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第16話「セイラ出撃」
脚本・山本優 絵コンテ・斧谷稔 演出・斧谷稔 作画監督・青鉢芳信

ナレーター「宇宙世紀0079、地球の周りにはいくつもの宇宙都市が建設され、人々はそこを第二の故郷として暮らしていた。宇宙都市サイド3はジオン公国を名乗り、人類をみずからの独裁に収めんものと地球連邦に戦争を仕掛けてきた。ジオンの攻撃を避けて宇宙都市サイド7を脱出したホワイトベースは地球に降りたち、そして、今」

アイキャッチ「セイラ出撃」

ナレーター「地球連邦軍本部と連絡が取れぬまま、ホワイトベースは中央アジアを西へ向かう。少年達は疲れきり、ただ与えられた任務を行うだけであった」

ハヤト「…」

子供達「…」
アムロ「まだ見つからないのかい?」
フラウ「もっと寝てなくっちゃ。アムロはパイロットなんだから」
アムロ「…見えないじゃないか」

マーカー「天測結果とも照合してあります」
ブライト「約束の日に約束の場所に来ているのにレビル将軍からは一言も連絡なしか」
セイラ「受信回路は開きっぱなしだけど」
ミライ「無線はありえないでしょう。この辺りどちらかというとジオンの勢力圏内だし」
カイ「じゃ、誰かさんが歩いてくるわけだ、この砂漠の真ん中へさ」
ブライト「ちゃかすな、カイ」
 「一番眠い時間だ、セイラ、全員に対空監視を怠らないように伝えといてくれ」
セイラ「はい」
ミライ「…」
ブライト「ご苦労さま」
タムラ「いえ、皆さんこそ。朝食です」
ブライト「まわってやってください、目を離せないんで」
タムラ「私の不注意です、塩がなくなりますが手に入りませんか?」
ブライト「塩?塩か?」
タムラ「はい」
セイラ「十時の方向、動く物があります。オフロードクルーザーの様です。スクリーンで確認してください」
マーカー「最大望遠です、28キロ前方です」
ブライト「左の機銃開け。ホワイトベースはこれより着陸する」

ブライト「おい、しっかりしろ」
連邦兵A「…」
ブライト「砂漠に蝶は飛ぶのか?」
連邦兵A「砂漠に蝶は、砂漠に飛ぶのはサボテンの棘…」
ブライト「レビル将軍の手の者だ」
リュウ「よっしゃ、運転を代わろう」

ブライト「話せるか?」
セイラ「サンマロが応急手当をしてはくれたけど」
ブライト「私がホワイトベースの責任者のブライト・ノアです」
連邦兵A「…オ、オデッサ・デイは五日後の予定です。それまでにホワイトベースはカスピ海を渡れとの命令です」
ブライト「オデッサ・デイ?なんです?それは」
連邦兵A「キシリア配下のマ・クベの主力部隊を叩く作戦日です」
ブライト「マ・クベ?」
連邦兵A「マ・クベの押さえている鉱山は今度の戦争の勝負を決める大切な場所なんです。それをオデッサ・デイに叩きます」
ブライト「我々のホワイトベースも攻撃に参加するということですね?」
セイラ「私達、軍隊じゃないんでしょ?ブライトさん」
連邦兵A「ああっ…」
セイラ「出血が酷すぎてね」
ブライト「ホワイトベースが正規軍に組み込まれるという訳か」

ブライト「何か?」
タムラ「さっきの塩の件なんだが」
ブライト「どうして今まで気付かなかったんです?」

タムラ「この間の戦いで倉庫に直撃を食らったろ?あん時、塩がやられたんだ」
ブライト「この先はジオンの最強部隊があるらしいんです。とてもじゃないが手に入らないでしょう」
タムラ「塩がないと戦力に影響するぞ」
ブライト「どうしましょう」

