アジサイ科Hydrangeaceaeと

アジサイ属Hydrangea:世界

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  アジサイ科とアジサイ属:日本日本産の主な野生種染色体数


アジサイ科 Hydrangeaceae

英国王立キュー植物園によるとアジサイ科は次の16属に分類されています。また幾つかの属は他の属に統合されました。2003.8.

日本語の属名を付けたものは、日本産の種を含む属です。

●現在有効な属:16属

 1.Broussaisia Gaudich.:ハワイ産で1属1種

 2.Cardiandra Siebold & Zucc.:クサアジサイ属

 3.Carpenteria Torr.:北米産の属

 4.Decumaria L.:北米東部産の属

 5.Deinanthe Maxim.:ギンバイソウ属

 6.Deutzia Thunb.:ウツギ属

 7.Dichroa Lour.:東アジア、東南アジア産の属、中国産のジョウザンアジサイなど

 8.Fendlera Engelm. & A.Gray:北米西部産の属

 9.Fendlerella A.Heller:北米西部産の属

10.Hydrangea L.:アジサイ属

11.Jamesia Torr. & A.Gray:北米西部産の属

12.Kirengeshoma Yatabe:キレンゲショウマ属

13.Philadelphus L.:バイカウツギ属

14.Platycrater Siebold & Zucc.:バイカアマチャ属

15.Schizophragma Siebold & Zucc.:イワガラミ属

16.Whipplea Torr.:北米西部産の属

●他の属に統合された属と統合先の属

 1.Adamia Wall. = Dichroa Lour.
 2.Cornidia Ruiz & Pav. = Hydrangea L.
 3.Cyanitis Reinw. = Dichroa Lour.
 4.Edwinia A.Heller = Jamesia Torr. & A.Gray
 5.Hortensia Comm. = Hydrangea L.
 6.Neodeutzia (Engl.) Small = Deutzia Thunb.
 7.Pileostegia Hook.f. & Thomson :シマユキカズラ属
   = Schizophragma Siebold & Zucc.
 8.Sarcostyles C.Presl ex DC. = Hydrangea L.

*アジサイの仲間は、従来広く使われてきた、「エングラーの分類体系」では、ユキノシタ科に属しています。
しかし、最近の研究を幅広く取り入れた、「クロンキスト(1988年)の分類体系」では、ユキノシタ科からアジサイ科を分離独立させています。
一部には、バイカウツギ族を分離しバイカウツギ科を立てる考えもあります。

アジサイ科は、世界に約16属200種が分布するといいます。

世界のアジサイ科Hydrangeaceae植物

アジサイ科各属は花の構造などから「アジサイ族」と「バイカウツギ族」の2グループに大別されます。

遺伝子の分析データなどからアジサイ科をジャメシア亜科(Jamesia , Whipplea)とアジサイ亜科に2分し、アジサイ亜科をアジサイ族とバイカウツギ族に分ける考えが出されている。このページでは従来の考えにしたがったが、「ソルテス等1995年」「フファード等2001年」の結果の一部を表の下に示した。

「アジサイ分類の新しい試み、遺伝子DNAの解析」も見てください。

アジサイ科 Hydrangeaceae
A,アジサイ族  主な種など
1.Broussaisia属

ハワイの固有属、1種を含む。

Broussaisia arguta、ハワイの固有種。常緑、装飾花はない。雄花ばかりの花房を付ける株と、雌花だけの花房を付ける株があるpolygamo dioecious。樹形、葉はガクアジサイに似る。

ソルテス等1995年の遺伝子分析による系統樹ではガクアジサイの近くに位置づけられている。

2.Cardiandra属:
クサアジサイ属

草本、装飾花を持つ花房を付ける。日本、中国、台湾など東アジアに分布。

Cardiandra alternifolia クサアジサイ、日本産、産地によりいくつかの種に分類されているがよく似ている。

3.Decumaria属
分布:米国東部Alabama,Arkansas,Delaware,Florida,
Georgia,Louisiana, Mississippi ,
New York, North Carolina,
South Carolina,Tennessee,Virginia

