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第27話「女スパイ潜入!」
脚本・星山博之 絵コンテ・斧谷稔/久野弘 演出・久野弘 作画監督・山崎和男

アムロ「これはガンダムの新しいパーツだけで構成されたGファイターです。セイラさんに操縦してもらってますが、特に技術的問題はありません。このGファイターを前後に分割してガンダムを入れる訳で、これがGアーマーです。新しい部品全部とガンダムの組み合わせです。問題はこの空中ドッキングをテストしていないことです。セイラさんでまだ慣れていないんで」
セイラ「悪かったわね」
アムロ「いえ」
 「でも、空中でガンダムからの切り離し、ドッキングについての問題はありません。このスピードなら戦闘中でも行うことができると思っています。レーザーセンサーの照準は甘いようで」
カイ「すまない、ちょっとトイレ」
ブライト「急いでな」
カイ「ああ」
アムロ「使い方の問題点は次にあります。GスカイはコアファイターにGパーツのうしろのエンジンを付けた物で長距離戦闘爆撃機として使える訳ですが、ガンダムの下半身が入っています。しかし、これですとガンダムは使えませんので、Gスカイのイージータイプで使うことが多いはずです。ガンキャノンなりタンクなりのコアファイターを使えばいい訳ですから」

カイ「冗談じゃねえよ」

アムロ「GブルからGアーマーへドッキングします」
 「この盾の部分ですね、新しい部品の最大のねらいはガンダムの装甲の強化です。なのに、ガンダムになる時のことを考えたら、盾を外さなければならない。ですからまず、二枚の盾を重ねるジョイントの開発、それと倍以上の補充部品を用意することです。でないと、一機のガンダムも十分に出動できません」

カイ「ヘッ、みんな一生この船にいるつもりらしいや」

アイキャッチ「女スパイ潜入!」

レビル「…よくわかった。技術的に改善できる事はなるべく早く手を打たせよう」
 「諸君らはホワイトベースのエンジンの整備が終わり次第、南米の連邦軍本部へ向かってくれ。私はヨーロッパ戦線に戻る。では」
ブライト「起立、敬礼」
レビル「健闘を祈る」
 「ああ、三人のちびさんによろしくな」

カツ「シデンさん、降りる気かな?」
キッカ「どこ行くんだろう?」
レツ「そんなことわかるもんか」
キッカ「あっ…」
 「ほんとだね、きっと」
レツ「ああ、だと思うよ」

ブライト「整備急げよ」
クルーA「はい」
クルーB「はい」
ブライト「大佐とな」
クルーB「はい」
アムロ「カイさん」
 「カイさん、どこ行くんです?」
カイ「しゃあねえな。軍人なんてお堅いのは性に合わねえんだから」
アムロ「カイさん、僕はあなたの全部が好きという訳じゃありません。でも、今日まで一緒にやってきた仲間じゃないですか」
カイ「そういう言い方好きだぜ、アムロ。ま、元気でやれや」
アムロ「カ、カイさん」
ブライト「好きなようにさせてやれ」
アムロ「でも」
カイ「ブライトさんよう、無理のし過ぎじゃ戦いは勝てないぜ。だから俺は降りるんだ」
ブライト「無理はジオンの連中だってしているんだがな」
カイ「俺は限界を越えたのよね。ヘヘッ」

アムロ「カイさん」
 「これを持ってってください、売ればいくらかになります」
カイ「それはお前の工作用具だろ?」
アムロ「どこにいるにもお金はいるでしょ?」
カイ「ありがとうよ。俺だってお前の全部が好きって訳じゃねえけどよ、恩に着るぜ」
アムロ「そう思ってくれればうれしいです」
カイ「お世話になったね、ありがとう」
キッカ「行っちゃうの?」
カイ「おう、死ぬんじゃねえぞ」

ブライト「ミライだって軟弱者だって思うだろ?」

ブーン「二番艦に水陸両用の重モビルスーツ・ズゴックがあります。こいつは当てになりますが、我が艦にはゴッグが一機あるだけで」
シャア「それでいい、木馬の足を止めさせろ。木馬があのドックを出てどこに向かうかを知りたい」
ブーン「は、探りは入れさせてありますが」

カイ「電気屋でも開くか。え?アムロ」
ミハル「兵隊さん」
カイ「またあんたかい」
ミハル「その様子じゃ、軍艦を追い出されたのかい?」
カイ「ま、そんなところだ」
ミハル「泊まるとこないんだろ?うちへおいでよ」
カイ「いいのかい?ヘヘッ、訳ありだな」
ミハル「まさか。二、三日ならいいってことさ。あたし、ミハルってんだ。弟と妹がいるけど、いいだろ?」

カイ「それじゃあ、空家に兄弟三人潜り込んでるのか?」
ミハル「あ」

ジル「姉ちゃんお帰り」
ミリー「お帰んなさい」
ミハル「仲良くしてたかい?」
ジル「ああ…」
ミリー「…」
ミハル「いんだよ、お客さんだよ」
カイ「やあ、こんちわ、ヘヘヘ」

