ハーイ、私の名はミント。カリフォルニアのリトルナースよ!!

今日は深夜明けでとっても眠いんだけど、寮へ帰ったら幼虫ちゃんの世話しなくちゃいけないからオチオチ寝てられないのよ。最近は温室まで買っちゃって冬でも大忙し。これじゃいつまでたっても彼氏ができないわ〜
ところで私は職業柄、病気のムシにはとっても親切アンドフレンドリーなの。人間の病気だけで手一杯なのに、こういう子たちを見るとほっとけないのよね。
でもね、一生懸命看病するんだけど大抵の場合は死んでしまうの。私もあんまり頭よくないから難しいことよくわからないし・・・だからみんなと一緒に考えたいと思って、いままでいろんなところで見聞きしたことをまとめてみようと思ったのよ。

もちろんとても人様にご教示できるほどの内容じゃないし、症例もとっても少ないんだけど、みなさんのお役に立てればミントはしあわせ・・・
じゃ、難しいお話はとりあえず真ン中のお兄ちゃんにお願いするわね。私ったら話すのあんまし上手くないから・・・
うん、そうなの!! 私が得意なのは患者さんたちのお世話よ。つらい時はボタンを押してね。
私の名はミント。カリフォルニアのリトルナースよ!!

ヤイヤイ、こんにちは!! またお会いしましたね(^^)
ちなみにヤイヤイというのは気持ちの動揺をあらわす感嘆語ですよ。すぐ驚くO型の私はよく使いますね〜
で、なんでヤイヤイなのかとゆーと、このコンテンツ、全く自信がないからなんです。自分では何の研究もしたことがない一介のサラリーマンですから(;´Д`)

自分の飼育環境下でこんなのに初めて出くわした時は誰でも驚くもんで、事実俺も驚いたっす。でもそのときはたまたま知識があったから「あぁあれか」ってのがあって、その時フト思ったのは「話には聞いてても画像は見たことなかったなぁ」ってことなんだよね。
だから症例としては少ないし、たくさん飼ってる人にとっては毎年見るような画像でワリーんだけど、まぁちょっとアプロしとけば誰かの役に立つかなと・・・
つーことで画像だけちょっと押さえていただいて、書いてあることのほうは「こんなこと言ってらぁ」なんてことで見ていただければ良いです。ちゃんと研究している方にはとっても感謝していますよ。

さて、昆虫も我々と同様、病気になります。
昆虫病には病原微生物による「伝染性」のものと,物理的障害,中毒,腫瘍のように「非伝染性」のものがあるということなんだけど、研究は伝染性のほうが進んでいるようです。
研究結果は、主に有用昆虫の場合はその保護策として、害虫の場合は防除策として生かされているわけですね。あ、この微生物による病気ってのは、ほとんどが致死性ということらしいです。合掌。

それでは早速、我が家で発生した症例をご紹介したいと思います。


◆ 個人所有の画像についてはご本人に使用の許可をいただき、所有者のお名前を記載いたしました。
◆ 公的機関所有の画像に付いては、その出典を記載いたしました。
◆ 引用に付いては括弧書きでその出典を記載いたしました。


 我が家での症例について


■ 黒化症(黒点病) ■
全体画像はオオクワのもの、拡大画像はスジブトヒラタのものです。
原因については、当初は完全に外傷性のものだと思っていました。
中程度のキズを負った幼虫の傷口が黒くなっているのを見たことがあったし、ネットでもコメツキ幼虫に噛み付かれて黒化している幼虫の画像を見たことがあったからです。
我が家の場合、一箇所が黒い固体はちょくちょく見たことがありましたが、問題なく羽化しました。しかし友人宅のオオクワ幼虫で発生した症例の際は、羽化までこぎつけたものの、体が固まった頃に蛹室で★になったそうです。もちろんこの場合、他の要因で死んだ可能性もあります。
また、ヒラタなどで南方系のクワガタの場合、低温状態に長期間さらしておくと体の方々に黒点を生じて死んでしまうとの報文に接したことがあります。

黒化した部分を触ってみると、周囲の柔らかい皮膚とは違って若干厚みが増しているような印象です。押してみるとカサブタのように均一して硬化しているのがわかりました。
拡大写真をよく見てみると、左下の壊死部分からグラデーションを生じて壊死が進む一方、若干離れたところにも新たな黒点が生じているのが観察できます。

何が原因になっているかは正直言ってわかりませんが、皮膚の「壊死」ということであればこれは結果に過ぎませんから、原因としては「凍傷」や「外傷」などが妥当な線かと思っています。
ちなみにこれらの幼虫は、かなりひどい状況であったにもかかわらず、運動能力は普通にありました。