Decumaria barbara 常緑、つる性、多数の気根をだして他物に張り付いて登る。白色の装飾花のない花を咲かせる。
4.Deinanthe属:
ギンバイソウ属

草本、東アジア特産属、日本と中国に各1種分布。

Deinanthe bifida ギンバイソウ、日本産

5.Dichroa属

常緑低木、装飾花のない青色の花。中国、東南アジアに分布。

Dichroa febrifuga ジョウザンアジサイ、

6.Hydrangea属:
アジサイ属

約30種を含む。日本、中国、東南アジア、北米、中米、南米に分布。
低木、つる性、落葉性、常緑性のものあり。
ガク片の発達した装飾花を持つものが多い。

Hydrangea macrophylla f. normalis
ガクアジサイ 三浦半島、伊豆半島の海岸地帯、伊豆七島に分布。  

7.Platycrater属:
バイカアマチャ属

1種のみを含む。

Platycrater arguta バイカアマチャ
 落葉低木、白い4弁の両性花とガク片が合体して浅い皿状になった装飾花をつける。日本、中国に分布。

8.Schizophragma属:
イワガラミ属

アジアに数種分布する。日本にはイワガラミとシマユキカズラが分布。

Schizophragma hydrangeoides イワガラミ 落葉つる性、白い1弁の装飾花を持つ花房を付ける。日本、朝鮮に分布。

  *Hydrangea属以外は1〜数種を含む小さな属。
B,バイカウツギ族  主な種など
9.Carpenteria属

北米西岸、カリフォルニア州産の常緑小灌木、シエラネバダの西の斜面で300〜1,500mのみの間に分布する。1属1種。
バイカウツギ属に近縁。

Carpenteria californica,

10.Deutzia属:
ウツギ属

東アジアからヒマラヤに約50種分布、内7種が日本に分布。メキシコに2種が分布。

Deutzia crenata ウツギ 北海道から九州まで全国に分布。ウノハナは、この種のこと。

11.Fendlera属

北米西部に数種が分布。Arizona,
Colorado , Nevada , New Mexico ,
Texas , Utah,

Fendlera rupicola 、Cliff Fendler Bushと呼ばれる。白い花を咲かせる低木

12.Fendlerella属

北米西部、メキシコに2種が分布

Fendlerella utahensis 、低木

13.Jamesia属

北米西部に2種が分布。

Jamesia americana、高さ1m位の落葉の灌木。マルバウツギのような白い花を咲かせる。

14.Kirengeshoma属:
キレンゲショウマ属

多年生の草本。1属1種。日本、朝鮮、中国に分布。

Kirengeshoma palmata キレンゲショウマ

15.Philadelphus属:
バイカウツギ属

約40種が北半球に広く分布。ヨーロッパの物は移入種とする説がある。日本には1種分布。似た種が多く統合される可能性がある。

Philadelphus satsumi バイカウツギ
本州・四国・九州に分布。中国・朝鮮の物と同種とする説もある。

16.Whipplea属

北米西部に1種が分布。

Whipplea modesta、山の斜面にはえ、地をはいカーペット状に広がる。半木質半落葉。春、白い花を茎の先端に群生。

ソルテス等1995年の遺伝子分析による系統樹

ソルテス等の結果によると、アジサイ科は従来の形態に基づく分類通り、アジサイ族とバイカウツギ族の2クラスターに分かれる。

アジサイ族の部分を取り出すと下図のようになる。この結果によると、アジサイ族は4つのクラスターに分かれる。しかし従来の分類とは異なり、Dichroa属・ジョウザンアジサイ、Broussaisia属、Platycrater属・バイカアマチャなどはHydrangea属に統合されてもおかしくない結果である。

アジサイ族のほとんど全ての属が分析されているが、分析された種の数が少ないことなど課題もある。

また、カシワバアジサイの位置など他の同様な研究結果と異なる部分もある。

2001年に「 葉緑体遺伝子 matK , rbcLの解析データーと形態分析データによるアジサイ科の系統発生 」が発表されている。1995年の論文は葉緑体遺伝子 rbcLの解析データーと形態分析データによるものだったので遺伝子 matK のデーターが加わったことになる。

