カブトムシの一生

カブトムシの一生

カブトムシの♀(メス)は夏の終わりごろ卵産みます。卵からかえった幼虫は2回脱皮をくり返して3齢幼虫になり、そのまま冬を越します。 春になって暖かくなるとふたたび活発になり、5月〜6月頃に蛹(さなぎ)になり、夏には成虫になります。 成虫は1〜2ヶ月しか生きられません。その間に♂と♀が出会い、交尾をして♀は卵をうみます。 そして秋には死んでしまいます。 カブトムシの寿命は1年しかなく、そのほとんどを土の中ですごします。


 卵 (たまご)

産みたての卵はやわらかく、白色で直径2mmくらいの球形をしていますが、水分を吸収して楕円形に膨らみ、だんだんかたく黄色っぽくなってきます。 10日〜2週間くらいで孵化(ふか)します。孵化が近づくと中に幼虫が透けて見えます。直径は4mmくらいまで大きくなります。

♀は後ろ足を使って卵室と呼ばれる丸い部屋を作り、その中に卵を1個ずつ産みます。

あまりたくさん卵を産むと、♀が動き回るときにつぶしてしまうことがあります。また、産みたての卵は弱く、 ダニやカビにやられてしまうことがあるので、あまり水分は多くならないように気をつけましょう。 卵を手で持ったりすると、つぶしてしまったり、手の表面の雑菌がついたりするのでやめましょう。 取り出すときはスプーンなどでまわりのマットと一緒にすくいましょう。 固い床の上に落とすとつぶれてしまうことがあります。気をつけてください。

孵 化(ふ か)

卵から孵(かえ)ることを孵化(ふか)と言います。 孵化したての幼虫は真っ白ですが、時間がたつと頭や足に色がついてきます。 孵化した幼虫はまず卵の殻を食べます。腐葉土などを食べるようになると体が青っぽくなります。


初齢(1齢)幼虫

孵化したばかりの幼虫を初齢(しょれい)幼虫または1齢(1れい)幼虫といいます。孵化したての初齢幼虫は卵のときと同じ大きさですが、 えさを食べていくうちに体がどんどん大きくなります。しかし、頭の大きさは変わらないので見分けることが出来ます。大きさは孵化したばかりの初期で5mm位〜2齢になる直前で 1cm位になります。まっすぐにすると2cmくらいになります。2〜3週間で2齢幼虫になります。


脱 皮(だっぴ)

幼虫はマットを食べて成長すると体がどんどん膨らんできますが、頭や足の大きさは変わりません。そのままではある一定の大きさ以上には成長できないので、 小さくなった皮を脱ぎ捨てます。これを脱皮(だっぴ)と言います。脱皮をすると頭や足が一回り大きくなります。初齢幼虫は2回脱皮して終齢幼虫になります。 脱皮が近づくと体の色が黄色っぽくなってきます。

脱皮直後は全身が真っ白になっていますが、やがて頭と足に色がついてきます。脱皮前と比べると全体の大きさは変わらないのに頭だけ大きくなったように見えます。 その後、マットを食べると体が大きくなってきます。

幼虫は脱皮するときに脱皮のための部屋を作るともいわれています。同じ場所でマットを食べ続けているので部屋のようになっているだけかもしれません。


2齢幼虫

初齢幼虫が1回脱皮して2齢幼虫になります。大きさは脱皮してすぐの初期で1cmくらい〜後期で2cm以上になります。 まっすぐに伸ばすと3cmくらいになります。 1ヶ月ほどで脱皮して3齢幼虫になります。


終齢(3齢)幼虫

これ以上脱皮しないので終齢幼虫といいます。このまま冬を越しますが、冬の間はほとんど動かず冬眠しています。さわっても ふにゃふにゃしているので死んでしまったのかと思うかもしれませんが、体の色が変わってなければ生きています。死ぬと黒ずんできたり、縮んできたり、カビが生えたりします。 暖めてやると動き出します。

自然界では気温が15℃以下になると冬眠に入るそうです。深いところにもぐり、凍らないように糞を全部出してしまうそうです。

冬眠中を除いて最もよく食べる時期なので、マットの表面に糞が目立ってきたら交換しましょう。糞が多くなると表面に出てくるようになります。 5月以降は変えないほうがいいでしょう。

