1999年 旅行記


ギリシア編 その1




ロードス

 6月18日朝、マルマリスを出て水中翼船でギリシア、ロードス島にわ
たる。約1時間で着く。

 ギリシアに来るのは2回目だ。でも前回はアテネとイドラ島に5日間ほ
どいただけだし、時期も11月でかなり寒かった。もっといい時期にじっ
くり島に来てみたかった。アテネはもういいんだけど。
 
 城壁に囲まれた旧市街で宿を探す。結局、屋上からの見晴らしがやたら
といい Pension MINOS にとまる。1泊が約2千円。私はとにかく見晴ら
しに弱いのだ。

 ロードス島は、エルサレムからイスラム勢力に追われた聖ヨハネ騎士団
がやってきて島を支配し・・なんたらかたらと大変歴史のある土地なのだ
が歴史というものには今ひとつ興味がうすいのでそれほどの感慨はない。
でも細い路地が入り組んだ旧市街はなかなか趣があって良い・・良いのだ
が観光客の数も半端じゃない。原宿か夏の軽井沢かというかんじだ。

 この島には空港がありヨーロッパの各都市からのチャーター便が直接、
観光客をどかどかと運んでくる。ドイツなどは主要都市すべてから直行便
が飛ぶらしい。北欧の人も多そうだ。ノルウェー・パブなんて店もあった。

 ロードスはかなり大きな島だが観光客のあまりの多さに疲れてビーチ以
外にはほとんどどこも行かなかった。海はさすが、エーゲ海。きれいであ
る。水はけっこう冷たい。でももう季節的には泳ぐには十分である。

 結局、ロードスにいたのは6日間ほど。だいたい毎日ビーチに行って本
を読み、ごろごろし、サクランボを食べ、ちょっと泳ぎという繰り返しで
ある。本来そういうことをしたくて行ったわけだからそれでいいのだがこ
こに書くようなことがほとんどないなあ。

 この島からジョン・アーヴィングの 'A Prayer For Owen Meany'
(邦訳は『オウエンのために祈りを』)を読み始める。この本のことは
前に 日記 にさんざん書いたけど。結局、読み終わるのにほぼ1ヶ月かかっ
た。読了したのはギリシアをでて再びトルコに入った初日だった。
 ギリシアに来た主な目的はビーチでごろごろして本を読むことではあっ
たが、一応行っておきたかった島はある。サントリーニとミコノスだ。

6月23日の夜、フェリーに乗って、まずはサントリーニに向かう。





サントリーニ

 夜があけても船は一向にサントリーニに着く気配がない(何時に着くの
か知らなかった)そのうちにやけに大きな島が見えてくる。空港もあって
飛行機がとびかっている。こんな島はクレタしかないな、と思ったらやは
りそうだった。それじゃなかなか着かないはずだ。サントリーニにはかな
りの回り道だ。

 ふと魔がさしたんだか、だんだん退屈してきたんだか、デッキでジャン
プして上のバーにとびつこうとする。何の気なしのこのジャンプがあれほ
ど恐ろしい結果につながるとは・・ ああおそろしや。(次号に続く)




























・・ともったいぶる程のことではないのだが・・

 ジャンプした手はバーにさわったもののにぎりそこね、そのままバラン
スを崩して右ひじから落ちてしまったのだ。

 ちょっと尋常じゃない痛さだったが、まわりの人に振り向かれかっこ悪
かったのでとりあえず立ち上がり、なんでもないふりをする。腕はとりあ
えず曲がるので骨に異常はないのだろう。ただの打撲だと思う。

 しかし時間を追うごとに痛みはひどくなる一方である。
 そうこうするうちにやっとサントリーニ島が見えてくる。断崖絶壁の上
に白い家並みが並んでいる。なるほど、これは面白そうな島だ。船は午後
7時ごろ、ようやく着く。港からバスにのってこの島最大の町、フィラに
行く。ほかにはイアという町もある。ついでに言うとサントリーニ島は別
名をティラという。なんかまぎらわしい。ウルトラ兄弟の名前に使えそう
だ・・ウルトラマン・フィラ、イア、ティラとか。

