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4.偽妊娠 (擬似妊娠)

● 偽妊娠の症状

● 偽妊娠のメカニズム


●人間の 『想像妊娠』 との違い

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偽妊娠の症状

妊娠していないのに、まるで妊娠したかのような状態になることを、『偽妊娠(ぎにんしん)』 あるいは『擬似妊娠(ぎじにんしん)』と言い、犬ではよく見られます。
この偽妊娠は、交尾はしたけれども妊娠しなかった場合の他、交尾をしなかった場合にも起こり、一度も交尾を経験したことのないメスにも起こります。
症状としては実際の妊娠犬と同じように、発情が終わった後の一時的な食欲減退やつわり、乳房や腹部が膨らむなどがあり、中には出産間近の母犬がするような巣作り行動や陣痛のようないきみとその後の母乳の分泌、オモチャやぬいぐるみ相手の子育て行動まで見られることもあります。
症状の推移は実際の犬の妊娠・出産とほぼ同じプロセスを同じ日数でたどりますので、長い場合には、発情後2ヶ月近く偽妊娠の状態が続きます。(母乳の分泌が見られる場合は、さらに2週間ほど続きます)

どの段階で偽妊娠が終わるかは個々の犬によって違いますが、食欲減退やつわりのような吐き気の症状のみで収まってしまう場合には、飼い主さんが偽妊娠に思い当たらずに、病気ではないかと心配することがあります。
実際に妊娠した場合、つわりの症状が出るのは排卵後20日頃になりますので、もしこの時期(発情の始まった日から数えて約1ヶ月ほど)に急に食欲が落ちたり、吐き気がある場合には、偽妊娠を疑った方が良いかもしれません。
この場合、つわり症状は一週間ほどで治まります。
発情のたびに偽妊娠を繰り返す場合、子宮内膜が長期間にわたって充血するため、子宮蓄膿症のようなメス特有の病気を発症する確率が高いと言われています。

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偽妊娠のメカニズム

発情して排卵が起こる頃になると 『黄体ホルモン』 の分泌が始まることは、「2−1:発情サイクル」 の中で書きましたが、犬の偽妊娠はこの 『黄体ホルモン』 が、長期に渡って分泌されることに原因があります。
『黄体ホルモン』 の役割は、子宮内膜を充血させて受精卵が着床しやすくし、受精卵が着床した後はその発育を促して妊娠状態を維持することですから、受精が起こらずに妊娠が成り立たなければ、その役割はなくなり、分泌は止まるはずです。
実際、人間の場合は受精・妊娠が成り立たなければ、黄体はすぐに機能を停止して退行を始め、黄体ホルモンの分泌も止まります。(その結果として月経が起こります)
ですが犬の場合、受精・妊娠が成り立たない場合でも、黄体はすぐに機能を停止することなく、しばらくの間(約40〜60日)存在し、黄体ホルモンの分泌も続きます。
もちろん実際に妊娠した場合よりも分泌量は少ないのですが、黄体ホルモンの分泌が続く間は、体は妊娠を維持しようとしますので、まるで妊娠したかのような症状が出るわけです。
偽妊娠になるかならないか、偽妊娠になった場合の期間や症状については、個々の犬の体質、どのくらいで黄体が機能を停止するかによって違います。
黄体機能の停止が早い時期に起こる場合や、たとえ黄体機能が残っていても黄体ホルモンの分泌が非常に少ない場合には、偽妊娠の期間も短いか偽妊娠を起こさないこともあり、長期に渡って黄体機能が残存し、黄体ホルモンの分泌も多い場合には、偽妊娠の期間も長期に渡ります。

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人間の 『想像妊娠』 との違い

人間の 『想像妊娠』 と犬の 『偽妊娠』 は混同されることが多いのですが、この2つは発症の仕組みが完全に異なります。
人間の想像妊娠は、妊娠を強く望む場合、あるいは妊娠を強く恐れる場合に起こります。
望むか恐れるか、いずれにしても 『妊娠』 に対して強い意識を持つことがストレスとなり、月経が遅れたりつわりが起こったり、腹部が膨らむなど、妊娠したような徴候が見られます。
ですが、妊娠ホルモンが分泌されるわけではないので、市販の妊娠検査薬などに反応が出ることはなく、通常「妊娠ではない」と気付けば、症状はすぐに消えます。

これに対し、犬の偽妊娠はあくまでも黄体機能が長期間継続するための、ホルモン・バランスによるものです。
人間のように妊娠を望むあまり偽妊娠するわけではありませんし、尿検査で妊娠反応が出ることもあります。
また、たとえ検査で妊娠していない事がわかっても、すぐに症状が消えるわけでもなく、黄体機能が自然に停止するまでは、偽妊娠の症状が続きます。

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