フラウ「アムロ、まだすまないの?」
アムロ「ずっとすまないよ、すむ訳ないだろ」
フラウ「まだ冷めてないから早く食べてね」
アムロ「レビル将軍とは連絡取れたのかい?」
フラウ「らしいわ。今、塩がないって騒いでる」
ハロ「アムロ、タベロ、アムロ、タベロ」
アムロ「塩?あの食べる塩かい?」
フラウ「そうよ、塩取らないと死んじゃうんでしょ?」
アムロ「そうさ」
フラウ「食べてね」
アムロ「ああ」
クルーA「アムロ、終わらないのか?」
アムロ「もうちょっとです」

ミライ「あったわ、シルクロードにある鹹湖」
ブライト「鹹湖?」
ミライ「ええ、塩を含んだ湖。そこに行けば塩が取れるかもしれないわ」
タムラ「ほ、ほんとかね?」
ブライト「オペレーター、湖にまわっても問題はないな?」
マーカー「マ・クベの抵抗さえなければどこからでも問題ありませんが」
ブライト「よーし、湖をまわる方が抵抗は少ない、と考えようか_」
ミライ「フフ、ブライトらしくもないわね」
ブライト「笑うなよ」

ラル「情報通りだとそろそろ木馬と接触できる頃だな」
ハモン「はい。それと、マ・クベ様にご連絡を。なんといってもここはキシリア様の管轄ですから」
ラル「うん」
 「マ・クベ大佐の回路を開け」
ジオン兵A「はっ」
ウラガン「マ・クベ大佐はただいまご不在であります。ご到着の折、必要な情報は私から届けよとマ・クベ大佐から申しつかっております。私はウラガン少尉であります」
ラル「さすが手回しのよい。必要なときは連絡をする。大佐にはよろしく」
ウラガン「御武運を」
ラル「ありがとう」
 「聞いたかハモン、手回しのよいことだな」
ハモン「さあ?マ・クベ様は油断のならぬお方と聞いております」
ラル「私はゲリラ屋だ。ガルマ様の仇を討てばすぐに宇宙へ帰る。さて、この辺りで網を張るか」
ハモン「はい」

「いい音色だろ?」
ウラガン「はい。良い物なのでありますか?」
「北宋だな」
ウラガン「は」
「なんだね?」
ウラガン「は、ランバ・ラル大尉には仰せの通り伝えておきました」
「そうか」
ジオン兵A「マ・クベ大佐」
「なんだ?」
ジオン兵A「諜報員から新たな情報が入りました。木馬と思われる船が方向を変えました」
「好都合だな。私の鉱山から離れてくれる」
 「待てよ。ウラガン、ランバ・ラルに教えてやれ。奴が木馬を早く始末してくれればこの辺りにうろうろされることもなくなる。とにかく私が発掘した鉱山の実態をドズル中将に知られるのはまずい」
ウラガン「はっ」
「ハハハ」

ラル「マ・クベの部下も律儀よな。木馬が我らの裏をかいて迂回したことをしらせてくれるとは」
ハモン「さあ、どうですか。マ・クベ様のお考えを」
ラル「心配しすぎだよ、ハモン」

子供達「あ、湖が消えちゃったの?」
アムロ「確かに湖か何かあった跡らしいけど」
タムラ「そ、そんな」
ブライト「地図と照合しろ。間違いないのか?」
マーカー「はい、間違いありません」
ブライト「しかし、おかしいじゃないか」
タムラ「だ、駄目だ」
ブライト「タムラさん」
タムラ「塩がないばっかりにホワイトベースをうろうろさせてしまった。もうジオンに見つかっちまってる」
ミライ「マーカー、この湖のデーターってないものかしら?」
マーカー「探してみます」
 「ロブ・レイク、鹹湖。五百年ごとに西と東に振り子の様に移動する」
ミライ「移動する?データーの地図っていつの?」
マーカー「戦前のでしょう。戦争からこっち、地図を作る人工衛星なんてありはしませんから」
ミライ「ブライト」
ブライト「よし、移動だ。湖を追いかける」
オスカ「何か接近します」
 「二時の方向、地上を一機で来ます。ただし、機種は不明です」
アムロ「相手がわからない?」
ブライト「速度とか高度とか質量から割り出せないのか?」
セイラ『たった一機の敵?』
マーカー「マゼラアタックにしてはスピードが速すぎます。ガウにしては小さすぎます」
ブライト「アムロ、行けるか?」
アムロ「戦力がわからないと辛いですよ。ガンダムで出ていいものかどうか」
ミライ「ホワイトベース、発進させます」
ブライト「全員、第一戦闘配置。ガンダム、ガンキャノン、ガンタンクはスタンバっておけ。発進はもう少し様子を見てからだ」
アムロ「了解」
リュウ「了解」
フラウ「さ、みんな、行こ。第一戦闘配備よ」
子供達「うん」

