飼い主さんに分かっていただきたい、獣医の言い分です。

戻る


飼い主さんからのクレームで一番多いのはやはり診療費のことです。

・「診療費が高い」とよく言われます。
確かに、病院に払う一回の金額は人間の病院に比べると高いです。しかし、それはそう感じるだけであって、よく考えていただきたいことが2つあります。
 まず一つ目、人間の医療費は保険で成り立っていると言うことです。毎月の保険料を考えるとひとりあたり年間どれくらいになりますか?もし健康で病院に行っていないなら医療費はかかっていないように思いますが、保険料がかかっているわけです。毎月毎月、動物に対しても保険料をかけるような制度ができれば(現実にはおそらく無理でしょう)、もっと診療費は安く(感じるように)なると思います。
 それと2つ目です。実際、診療しているときにこのようなことは言わないのですが、人間の医療費と比べて動物の医療費は実は格段に安いのです。例えば、お腹を開けるような手術では、人間なら数十万円は軽くかかるのですが、動物ではほんの数万円でやっています。
 人間並みの医療が求められる時代になってきているのですが、人間並みの医療費を請求することができない。実につらいところです・・・。


・「同じことをやっているのに病院によって値段が全然違う」ということをよく言われます。確かに、値段は違います。ただ、みなさんがご存じないのは、やっている内容も違うということです。
 たとえば、体重10kgの犬の避妊手術を例に挙げましょう。おそらく、1万5千〜5万円くらいの幅があると思われます。では、何が違うのか。
 まず、何人で手術を行うか。一人で行うところもあれば、術者・助手・麻酔係のように三人で行うところもあります。これでまず人件費が変わります。
 次に、麻酔方法。注射麻酔なのか吸入麻酔なのか。吸入麻酔(ガス麻酔)でも、マスクでおこなうのか気管挿管を行うのか。ちなみに一番安全なのが気管挿管を行っての吸入麻酔で、一番高価です。
 使用する器具はどうか。縫合に使う糸は、高級な手術用の糸もあればナイロン糸もあります。メスの刃は、新品を使っているのか、再滅菌して使い回しているのか。術者は滅菌した術衣をきているか、新品の手袋をはめているか。
 また、安全のために、手術中に呼吸数・心拍数・血圧などのモニタリングは行っているか。留置針を使って血管を確保しているかどうか。行うことで安全を確保できますが、費用もかかります。
 その他、術式です。避妊といえども、単なる卵管結紮(妊娠はできないが発情は来る)から、卵巣のみの摘出、卵巣子宮全摘出術までいろいろあるわけです。
 これだけ、内容が異なれば値段もおのずと変わってしまうわけです。単に安い・高いで選んでしまうと、大切な愛犬・愛猫を危険な目に遭わせてしまうかもしれません。


病院側にとって、対応に困ってしまう飼い主さんたちがいます。

・予約していた時間を守っていただけない方や診察時間外に突然やってくる方には、困ります(診察時間中なら全く問題ないです)。
 予約している場合は、その子の治療のために病院の段取りを組むわけです。小さい病院なら、他の子に影響がでることがないとは言い切れません(当然、そんなことにならないようにしますが・・・)。
 また、診察時間外には、休憩ばかりではなく、手術や入院中の動物の世話などをしていたりします。病院によってはスタッフがいない場合もあります。従って、対処するのにどうしても後手後手に回ってしまう可能性が出てしまいます。
 緊急の場合などは、仕方がないとは思いますが、病院としてはせめて電話ぐらいほしいところです。


・飼っている動物のことを一番良く知っているはずの飼い主さんが、つれてくる動物の状況をまったく把握していないときは困ります。「普段、あまり見ていない」などと仰り、「いつからか?どういう状況か?」というような質問にも全然答えていただけないのです。
 また、「家のものに病院連れて行ってと言われたから連れてきた」などと仰るのですが、連れてきた方がなぜ連れてきたのか分からないということもあります。やはり家の中で一番よく普段からその動物を見ている方が連れていただきたいものです。


戻る