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2.メスの発情メカニズム

● 発情のサイクル

● 人間の月経との違い


●ミスメイト(不慮の交配)を防ぎましょう

●発情中の注意

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発情のサイクル

メスは、生後6ヶ月を過ぎて体の成長が一段落して性成熟を迎えると、最初の発情を迎えます。
メスの発情サイクルは性ホルモンの分泌によって支配され、個体差はありますが、通常は年2〜3回、4〜8ヶ月のサイクルで繰り返されます。






このグラフの下の目盛りは、発情が始まってからの日数を表しています。
メスの発情には 『エストロジェン』 と 『黄体(おうたい)ホルモン』 という2つの性ホルモンが深く関わり、発情中は順を追ってこの2つの性ホルモンの分泌が続きます。








性周期は段階によって 「発情前期」「発情期」「発情後期」「非発情期(発情休止期)」の、4つのステージに分けられます。
このサイクルは、一般的に大型犬よりも小型犬の方がサイクルも短く、老齢犬よりも若犬の方がサイクルが短い傾向にあります。

▽発情前期▽
陰部からの出血が始まった日から、約10日間ほど続きます。
体の中では、性ホルモンの一つである卵胞(らんほう)刺激ホルモンが分泌され、その刺激で卵巣内の卵胞が発育し、排卵に備えます。
発育を始めた卵胞からは 「エストロジェン」 という発情ホルモンが分泌され、その影響で外陰部が膨らみ、発情出血が始まります。
発情出血の量は日を追うごとに増えて行き、頻繁に尿をするマーキングをするようになります。
この尿に含まれるフェロモンによってオス犬が引き寄せられ集まってきますが、メスはまだオスを受け入れることはありません。
しかし、徐々に興奮しやすくなり、言う事を聞かなくなったり、逃走しようとすることもあるので、注意が必要です。
初回の発情よりも2度目、3度目と発情を繰り返すことによって、このような行動が出てくることもあります。


▽発情期▽
排卵準備が完了すると、一週間〜10日ほど続く発情期に入り、メスはオスを許容するようになります。
体内では十分に発育した卵胞が卵巣から卵管内に排出される 「排卵(はいらん)」 が起こり、卵細胞は卵管内で受精を待ちます。
交尾がスムーズに出来るよう、陰部は十分に膨らみ柔らかさを増します。
この時期のメスは、『尾の旗振り』 あるいは 『フラッキング』 と呼ばれる行動をするようになります。
オスが陰部のニオイをかいだり尻尾の付け根を軽く叩いたり、時にはオスが近づいただけで尻尾を横に倒し、四肢を踏ん張るように立ち、同時に腰をそらせて陰部を上げるような仕草がそれで、この行動をするようになったら本格的な発情に入り、妊娠の準備が整ったというポイントになります。
野生の状態では、メスが集まってきたオスの中から好みのオスを選びますが、もしオスとメスが一頭ずつしかいない場合には、それがたとえ親子、あるいは姉弟・兄妹のきょうだい同士であっても、交尾を行います。
近親交配には通常の交配よりも、「遺伝的な弱点や遺伝疾患が出やすい」「お互いに共通する困った癖や行動が強化されやすい」 などの危険が多く伴いますので、一般家庭では絶対に避けなくてはいけません。
近親でオス・メスの組み合わせでの多頭飼育をしている場合には、発情に入ったメスを完全に隔離するか、去勢・不妊手術をするなどして万全を期すようにしましょう。
排卵の準備が整い本格的な発情期に入ると、発情出血の量は徐々に少なくなります。
色も鮮血色から粘液が混ざることによって色が薄くなり時にはまったく出血が無くなる事もあります。
卵巣の細胞の一部が変化して 『黄体(おうたい)』 が形成され、「妊娠ホルモン」 とも呼ばれる 『黄体ホルモン』 の分泌が始まり、このホルモンの作用によって子宮内膜が増殖し、受精卵が子宮に着床しやすい(つまり妊娠できる) 体内環境が整えられます。
個体差はありますが、発情期に入って大体2〜3日目 (出血が始まってから12〜13日目) に排卵が起こり、この排卵日を挟んで前2日後3日の5日間(出血が始まってから10〜15日目)が、受精(妊娠)可能期間となります。
この時期に交尾をすると受精が起こり、黄体ホルモンによって増殖し柔らかくなった子宮内膜に受精卵が着床し、妊娠が始まります。
出血が少なくなったり止まったりすると 「発情が終わった」 と勘違いされている人が多いのですが、不慮の妊娠を避けるために最も気をつけなくてはいけないのは、出血がピークを越えたこの時期ですので、妊娠を望まない場合には不用意にオスと接触しないよう、十分に注意してください。

▽発情後期▽ 排卵された卵子の受精能力が無くなると発情期は終わり、発情後期に入ります。
この時期になるとメスはオスを許容したがらなくなり、性ホルモンの分泌も徐々に収まり、身体も正常時の状態に戻っていきます。
発情後期は平均で60日前後、時には100日以上にも及ぶことがありますが、これは排卵直前から始まる黄体ホルモンの分泌の継続と、卵巣に形成された黄体の機能がどのくらい残存するかによって、期間の長短が異なります。
通常、哺乳類は妊娠しなかった場合には、黄体機能は早期に低下し始め、黄体ホルモンの分泌も止まるのですが、犬の黄体は妊娠しなかった場合でも長期間に渡って機能を維持するのが特徴で、そのため発情後期が長くなり、偽妊娠が起こりやすくなります。(偽妊娠については、こちら