ハモン「ランバ・ラル、アコース、コズンの展開は終わりましたか?」
クランプ「は、ご覧ください」
 「敵に対して我がギャロップが側面から攻撃を掛け、ラル様以下二機のザクでこれを殲滅します」
ハモン「結構です」

アムロ「ガ、ガンダムが」
 「ジョブさん、ガンダムに誰が乗ってるんです?」
ジョブ「セイラさんだ、特命だって」
 「違うのかい?」
アムロ「そんな命令あるもんか」
 「セイラさん、降りてください」

アイキャッチ 

セイラ「カタパルト装着完了、発進します。あっ」

セイラ「うっ…」
 「シュ、シュミレーションで完全に覚えているつもりなのに、Gがこんなにすごいなんて…あっ」

ブライト「うっ」
ミライ「あっ」
ブライト「左舷、応戦しろ。ビーム砲急げ。ガンキャノン、ガンタンクはガンダムを援護しろ」

ハモン「あっ」
クランプ「おおっ」
ハモン「回避運動を行いながらも攻撃はやめぬように」
クランプ「…はっ」
ハモン「そろそろあの人が出るはず。それまで敵を引き付けておくのです」

セイラ「なんとしてもジオンの兵と接触しなければ」
 「敵?」
 「は、反対からザクが」
 「狙っているのに当たらない、ああっ」
 「こんなに射撃が難しいものだなんて」
ラル「フフフフ、あのパイロットめ、不慣れらしい。気の毒だがいただく」
セイラ「右から」
 「バルカン」
 「うっ、ああっ」
ラル「うおっ」
アムロ「セイラさん、立って。後退してください。場合によっては僕が換装します」
 「チッ、どうせ無線切ってるんだろ」
ラル「長距離援護用のモビルスーツか。手ごわそうだが」
アムロ「行けい」
 「やったか?」
 「セイラさん」
 「まだ敵を確認していないんだ、早く下がってください」
セイラ「…パ、パイロットは?」
アムロ「モビルスーツはそんな簡単な相手じゃありません、セイラさん、下がってください」
セイラ「ああっ…」
アムロ「ああっ」
ラル「フフフ、砂がクッションになってくれなければ、このモビルスーツのグフとてやられていたわ」
アムロ「ええい、こちらに狙いを付けさせないつもりか」
 「あっ」
ラル「うおっ」
アムロ『どこだ?』
ラル「なんとか格闘戦に持ちこまねば。コ、コズン、う、迂闊だぞ、引くんだ」
セイラ「ああっ…」
コズン「大丈夫であります、ラル大尉。このモビルスーツを手に入れますよ」
セイラ「…オートバランサーが効かない。ああっ」
 「ああっ」
コズン「ラル大尉、見ていてください。このモビルスーツをぶん取ります」
セイラ「あっ、メインカメラが」
 「カメラが潰されていく」
コズン「大尉、ヒートロッドで奴の動力部のパイプの一本も焼き切ってください。こいつを基地へ持って帰ります」
リュウ「新型モビルスーツをガンダムに近づけさせたら、助けられるものも助けられんぞ」
ハヤト「は、はい。でも、相手の動きを追いかけるのが」
 「精一杯なんですよ」
 「あそこか」
ラル「ええい、ザクを分散しておきすぎたわ。コズン、大丈夫か?」
コズン「な、なんとか一人で動けないようにしてみます」
ラル「アコース、赤い奴を突破してコズンに近づけんのか?」
アムロ「セイラさん、無線回線を開いてください。力押しじゃ駄目なんです、力だけじゃあ。うわっ」
アコース「し、しまった、弾が切れた。し、しまった」
 「だあーっ」
ラル「アコース、ア、アコース、うおっ」
 「コズン、下がれ。アコースがやられた」
コズン「アコースが?」
 「アコースがやられたのでありますか?」
ラル「そこから離れろ」
コズン「は、はい」
セイラ「…ど、どういうこと?」
コズン「…ラ、ラル大尉…」
アムロ「こいつ」
コズン「うわあっ」
ラル「コズン、コズン、応答しろ、コズン。や、やられたのか?」
 「ハモン、聞こえるか?ギャロップをよこせ。合流する」