下の図は、2001年論文の要約から作成したので参考程度に見てください。なお、要約にはこの部分の信頼度はまだ充分でないと書かれています。

アジサイ科全体の系統樹はこちら。

世界のアジサイ属Hydrangea 植物

アジサイ属は日本にも多くの種が分布していますが、世界ではアジアから北米・中米・南米太平洋諸島にかけてさらに多くの種が分布しています。
*ヨーロッパ・アフリカ・オーストラリアには分布しないようです。
*近縁のBroussaisia属がハワイに分布している。

アジサイ属は、
Michael Haworth Booth(英)1975年の「The Hydrangeas」によると、形態や分布域の違いなどにより、3節、6亜節に区分されています。

*この項は「新花卉」第109号の「外国におけるアジサイ類」横井政人著を元に、抜粋加筆を行っています。

●アジサイ属 Hydrangea
 節・亜節  分布 
1,アジサイ節   
A,アメリカナ亜節
北米大陸東部に分布。日本に分布する種はない。日本に分布するヤハズアジサイをここに含める考えもある。
B,アジサイ亜節
日本、中国、台湾、インドシナなどアジア大陸とその周辺に分布。
C,ノリウツギ亜節
日本、中国、フィリッピン、ヒマラヤなどアジア大陸とその周辺に分布。ヨーロッパのものは人為的な移入種とされる。
D,タマアジサイ亜節
日本、中国、台湾、ヒマラヤ、ジャワ、スマトラなどアジアに分布。
2,ツルアジサイ節 日本、中国、台湾などアジアに分布。
3,コルニディア節 メキシコ以南の北米・中米・南米、フィリピン、台湾、太平洋諸島に分布する。日本に分布する種はない。
A,モノセギア亜節  
メキシコ以南の北米・中米・南米、フィリピン、台湾、太平洋諸島に分布
B,ポリセギア亜節
中南米に分布  

この形態学的特徴による分類は遺伝子の解析結果とは大きく異なっています。しかし、直感的に理解しやすいためか今でもよく使われています。以下に示した、種の簡単な解説もこの分類にしたがって配列しています。

アジサイ属(Hydrangea)の遺伝子解析による、最も詳しい分析は次の一般講演だと思いますが、残念ながら論文にはなっていないようです。
『日本植物分類学会 第1回大会、2002年3月17日一般講演
 「アジサイ属(Hydrangea)の分子系統と植物地理」
゚瀬戸口浩彰・徳岡 徹(京大・総合人間),百原 新(千葉大・園芸),十河暁子(京大・理・植物),C.-I. Peng(台湾中央研究院),Z.-K. Zhou(中国科学院・昆明植研),遊川知久(科博・植物園)』

「アジサイ分類の新しい試み、遺伝子DNAの解析」も見てください。私の理解の範囲内で多少の説明をしてみました。

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アジサイ属Hydrangeaの主な種

       (20110731:訂正や補充を行いました。)

1.アジサイ節

A.アメリカナ亜節

落葉性。花序は散房形、稀に円錐形。両性花・装飾花とも花は白。装飾花は後に赤変するものがある。アジサイと云うよりノリウツギに近い雰囲気を持つ種群。耐寒性が強い。北米東部産。子房下位、果実は乾果、半球形で上部はほぼ水平、種子は翼がない。

八重花・全てが装飾花になったものなど園芸品種が作られている。

@H. arborescens アメリカノリノキ、園芸品種・アナベル、ピンクアナベル等

落葉性、新枝が伸びてから花芽分化する。花序は散房形、装飾花をつける。両性花、装飾花とも白。葉は薄く、細く長い葉柄がある。属名Hydrangea はこの種の果実の形がギリシャの水瓶に似ていることによる命名。