 とにかく腕の痛みはひどくなるばかりなので早く宿を決めて荷物をおろ
したい。バス停に来てた客引きのおばちゃんについていく。案内されたの
はホテルではなくレント・ルームだったが1泊、約1200円と安いしバ
ス停にはほど近い。部屋にはネコション(ネコの小便)の臭いが宿命的に
しみついていたがぜいたくを言ってられる場合ではないのでここで手をう
つ。

 痛みはひどくなる一方である。ひじははれあがっている。何か湿布のよ
うなものでも買えないかと(そんなものギリシアにはない様な気がするが)
薬屋を探しに出る。

 痛さで散歩どころではないのだが、それでも少し歩くとこの島は本当に
オシャレでロマンチックな場所だと分かる。断崖の上に続く白い街並み。
ホテルのプールの水面が暗闇の中で光っている。どこかのバーではオペラ
をかけている。ちょっとスノッブすぎる気もするがかっこいい。ハネムー
ンなどにはぴったりだろう。こんなところでフェリーですべってころんで
けがしてずきずき痛む腕をかかえ男一人で薬屋を探してる様な大馬鹿者は
私ひとりに違いない。

 店と言えばレストランかブランド品店や宝石店ばかりで(ここは本当に
ファッショナブルな場所なのだ)薬屋はとんとみつからない。さんざん歩
いた末、人に聞いてようやく行き着いた店は宿のすぐ近く、最初に目をつ
けたが化粧品店だと思い入らなかったみせである。薬屋もかねていたのだ。
間抜けである。

 店のおばちゃんははれあがった腕を疑わしそうな目つきでみる。

「あんた、それ相当ひどいんじゃないの。医者、行ったほうがいいんじゃ
 ないの」

「どうしてもひどかったら明日、医者行くある。とりあえずなんか痛みど
 めが欲しいある」

 湿布かなんかと言いたかったけど、英語でどう言えばいいのか分からな
い。

 なおも疑わしい目つきをしたままのおばちゃんが出してきたのは瞬間的
に冷やすタイプの痛み止め、よくプロ野球なんかで使ってるやつ(だと思
う)である。使ったことはないし湿布とはずいぶん違うが(まあ、湿布は
なかったんだろうが)好奇心もあってとりあえずそれを買って帰る。

 宿に帰りさっそくためしてみるがまるできかなかった。打った直後じゃ
ないときかないんだろうか。それとも、そもそもがただの気休めなんだろ
うか。冷たいだけで気休めにさえならない気がする。野球の選手をみてる
と結構きいてそうに見えるんだけど。あれは一種の儀式で実はほとんどき
いてないのだろうか。

 
 それから3〜4日はおとなしく近くを散歩するか本を読むかしてやりす
ごした。これじゃとても泳げないからビーチに行ってもつまらないし。


 ある日、ベンチに座って休んでいると何かが脚にどんとぶつかってきた。
黒猫だった。人見知りをしないというかなんと言うか・・

 そのクロと遊んでるとしょぼくれた白い犬がやってきてクロにほえかか
った。クロの4倍はありそうな(当社推定)犬である。

 そんな弱いものいじめしたりなや、とショボシロをさとそうとするがふ
と見るとクロはまっこうからショボシロをにらみつけている。全然、こわ
がっていない。たいした気の強さだ。

 その後、クロとショボシロは延々とにらみあいを続けた。こっちも暇な
もんだから延々と見物する。ショボシロは相手が逃げないのがしゃくらし
く何度もほえかかるが気の強さでは完全に負けている。

 そのうちにクロはベンチのせもたれの上にあがると全身の毛を逆立てシ
ョボシロの目の前にとびおり「フー」とすごい声でいかくした。見事な気
迫である。ショボシロは思わずあとずさる。勝負あったか。

 と、そうこうしてるところにいきなり別のチビ犬があらわれた。大きさ
にしてクロの1.5倍(当社推定)といったところである。そしてキャン
キャンいいながら、あっと言う間にショボシロもクロも追っ払ってしまっ
た。ショボシロ相手には断固として一歩も引かなかったクロもチビ犬相手
だとまたたく間に逃げ出した。

