてしまいたくなります。純血犬種には将来(絶対ではありませんが)考えられる病気があり、最後まできちんと管理することを前提に飼ってほしいと思います。 犬種と考えられる病気も参考にして下さい。