■ ブヨブヨ病 ■
最近よく聞くけど、まさか流行ってるって訳じゃないよね。
我が家では3令幼虫と前蛹で発生しました。写真は幼虫のほうしか撮ってありません。
消化管の中には普通黒っぽいオガコが見えるものなんだけど、写真の個体は全くと言って良いほど見えません。しかし痩せきっているかというとそうでもなくて、脂肪組織はそこそこ残っていますし、消化管がしぼんだところは透明な体液で満たされています。つまりシルエットは健康な幼虫と変わらない。
しかし「ブヨブヨ」の名のとおり、触ってみると全く力が感じられないです。
以前酸欠状態で瀕死のカブト幼虫を掴んだことがありますが、ちょうど似た感じでした。例えて言えば「空気の抜けた水風船」といったところでしょうか。体の真中をつまむと、自重で頭と尻尾がダラリと垂れ下がってしまうほど。
前蛹の場合はもっとひどく、形を保っていられないくらいで、人工蛹室へ移してから観察していてもなんだか「平ら」な感じでした。

原因は全く見当がつきません。
結果として拒食が生じているのは確かであるということ
脂肪組織が若干少ないような感じがすること
由来不明な「透明な体液」が相当量観察できること
幼虫に「筋肉組織」と言えるものがあるのかどうか分からないが、筋力がほとんど欠如していること
以外は全く不明です。

幼虫は3日後に、前蛹は翌日に死亡いたしました。
■ 白きょう病 ■
ラディウスさんご提供(画像をクリックすると拡大【重いです】) ホーデンヒメカブトハナムグリに発生したもの
これは有名な病気のようです。
カチカチに固まることから「硬化症」とも言われるようで、ボーベリア菌による感染症とのことです。
この菌を利用した農薬もあるらしく、主にカミキリムシに対策として効果を発揮しているとのことですから、感染したクワガタや使用マットはすぐに廃棄したほうが良いのかも知れません。
左の写真はコクワガタ槽での集団発生の状況です。

我が家では越冬中のオオクワのメスが罹患しました。春になってケースを開けてみると、虫全体がワラワラッとした白いスチールたわしのようなもので覆われていました。
ちょうどウルトラセブンに出てきた「ワイアール星人」のような感じでした。

ものの資料によると、黒きょう病、緑きょう病というものもあるらしい。



■ オオヒラタケ ■
よく「菌糸に巻かれて死ぬ」と言います。
こういった場合、既に死んでしまった幼虫が結果的に菌糸に食われている場合も多かろうと思っているのですが、これは生きたまま食べられているというか「感染している」ような感じです。
幼虫の表面をウッスラと菌糸がまいているのが見えるでしょうか。
別に黒くなってしまうこともないことから生理的には生きていると思われるのですが、もう2ヶ月以上この状態を保っており全く動きません。
引き続き観察を続けたいと思っています。
■オオヒラタケその後■
2年後の画像です。(2003年3月現在)
まったく動きませんが、まだ生きています。

皮膚はみずみずしさを失い脂肪層も減ってしまったようですが、頭部だけは元気な幼虫と変わらないツヤを保っています。
体の周りをよく見ると、相変わらずうっすらと菌糸が巻いているのが観察できます。
その一方で、ビンの中のオガコは、単なる茶色い発酵マットのようになってしまいました。
2年前はビン全体に菌糸がはびこっていたのですが・・・

特に温室に入れるということもなく、寝室の棚の上でずっとこのままでした。
時間が止まってしまったようです。


 
■ ダニ ■
ハナムグリの幼虫(ゴライアスコルベイ)についたダニです。右の画像は洗浄後の様子。
ダニってのは詳しくないんですが、よくマット表面をジィィィって感じで歩いてたり、クワ成虫の口のあたりにピッチリ付いてたりしますね。なぜかオスについてる場合が多いんですが・・・
で、こういったダニは「あんまり気にしなくて良い」ってことになってます。
それは必ずしも吸血しているのわけではなく、「食客」(ゼリーなど餌のおこぼれに与っている)している場合が多いからだそうな。

でもこいつは違うようです。
頭と足、気門のあたりに、本来の地肌が確認できないほどびっしりと張り付いており、気門内部(気管)にまで入り込んでいるように見えます。
ボディについているダニがほとんどいないのは、餌となる体液との間に、厚い脂肪層があるなどの不都合があるからでしょう。
幼虫の地肌は、健康体のものに比べ明らかにカサついた状態になっていました。


