尾ぐされ病


症状と原因

グッピーやエンゼルフィッシュなど、長く伸びたフィンの美しさが命の魚によく発生するのが、この尾ぐされ病です。しかも、この2種だけではなくカラシンをはじめほとんどの魚に発生する可能性があり、発見したらすぐに根本治療をしておかないと、尾が溶けるだけではすまなくなります。

しかし、この状態では、すぐに死んでしまうようなことはありませんから、落ち着いて治療をするようにしましょう。症状としては、尾がバラバラになって、先端がだんだん溶けていき、最後はヒレがなくなってしまいます。しかし、さらに症状が進むと、付け根の筋肉まで冒されて、肉が露出するような場合もあります。

グッピーの場合はオスにだけ発生するのが大きな特長になっていますが、その他の魚の場合は、オスメス区別無く発生します。この尾ぐされ病の原因は、カラムナリスと呼ばれる細菌によるもので、水質の悪化で魚が体調を崩していたりするとかかりやすいようです。また、魚同士のつつき合いなどによる外傷や、ストレスも病気の原因になります。また、尾ビレが、長い魚の場合は、尾ビレに傷がつきやすく、そこに菌が付着すると発生します。さらに、水温が急に低下したような場合も発生が見られるようなので、ヒーターの故障や急激な水換えには注意が必要です。

このカラムナリス菌は、尾ぐされ病の他にも口ぐされ病、コットンマウス、エラぐされ病などの原因にもなっており、菌が寄生する場所によって症状に違いが出ます。これらを総称して、カラムナリス菌と呼ぶこともあります。このカラムナリス菌は、いわゆる好気性の細菌で酸素がある場所でしか繁殖しません。その為、魚の一部分に感染してもすぐには転移せず、だんだん集落を広げていきます。つまり尾ビレに発生した場合は、尾ビレの先などからだんだん本体へと達するように広がります。しかし、ある程度まで広がると伝染性が強くなり、気が付くと水槽中に広がってしまうことも多いようです。

カラムナリス菌は5〜35℃の水温に適応し、水質もpH6.5〜8.5と広い範囲で繁殖可能です。特に適しているのは水温27℃、pH7.5で、まさに熱帯魚水槽の中はカラムナリス菌の天国と言っていいでしょう。しかし、1%以上の食塩水中では繁殖が出来なくなるので、治療の大きな手がかりとなります。また、ヒレが溶ける原因は、このカラムナリス菌がタンパク質を分解する酸素を産出しているためです。ヒレに感染した場合はすぐには危険はありませんが、エラや口に感染した場合はエサが採れなくなったり、呼吸に影響して危険度は高くなります。


治療

発症した魚を発見した場合、まずは他の魚に感染していないかをよく観察します。また、グッピーなどの場合は、発症の初期は尾ビレを畳んだようにしているので、普段からの観察を欠かさなければ気づくこともよくあります。

1匹が発症した場合は、すぐに小型水槽などに隔離して、薬浴治療を行いますが、もとの水槽も引き続いて発症する魚が出ないかよく観察しましょう。治療は専用薬を使うのが一般的です。水槽環境や魚の症状などをショップの店員に話して、症状に合った薬を選んでもらうのが良いでしょう。

また、カラムナリス菌は塩水の中では繁殖出来ないので、グッピーなどのように塩分に比較的強い魚の場合は、0.5〜1%程度の塩水との併用が効果的です。塩水を使う場合は、いきなり目的の濃度にするのではなく、半日〜1日の間に段階的に濃度を濃くして行きます。1%の濃度とは、水1リットルに対して塩10グラム(こさじ約2杯)に当たります。治療が上手く行けば、発症初期であればヒレも元に戻り、再び美しさを取り戻します。

しかし、症状が進んで気づいた時には尾ビレが丸坊主になり、肉も見えはじめたなんて言うときは、治療をしてもヒレが生え替わるではなく、泳ぎも安定しないので生存は難しくなるので、処分を考えるべきでしょう。それよりも、他の感染の心配がある魚を救うことを優先する事の方が、正しい選択ではないでしょうか。


予防

尾ぐされ病はヒレに傷が入ることでカラムナリス菌の進入を引き起こします。しかし、魚体が健康で十分な抵抗力があれば、病原菌を跳ね返す事が出来ます。つまり、健康な状態で魚を飼い続けることが重要になってきます。そして、魚の健康維持に欠かせないのが、定期的な水換えです。

水換えによって亜硝酸、硝酸塩などの有害物質の濃度が下がり、それだけ魚の状態が悪くなる可能性を低くします。しかし、この水換えの頻度が月に1度以下に下がると、水換え前後の水質が違いすぎて、魚が調子を落とす原因につながりますから、やはり週に1度程度の水換えを心がけたいものです。

また、魚の健康維持にエサも重要です。なるべく栄養価の高いエサを与えるようにしますが、イトメなどの生餌は他の病原菌を持ち込む可能性があるので、事前に殺菌するなどの注意が必要です。最近は生餌を冷凍したものが多く出まわっており、ちょっと割高ですが、安心して与えることができます。

エサは与えすぎると、肥満になったり食べ残しが腐敗するなどのマイナス面が出てくるので、適正量を見極めて与えるようにしましょう。また、エサ食いの状態でも魚の健康状態を知ることが出来ます。それまでエサに飛びついてきたような魚が、エサに見向きもしなくなったら要注意。尾ぐされ病の場合は、食欲には直接出ない場合が多いようですが、その他の病気の前兆です。

また、水温の急激な上下動も魚の体調を崩してしまう元凶のひとつ。昼間は気温も暖かく、ヒーターはあまり働かなくても済みますが、冷え込みの激しい夜や明け方などは、小型のヒーターでは水温の低下に対応出来ない場合があります。バイメタルを利用した一体型ヒーターでは、ヒーター本体の熱に反応してしまうため、水温が低めになってしまう場合も多いようです。信頼性の高いサーモと容量に余裕のあるヒーターを組み合わせて、寒冷地では断熱材などを使って水槽の防寒を考えると、様々な病気の予防となります。


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