のらねこ学入門


★のら猫通信バックナンバー(241〜260 )


のら猫通信(241) 横断

    

2丁目の捕獲現場で捕まった猫は、4丁目で9ヶ月前に手術後リリースされた猫だった。
途中にかなり交通量のある幹線道路がある。いったいどのようにして渡っていったのだろうか。

昼間渋滞している自動車の間をぬって、横断する猫を見たことがある。
横断に失敗してはねられた猫の死体も見たことがある。

猫のテリトリーは道路や川や鉄道などで分断されている、と人は考えるが、どうもそうではない猫もいるようだ。深夜から早朝にかけては交通量がほとんどなくなるから、猫は楽に横断できるのだろう。
猫のコロニーに新顔を見つけると、どこからやってきたのか、と考えてしまう場所もある。
捨て猫なのか、さすらい猫なのか。猫には人が思いもつかない猫の道があるようだ。

のら猫通信(242) 補助金制度

東京港区で飼い主のいない猫への不妊手術の補助金が行われた。千代田区に次ぐものだ。

大都会の野良猫事情は少し特殊だ。
両区とも公官庁や大使館、公園、大企業の本社などが集中していて住宅は少ない。昼間は他の地域から通勤で多くの人が流れ込み、夜間は人口が少なくなる。住人が少ないので、飼い猫よりも野良猫の方が当然目につく。エサやりさんの中にも、通勤してくる人が結構いる。

野良猫への苦情は、個人より企業からのものが多いのだろうか。区の財政は企業からの税収が大きいので、その要望に答えるのは自然なことだ。

飼い猫よりも、野良猫に直接補助金を出す方が、はるかに効率が良いことは確かだ。
まず区の職員が野良猫の状況を調査する。調査といってもエサの時間以外は猫は姿を見せないからたいへんだろう。そして捕獲と手術をボランティアしてくれる人を募集する。今まで個人の持ち出しでやっていた猫ボランティアを、行政が強力に支持してくれればありがたい。
数年で「野良猫問題の激減」という成果があがれば、他の地区も見習って始めるのではないだろうか。

追:文京区では年2回ホームレス猫を現定数無料で不妊手術している。(H15年度)

のら猫通信(243) 判官ひいき

             

今年は阪神タイガースが強い。
世の中には強い者を応援する人と、弱い方に味方する人がいる。
野良猫を助ける人は、判官(ほうがん)贔屓と言える。判官とは九郎判官源義経のことで、天下を取った源頼朝よりも、負けた源義経のほうが好きだということだ。権力や成金主義には一応逆らうのだ。これを反骨精神とも言う。
ゼネコンや銀行を助けるよりも、町工場や個人商店を助けるべきだ、と思う人はいる。
血統書付きのペットより、必死で生きる野良猫の方を応援してしまう人たちだ。まあ世の中にそういう人がいてもいいだろう。
勝ち組がいつまでも勝ち続けるとは限らない世の中だから。

のら猫通信(244) 年齢鑑定

年齢鑑定はいったいどうやっているのだろうか。

牙と牙の間に門歯という小さな歯が上に6本、下に6本ある。
これがすり減っているかどうかを観察する。
最初下の門歯の真ん中からすり減り、上の門歯もすり減るようになると、まあ5歳はいっているだろうか。歯石が付いて門歯が何本か抜け落ちていると、もう少し年をとっているかな。
と、かなり曖昧。

乳歯が永久歯に変わるのが5〜6ヶ月で、犬歯(牙)の先端が減り始めるのが1歳位からだから、若い頃の方が正確に鑑定できるようだ。
昔ある獣医さんに質問したことがある。すると、レントゲン写真か何かで、大腿骨の骨密度か成長線かを調べると、かなり正確に年齢がわかるそうだ。ほんとかな。

のら猫通信(245) おんがえし

     

いつも野良猫のお世話をしている皆さんへ。

猫の神様は、恩返しとして1匹100万円ずつ持たせて、届けさせることになりました。
もうお手元に届いていると思います。

なに、届かないぞって?