 どうやらこの場所では
チビ犬(1.5) > クロ(1) > ショボシロ(4) と序列が決まっているみた
いだ。
:()内は当社推定大きさ比。

 それにしても面白かった。


 この喧嘩(?)を見物してる時にセドウィックというフランス人と知りあ
う。日本にはセドリックという車があるけど・・と言うと??という顔をし
た。そりゃそうか。

 この男からナイトクラブに行ってみようと誘われる。なんだよナイトク
ラブって?と思いつつその怪しげなひびきに興味をひかれついていってみ
る。

 「ナイトクラブ」は開店するのがやたらに遅い。11時か12時くらい
だった。要はディスコだ。音楽の趣味はかなりひどい。つまらん。基本的
には観光客相手に仕事をしている地元の人が仕事が終わってから遊びに来
る場所みたいだ。早々にひきあげる。

 セドウィックからはまた別の日にも食事に誘われる。ひょっとしてゲイ
か?とも思うが別にそうでもないみたいである。見た目もぱっとしないし、
単にもてないだけみたいである・・ええと、とても人のこと言えないけど。
でも二人でむきあって飯を食べててもあまり話がはずまない。合気道を習
ってると言うから

「合気道っていうのは空手とはだいぶ違うのか?」

ときいてみる。日本人がフランス人にきくのも変な質問だがまあ知らない
ものは仕方ない。

「合気道は空手とは違って相手の力を利用するんだ」

じゃあ、太極拳に似てるんかいなと思うが太極拳を英語でなんと言うんだ
か分からず話はしりきれとんぼに終わる。今でも相変わらず合気道ってよ
う分からん。
 
 そういや外国では時々、

「日本に行って"ブジュッツ"を習いたいんだがどうしたらいいか?」
とか聞かれて困る。なんだよ「ブジュツ」って?

 まあ「空手を習いたい」とかもうちょっと具体的に聞かれても答えられ
ないことに変わりはないが。


 けがをして5日くらいたち、そろそろ何とか泳げそうなくらいになった
のでビーチにでかける。

 サントリーニでは、カマリ・ビーチ、ペリボロス・ビーチ、レッド・ビ
ーチと3箇所のビーチに行った。みんなそれぞれ良かったけど変わってい
たのはレッド・ビーチ。他のビーチはリゾート風なのに対しここだけは赤
い岩山にへばりつくように少しの砂浜・・というか石浜があるだけ。行く
には少し歩かなければならないし設備も小さな売店が一つあるだけ(だい
たい店を作れる様なスペースがない)1日をのんびり過ごすのには向いて
いない。でも景観が面白いし魚が多くて泳ぐにもいい。


 このレッド・ビーチの近くにはアクロティリという遺跡もあったので一
応、見学する。紀元前15世紀の大噴火で滅んだミノア文明の都市のあと
ということだが発掘場所全体を屋根がおおっていて何だか工事現場の様で
ある。いまひとつ風情がない。



1999年7月1日

 こうして1999年7の月はサントリーニでむかえることとなった。
アトランティスとはこのサントリーニのことだったのではないかという説
もあるそうで、アンゴルモアの大王様をおむかえするにはなかなかふさわ
しい場所ではないかとお待ちしていたが、大王様はつごうがつかなかった
みたいで謁見はできなかった。


 さて、この日は火山島と海中温泉などをまわる半日ツアーに参加する。

 話はとぶがサントリーニ島の形ってなんかに似てる気がすると考えてい
たのだが・・




分かった。


大阪府だ!

 大阪府がどんな形をしてようが知ったこっちゃないという人の方が多い
かとは思うが私は小学生の時には大阪府に住んでいて社会の授業でしょっ
ちゅう、地図をみせられてたので大阪府の形には結構なじみがある。大き
さはくらべものにならないが(サントリーニの方がはるかに小さい)似て
る気がする。

 サントリーニを大阪府とすると(ここでやっと話はもどる)堺のおきあ
いあたりにある小さな火山島がネア・カメニだ。ツアーはまずこの島に向
かう。まあ、ここは要するに火山である。鬼押し出しみたいな感じだ。日
本人にはそれほど珍しくはない風景だ。


 この島の裏側にまわったところに海中温泉がある。ここはなかなか面白
かった。入り江のようになっている場所の海中から温泉がわいているのだ。
船はそこのちょっと沖合に停泊する。「温泉」に行きたい人はデッキから
飛び込んで泳いでいかなくてはならない。泳げないと温泉にも入れないの
だ。