■ 腫 瘍 ■
オオクワの3令幼虫に発生したものです。幼虫は比較的元気でした。
いわゆる「癌」というものなのかどうかはよくわかりませんが、硬い点、不定形である点などから、ひょっとしたらそうなのかもしれません。
腫瘍本体はもちろん、基部についても著しい変色が確認されます。
また、右の写真を見てみると、腫瘍からはなれた場所にも黄ばみが発生しています。



 ネットで見聞きした症例について

 

■ 乳化病 ■
乳化病に感染したセマダラコガネ幼虫
左:健全幼虫 右:感染幼虫

千葉の農林業のホームページから引用
以前行き付けの掲示板で「カブト幼虫と蛹が全滅し、体の中がカマンベールチーズの様になっていた」との報告に接したことがありました。
そのころはまだこの病気のことを知らなかったのですが、今回色々と調べていたらマメコガネ幼虫の防除剤として販売されている「milky spore」という商品があることがわかりました。
これは害虫であるマメコガネの幼虫に対して乳化病菌を感染させるもののようで、菌に冒された幼虫は摂食障害と栄養飢餓により死亡するものだそうです。
そして外見的な特徴としては「幼虫の体が乳白色を呈する」ことだそうで、これは「体液中に充満した胞子のうの色」ということでした。

千葉県の農業試験場では、このマメコガネではなく「セマダラコガネ幼虫」から新株を分離することに成功し、ドウガネブイブイやマメコガネ幼虫に経口処理した結果、4週間目までにすべて死亡したとのことです。
先に提示したカブト幼虫の事例がこの病気によるものかどうか分かりませんが、新株が発見されると言うことはコガネに近いカブトに感染する株があってもおかしくないと思いました。
またクワガタについても、昨今は飼育個体数が増えているので、見つかる可能性もあるのでは・・・と思い、参考までに掲載しておきます。



■ 冬虫夏草 ■
OBCむげんさんご提供
冬虫夏草って良く聞きますよね。
でも冬虫夏草の菌類としての分類は、「だれもが認める分類体系の設立までには至っていない」(元日本菌類学会会長・椿啓介氏)という事らしいです。
一般的には我々が想像するように、虫の体から主に棒状のものがニュッと出ており、その先端部分に結実部があるものを指しているみたいっす。
よく漢方薬の原料として使われているのは、数ある(約350種)冬虫夏草の中でも、コウモリガの幼虫に生える一種だそうです。

さて、この画像はエラフスから生えている「どう見ても冬虫夏草じゃん?」ってキノコの画像です。
子供の頃「クワガタタケ」というものを図鑑で見たような覚えがあった私は、「あぁこれが実物なのか」とマジマジと見入った記憶があります。
しかし今回いろいろと調べた中で、ちょっと気になる記載がありましたので、ご紹介させていただきます。
冬虫夏草研究の第一人者清水大典氏は、まだ未記録の寄主例として「カブトムシ、クワガタ、カミキリムシそれぞれの成虫」などをあげ、それらの虫から不完全型ではない、子嚢果を生じた冬虫夏草が見つかれば間違いなく新種としていらっしゃるようです。
うーむ、するとこれは何?

カブトと言いクワガタと言い、我々は毎日この馴染み深い虫たちを観察しています。個体密度から言えば自然環境下をはるかに上回るでしょう。
新種記載もありえそうな気がするのですが・・・




ハーイ、どうだった?
お兄ちゃんも私に似てあんまり頭良くないから、イマイチわかんなかったでしょ?
可哀想だから何かあったら教えてあげてね。
でも議論吹っかけたりしてもきっと何もわかんないからムダだと思うわ。昔からコーフンしやすいタチだしね〜(((^▽^)ケラケラ!!

んーんと、こういう病気画像って「悪趣味」だって思う人もいたかしら・・・
でもね、ミントは熱帯魚飼ってるんだけど、ああいうポピュラーな世界だともうこんなの当たり前のことなの。もちろん治療法もちゃんとあるし、血統も品種改良もバッチリ研究されてるわ! 
そういうのを見てると「クワガタの世界ってホントまだまだ」って思っちゃう。

ところで、ミントは最近産地別の飼育に疑問をもつようになっちゃったのよ。だってわたしコレクターじゃないし・・・
だから自分がいったい何をしたいか、そろそろ本気で考えようと思うのよ。あ、ガラにもなく難しいこと言っちゃったわね〜ゴメン!!
じゃあ、今日はこの辺で・・・
またお会いできるのを楽しみにしてるわね (*?_?*)/

追伸
赤いオオクワってステキじゃないこと?