途中で猫ババした奴がいるんだな。

のら猫通信(246) ジェラシー

    

チビクロスケが来るまでは至福の時間が続いていた。
雨の中で、寒さと空腹に鳴いていた哀れな仔猫を、オネエさんは拾って帰った。

2年前のオイラの姿を思い出す。
猫の仲間が1匹増えたから、最初はうれしかった。

でもチビクロスケは、オネエさんの心をすっかり独占してしまった。
オイラと遊んでくれる時間はとても少なくなった。アアおもしろくない。

チビクロスケなんか放っておいて、オイラとだけ遊んでよ。
いつまでも、ずうっとなぜてもらって、喉をゴロゴロさせていたいんだ。

気がついてもらいたくて、オネエサンの枕にオシッコをした。
脱いだ服や靴の中にもオイラのニオイをつけてみた。

叱られた。
叱られただけだった。アアおもしろくない。
オネエサンはもうオイラを嫌いになったのだろうか。
ああオモシロクナイ。今夜家出をしようか。

のら猫通信(247) 家出

   

チビクロスケとプロレスごっこで遊んでいたら、本気で咬んできた。
甘ガミは許されるが、本ガミは反則だ。

猫パンチをビシバシ入れて、同じくらい痛く咬みかえしてやった。どうだわかったか、遊びのときは加減をしなければいけないのだ。これが猫のオキテだ。よく覚えておけよ。

ギャ! 

チビクロスケは大げさに悲鳴をあげた。
オネエサンが飛んできて、オイラをきつく叱りつけた。

アア、おもしろくない・・・・

その晩、オネエサンの衣類にタップリとオシッコをかけてから家を出た。
もう帰らないぞ。オイラの決心は石のように固い。

さらばオネエサン。
さらばチビクロスケ。

のら猫通信(248) 放浪

いつも見ていたから、ドアは簡単に開けることができた。
オネエサンはチビクロスケと一緒にぐっすりと眠っている。

決心はついたぞ。さあ行こう、夜の街へ。
男の本能が、なぜか冒険心をかきたてる。

ワクワクと胸躍らせて歩いて行くと、どこからともなくよい香りがしてくる。
脳味噌がとろけてしまうような素敵な香りだ。

鼻を頼りに、香りに向かって、しばらく走っていくと、
やはり同じ方向に向かって走っている奴がいる。

顔を見て ギョッとした。
オイラとそっくりの模様の猫じゃないか。
  
「誰なんだオマエは、さてはオレのマネ小僧だな。でも小さな耳と短い尻尾はすごくカッコ悪いぞ。」
と奴は言った。

のら猫通信(249) エサがこわい

  

口内炎はすごく痛い。猫は痛みに強い動物だけど、これには悲鳴をあげ飛び上がってしまう。

上顎と下顎の間の蝶番のところだと、アクビをしてもピピッと痛みが走る。
缶詰を開ける音に反応して、臭いにつられてやっては来るけど、食べられない。
空腹に負けてソロソロと食べ始め、エサが口内炎に触ると、突然激痛のパンチを食らう。
ギャッと悲鳴をあげて飛び上がる。たいてい痛みに食欲が負けて食べるのをやめてしまう。空腹に耐えられず、また食べ始めると、また痛みに襲われる。
おそらく、そうやって食べられず、痩せ細って死んでいく猫が多いのだろう。

薬で痛みが止まっても、「食べるとまた痛いのではないか」という恐怖感はなかなか消えない。
「エサがこわい」と心に強く焼き付けられると、すぐには食べ始めてくれない。

口内炎はのら猫にはとてもやっかいな病気だ。

のら猫通信(250) 論よりT.N.R.

    

現場で活動している人たちは、机上の理論と現実が違う事にやがて気がつく。

T.N.R.を続けているのに猫の数が減らないじゃないか。いったいどこから猫が湧いて出てくるのだ。
捨て猫やバキュームエフェクトの事を説明すると、じゃあいったいどこまで手を広げればいいのだ、ということになる。

絶対に捕まらない猫はどこにでもいるものだから、現実には100%の猫にT.N.R.をやることはかなり難しい。努力と運で100%できた場所でも、毎年新顔の猫は出現する。では,
やっても無駄かというと、やらなければもっと悲惨だ。やればしばらくの間の平和はある。みんながやればもっと長く平和が続く。

世の中にはT.N.R.に批判的な意見もある。野良猫が減ってしまうと、ネズミが増えてよくないのだと言う。または猫の生理に良くないのだとか、自然の摂理に反している、といった理論を展開する。

でも現実には野良猫が絶滅することはないし、手術をして長生きしている猫の方が多い。
自然の摂理とは大量に生まれて、大量に死んでいく仔猫のことだろうか。現場で悲惨に死んでいく姿を見ていれば、そんな声は出てこないだろう。

T.N.R.は野良猫を撲滅するのではなく、数をコントロールする手法である。野良猫絶滅を心配する声は、捨て猫と保健所処分の猫がいなくなってからでも間に合う。今は議論よりT.N.R.

