飼育魚に刺された場合

僕はこの間自分の飼育している南米バグルスキャットに刺されました。 バグルスキャットというのはいわゆるギギですから、日本でもギギは刺すと知られているくらいですよね。 ただナマズの仲間はほとんど全て毒を持っています。 今回刺されて大変ひどい目にあったのでこれを機会に少し調べてみました。 今回の僕の事例 刺された魚種:南米バグルスキャットsp 体長:20cm程度(ここからだいたいの大きさを推測してください) 刺された部位:左手薬指第一間接の右横部分、やや深く刺さり、おそらく5mmほど。 応急処置:血液を絞り出しつつ傷口を洗浄、棘が残っているか確認、メスで患部の十字切開、再度血液を絞り出す。      40度強の湯に患部を漬ける。その後リバー湿布(消毒液に漬けた綿による湿布)。 症状:数日患部に激痛、指の痺れ(2週間以上継続、ただしそれは魚毒ではなく刺した際の末梢神経損傷によるものと思われる)。    約一週間後、患部が腫れ上がる(強い痒みを伴う)。おそらく遅延性のアレルギー症状、患部へリンデロン塗布の処置を行う。 さて、これが僕の今回の事例です、とりあえず地獄を見ました(笑 ここから真面目に考察していきます。 とりあえず、魚に刺されたらお湯に漬けるといいますが、以前から僕はこれを疑問視していました。 普通に考えてお湯に漬けた場合血行がよくなり、有毒成分が全身に回りやすいと考えられます。 最終的には肝臓による解毒で治るわけですから、血行をよくしてより早く肝臓で解毒するという発想もありえますが むしろ少しずつ肝臓に毒を回すことによって肝臓の負担を軽くしつつ確実に回復することを優先すべきなはずです。 これについて調べてみたところ、自分の愚かしさに腹が立ちました。 有毒成分は一般に不安定な高分子で、あまり解明されていないが、これまでに研究された魚の刺毒は共通の薬理学的性質を持ち 致死成分や発痛物質は非常に不安定で、熱で急速に分解する。(急性中毒処置の手引 第三版(薬業時報社) より) 重要なのは魚の毒は熱で分解するってことですね。 そりゃお湯に漬けた方がいいですね(笑 ところでこういう場合に同時に考慮すべきなのが破傷風感染の可能性らしいです。 僕は魚に刺されたからといって破傷風になる可能性というのは一切考えていなかったのですが 症状の項目にも書いたように、一週間後に遅延症状が出てきた為、これはおかしいな、と思い、調べてみました。 結局今現在僕がピンピンしてることを考えると遅延性アレルギー反応だったのでしょうが・・・ 当時ははっきり言って相当びびってました(笑 まず感染症に詳しい某医科大学助教授に話を聞きましたところ ・破傷風感染の可能性は完全にないとは言い切れない ・日本で過去5年間、破傷風予防接種後10年以内に破傷風感染した人間は一人も確認されていない ・昨年の破傷風感染は一人も確認されていないが、菌の同定はできなかったものの非常に疑わしい事例は50例ある 先生が言うには破傷風感染する可能性はほとんどないとはいえ、0とは言い切れない。 ただ過去10年以内に予防接種を受けている僕の場合は0と言っていいだろう、ということでした。 一方アメリカの開業医向け某有料サイトでは、生物に傷を負わされた場合は必ず破傷風の可能性を考慮して処置する、というように書かれていた。 更に調べていくうちにミネソタ大学の感染症研究者と間接的に連絡を取ることになったのですが、彼が言うには 遅延症状である点を考えても破傷風の危険性が0とは言えない、今後のこともあるので予防接種を受けることを勧める ということだった。 そういえばアメリカ映画で記憶に残るワンシーンがある。 ある少年がカモメに頭をつつかれたシーンだったように思うが 少年の連れ「破傷風大丈夫?」 少年   「一ヶ月前に予防接種を受けた」 こういう会話が非常に当然のようになされていた。 ドクターの姿勢の差を考えても、おそらく破傷風はアメリカでは非常にポピュラーな感染症なのではないだろうか? 日本では稀な病気だが北米ではポピュラーだとすれば南米でもポピュラーである可能性は否定できない。 とりあえず、今回色々調べてみた結果に基づいて言いたいことは アクアリストは破傷風予防接種をきっちり受けましょう、ということです(笑