AH. cinerea アメリカノリノキに近縁。葉の裏が灰色。

BH. radiata(H. nivea) アメリカノリノキに近縁。葉の裏が葉白。

CH. quercifolia カシワバアジサイ、園芸品種・スノークイーン、ハーモニー等

半落葉性、アジサイでは唯一ワインレッドに紅葉する。花序は大型の円錐形、装飾花をつける。両性花、装飾花とも白、のちに赤変する。葉は大型で粗い切れ込みがある。和名のカシワバアジサイ、学名の「クエルキフォリア」ともその葉が、アカガシワ(レッドオーク、北米原産)の葉に似ることによる。北米東部産。

(○H. sikokiana ヤハズアジサイは日本の紀伊半島、四国、九州の深山にまれに見られる落葉低木。アジサイ亜節に含めることが多いが、カシワバアジサイと近縁とする見方もある。

・・遺伝子の解析の結果この2つの考えは、ともに否定され、タマアジサイのグループのH. aspera の近くに位置づけられています。)

B.アジサイ亜節

常緑性と落葉性がある。花序は散房形。装飾花の有るものと無いものがある。両性花はピンク、ブルーなどの色が多い。装飾花のガク片は白、ピンク、紅、ブルーなど。多くの園芸品種が作出されている種や薬用植物として利用される種がある。ガクウツギ、コガクウツギなどの近縁種の分類はまだ未完成。

南東アジア、東アジアに広く分布する。子房はガクアジサイ、ヤマアジサイでは下位、ガクウツギ・コガクウツギでは半上位の傾向がある。花柱は2〜4本、ガクアジサイ、ヤマアジサイのほうが左右への開きが小さい。果実は乾果、卵形で先やや細い。種子には翼が無いか短い。ガクウツギ・コガクウツギの両性花は独特の強い香を持つものが多い、リュウキュウコンテリギは香が弱い。

@H. davidii ユンナンアジサイ(青山潤三仮名)
中国の雲南・四川・貴州に分布。装飾花は白〜淡青。両性花は淡青〜白。ガクウツギに近い種。

AH. chinensis 
中国産でガクウツギに近い種。装飾花は白、両性花は黄色(葯の色か)。中国南部、台湾、フィリッピンに分布。分布地域により生態、形態に差がある。落葉性・常緑性、葉に大きく鋭い鋸歯がある、鋸歯が目立たないなど。

日本の南西諸島に分布する、ヤクシマコンテリギ、トカラアジサイ、ヤエヤマコンテリギなども、この種の変異の内とする考えがある。レッドデータブックに沖縄・伊平屋島産を「カラコンテリギ(トカラアジサイ)」として記載している。

日本、中国、台湾、フィリッピンに分布する近縁種を Hydrangea chinensis complex (複合種?)として種を大きく捕らえ直す考えがある。

「タイワントキワアジサイ」「トキワアジサイ」の名で、鉢植えにして観賞用に販売されているのも、この種と考えられる。台湾に分布する「ナガバコンテリギ」か。常緑の小低木。非休眠性といわれる。両性花は黄色、装飾花は白。ガクウツギ、コガクウツギに近い種。

アジサイ類の多くの種は染色体数2n=36で変化に乏しい。石垣島、西表島の「ヤエヤマコンテリギ」で2n=約144、2n=約180という染色体数の異なるものが発見された。論文を読んでいないのでこれ以上詳しいことはわかりません*。約8倍体と10倍体という高倍数体なので、島の個体すべてというのではないようにも思える。

*文献: Akiyama, S., 1989. Chromosome numbers of the species in Hydrangea chinensis -complex in theRyukyu Islands. J. Jap. Bot., 64: 353-360.

BH. chungii 
ヤマアジサイに近い種ともいわれる。H. Chungii か。中国の福建省に分布。装飾花のガク片が淡紫色といわれる。

CH. hirta コアジサイ、日本産。関東以西の本州、四国、九州に分布。落葉
性の低木。青い両性花のみをつける。装飾花はない。弱いが甘い香りがある。ガクウツギ、コガクウツギとの自然雑種が発見されている。

DH. indochinensis 中国の北ベトナムに接する地域、北ベトナムの森林・渓
谷・草原などに分布。タイプのちがう個体が採集されている。両性花、装飾花とも淡青色。ガクウツギに近縁か。