のら猫通信(251) 知らぬは人間ばかりなり

   

のら猫を観察に行くと、知らないエサやりさんに出会うことがある。
少し大きい猫の群になると、複数のエサやりさんがいることはよくあるのだ。
話をしてみると、自分だけがエサやりをしていると思っている。

「来月からしばらく旅に出るのだけれど、その間に猫達が餓死したらどうしよう」
などと言う。他に何人もエサやりがいるのを知らないようだ。

エサやりさんの行動パターンは決まっていて、だいたい毎日同じ時間にやって来る。朝のエサやりさんと夜のエサやりさんは出会うチャンスは少ない。
猫達は時間を知っていて、エサの時間が近くなると集まってくる。猫は一日に何回食べたか黙っているから、満腹で食べたくないと、
「あれ? 今日は食欲ないね、具合悪いのかな?」となる。

不妊手術や治療のときは、エサやりさん同士が知らないでいると、困ることがある。
何度も薬を飲まされたり、何度も手術に連れて行かれたりするからだ。

おまえら知っているなら何とか言えよ。

のら猫通信(252) ペレットクラッシャーを作ろう

   

のら猫のエサやり現場で、エサに薬を混ぜたいことがある。
錠剤だとつぶして粉にするのがよいのだけれど、スプーンなどではなかなかうまくいかない。
専用のものも市販されているが、
身近なもので簡単に作る方法を考案した。

1.ペットボトルの口の部分をカッターナイフと調理ハサミで切り取る。
2.清潔にした10円玉を両面テープで口の部分に貼り付ける。
3.ここになるべく小さく割った錠剤をのせて、フタをしてグリグリつぶす。
4.フタの中に粉になった薬ができている。

フタの裏側の凸凹がなるべくない飲料メーカーのものを使うとうまくいく。


のら猫通信(253) ブックレットのらねこ学入門
          

姉妹サイトのかずみさんが編集していた小冊子が出来上がった。
タイトルは「のらねこ学入門」だけれど、内容はいろんなサイトのエエトコ取りになっている。パソコンの世界から一歩はみだして、より多くの人に野良猫問題を考えてもらいたいという試みだ。

アメリカでは10月16日は野良猫の日なのだそうだ。
日本でも動物愛護週間がもうすぐ始まるから、いいタイミングに出来上がったといえる。
各地でイベントが催されて、いろいろな動物愛護の啓蒙活動が予定されている。捨て猫や処分される猫がいなくなるために、この小冊子が少しでも役に立ってもらえたらうれしい。

冊子に協力いただいた方々に感謝いたします。

のら猫通信(254) 7種混合ワクチン

    

このHPを始めた頃は3種混合ワクチンと白血病ワクチンだけだったが、その後数が増えて、ついに7種混合ワクチンが出るらしい。(2003年9月)

その内訳は
ウイルス性鼻気管炎(ヘルペス)、カリシウイルス、汎白血球減少症(猫パルボ)、白血病、クラミジアの5種類だけど、
カリシウイルスの部分が3つのタイプに強化されて7種となった。つまりカリシウイルス3種にその他4種で計7種となっている。
どうやら、従来のカリシウイルスワクチンでは、対応しきれないタイプのウイルスが出てきているらしい。

初回接種から3〜4週間後にブースター接種を受けると、さらに強い防御体制ができる。追加接種の意味は防御力の低下を防ぐためのものである。

3種で充分か7種まで必要かは、その地域の感染事情で違ってくるのだろう。

現在日本にある猫ワクチン:3種混合、猫白血病、4種混合、5種混合、7種混合(発売順)
 
のら猫通信(255) ごもっとも

   

妊娠中は手術してはいけない。
ごもっとも。
発情中も手術してはいけない。
ごもっとも。
子育て中もダメだ。
ますますごもっとも。
小さい子もダメ。
ごもっとも。
ピアスも刺青もかわいそう。
ごもっとも。
子猫は全部保護して、里親を見つけろ。
ごもっとも。
すべての猫に最高の医療を。
ごもっとも。