ミリー「…」
ジル「…」
ミハル「あんたの乗ってた軍艦だけどさ」
カイ「ああ」
ミハル「すごいんだろ?」
カイ「まあな。船、好きなのか?」
ミハル「うん。浜育ちだからね」
カイ「だけどホワイトベースは船っても、宇宙戦艦って方だからな」
ミハル「そうか、宇宙船なの」
カイ「ああ」
ミハル「なに?」
カイ「いや、俺の思い過ごしさ」
ミハル「あんた疲れてんだろ。毛布持ってくるから休みなよ」
カイ「…?」
ミハル「遠慮することないよ」
カイ「ヘッ、よく仕込んであるよ」

ミハル「いいかい、あいつが外に出たらすぐ姉ちゃんにしらせんだよ」
ジル「うん」
ミリー「わかってる」

カイ「…ほんと、厭だねえ」
 「手間かけるねえ」
ミハル「気にしないで」
カイ「ホワイトベースな、夜にはここ出るぜ」
ミハル「え?」
カイ「右のエンジンが手間取ってるらしいんだ。あそこを狙われたらまた足止めだろうけどさ」
ミハル「カイさん」
カイ「いいじゃねえか。弟や妹の面倒を見ているあんたの気持ちはよくわかるぜ」
ミハル「カイさん」

ジオン兵A「艦長、107号からの情報です。木馬の乗組員と接触中、木馬は右エンジンの修理に手間がかかっているようです」
ブーン「了解」
シャア「うーん、艦長」
ブーン「は?」
シャア「107号はどこにいるのだ?」
ブーン「木馬のいる港です」
シャア「ゴッグで攻撃を掛けている間に107号を木馬に潜り込ませろ」
ブーン「は?」
シャア「万一の場合を考えてだ。いいな?」
ブーン「はっ」
シャア「うまくやれたら、ジオンに帰る手続きを取ってやるよ」
ブーン「恐縮です。大佐はマッドアングラーにお帰りください。やってみせます」
シャア「頼む。あてにしているぞ」

シャア「マッドアングラーに援護の用意を急がせい」
ジオン兵A「は」

ジオン兵A「二番艦、ズゴック、発進」

カラハ「調子は良好だ。俺にはゴッグよりはこいつの方が性に合ってる感じだなあ」

連邦兵A「エリア29の反応が消えました」
連邦士官A「モビルスーツか?」
連邦兵A「不明です。前のよりスピードがあります」
連邦士官A「迎撃態勢を取らせろ」

連邦士官A「緊急出動。こっちはもう少しかかる、ガンキャノンとタンクをまわしておけ。GファイターかGスカイはどうなんだ?」
オスカ「どうだ?」
アムロ「多少電圧にばらつきはありますけど、いけます」
オスカ「よし」

連邦士官A「敵はフリージーヤードを使ってるらしくって追えない?それを突破してやっつけるのがこっちの仕事だろう」

連邦兵A「対潜ミサイル用意」
連邦兵B「港湾警備砲台作動、ソナーと連動させろ」

ブーン「ズゴックが上陸地点に着くと同時に我々も敵前攻撃を掛ける。その間にコノリー、お前が上陸しろ」
ジオン兵A「ズゴックのカラハからCC2受信」
ブーン「よし、援護のゴッグ発進後、浮上」

ブーン「コノリーのボートを出させろ」

セイラ「ドックの囲いは大丈夫ですか?」
オムル「ぶち破ってください。こいつの装甲なら楽にやれます」
セイラ「気安く言うのね。ガンタンクは出てくれて?」
オムル「あ、いえ。シャフトが調子悪くって」
セイラ「そう」
 「うっ」
クルーA「修理は終わった、出動してくれ」
アムロ「ご苦労でした。ガンダム、出ます」

アムロ「セイラさん、ガンダムを乗せてもらいます」
セイラ「了解」

アイキャッチ 

カイ「空襲か?」
 『ホワイトベースが攻撃されている?ミハルがしらせたにしちゃ、早すぎるようだけど』

カイ「お姉ちゃん、どこに行った?」
ジル「す、すぐ帰ってくるよ」
ミリー「…買い物に行ったの」
カイ「ふーん、ほんとか?」
ジル「…ほ、本当だよ」
カイ「信じてやるよ、おまえらの言うことはな」
 「海から攻撃してやんのか」

男A「自転車返してくれえ」
コノリー「軍で借りるんだ、あとで返す」
ミハル「こんにちは。お急ぎですか?」
コノリー「え?あ、あんたが」
 「ああ、いや、別に急いでませんよ」
ミハル「こんな所に呼び出して、なんです?」
コノリー「いや、慣れてなくってな。あんたみたいな人だとは思わなかった」
 「これ、カネだってよ。命令は木馬に潜り込んで行き先をしらせろ、ということだ」
ミハル「どうやって?」
コノリー「そりゃあ自分で考えんだな。とにかく潜り込めってさ」
ミハル「だいぶあるね」
コノリー「やってくれるな?」
 「成功すりゃあまたカネをくれるってさ。これ」
ミハル「…?」
コノリー「中に連邦軍の制服が入ってる。間諜の手紙も」
ミハル「わかったわ、やるよ。弟達を食べさせなくちゃなんないからね」
コノリー「偉いな。俺は帰るから」

