松かさ病


症状と原因

何匹か水槽に泳がせている魚のうちの1匹のボディーがだんだん大きく膨れてくる事があります。この時点で病気だと判断するのは難しいと思います。普通は、エサ食いがいいから育っているとか、メスだからなのかも知れないとか、いよいよ抱卵してきてるのかなどなど、魚の個体差に原因を求めるのではないかと思います。飼育の経験が少ないと、魚の大きさに個体差が出るのは持って生まれた違いのように感じる人が多いようですが、魚が成長過程で差が出るのは、どれだけエサが食べれるかと、ストレスを感じないで済んでいるかにかかっています。小さな水槽で10匹程度の群れで飼われていると、温和な魚でも力関係が生じてエサを食べられる魚と食べられない魚が出てきて、特定の魚だけが大きくなるというのは良くある事です。

太ってきた魚が、そのまま体長も大きくなるのは成長ですから問題ありません。しかし、体長はそのままで横に広がってくるのは成長以外の何かです。魚には脂肪細胞がほとんどありませんから(無いわけじゃありませんが)人間のように肥満によって身体が膨れて来るというのは考えにくいことです。栄養状態が良ければ、魚のボディーはガッシリした感じでボリュームが出てきますが、それ以上に太ってくる場合は、体内に水が溜まっているなどの障害が考えられるます。特に、お腹だけが膨れたりする場合はその可能性が高くなります。

ボディーがどんどん膨れて、ウロコまでが立ってくるのが、「松かさ病」と呼ばれる病気で、腹水が溜まる事が直接の原因となる厄介な病気です。この病気を引き起こすのは、主にエロモナス・ハイドロフィラと呼ばれるグラム陰性の短かん菌が原因になっています。この病原菌は空気中に普遍的に存在している常在菌で、水槽の中にも多く存在しています。健康な魚であれば感染などせず、あまり怖いものではありません。

エロモナス菌が魚に感染する経緯は白点病のようには明確にわかっていませんが、水替えをせずに水質が悪化した水槽で多く発生するようです。これはエロモナス菌コロニーが水槽内に出来て、そこからやはり水質の悪化で体調を崩した魚に感染していきます。

しかし、エロモナス菌以外にも腹水が溜まる事があり、松かさ病がエロモナス菌によるものとは言えません。しかし、水替えの頻度が少ないなど水質悪化の原因に思い当たる部分があれば、十分疑う事が出来ます。

エロモナス菌に感染した場合、松かさ病やお腹が腹水で膨れる以外にも、眼球突出などの症状が現れることがあります。この眼球突出は頭部に水が溜まるのが原因の1つですが、やはりエロモナス菌以外の場合があります。病気の原因がエロモナス菌かどうかを判断するには、本格的な検査が必要なので、私達にはちょっと難しいでしょう。

このエロモナス菌は、感染力が弱いので1匹が発病してもすぐに水槽中に広がる恐れはありませんが、注意は必要です。


対策

この松かさ病の原因の多くは、エロモナス菌に魚が冒されるためです。特にカラシンやベタ、グッピー、シクリッドなどの小型、中型魚で発症する場合が多いようです。感染力は弱いので、発病した魚をすぐに隔離する必要はありません。しかし、治療となるとなかなか難しく、発症した魚を元に戻す事は困難です。しかし、泳ぎなどにあまり支障はないので、そのまま飼い続けることは可能です。隔離して他の魚とは別の水槽で飼うのが理想的ですが、水替えなどをして水槽の環境を整えていれば、感染の心配は少ないようです。

また、発症の初期であれば抗菌剤の配合された飼料を経口投与する事で治る場合があるとされています。しかし、発症の初期状態を見分けるのが難しく、ほとんどの場合は見過ごしてしまいますから、ほぼ不可能と考えていいでしょう。また、他の病気の時のように、塩や専用薬を使った薬浴も効果があまりないようです。


予防

松かさ病の根本的な原因として、水質の悪化が最も疑わしいと考えられます。そのため、発病した魚が出た場合は、その原因となった水質の浄化を優先させます。単に水替えをするだけではなく、水槽内の器具などを掃除したり、濾剤や底砂も掃除します。

頻繁に水替えをしていても、底砂に溜まったフンや食べ残しのエサなどが腐敗してそのままになっていることが多くあります。そのために水替えをしていても水質が悪化する場合があるのです。

底砂には濾過バクテリアが棲息していますが、同時に悪性のバクテリアも棲息しているわけです。ですから、定期的に水替えをしているからと言って安心するのは早計でしょう。水替えの時に掃除できる底砂の量は限られたもので、掃除がなかなか出来ない場所という部分も出てくると思いますが、半年〜1年に1度の割合で底砂全体の掃除もしたいものです。

また、濾過槽の掃除も大切です。特に外部フィルターの場合は濾過槽を開けて掃除するというのは面倒くさいものですが、フンやエサなどを多く溜め込んでいますから、ここも定期的に掃除するようにしたいものです。また、水槽内を過密にするのも様々な病気の発生につながるので注意が必要です。過密な水槽では、魚同士のストレスが発生して、それだけで弱ってしまいます。

また、排泄物もそれだけ多くなりますから、水質の悪化も早くなります。場合によっては、濾過バクテリアがアンモニアを処理しきれない場合も考えられます。病気を防ぐためには、水槽の中に入れる魚はできるだけ少なくする事が大切です。


                               

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