「恐怖夜話」 創元推理文庫

ガストン・ルルー:著
飯島 宏:訳

ガストン・ルルーと聞いてすぐに作品が分かる人は少ないかもしれません。でも「オペラ座の怪人」を書いた小説家と言えば分かるかもしれません。
「恐怖夜話」は短編集です。一番最初の「金の斧」は別ですが、それ以降の話しは4人の老船乗りがそれぞれに聞いたり、体験したりした話しを順番にしているという設定になっています。

私の感想としては恐怖心を感じるほど恐い話しではない感じです。でも、読み終わった後の後味はちょっと悪いかもしれません。日本人にとって感じる恐怖と、フランス人であるガストン・ルルーが書く恐怖にはちょっと違いがあるのでしょう。
そんな中でも、私が話しとしてよく出来てきて、しかもちょっとこれは恐いかもしれない、と思ったのは2話目の話しである「胸像たちの晩餐」です。

これは4人の中の1人、ミシェル船長の腕がなぜ片方しか無いのか、その原因を話して聞かせたものですが、陰湿な感じのする内容が日本人にとっての「恐い」感覚をちょっとくすぐるのかもしれません。

船長が引っ越した家の隣に住んでいたのは、実は旧友だったのですが、その友人は両腕と両足を無くし、まるで置物、つまり胸像のような姿になっていたのでした。その理由は、船が難破してイカダで助かったとき、一緒に助かった人たちと生き延びるためにくじで「食べられる」順番を決め、その結果そんな姿になってしまったというのでした。そして、その友人の元へ一年に一度、その時一緒に助かった人たちが集まるのでした。船長が友人の家を訪問したその日、それはその一年に一度の日だったのです。そして、船長は知るのでした。彼らがなぜ今でも彼らだけの集まりを行うのかを…。

カンのいい人でしたらお気づきかもしれません。

ガストン・ルルーは他に「黄色い部屋の謎」という推理小説も書いています。古典ミステリーとしては有名です。が、これは読み終わった後に「詐欺だ」という感想をぬぐえません(笑)
でも、結果はともかく、読んでいる最中は面白いですよ。もし、見つけたら読んで見てください。