
新田瞬自伝『俺とスルーとボレーシュート』
(この作品は大友中のヘタレさんの作品に多少加筆したものです)
☆月●日。対南葛中戦後半、豆腐屋のセガレからのロングボールをダイレクトでシュートにいく。しかしまったくタイミングが合わず、スタンドからは罵声が飛んだ。「翼のまねしようったって無理だぞ〜。」「10年早いぞ〜。」「ヘタレ〜!」などと酷いことを言われた。ちょっと涙ぐんでしまった。鬱だ……。その後ゴール正面からの
FKを得た。俺は隼シュートを相手の壁に向かって思いっきり蹴った。壁に穴を空けてもう一回隼シュートを打つ作戦だ。しかし、隼シュートを受けたやつがあまりにも痛がっているのを見て、良心が少し痛んだ。そしてまた、そんな風に痛がっているやつを見ても『やったぞ、いけぇ新田!』といった稲中の井沢のような髪型の先輩を見て、人間のあさましさを知った。そんなこともあって、すこしずつシュートのタイミングが合ってきた。そしていよいよチャンスが回ってきた。フリーの俺にボールが来たのだ。そこで俺はトラップしてからでも間に合うところをあえてダイレクトでシュートにいった。もちろん片桐さんがこの試合を見ているのを知っていたからだ。そうでもしないと全日本に入れないと読んだからだ。そして読者人気のことも考え、俺は何か叫びながらシュートしたほうがいいだろうと考えた。俺はシュートを打つ瞬間こう叫んだ。
「いけぇ、ノートラップランニングボレー隼シュートだ!!」
……ゴールは決まった。しかし全力でシュートを打ったときにあんな長いシュート名を叫んだために思いっきり舌を噛んでしまった。すごく痛い……血まで出てきた……鬱だ……。
〆月×日。
Jrユース大会決勝戦。前日は出られなかったので今日こそは活躍してやろうと思い『決めるぞシュート!』と言ったらまわりの空気が急に白けた。どうやら先輩方は皆『お前みたいなヘタレがあのミューラーから点取れるわけネエだろ!』と思っているようだ。……畜生、今日、今日こそはゴールを……。
そんな事を考えていたら早速チャンスがまわって来た。日向先輩のシュートが
DFに当たってコボレだまになり俺のところに転がってきたのだ。俺は『日向さんの『キーパーの股間だ!』というアドバイス通りにシュートした。そしたらなんとミューラーの股を抜いた! やったぜ大金星! と思ったらミューラーのヤツはバックハンドでがっちりキャッチしていた。畜生、俺がヘタレと思ってもてあそんだだけだったんだな。結局、この日もノーゴールで終わった。畜生……。
〆月×日。
Jrユース大会が終わって日本に帰って来た。俺は自分の評価を確かめようと2ちゃんのサカ板を見に言った、そしたら……『新田瞬逝ってヨシ!
Part36』『隼シュートってナンデスカ?』『新田代表不要論Part98』『新田瞬だけど何か質問ある?』『新田はスルーしか取り柄のない最低のFW』etc……。鬱だ……。
〆月×日。今日、リアルジャパン7なるチームが全日本に挑戦してきた。何故か浦部先輩までいる。そしてリアルジャパン7との試合が始まった。俺は2本ほどシュートを放ったが、一本目はあっさりキャッチされ、2本目に至ってはキャッチすらされずに両手で弾き飛ばされ、それがそのままカウンターになって負けてしまった。試合後、先輩達の俺を見る目が冷たい……。どう見ても『お前のせいで負けた』といいたげな目をしている。畜生……確かに俺も悪かったけど、森崎さんだって相手のシュート全然止めれなかったじゃないですか……
、そう言おうとして危うく口をふさいだ。はぁ……森崎さんのザルっぷりはもはや愛すべきレベルだからなぁ……。こんな事いったら逆に苛められちゃうよ……。そしてリアルジャパン7の監督のガモウとか言う親父に全日本追放を言い渡された。……泣きたい。