葉の裏が濃紫色に色づく個体がある。

EH. luteo-venosa コガクウツギ、日本産。本州の伊豆半島、近畿、中国地方、四国、九州に分布。。落葉性の小低木。ガク片の発達した、白い装飾花のある花をつける。両性花は黄色で強い香りがある。園芸品種に八重テマリの花笠、他がある。ヤクシマガクウツギは、コガクウツギの変種。

FH. macrophylla f. nomalis ガクアジサイ
  H. macrophylla var. macrophylla アジサイ
  H. macrophylla var. megacarpa エゾアジサイ
  日本産。中国に産するものは日本からの移入と考えられる。基本種の
ガクアジサイは伊豆諸島、三浦半島の海岸、伊豆半島西岸に分布。両性花、装飾花とも青。アジサイは両性花が全て装飾花になった突然変異。

品種改良が盛んでさまざまな花色、花形のものが作出されている。
エゾアジサイは本州の東北地方、日本海側の多雪地帯(京都府までとする)説がある、北海道南部に分布する、葉が薄く光沢が無く、鮮やかな青い花をつける変種。

鹿児島にエゾアジサイが分布すると云われたことがあるがヤマアジサイの大型タイプであり誤りとされた。

GH. scandens ガクウツギ(コンテリギ)、日本産の落葉性低木。関東地方西南部から四国、九州に分布。ただし伊豆半島と中国地方には分布しない。
ガク片の発達した白色の装飾花を持つ。両性花は黄色で強い香りがある。

九州南部から沖縄にかけて数種のガクウツギの仲間がある。
トカラアジサイ、ヤクシマコンテリギ(ヤクシマアジサイ)、リュウキュウコンテリギ、ヤエヤマコンテリギなど。さらに、台湾、中国のH. chinensis へとつながる。

HH. serrata ヤマアジサイ 
日本産の落葉性低木。本州の関東地方(福島県)以西の太平洋岸、四国、九州に分布。黒島、種子島、屋久島に希産。福井県以西の日本海側のものも、エゾアジサイではなく本種とする説がある。

朝鮮半島南部、済州島に分布するH. serrata for.acuminataサンスクク(サンスグク)山水菊も同種とする説がある。

ヤマアジサイには多くの変異が発見され園芸植物となっている。

IH. stylosa 
ヒマラヤ産。中国大陸における、アジサイ(ガクアジサイ、ヤマアジサイ、エゾアジサイ)の対応種の1つといわれる。両性花は淡青色、装飾花のガク片は白。

H. davidii ユンナンアジサイ(青山潤三仮名)との混同があり実体がはっきりしない。H. davidii ユンナンアジサイは豊産するが、H. stylosa は希産種の可能性がある。

JH. umbellata 
中国福建、江西、湖北、湖南省などに分布。樹高は1mを越える。枝は細く斜上する。葉は、ざらつき薄い、装飾花は、青白色。雰囲気的には、大型のコガクウツギ。小鉢栽培ではしばしば1弁花を生ずる。

KH. kwangsiensis ヤナギバハナアジサイ(青山潤三仮名) 
広西壮族自治区に分布する希産種。中国大陸における、アジサイ(ガクアジサイ、ヤマアジサイ、エゾアジサイ)の対応種の1つと考えられる。青山は花序柄があること、花弁の形、子房の位置など形態的観察からそれを確認したという(2011.7.)。両性花は青、装飾花は淡青色。葉は鋸歯が無くキョウチクトウの葉に似る。

中国大陸における、アジサイ(ガクアジサイ、ヤマアジサイ、エゾアジサイ)の対応種としてはH. stylosa、H. kwangsiensis 以外にも候補種が数種ある。