3齢幼虫になると♂♀の区別が出来るようになってきます。同じ条件で育てると♂の方がひとまわり大きくなってくるので 見た目でもある程度判断は出来ますが、正確に調べるにはおなかのところを見ます。♂には小さなv字形のしるしがあります。 これは♂の生殖器だといわれています。
また、同じ環境で飼育しているとオスのほうが大きくなります。それも判別するときの目安になります。

うまく育てるとオスの場合は50g以上にもなるそうです。


蛹 室

3齢幼虫が蛹(さなぎ)になるときに丸い部屋を作りますが、これを蛹室(ようしつ)といいます。 4月の終わりごろから6月の初めにかけて、ちょうど暑くなり始めた頃、 3齢幼虫はの体は全体的に黄色っぽくなってきます。 蛹になるための部屋を作り始めるので、この時期はあまりいじらない方がいいでしょう。 ケースで飼育していると、ときどきケースの底をかじる音が聞こえます。

幼虫は糞を出しながら塗り固めて、じょうぶでなめらかな壁を作ります。 作り終える頃には糞を出し切って、しわしわの体になっています。 この時点で蛹室を壊してしまうと、自力では直すことが出来なくなります。 最悪、死んでしまうことになります。

蛹室は縦長で直径は3.5cmくらいになります。これはちょうど幼虫が丸くなったときの大きさ(直径)です。 高さは10cm前後でちょうど幼虫を伸ばしたときの長さくらいになりますが、♂は角の分だけ少し長くなります。 ほぼ垂直ですが少しだけ傾いているようです。その方が安定するのでしょう。

どうしても蛹になるところを見たい時は、上からそっと掘っていって天井部分に穴をあけてみましょう。 天井はなくても差し支えありません。少しくらい乾燥しても大丈夫です。 よく図鑑などで横に穴をあけた写真を見かけますが、真似したところ幼虫が転げ出てきてしまいました。 あまりおすすめはできません。

もし掘るときに壁が崩れてマットが中に落ちてしまったら、いったん幼虫を取り出して、中に落ちたマットを取り除きましょう。 完全に壊してしまったら、人工蛹室を作ってあげましょう。直径3.5cmくらいの縦穴を掘ってしっかり固めれば大丈夫です。 ちょうどいい大きさのビンがあれば底にマットを少し入れるだけでも大丈夫です。実際やってみました。

マットの上に木の板やブロックなどの固いものを乗せておくと、そのすぐ下に蛹室を作ることがあります。 複数飼育の場合は蛹室が並んで見えます。


前 蛹

蛹室ができあがると、幼虫はあまり動かなくなります。体の中で蛹の体が作られる時期です。1週間ほどで蛹になります。 体の色は黄色から、こいオレンジ色に変わってきます。背中のあたりに茶色の部分が見えるようになると蛹になるのも近いでしょう。 よく直立の姿勢の写真を見かけますが、普段は丸くなっていて、ときどき体を伸ばしながらぐるぐると回ります。 壁が崩れないように直したり、他の幼虫が近づかないように合図を送っているのでしょうか。

体重は幼虫のときよりだいぶ減ります。糞を出し切ってしまうからでしょう。多いもので10g以上減りました。


蛹 化(ようか)

幼虫の皮を脱ぎ捨てて、蛹になることを蛹化(ようか)といいます。 直立した状態で背中に縦の切れ目ができて、それが頭の方へ広がっていきます。頭は上のほうから割れて 3つにわかれます。まず蛹の頭が出てきます。♂はこのとき角が少し伸びてきます。その後、体をよじりながら少しずつ皮を 脱いでいきます。10分から20分くらいで皮を脱ぎ終えますが、♂はまだ角が伸びきっていないのでもうしばらくかかります。 体を動かすたびに、体液が角に送り込まれて伸びてきます。 蛹になった直後はまだ真っ白ですが、しばらくするとだんだんオレンジ色になってきます。1日くらいはまだやわらかいので さわらないようにしましょう。


 蛹 (さなぎ)

蛹化の直後は真っ白だった体も、しばらくたつとオレンジ色になり、毎日少しずつ色が濃くなってきます。頭や足の部分は茶色くなります。 全体が茶色っぽくなって、足や角が中に透けて見えるようになると羽化が近いです。 羽化直前になるといままでふくらんでいた蛹の表面がしわしわになってきます。多分、その日のうちに羽化するでしょう。

