■クロスレビュ第1回 9月公開

 今野緒雪 『マリア様がみてる』 コバルト文庫

 純粋培養された乙女たちが集う私立リリアン学園。上級生から下級生へとロザリオの授受による『姉妹』という関係から、姉による妹の教育が始まる。高校に入ったばかりで、姉のいない祐巳は突然憧れの『紅薔薇のつぼみ』から姉妹宣言をされるが・・・・・・『マリみて』シリーズ第1弾

 独断と偏見とインパクトとネットミステリに対する裏切りを思いっきり込めての大爆走スタート、としたいと思っておりました。参加者が参加者だけに、本当なら殊能将之『子どもの王様』を選びたかったんですが高いので没。文庫オンリー心情涙赤裸々に、何を血迷ったかかの脅威のクロスレビュ第1回は、この作品にしたいと思います。ブーイングが飛ぼうと、座布団が飛ぼうと、何はともわれ発案者の首が飛ぶ事に事実無根でありますのです。参加される方は宜しくお願いします。怒られた方は本当に申し訳ありません。(元@M←d
4 ■元@M←d 『萌えない百合はただの百合だ』

 ただ面白い。だが、それ以上でもそれ以下でもない。褒めるべき点が見つからないのだ。ラストシーンが印象に残る訳でもなく、あのシーンがネタに出来る訳でもなく。姉妹という点は僕にとって新規性はあったが、普通の学園物として読めてしまう。ただ・・・

 『2色カレーは美味そうだ』
7 ■リッパー@Unlocked Room 『ボクの心に百合の風が吹いた』

 女の子がいっぱいで楽しくて心地良くて乙女ちっくでそして恥ずかしい。意外にも風通しのよい学園ラブコメもので口当たりが非常に良かった。そこがいい点でもあり、やや不満な点でもある。祐巳と祥子さまの最初すれ違っていた気持ちが次第に通じ合っていく様がたいへんこっ恥ずかしくて、身悶えしたり萌えたり笑ったり。あと、祐巳さんも祥子さまも白薔薇さまも勿論いいけれど、蔦子さんがかなり好みであります。

 『令さまx祥子さまの挿絵ほしかった』
7 ■Base-Line@未明の研究 『良くも悪くも少女小説(なのか?)』

 バイアスがかかりすぎでやや期待外れ感。押さえるべきところは押さえてあってなんだやかんやで楽しめるのは事実なのだが。続刊を読まないとなんともいえない。単体作品でみると柏木はいらないなあ、と。男への反動としての百合はもう古い、という意見に賛同します。
 
 『けど、白薔薇さまは良いです。』
7 ■もっち@Like A Monocled Cat 『ちょっとしたカルチャ・ショック』

 コバルト文庫初体験です。表紙のイラストや冒頭のシチュエーションに「おいおい勘弁してくれよ。」と独り赤面しつつ読みはじめたのですが、テンポの良いストーリー展開と個性豊かなキャラたちに何時の間にか没入していました。主人公・祐巳の成長譚として純粋に楽しめる一冊だと思います。しかし、それでもやはりイラストに抵抗を覚える自分がいるのでした。

 『続編を読もうかどうか、悩んでます』
5 ■なづな@京極夏彦ニュース 『厭よ厭よも好きのうち』

 あざとさを感じつつやっぱり萌えちゃうんだよ、ずるいって。決まってるところは実に決まってる。巧い。でも嫌いなところいっぱい。色んなものが無批判に出てきちゃうのとか。8点と2点と。続き読むかどうか迷う。とか云いつつ、連弾の場面ではちゃんとBGMにグノーのアヴェ・マリアかけたりして入り込んでるんですよこの人。

 『え?アニメやるの?見る見る』
5 ■つかもり@Unknown 『女の子のうじくらっとした内面描写が秀逸』

 つか野郎だと成り立たない話じゃないのかな<もしかして偏見?でも漫研でそーいわれてた奴いたんだけどね。その割に、何故か己に勧めてくれる人が全員男性。うーむそこらが少々謎。とりあえず、友なら紅薔薇、

 『見物するなら白薔薇って間違えてます?』
6 ■トラック@コズミックサーフィン 『ケーキバイキングはもうお終い』

 読んでいる最中は、楽しかった。でも、読み終えて一週間以上経つのに、お腹は未だにいっぱいだ。次の『黄薔薇革命』に食指が伸びない。祐己と祥子はこれからどうなっていくのだろう――という含みはあるのだけれど、シリーズ初頭を飾る作品としては綺麗に終わりすぎている。それと、キャラたちにこれ!と惹き付けられるものが感じ取れなかった。

 『学園モノはあまり受け付けないことが判っただけで、収穫かも』
6 ■合耕@魔法にかかる前 『難解な作品である、とか言いたい』

 普段読んでるものとあまりにかけ離れてるってこともあって、一つ一つのエピソードや描写の、その意図してるところがいちいちわからない。謎だ。でもこれはそんなに不快な感覚ではない。むしろ、未体験の読後感を得られたことを喜ぶべきなのかもしれない。いやあ、ある種の微笑ましいネタ本として読むつもりだったのになあ。不覚不覚。
 