LH. angustisepala キダチノコアジサイ 
台湾産。ガクウツギの近縁種。両性花は黄色、装飾花は白で弁はやや細い。

MH. formosana タイワンコンテリギ 
台湾産。ガクウツギの近縁種。両性花は黄色、装飾花は白。葉はヤナギの葉のように細い。

NH. glabrifolia コバノアマチャ 台湾産。直立性で装飾花はない。

OH. macrosepala ナガバコンテリギ(タイワントキワアジサイ?)
台湾産。ガクウツギの近縁種。装飾花は白で大きい。H. chinensis に似る。

PH. moellendorffii 中国産。装飾花は小さく少数で、白色。

QH. obovatifolia ムラサキアジサイ 台湾産。

RH. pottingeri ビルマ産。カチン山脈の標高1000m位に自生する。

SH. schindleri 中国東部産。装飾花のガク片は白。

21,H. yunnanensis 中国、雲南省産。装飾花は白で多数つける。

22,H. chinensis var. koidzumiana ヤエヤマコンテリギ 
石垣島と西表島に分布。常緑性。ガクウツギの近縁種。両性花は黄色、装飾花は白。

23,H. liukiuensis リュウキュウコンテリギ 
沖縄本島北部に分布。常緑性。ガクウツギの近縁種。装飾花はない。両性花は白、花弁は散らずに退縮する。林床で生育する小型種。花序も小さく10花位が疎らに集まり1つずつゆっくりと開花する。

24,H. kawagoeana トカラアジサイ 
トカラ列島の各島と黒島に分布。落葉性。ガクウツギの近縁種。両性花は黄色で装飾花は白、後に赤変する個体がある。装飾花が非常に大きい。

25,H. grosseserrata ヤクシマコンテリギ(ヤクシマアジサイ) 
屋久島の標高の低い場所に分布。落葉性。ガクウツギの近縁種。両性花は黄色で装飾花は白。トカラアジサイに似るが装飾花が小さい、葉の鋸歯が粗い、葉の先が細く伸びる、葉の裏が淡紫色になる。

C.ノリウツギ亜節

花序は散房形か円錐形。多くはガク片の発達した装飾花を持つ。両性花は白色。装飾花のガク片も白。両性花の花弁は開花後すぐに散る。花柱は3本で互いに接するように真上に伸びる。子房は半上位、果実は乾果で卵形。種子は上下に翼がある。耐寒性が強く大変広い範囲に分布する。北米に日本産のノリウツギが帰化している。

多数の報告と学名があるが H. paniculata ノリウツギ と H. heteromalla ヒマラヤノリウツギに集約されるのかもしれない。

@H. bretschneideri (H. pekinensis) トウアジサイ
中国の河北・山西・四川省に分布。花序は平らな散房状。両性花、装飾花とも白。耐寒性が強い。

AH. heteromalla (H. pubescens) ヒマラヤノリウツギ
ヒマラヤ産。花序は平らな散房状。花は両性花も装飾花も白。欧米では栽培される。花の写真が白石哲士氏のサイト「熊本のヤマアジサイ」の外国のアジサイページにある。
http://kumamoto.cool.ne.jp/yamaajisai/

BH. mandarinorum
中国の中部・雲南に分布。装飾花は小さく数が多い。H. heteromalla のシノニムともされることもある。

CH. dumicola
中国西部産。花序の直径が30cmになる大型種。花は白。

DH. paniculata ノリウツギ(ノリノキ、サビタ)
日本全国、南千島、サハリン、中国、台湾の林縁地に分布する。火山の周辺や北日本では伐採跡地に良く出現する。花序は円錐形。両性花、装飾花とも白。北海道初め各地で花序が散房形の個体が見られる。装飾花のガク片が紅色に着色する個体がある。

自然集団に2倍体、3倍体、4倍体、6倍体などの倍数体が観察されている。西日本には4倍体集団が東日本には6倍体集団が多い。四国と中国地方の高地に2倍体集団が見つかっている。また、3倍体個体の点在が観察されている。

園芸品種には矮性のダルマノリウツギ、花序全体が装飾花になったミナズキなどがある。ノリウツギの名の由来は、幹の内皮に含まれる粘液を、和紙を漉くときの糊料に用いたことによるという。

EH. hypoglauca
中国西部産。花は白

FH. macrocarpa
H. bretschneideri に似た種。

GH. sungpanensis
中国の雲南・四川省に分布。

HH. xanthoneura
中国の雲南・四川省に分布。散房花序で花は白色。装飾花は大きい。

IH. pubinervis
花は白。H. xanthoneura のシノニムとされることもある。

D.タマアジサイ亜節

花序は散房形でガク片の発達した装飾花がある。両性花の色は、白、青、ピンク、紫など種によって異なる。装飾花のガク片は淡紫色か白。日本産のタマアジサイは半球形の苞に包まれた球形の蕾を付ける。