蛹には将来足になる部分はありますが、生物学的には目や口や足はないことになっています。 動かせるのは腹部だけで、ときどき動いて蛹室の中をぐるぐる回ります。 生きているかどうか心配になったらケースを叩いてみると中からごそごそと動く音が聞こえます。

幼虫の時の体重と比べると多いもので15g近く減っていました。♂は大きいもので長さ70mmを超えていますが、成虫になるときは また少し減ります。


羽 化(う か)

蛹の皮を脱いで成虫になることを羽化といいます。あるとき突然、前足を動かし始めてバリバリと皮を破き始めます。 前足を使って頭の部分の皮を剥ぎ取り、前足と中足を壁につけて踏ん張りながらずり上がるように皮を脱ぎます。 後足は初めは動かしませんが、最後に腹部の皮をずり下げるように脱ぎます。 上翅(前羽)は少しずつ広がってきますが、羽化直後はまだ真っ白です。その後しばらくの間、羽を乾かすためにじっとしていますが、 やがて腹部を動かしながら少しずつ下翅(後羽)を折りたたんでいきます。

羽化したばかりの成虫はチョコレートみたいな甘い匂いがします。日本のカブトムシ独特の匂いです。

羽化にかかる時間は20〜30分位ですが、その後、羽を伸ばして乾かすのに数時間かかり、 上翅(前羽)が茶色になるのには1日位かかります。
羽化直後の上翅(前羽)はやわらかく変形しやすいので、このときへたにさわるとそのまま変な形に固まってしまいます。 さわらなくてもひっくり返ったりすると変形してしまいます。これを羽化不全といいます。 少しくらい羽が変形しても飼育下では特に問題はないのですが、見た目は悪くなってしまいます。 また、人工蛹室を作る場合、足をかける壁がしっかりしてないと羽化できずに死んでしまうことがあります。

複数の幼虫を同じ容器で飼育すると、羽化時期がほぼ同じになるようです。


後 食

羽化を終えた成虫はそのまま何も食べず1〜2週間蛹室の中ですごします。 成虫になってから成熟するまでの期間といわれています。 その後、地上に出てきて最初にとる食事を後食といいます。 後食をおえたら交尾も可能であると言われています。


交 尾

♂と♀は子孫を残すために交尾(ペアリング)をします。♀はフェロモンという物質を出し、♂はその匂いをかいで 同じ仲間であることを確認し交尾をしようとします。フェロモンは♀の羽の付け根あたりから出るようで、♂はその匂いをかぐと 興奮してくるようです。

このとき、2匹以上の♂がいると♀を取り合って激しい戦いをします。より強い個体だけが子孫を残せるのです。

交尾をおえた♀は産卵のためにマットの中にもぐり、ほとんど出てきません。ときどきえさを食べにでてくるので ゼリーなどを切らさないようにしましょう。


産 卵

交尾を終えた♀はマットの中にもぐり、卵を産みます。固いところを探して産卵するので、マットの底の方は逆さにしても落ちないくらい 固めておいたほうがいいでしょう。1匹の♀は30〜50個の卵を産みます。大きい♀の方がたくさん産むといわれています。 80個以上の卵を産んだという話を聞いたこともあります。

マットが極端に乾燥していたり、少なすぎたりするとあまり産卵しません。マットは容器の半分〜8割位入れるといいでしょう。 メスが産卵を始めたら、オスを別容器に移して産卵に専念させてやるとたくさん産むようです。

卵は1個ずつ取り出して孵化させる方法もありますが、管理が大変なのでそのまま幼虫になるまでそっとしておく方がいいでしょう。 産卵を終えた♀はそのままマットの中で死んでしまうことが多いです。

寿 命

成虫は1ヶ月〜2ヶ月しか生きられません。オスは交尾をすると寿命はさらに短くなるとも言われています。

メスは産卵をするためオスよりも長生きをすることが多いようです。

怪我(ケガ)をしたり、ひっくり返ったまま起き上がれなかったりすると弱ってくることがあります。 そのままだと死んでしまうので止まり木や落ち葉など足場になるものを入れておきましょう。

お店で購入したり、採集してきたカブトは羽化してからだいぶ経っていることもあるので、あとどれくらい生きるかはわかりません。