 「この花のこと、覚えておいてね」というセリフにはときめきました。
8 ■めぐん@デニー様がみてる 『恋愛未満百合コメ小説』

 肉欲に直結しない恋愛感情を扱う小説を読んだのは久しぶりだったので、えらく新鮮でした。主役格の祐巳ちゃんと祥子さまの感情が丁寧になぞられているのも高ポイント。『炎の蜃気楼』から『マリみて』まで取り扱うコバルト文庫の懐の広さに感じ入りました。

 『記号の塊と言われようが白薔薇さま萌え!』
7 ■さとる@[Hybrid No.9] 『スールだから良いのです』

 祐巳ちゃんミーツ祥子さま。ガール・ミーツ・ガール。「姉妹」という泥臭くも下品にもならない制度を採用した作者に拍手。女の子ばかり出てくるのに、いわゆる「女の子らしさ」がくどくなくて、それはたぶんみんな、強くあろうとして、自分で考えているから。学園小説であり、百合ファンタジーであり、青春小説であり、つまりは優良な少女小説だと思います。

 『祐巳ちゃんの胸で泣く祥子さま萌え』
3 ■ピエロうさぎ@C/R 『スールシステムの紹介作品』

 「女の子は何でできている?砂糖にスパイス、それにすてきなものばかり。そういったもので、できている」こういった文句がマザーグースの詩の一部にある。まさにこれ。でもスパイスが私には足らない。余りにも突然過ぎる展開に無理があると思うのは、頁数の問題でしょうね。そしてどれもこれもが「続編」を予感させる作り。シリーズモノの始まりとしては良い出来だとは思う。でもこの作品だけの評価を…となると、いささかあざと過ぎませんか。

 『女子校出身者の目から読むと片腹痛くて仕方がない』
9 ■未成年@炭酸カルシウムガールズ 『萌えるな、燃えるんだ』

 誰かの後を追いかけるというのはつらい。それが好きな人であればなおさら。その凛とした背中は眩し過ぎて、自分の汚くて、嫌な部分が照らし出されてしまうから。それでも、あなたを待とうと思う。この本に、しおり代わりにはさんだ銀杏の葉のように。

 『ということで、柏木が大好き』
8 ■THEORIA@北國blogger Theoria 9603^453歳 MX -北国tv

 純粋培養の乙女たちが集う、私立リリアン女学園の高等部を舞台にして描かれる小説。自立の為、高等部には「姉妹(スール)」と云うシステムが存在し、姉(グラン・スール)から妹(プティ・スール)へのロザリオの授受と云う儀式を経ることにょって「姉妹」の関係が確立され、以後は相互に支え合って学園生活を送ることとなる。
 大概幼稚舎や初等部などの類が存在する私立学校では途中から編入した生徒は殆ど居らず、「純粋培養の乙女たちが集う」と云うカヴァーに書かれた文句から察するに私立リリアン女学園もまた例外ではない。このょうな学校には経済的に恵まれ、或る程度社会的地位のある者を親に持った人間が通う為、彼ら彼女らは一切の経済的困窮と無縁であり、大概無産階級の家庭に生まれた子供に嫌われ中産階級の家庭に生まれた子供に羨ましがられる。それ程に傍から見れば如何にも幸せそうに見える。だが金持ちには金持ちなりの(ょく映画などに出てくる皮肉的なものではなく、重大な)悩みがある訳である。
 というのも、この小説が福沢祐巳と云う生徒の視点から、彼女の憧れである小笠原祥子と云う生徒の苦悩とその打開、また福沢自身の小笠原への思慕、それに起因する葛藤を巧く描き出したものであるからだ。
 ところで、殆どのその筋の人間がこの作品を知っており、特にディープな者達の間では全巻を三冊づっ揃えることが常識化しているらしいが、コバルト文庫であるにも拘らず、彼ら(或は彼女ら)をそこまで熱狂させる(「萌え」と言おしめる)には単にストーリィ性が高いだけでは駄目なのである。彼らの間ではキャラクター性と云うものが重要視される。
 すなわちこの作品は極めてキャラクター性が高いのである。といっても私がそれらにっいて詳しく語るとその筋の人間でないと読めぬょうな文章が出来上がるので語ることは出来ぬ。これに関しては説明無しで作品を見て頂きたい。
 ストーリィ性、キャラクター性と来たらやはりこれに就いても言及せねば拙いような気がするので言及するが、世界観(というか背景となる設定)に就いて、少し語ろう。先ず冒頭の概説のように「スール」と云うシステムが在る。次に山百合会と云う組織があって小笠原祥子が山百合会の人間であるから山百合会を中心に話が展開されるのだが、この山百合会と云うのは通常の学校に於ける生徒会に位置し、「紅薔薇さま(ロサ・キネンシス)」「白薔薇さま(ロサ・ギガンティア)」「黄薔薇さま(ロサ・フェティダ)」と云う三役が通常の学校に於ける生徒会長に位置するなど、私立リリアン女学園ならではのシステムが色々あって良ゐ。また私立リリアン女学園はカトリック系であり、生徒は必ずマリア像に手をあわせる。と言っても幾らそうしろと命令したところで、しない者はしないのだが、私立リリアン女学園は全員が例外なく手をあわせるようである。
 最後に私はこの本を一昨日の夜遅く入手して、今朝読み始め、昼食を食べる前に読破した。私は速読などと言った神技的な行為とは無縁である。そして今日(平成十五年八月二十五日)は平日であるから、私には仕事がある訳で、更に通勤中は本が読めぬし、遅刻寸前に到着する時間にしか起きぬから、私は仕事中に仕事とは無縁の本を読んでいたことになる。確かにこのテクストには期限と云うものがあるのだが、最終締切りは五日後であるから、まだ余裕は在る訳である。しかし私は仕事を放棄してまで読んだ。この御時世、働かねば容赦なく解雇されると云うのに私は読んだ。これは「マリア様がみてる」が私の理性を超越したとしか云えぬ出来事である。
 私はこの作品を奨める。これは現代の日本人が読むべき作品である。趣味も仕事も後回しで読破すべきである。そうそう、最後に一言。