 でもこの温泉は入るという感じではない。ところどころあったかいなあ
という程度だ。ここの話は前にギリシアに来たとき、アテネで会った日本
人から聞いたのだがそれは11月のことだ。11月にこんなところで泳ぐ
なんてほとんど寒中水泳だ。温泉にいきついてもあったまれるというほど
のもんじゃないし、寒かったと言ってたがそりゃそうだろうと思う。日本
人の観光魂(?)のすごさをあらためて感じる。


 ギリシアにはもちろんちゃんと冬がある。村上春樹氏の『遠い太鼓』で
引用しているジョン・バウマンという人が書いたガイドブックの記述をさ
らに孫引きさせてもらう。


「私は次のことを読者に強調しておきたい。(1) エーゲ海は熱帯の島では
 ないし (2) 往往にして強風が吹く、この二点だ。一年のうち六ヶ月から
 八ヶ月は素晴らしい気候が続くので、多くの人々はここは常夏の楽園み
  たいなところだという誤った考えを抱きがちである。でも別表(*年間
  の気温表)をよく見ていただきたい。島によって多少のばらつきはある
  にせよ、これだけははっきり言える。十月から四月にかけてエーゲ海で
  は人はまず泳がないし、十一月から三月にかけて島で休日を過ごそうと
  考える人は普通いない」

 引用はここまでなのでこの後に「しかし日本人だけは例外である」とい
う記述が続いているかどうかは不明である。まあそんなことはないか。



 このツアーで日本人の姉妹にあった。この姉妹のお姉さんの方の話がお
かしかった。

 彼女はダイビングが好きでライセンスも持っているが泳げないんだそう
である。

「だいたい泳げない人にライセンスを発行してくれるんですか?」
「くれますよ。むこうも商売ですから」

 うーむ、そんなことでいいのだろうか。おまけにナイト・ダイブもやり
たいので普通のライセンスより一段上の、アドバンスド・ダイバーの資格
をもっているそうである。泳げないアドバンスド・ダイバーって。。

 彼女がパニクった時、「ほらほら、アドバンスド・ダイバーがおぼれて
るよ」とからかわれたらしい。

「そもそも自分でこわいと思わないんですか?」
「そりゃこわいですよ。だから器材の点検は誰にも負けないくらい入念に
  やりますよ。器材に命あずけてるんですから」

 そういう問題だろうか・・

「そもそも泳げない人がダイビングをやりたいならまず泳ぎをおぼえてか
  らというのが普通じゃないですか?」
「だって、やりたいのはダイビングで別に水泳をしたいわけじゃないもん」

 だからさういう問題だろうか・・

 泳げないのにダイビングなんて自転車に乗れないのにバイクにのるよう
なもんじゃなかろか。でも自転車に乗れないのにバイクにのるおばちゃん
とかもいるという噂は聞いたことがあるな。恐ろしいこっちゃ。


 彼女はそもそも顔に水をつけるのも嫌だと言う。(それで良くダイビン
グをしようなどと・・)

 ライセンスととるときなどはイントラのねえちゃんが

「じゃあ、今から私と水中でじゃんけんをしましょう。勝ったら顔あげて
 いいからね」

 とかやってたらしい。

「しかし、むこうもよくやりますね」
「そりゃ、なんたってこっちは客ですからね。金払ってんのはこっちです
 もんね。それくらいやってくれますよ」

 いや、おかしかった。
 泳げないお姉さんは(妹の方は泳げるがダイビングはしないらしい)海
中温泉には行けず船で待っておられました。お気の毒。



 
 サントリーニは確かにツーリスティックでもあるけど、なんといっても
美しくてロマンチックな島だ。けがの回復を待ってたせいもあるが結局、
10日ほど滞在した。でもそろそろ次へ行くことにする。次はミコノスで
ある。



 ギリシアではネコの写真をとりたいと思って8年近く、まるで使ってな
かった一眼レフを持ってきた。ギリシアのネコの写真集なども出ているが
ギリシアにはネコが多い上に白い街並みのバックがネコに良くあうのだ。
ネコ好きとしてはここはひとつ写真をとらねばということで。

 このサントリーニではたくさん写真をとった。まずまずいい写真がとれ
たんじゃないかと思う。よろしければこちらも見ていって下さい。


サントリーニのネコの写真
関連写真



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