中国産の種では花房内に多数の小さな苞があり、花房全体を包む苞はなく日本産のタマアジサイとは異なった印象を持つ。中国の種とタマアジサイの雑種と作ることができ遺伝的には近い関係を示している。子房は下位、乾果の上部はほぼ水平、種子には翼がある。

非常に多くの種が報告されているが分布域が広く変異性に富み特定は難しい。種名と流通個体との関係には疑問のものもある。

@H. aspera ヒマラヤタマアジサイ(ヒマラヤアマチャノキ)
アスペラ種を大きくとらえて、以下の種をアスペラ種に統合する考えが近年有力になっている。
・Hydrangea aspera :ヒマラヤ〜中国雲南に分布
・H. kawakamii :台湾に分布
・H. robusta :ヒマラヤ、シッキム、ブータンに分布、樹高5mになる。
・H. sargentiana :中国原産、多毛。
・H. villosa :中国原産、葉に褐色長毛がはえる。

AH. involucrata タマアジサイ
福島県から岐阜県にかけて、伊豆諸島(ラセイタタマアジサイ)、四国?、トカラ列島周辺の黒島・口之島・諏訪之瀬島(トカラタマアジサイ)の湿潤な林縁に分布。関東ではヤマアジサイと同所的に分布する。蕾は、苞に包まれ球形。花序の内部にも同様な苞があり入れ子状?になっている。
日本産のアジサイ類では開花時期が最も遅く、7〜8(9)月。八重、テマリ咲きなどいくつかの園芸品種があるが、あまり栽培されていない。

BH. kawakamii タイワンゴトウヅル
台湾の阿里山の高所に分布。散房花序は径30cm、両性花は紫、装飾花のガク片は白。アスペラ系で蕾には小さな三角形の苞が多数ある。
「木の勢が良いとツルになることもある」といわれるが確認していない。

CH. longifolia ナガバアジサイ
台湾に分布。タマアジサイ系で半球形の苞に包まれた球形の蕾をつける。両性花は淡紫色で装飾花のガク片は白。

DH. robusta
ヒマラヤ、シッキム、ブータンに分布。花序は径25cm、両性花は青、装飾花は白で大輪。ヨーロッパの一部で栽培されている。

EH. sargentiana
中国産。花序は扁平、両性花は淡紫色〜紫、装飾花のガク片は白。多毛。日陰を好み、乾燥を嫌う。ヨーロッパの一部で栽培されている。

FH. villosa
中国産。花序は扁平、両性花は紫、装飾花のガク片は淡紫色。葉は細く小型。

GH. longipes
中国の四川・貴州・湖南省に分布。両性花は明紫色、装飾花のガク片は淡紫色小輪。葉柄が長い。  

HH. strigosa
中国の西南部に分布。両性花は明紫色、装飾花のガク片は白。テマリ咲変異が発見されている。

EH. glabripes
中国中部に分布。両性花、装飾花のガク片とも白。葉は細く葉柄が長い。

FH. oblongifolia
ジャワ島、スマトラ島に分布。両性花は青、装飾花のガク片は淡紫色。時につるになるというが確認していない。栽培はほとんどされていない。

2.ツルアジサイ節

つる性の木本。気根を持ち樹上や岩上をはい上がる。地を這っているときの
葉は小さいが、樹木などにはい上がると長い葉柄を持った大型の葉になる。
花序は散房形。ガク片の発達した装飾花を持つ。両性花、装飾花のガク片は
白。花弁は先端が接着したまま開かずに落ちる。落葉性。子房は下位、乾果の上部はほぼ水平、種子は丸く周辺に翼がある。

@H. anomala (H. altissima) タイワンツルアジサイ
台湾、中国南部、ヒマラヤ東部。ツルアジサイの亜種とする説もある。両性花、装飾花のガク片ともやや黄色を帯びた白。装飾花のガク片が淡赤色の個体もある。装飾花の無い花序も見られる。