 『おのれ柏木、両刀だったか……!』
7 ■gMA@gMAs' world 第1回 - 炸裂する「jealousy(ジラシ)のテクニック」!! -

(g) 記念すべき第一回目の作品は「マリア様がみてる」です。著者は38歳女性、今野緒雪さん。

(M) ミッション系女学園に通う主人公が、生徒会のお姉さまと繰り広げる擬似恋愛に萌えっ!です。

(@) 身も蓋もない紹介…。@も似たような学園に通っていたので分かります。今野さんはホンモノです(キッパリ)。ところで、Mのそのほとんど反射的なまでの萌えは止めて欲しい。

(M) 失礼だなー。反射的に「萌え」と「言ってる」だけであって、
僕は自動的に萌えているんだ、ってのとは違うよ。まあ挨拶みたいなもので。

(@) そう言う事で、「自分はこの属性に理解があるぞ」と、周りに示したい?

(g) まあ、まあ、二人とも。僕、この作品非常に面白く読めたんですよ。シュールなギャグとして。書き出しがこんなだからね。

『「ごきげんよう」
「ごきげんよう」
さわやかな朝の挨拶が、澄み切った青空にこだまする。マリア様のお庭に集う乙女達が、…』

ラーメンズあたりに演ってもらうと面白いかもしれない。

(M) 思いっきり間違ってるよその読み方!

(g) いや、焦らしのテクニックはそういったコントに通じるものがあると思う。落ちそうでなかなかオチない、そう言ったムズムズした笑いに似たもどかしさ。主人公はお姉さまの言動に一喜一憂する、というか落ち込んでばかりいるのだけど、読んでる側はお姉さまが悪意を持っていないことは当然のごとくわかるんですよ。

(M) ああ、そこが萌えるんだよねー。勘違いする可愛そうなユミ。なんで気づかないんだー、って。

(g) 志村、後ろ後ろ!みたいな。

(@) 読者は観察者だから分かる。当事者のユミにとっては、お姉さまは好きな人で。恋は盲目、岡目八目。それを的確に表現した作品だと@は考えました。。のろけ話は楽しくない、とも改めて思ったけど。

(M) 観察者っていうより、僕は思い切りシンクロして読んだよー。これは絶対、どっぷりと同情して読むべきだよー。

(g) うーん、少なくとも回りに男性のいない環境でよみたいですね。まあ、冗談はさておき、ミステリとしての完成度もなかなかのものだと思いました。

(M) そんな要素あったかな…

(@) ××トリックの一種の○○トリック。ミステリ会ではトリックの枯渇が嘆かれていますが、社会・環境の変化と研究が進めば、この種のトリックはさらに多様化するだろうね。

(g) 「トリックのために世界が構築されている北山トリック」であるかのような錯覚さえ覚えました。ところで毎回帯の文句を考えようと思うのですが、今回はMにお願いしていい?

(M) じゃあ、

 『マリス様がミゼル』
■平均 6.4

 平均点に意味があるのか如何かは分かりませんが、点数が大きく別れていた事に意味はあると思います。シリーズ全体を読んでいる方と、読んでいない方。もしくは、続きを読もうとしてる方、読みたくない方、などなど。
 これから読んでみよう、と考えている方に参考になれば良いかと。もしくは、1冊読んでみて、感想の近い方のサイトへ行ってみるなど、何か新しい繋がりがあれば。

 『読書で何かが見つかれば』 元@09.01.2003