♪月○日。今日、タイ戦の試合中に変な男が現れた。葵新伍とかいうやつなのだが、こいつ、俺の『翼たちの後輩で将来性はかなりのもの』というアピールポイントを見事にかっさらいやがった。みんな俺のことなんかすっかり忘れワンマンプレイをしやがるヤツに見入っていた。しかし、俺だって片桐さんに『翼のライバルとなりうる存在だ』と言われた男だ。そのときはまだ余裕だった。
だが、その直後そんな俺に衝撃が走った。ヤツはダイレクトジャンピングボレーシュートというのを決めたのだ。ボレーシュートといえば俺の専売特許。日本でボレーシュートを打つのは俺と岬さんだけだと思っていただけにこれはショックだった。鬱だ……。
〆月○日。今日はサウジアラビア戦だ。葵のヤローがスタメンなのは気に食わないが、今日も頑張ろうと思った。しかしこの試合でも衝撃を受けた。翼先輩のスルーパスにヤツが走りこんだ。そこまではまあ良かったのだが、その直後俺にとっての大事件が起きたのだ。『よけいなことはするな、それは俺のボールだ!』日向さんが叫んだのだ。
その声を聞いたヤツはボールに触らなかった。そう、“スルー”をしたのだ。
そのスルーは見事に決まり日本は点をとった。しかし俺は非常に鬱だった……。そして俺は葵を憎しみ始めた……。
○月△日。「将来性抜群」「ボレーシュート」「スルー」といった数々のアピールポイントを葵に取られた俺はヤツを憎んだ。俺は考えた。ヤツと殴り合いのケンカをして全日本から追い出してやろう、と。幸いヤツはどう見ても弱そうだ。トイレ裏に呼び出してヤツをサッカーできない体にしてやろうと考えた。そう思っていた矢先、ヤツはイタリアから赤井止也とかいうムチャクチャ血の気が多そうなヤツを連れてきた。計画は断念した。鬱だ……。
○月■日。葵撲殺計画は断念せざるをえなかった。こうなれば試合でヤツと差をつけるしかない、俺はそう考えた。今日はメキシコ戦、頑張るぞ! ……そう張り切っていた俺にまた衝撃が走った。スタメンに俺の名前が無いのだ!代わりに入ったのは、サル兄弟だ。鬱だ……。
しかもこの話には裏がある。俺を下げてサル兄弟を入れるという布陣を組んだのは葵のヤローの中学時代のチームメイトの井出保とかいうやつの陰謀らしい。それもこれも葵のせいだ! 葵さえ……葵さえいなければ、俺も若きエースとしてもてはやされていたものを!
おまけ
新田の発言波紋呼ぶ(東都スポーツ)
南葛SCのストライカー新田瞬選手の発言がチーム内で波紋を呼ぶ。これは新田選手がチームメイトの早田選手に対し「だってうちのチームでまともなのは、俺と早田さんと森崎さんぐらいですよ。」と発言したのがきっかけ。南葛内では「新田ゆるさじ!」という雰囲気が高まっており、中でも新田の先輩で背番号10を背負っているあずきざわ選手は「彼が良い選手だということは誰もが認めるところだが、チームの事を考えていない。みんなが優勝を目指す中でそんな事を言うのは理解できない。」怒り心頭。
しかしそんな周囲をよそに新田選手は「どこが失言なんですか?だって本当のことでしょう。あ、森崎さんをまともな選手って言ったのは確かに失言かな。ははっ。」相変わらず。
カンピオーネの新田にドーピング疑惑?(東都スポーツ)
カンピオーネの新田にドーピング疑惑。これは元全日本のFWでサンパウロの選手でもあった新田選手が、前世界大会において急激な進歩を遂げて、別人のような大活躍をした事から、以前の彼を知るチームメイトから『ドーピングでは?』という疑惑が持ちあがったというモノである。一番はじめに新田選手に疑念を持ち始めた東京都在住のJ・M選手は『ええ、間違いないですよ。あいつはあんなに上手いわけがない。全日本でもヘタレで有名でしたから。あいつがヘタレなせいで僕は病弱な体にムチ撃ってフル出場した結果フィールドでぶっ倒れたこともありましたから。ていうか、あんなスルーしか取り柄のないヘタレが仮にも貴公子と呼ばれた僕よりも活躍してるのが気に食わない』とのコメントを残しています。