▽非発情期(発情休止期)▽
卵巣内の黄体が完全に消滅し、黄体ホルモンの分泌が停止してから、次の発情出血が始まるまでの期間で、3〜6ヶ月程続き、肉体的にも精神的にも、最も落ち着いた時期です。
体内では、卵巣内で小さな卵胞が次々と作られていて、その中のいくつかが徐々に発達して、次回の発情に備えています。

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人間の月経との違い

発情に伴って出血することもあって、犬の発情を 「生理」 と言う人がいます。
確かに人間の月経も犬の発情も、その基本の仕組みや 「卵の成熟→子宮内膜の充血→排卵」 という流れ、そして性ホルモンである 『卵胞ホルモン』 と 『黄体ホルモン』 が深く関係している点では同じですが、その内容やメカニズムは大きく異なります。

まず、性周期が人間は約1ヶ月と、犬に比べてかなり短いサイクルになっています。
また、人間の月経血が排卵後、妊娠の可能性が無くなったために剥がれ落ちて排出された子宮内膜であるのに対し、犬の発情出血は、排卵にそなえて充血した子宮内膜からの出血です。
つまり、人間の月経血が妊娠しなかったために起こる出血であるのに対して、犬の発情出血は妊娠の準備のための出血であるという、丸っきり反対の意味を持っていますので、混同しないように注意してください。

人間の月経と犬の発情の相違
人間の月経 メス犬の発情
性周期 約1ヶ月 約4〜6ヶ月
出血の内容 妊娠の可能性が無くなって、はがれた子宮内膜 妊娠に備えて子宮内膜が充血し、溢れ出た出血
排卵期 月経と月経の間に排卵 子宮内膜が十分に充血し、発情出血がピークを終えた後
排卵される卵の数 通常1個 通常複数(時に10個以上)
卵の受精可能期間 排卵後、約24時間 排卵後、約4日間

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ミスメイト(不慮の交配)を防ぎましょう

不妊処置を何もしていないメスの場合、望まない妊娠を防ぐためには、飼い主が排卵が起こった時期を把握し、妊娠する確率が高い期間に交尾をさせないよう、十分に注意する必要があります。
そのためには、発情の始まった日 (出血開始日) を確実に知らなくてはなりません。
ですが、初日の出血は色も薄く量も少なく、犬自身が舐め取ってしまうことが多いので、見極めるのが難しいのが実情です。
特に長毛犬の場合、陰部が毛に隠れてしまって、なかなかパッと見ただけではわかりにくいでしょう。
その場合には、出血量や色、陰部の状態などをよく観察し、発情の経緯を確認・把握するようにしてください。
特に、お尻や陰部に触れたら尻尾を横によける 『フラッキング』 をするようになったら、出会い頭に交尾をしてしまうこともあるので、十分な注意が必要です。

もしも飼い主の希望で相手のオスを選んで交配させた場合にも、その後で他のオス犬と交尾してしまわないよう、十分に注意する必要があります。
犬の卵は受精可能期間が長く複数の卵が排卵されるため、複数のオスと交尾すると、異なるオス犬の仔を同時に妊娠することがあります。
※これは 『同時期複妊娠』 と呼ばれ、生まれた仔犬の血統登録はできません。

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発情中の注意

犬の発情は病気ではありませんので、通常どおりの生活をさせて大丈夫です。
ただし、特に屋外飼育の場合には、庭にオス犬が侵入することがありますので、十分に注意が必要です。(犬舎のフェンス越しに交尾してしまったケースもあります)
発情出血による汚れなどについては、大抵は犬自身が舐め取ってしまいますが(特に2回目以降の慣れた犬)、出血量が多い傾向にある大型犬や、家具や室内が汚れることが気になるようでしたら、犬用の生理パンツも市販されていますので、利用すると良いでしょう。
散歩や運動も控える必要はありませんが、発情期にはメスも興奮しやすく、はずみで脱走してしまうこともあるので、家を出る前にしっかりとリードをつけ、散歩中も絶対に離さないよう、注意が必要です。
特に玄関を出る時、車に乗せる時と降りる時に脱走が起こりやすいので、注意してください。
また、いつもの散歩コースであっても、多くの飼い主と犬が散歩のために集まる公園などへ連れて行くのは、控えるのがマナーです。
普段は仲の良いオス同士でも、そこに発情中のメスがいれば、メスを取り合ってのいがみ合いやケンカが起こることもあります。
また、いつも仲良く遊んでいるオス・メス同士は、お互いに気心が知れているためか、飼い主さんがちょっと目を離したすきに交尾してしまうこともあります。
ドッグランなども、発情中のメスは入場させないのがルールです。
お互いのために、犬の集まる場所に発情中のメスを連れて行くのはやめましょう。

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