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4.目

●目のつくり
  −暗闇で犬の目が光るワケ−


● 犬は色がわからない

● すぐ目の前にあるのに
  −犬は近視−


● 近視なのに、迷わずボールを追いかけるワケ

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目のつくり −暗闇で犬の目が光るワケ−

左の図は、簡略化した犬の目の解剖図です。

基本的には人間の目の構造と同じで、『水晶体(すいしょうたい)』 が凸レンズの役目をして網膜に像を結び、視神経が網膜に映った像を電気信号に変換して、脳に伝えています。

『水晶体』 を保護するために 『角膜(かくまく)』 があり、まぶたがありますが、角膜とまぶたの間に 『瞬膜(しゅんまく)』 という薄い半透明の膜があるのが、人間とは違います。
瞬膜は普段はまぶたとほとんど一体化して動くために気付きませんが、強い光を受けた時や、病気の時などには、眼球を保護するために角膜の表面を覆うのが見られることがあります。
また、水晶体の厚さは約8mmで、人間の水晶体 (約4mm) と比べると厚く、犬が近視である理由と考えられています。


その他の人間の目との大きな違いは、網膜下に 『タペタム(あるいは『輝膜(こうまく)』)』 と呼ばれる反射層があることです。
(猫にもあります)

このタペタムが光を反射させるため、犬は暗闇でも行動することができます。
(懐中電灯は、小さな豆電球の光を鏡に反射させることによって弱い光を増幅して周囲を明るく照らしだしますよね? あれと同じ原理です)

また、タペタムが反射した光のために、暗闇の中では犬の目は光って見えます。

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犬は色がわからない

犬の目は色に対する反応が非常に鈍く、灰色や緑色がわかるくらいで、ほとんど色盲だと言われています。

これは眼球の構造から見ても明かです。
画像を感知する網膜(もうまく)の中には視神経につながっている神経細胞がありますが、犬の目には桿状体(かんじょうたい)という光 (明暗) を感知する細胞は多くあるのに対し、錐状体(すいじょうたい)という色を感知する細胞は非常に少なく、そのために犬は色を感知できないとされています。
ですが、桿状体は人間よりも多く持っていて、光には敏感に反応します。
そのため、朝方や夕暮れ時などの薄暗い状態では、人間よりもはっきりと物を見分けることができます。

これはイヌがもともと夜行性で、夕方から明け方にかけて狩りをしていたためです。
夜の暗がりの中では色は重要な意味を持つものではなく、物の形さえ感知することができれば良かったため、色を感じる機能が発達しなかったのではないかと言われています。

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すぐ目の前にあるのに −犬は近視−

例えば食餌の時にフードがこぼれてしまった時など、すぐ目の前に落ちているのに、犬が気付かずに一生懸命匂いをかぎながら探す姿に気が付いたことはありませんか?

『犬の目のつくり』 でも書きましたが、犬は非常な近視です。

特に顔の正面、目の前20〜30cm は死角になっていて、ほとんど見えません。
これは、広い視野を得るために、犬の目が顔のななめ横を向いてついているためです。

人間に飼い馴らされる前のイヌにとっては 『生きる=狩りを成功させる』 ということで、狩りに適した体を持つことが、生き残るための絶対条件でした。
自然界で狩りをする時に、イヌの目と鼻の先で、ボーっと待っていてくれる動物はいませんから、自分の鼻先は別に見えなくても良いというわけです。

見通しの良い広い平原で狩りをするために改良された 『サイト・ハウンド』 の犬達は、他の犬よりも優れた視力を持っています。
(アフガン・ハウンドやボルゾイ、サルーキなど)

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近視なのに、迷わずボールを追いかけるワケ

犬は目の前に落ちている食べ物もなかなか探せないほど近視なのに、遠くに投げたボールは、迷うことなく一直線に追いかけて生きます。

また、散歩をしている時など、道の先に猫が座っていたとします。
すぐそこに猫が座っているのに、犬はまったく気付く様子もなく、平気で歩いています。
それなのに近づく犬を警戒した猫がサッと動くと、あわてて追いかけようと飛び出してしまいます。

どうしてこんなことが起こるんでしょう?

それは、イヌの行っていた狩りの歴史に関係があります。
イヌの狩りのスタイルは、嗅覚に頼る部分が多いものでした。
地面に鼻をこすりつけるようにしてニオイを嗅いでいれば、目に見えるのは地面だけです。

そのため、イヌにとって 「よく見える」 ということは、それほど重要なことではなくなりました。
それどころか、森林やブッシュの中では、「見える」 ということは弱点になってしまいます。

森や山に行ったことがある人はわかるでしょうが、他の人が 「あそこにリスがいる」 と教えてくれたとしても、なかなか見つからないことがあります。
それは、たくさんの木々や草などが 「はっきりと見えすぎる」 ために、小さなリスなどの姿が風景にまぎれてしまうからです。

ましてや、獲物の残したニオイに集中しなくてはならない犬にとって、いろいろなものが見えれば、気が散ってニオイを見失ってしまう可能性が高く、ますます視覚の必要性は失われていきました。
犬にとって必要な視覚とは、「自分が追いつける範囲にいる動物を確認すること」 に限定されたわけです。

そのため、犬の目は動くものに対して非常に敏感になり、じっと座っていた猫には気付かないのに、猫が逃げようと動いたとたんに追いかけ始めるという、人間にとってはこっけいに見えるような行動をするようになりました。

ですが、動くものに敏感になったとは言え、あくまでも 「自分が追いつける範囲」 に限られていますので、1km近く離れているところでどれだけ猫が走り回っていようと、ほとんど反応することはありません。
(犬種による個体差がありますが、犬が確認できる距離は約800mほどだと言われています)

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