これじゃ身動きが出来ない。動けなければ、何も変わらない。
机上で考えている人と、現場に出ている人の間には、かなり距離があるようだ。
自分のやれることから一歩ずつ。
ゴモットモはゴモットモとして、まあ聞いておこうか。

のら猫通信(256) エクセレントケイジ

  ブラックケイジS   エクセレントケイジS

野良猫ボランティア御用達の、エクセレントケイジのSサイズが買えなくなった。
東京ペット社は製造をやめたようだ。問い合わせると在庫もないという。
しかたがないので同社のブラックケイジSを買ってみた。
価格はかなり安いのだけれど、野良猫保護に使うのには注意が必要だ。
サイズはエクセレントケイジSよりも、縦の奥行きが3〜4センチ短い。大きな猫にはちと狭い。
天井部分に把手がないので、猫を入れて持ち運ぶ時は猫の攻撃に要注意。
底の受皿を引き出すとワイヤーの格子部分が大きく、猫の脱走にさらに注意が必要となる。
何か工夫を考えてみよう。

ら猫通信(257) ブラックケイジSの改良

前回の話の続きでブラックケイジSの改良をやってみた。

 

まずは受け皿を抜いた時の脱走経路の補強から。
大きな園芸用鉢底ネットを切って、7センチの結束バンドで留めていく。受け皿引き出し口の部分は補強が難しいので、今回は3辺だけとなった。
天井部分の把手は、、同じく園芸用鉢底ネットを留めて、中心に長い結束バンドを取り付けた。
これはツメによる攻撃防止も兼ねている。

 

ここまで使った材料は園芸用ネット15p×15p6枚入り、園芸用ネット20p×30p3枚入り、結束バンド7p160本入り、結束バンド7o×250o8本入り。すべて100円ショップでそろえたので400円で済んだ。
移しかえ用の仕切り板もエクセレントケイジSとサイズが違うので作り直した。
これで何とか野良猫にも対応できる。 

ら猫通信(258)お尻ペンペンマシーン

      

腰から尾の付け根あたりを撫でると、ビクビクッとする猫がいる。
怒る猫もいるが、軽くトントンと指で刺激すると、尻尾を挙げてヨダレを垂らす猫もいる。ゴロゴロと喉を鳴らして恍惚の表情になるのもいる。無意識に舌が出てしまうのもいる。

この現象は何か神経の働きと関係しているようだ。
ここには仙骨という骨があって、その中を脊髄が通っている。そのあたりから左右に枝分かれした神経が生殖器などに繋がるから、刺激されると感じやすいのかもしれない。
発育期に骨の病気をやった猫などは特に過敏なようなので、あまり刺激をしないほうがいいようだ。痙攣を起こして失禁するのがいる。
みんなの話を聞いていると、お尻ペンペンは癖になる猫が多いようだ。

のら猫通信(259)エサやり人間模様 筋金入り 

   

避妊手術?
やっているよ、ちゃんとね、捕まるやつは。
だって捕まらないのはショウガネーじゃないの。

ピアスを付けろって?
馬鹿野郎、そんなことしなくたって、俺には見分けはつくよ。
猫の顔は全部、頭の中にちゃんと入っているんだ。

アメリカ製の捕獲器だあ?
そんなもんで捕まるわきゃねえよ。俺は30年もエサくれてるんだぞ。シロートに捕まりゃ世話ねーよな。やってみなよ、邪魔はしないから。
協力もしないけどさ。

なんかおもしろくねーな、後からノコノコ出てきやがって、俺のやってることに口出すんじゃねーっていうの。
あんだよ、あっちへ行きな。

のら猫通信(260)エサやり人間模様 筋金入り2 

  

あんたら良くやっているねえ、たいしたもんだ。
見直したよ。
実はね、捕まらない猫でずっと困っていたんだ。
いいね、その捕獲器。アメリカ製だって? やっぱりな。

エサやっているうちに、猫がこんなに増えちゃってね、近所の奴らが俺に文句を言うんだよ。
エサやるなって。
そりゃまあ、猫だってエサ食えば糞もするし、イタズラもするからな。

俺だってそういうことは充分わかっていたんだ。エサやるだけじゃいけないって。
でもね、捕まらないのはショーガナイじゃん。

手術代どうしてるんだい?
自腹切っているのかよ、大変だな、偉いよな。

これさ、少しだけど足しにしてくれよ。な。
少ないけどさ。


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