ハモン「クランプ、グフはキャッチできましたか?」
クランプ「は、50秒で接触できます」
ハモン「アコースとコズンがやられたらしい。引き上げるのもやむを得ないでしょう」
クランプ「しかし、不愉快であります、ハモン様」
ハモン「なぜ?」
クランプ「せっかくの新造戦艦のザンジバル、なぜあれを?」
ハモン「まだテスト中の物を実戦に投入できますか?それに、ランバ・ラルならこの戦力で木馬もモビルスーツも倒せると思っているのでしょ、ドズル中将は」
クランプ「しかし、不愉快です」
ハモン「マ・クベ様の協力がなければ苦戦をしいられますね」
 「…あの人です」

コズン「…ほ、捕虜の扱いは南極条約に則ってくれるだろうな?」
ブライト「勿論だ。しかし、食事は悪いぞ。我々だって碌なもんが食べられないんだ」
コズン「ご同様さ。お偉方は最前線の俺達のことなんかこれっぽっちも考えてくれんからね」
カイ「ようよう、女戦士のご帰還だぜ」

ブライト「セイラさん、セイラさん」
セイラ「…」
ブライト「あとでブリッジに」
セイラ「はい」

ブライト「…女性だって男と同じように戦えると証明したかった。それだけの理由なのか?」
セイラ「はい」
ブライト「セイラさんのような聡明な人が」
ミライ「ともかく、ほかの人のしめしもあります。三日間の独房入り、いいわね?」
セイラ「構いません」
ブライト「リュウ、頼む」
リュウ「セイラさん」

リュウ「捕虜に食事か?」
フラウ「はい」
リュウ「二人だけじゃ駄目だ」
セイラ「私がやりましょう、フラウ・ボゥ」
フラウ「すみません」

リュウ「…セイラさん」
セイラ「シャア、どうしたかご存知でしょうか?」
コズン「シャア?シャアって?」
セイラ「赤い彗星の。教えてくださらない?」
コズン「ああ、シャア・アズナブルね。ガルマを守りきれなかったんで失脚したよ。故郷へ帰ったとか聞いたけどな」
セイラ「…そう、ありがとう」

リュウ「何を話した?」
セイラ「いくらで私を買収できるかって」

リュウ「三日間ですから辛抱してください」
セイラ「心配しないで、リュウさん」
フラウ「用があったらいつでも呼んでください」
セイラ「ありがとう、フラウ・ボゥ」
 「…兄さん、シャアは兄さんだわ…間違いない。無事でよかった」

ブライト「あった、湖だ」
キッカ「ああっ、きれい」
タムラ「ほう、こんなに移動しとったのか。これで塩が取れるぞ」

次回予告「捕虜のコズンが機密を盗んで脱走を企てる。時を同じく迫るグフのヒートロッドが、ガンキャノンの腕を焼く。カイを救出できるのか?アムロ。機動戦士ガンダム、次回、『アムロ脱走』。君は、生き延びることができるか?」
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