ブーン「来たな。シルエットからするとガンダムと戦闘機らしいが」
 「先行のゴッグに攻撃させろ。対空戦用意」

アムロ「セイラさん、気をつけてください。敵は一隻じゃないようです」
セイラ「了解。Gファイター、前方の潜水艦に攻撃を掛けるわ」

ジル「お帰り、お姉ちゃん」
ミリー「お帰り、お姉ちゃん」
ミハル「恐くなかったかい?」
ジル「大丈夫さ」
ミハル「あいつは?」
ジル「少し前に荷物を持って出てったよ」
ミハル「なんか言ってたかい?」
ミリー「頑張れよ、って」
ジル「うん」
ミハル「頑張れ?カイさん」
 「さ、お前達。姉ちゃん、仕事に行ってくる。今度はちょっと長くなるかもしれないけど、いいね?お金は少しずつ使うんだよ。置き場所は誰にも教えちゃいけないよ」
ジル「うん、わかってるって」
ミハル「…この仕事が終わったら戦争のない所に行こうな、三人で」
 「辛抱すんだよ、二人は強いんだからね」
ジル「うん、大丈夫」
ミリー「姉ちゃん、姉ちゃん、母ちゃんの匂いがする」
ミハル「…思い出させちゃたかね」

マーカー「後方四時、モビルスーツが現れました」
ブライト「ハヤト、どうした?ガンキャノンで出させろ」

ハヤト「今出ます」
 「ビームライフル、用意してあるな?」
 「ハヤト、ガンキャノン出ます」

カイ「俺にはもう関係ねえんだよな、ドンパチなんか」

ハヤト「この、この、このっ」
 「うわーっ。な、なんて射撃の正確な奴だ」
カラハ「これがあのガンダムか、ハハハ、噂ほどのものじゃないぜ」

カイ「関係ねえよ。し、しかしよう、チクショウ、なんで今更ホワイトベースが気になるんだい」

セイラ「軟弱者」

カイ「ほんと、軟弱者かもね」

アムロ「うっ」
 「同じ手にのるか」
 「それ見ろ」
 「セイラさん、戦いはどうなって?」
フラウ「アムロ、戻ってきてください。港でハヤトのガンキャノンが敵のモビルスーツに」
セイラ「こちらセイラ、Gファイター。援護の対潜攻撃機が来てくれたわ、大丈夫よ」

カイ「とにかく連中ときたら手が遅くて見てられねえんだよ」
 「止まれ、軍の者だ、止まれ」
 「あとで基地まで取りに来てくれよ、いいな?」

ハヤト「うわーっ」

カイ「ガンタンクはどうしたんだ?ガンタンクは。うわっ」
 「…ええいっ」

カイ「あるじゃねえか、どうしたんだよ」
ジョブ「あ、カイさん、頼みます、シャフトの修理がようやく終わったんです。ハヤトさんはキャノンで」
カイ「…しゃあねえな」

ハヤト「こ、これ以上近づけさせるものか」
カラハ「しぶとい。よーし」
ハヤト「うわあーっ…」
カラハ「ハハハハッ、引きちぎってやる」
ハヤト「だ、駄目だ。やられすぎでパワーが」
カラハ「ん?せ、戦車か?」
カイ「これ以上好きにはさせねえぞ」
カラハ「ようし、水中に誘い込んで一気にケリをつけるぞ」
カイ「…うっ」
カラハ「ハハハハッ、ん?」
アムロ「こいつ」
 「自分の得意な水中で勝負をつけようっていうのか」

ミハル「…」

セイラ「こちらセイラ、敵艦撃沈」
アムロ「うっ、来る」
カラハ「ヘッ、こっちが本物のガンダムらしいが、これでおしまいだ」
アムロ「なめるなーっ」
カラハ「逃がすかい」
カイ「来るな」
アムロ「わあーっ」

マーカー「残った一隻は後退しました」
ブライト「ようし、各部チェック。エンジンの整備終了後、ただちに発進だ」

カイ「よう」
 「アムロのこの工具、一銭にもならねえってよ」
アムロ「そうですか」
セイラ「あら、お帰りなさい、カイ君」
カイ「やあ、セイラさん。皆さんの見てるのつらくってね、ヘヘッ」
 「な、ハヤト」
ハヤト「どうせそうでしょうよ」

マリガン「スパイの107号は木馬に潜入した模様です。ゴッグ、ズゴックは各一機撃沈されたとのことです」
シャア「うん。まあ、そんなとこだな」
 「ブーンの責任だ。彼にはスパイと接触を取る手筈を整えさせろ」
マリガン「はっ」

ナレーター「その真夜中、ホワイトベースは破壊された街をあとにした。一人のスパイを乗せて」

次回予告「シャアの追撃の手は休むことを知らない。危機の連続の中、カイとミハルの小さな心のふれあいが悲劇を生む。ミハルよ、安らかなれ、と誰が言えよう?機動戦士ガンダム、次回、『大西洋,血に染めて』。君は、生き延びることができるか?」
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