AH. petiolaris ツルアジサイ(ゴトウヅル)
日本全国、南千島、サハリン、朝鮮南部の湿潤な森林内に生える。樹や岩を
はい上がる。両性花、装飾花のガク片とも白。装飾花のガク片は4〜5個が発達。H. anomala (H. altissima) タイワンツルアジサイの亜種とする見方もある。
イワガラミは形態や生態がよく似ているが、装飾花のガク片が1個しか発達しない別属の植物。

3.クスノハアジサイ(コルニディア)節

常緑性。低木、高木、つる性の木本。つる性のものは多くの気根(不定根)を
出し、樹木によじ登る。花序は蕾のうち半球形の苞に包まれている。子房は下位、乾果の上部はほぼ水平、種子は細長くて曲がっている。

分布は、メキシコ、南アメリカ、フィリッピン、台湾、太平洋諸島。最も研究が遅れているグループで、約25種あるが数種を除き実体はほとんど知られていない。

花序の構造に基づいて、モノセギア亜節とポリセギア亜節の2グループに区分されている。

遺伝子の解析では、クスノハアジサイ節が2分される結果になった。
クスノハアジサイ(モノセギア亜節)はツルアジサイと近縁。
セラティフォリア(ポリセギア亜節)はイワガラミと近縁。イワガラミは別属だが遺伝子解析ではノリウツギと近縁。

この節の種が他の節の種と隔絶したものでないことを示している。
モノセギアとポリセギアの間の種間雑種が作出されている。
H. peruviana x H. serratifolia …装飾花は無い。
H. serratifolia x H. seemannii …装飾花の有る個体と無い個体が見られる。

A.モノセギア亜節

花序は、一つの偽散形花序です(一般的アジサイ形の花序)。ガク片の発達した、装飾花を持つ。

@H. integrifolia クスノハアジサイ
台湾とフィリピンに分布。両性花も装飾花のガク片も白。

AH. peruviana
ペルー・コスタリカ・パナマ・コロンビア・エクアドルに分布。両性花の蕾は赤、開花すると白。装飾花のガク片は赤〜ピンクで小輪。

BH. seemannii
メキシコ産。両性花も装飾花のガク片も白。両性花が黄色く見えるのは花粉のためか。装飾花のガク片がピンクの個体があるという。

B.ポリセギア亜節

花序は、いくつかの偽散形花序でできている(一般的なアジサイ形の花序が数個集合している)。装飾花は無い。装飾花をつけた花房が紹介されることがあるが雑種なのかそのような個体が稀にあるのか詳細不明。

@H. serratifolia
チリ・アルゼンチンに分布。両性花、装飾花のガク片とも白。装飾花は発達した4枚のガク片を持つ(雑種の可能性がある)。耐寒性は強く、−10℃くらいに絶える。

AH. integerrima
チリ産。H. serratifolia のシノニムとされる。

*この項は雑誌「新花卉」第109号の特集記事「わが国に分布するアジサイ類とその特徴:大場秀章著」、「外国におけるアジサイ類:横井政人著」を参考にしました。

*南西諸島産の種について、「世界遺産の森 屋久島」青山潤三著 平凡社新書も参考にした。

*中国産、台湾産の種の和名には実体にそわないものがしばしばあり、変更される可能性がある。

*初期には世界の各地にどんな種が分布するか記載することに力点が置かれた。そのため産地が離れているものは別種とされ、多くの種が記載された。近年は相互の比較が可能となり類似の種を1つにまとめる傾向が見られる。何を持って1つの種とするかは、人により立場によって考えが変わるので、種に対する絶対的な定義はない。種内変異が大きく、類似の種が広範囲に分布するものは、どこまでを1つの種とするかが大変難しい。より合理的な系統分類に向けて今後も工夫が重ねられていくことでしょう。

              未完

<<アジサイ分類の新しい試み>>遺伝子DNAの解析

<<種間雑種作成の取り組み>>新たな園芸植物への挑戦 

       

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