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第30話「小さな防衛線」
脚本・山本優 絵コンテ・藤原良二 演出・藤原良二 作画監督・安彦良和

ナレーター「北米を発進したガウの編隊は、シャア大佐を伴って地球連邦軍本部ジャブローを奇襲した。しかし、ガンダムの活躍をはじめ、連邦軍の奮戦によってともかくも撃退した。だが、あのシャアがこのまま引き下がるだろうか?」

アイキャッチ「小さな防衛線」

連邦兵A「ポイントB3、現在までのところまったく異常なし。ジオンの定時爆撃、例のごとし」
連邦兵B「了解」
連邦兵A「こんな辺鄙な所で定時報告もくそもあるかって」
連邦兵C「ぼやくなぼやくな。あちらさんだって給料いただく為にパトロールやってんじゃないん、ああっ」
連邦兵A「どうした?ううっ」

連邦士官A「定時爆撃か。ま、心配する必要はない。それで、ホワイトベースの編成は現行のままで所属はティアンム艦隊の第13独立部隊と決まった。…次に、各員に階級を申し渡す。ブライト・ノア中尉」
ブライト「はい」
連邦士官A「ミライ・ヤシマ少尉」
ミライ「はい」
連邦士官A「セイラ・マス軍曹」
セイラ「はい」
アムロ『僕らはいつのまにか軍人にさせられてしまって』
連邦士官A「アムロ・レイ曹長」
アムロ「…はい」
連邦士官A「カイ・シデン伍長」
カイ「はい」
連邦士官A「ハヤト・コバヤシ伍長」
ハヤト「はい」
アムロ『こんな物もらったの、小学校の卒業証書以来初めてだけど、なんの役に立つんだろ?』
連邦士官A「フラウ・ボゥ上等兵」
 「フラウ・ボゥ上等兵、おらんのか?」
キッカ「やーっ」
レツ「やだよう」
フラウ「もう、待ちなさい、こらっ。あっ、す、すいません」
キッカ「やだもん、どこにも行かないもん」
レツ「そうだ」
カツ「行くもんか」
子供達「わあーい」
キッカ「ベーッ」
連邦士官A「何事だ?ん?」
フラウ「あ、あの子達、育児センターへ行くのどうしても嫌だって言って」
連邦士官A「勝手な事を」
コーリン「そういうことはワタクシが専門です、言い聞かせてみましょう。あ、あなたも一緒にいらっしゃい」
フラウ「はい」
連邦士官A「早く辞令を受け取りなさい」
フラウ「あ、はい」
連邦士官A「なお、名誉の戦死を遂げたリュウ・ホセイは二階級特進、中尉に任命された。ほかの戦死者にも二階級特進が与えられている。以上」
アムロ『に、二階級特進?二階級特進で』
 『二階級特進』
 「そ、それだけ、なんですか?」
連邦士官A「はぁ?」
アムロ「に、二階級特進だけで、それだけでおしまいなんですか?」
連邦士官A「なに?どういうことだ?」
アムロ「戦っている時はなんにもしてくれないで、階級章だけで。リュウさんやほかの人にありがとうの一言ぐらい」
ブライト「よせ、アムロ」
連邦士官A「貴様…おわっ」
 「…なぜよけるか?貴様。よけたら独房入りだぞ」
アムロ「ええっ?」
連邦士官A「このっ」
アムロ「うっ」

フラウ「だいたい口が多すぎるのよね。たまに殴られるのもいい薬だわ」
アムロ「…わかったよ、もういいよ。それよりキッカ達は?」
フラウ「面白い遊び場が一杯あるからって、育児官の人に説得されて行ったわ」
 「…でも、あの子達ここにいて本当に幸せになれるかしら?」
アムロ「幸せ?どこでもおんなじだと思うけどな」
フラウ「ほんとにそう思うの?」
アムロ「置いて行くしかないだろう、仕方ないよ」
フラウ「でも」
アムロ「小さい子が人の殺し合い見るの、いけないよ」
フラウ「そうかもね」

アカハナ「シャア大佐、準備できました」
シャア「よし、行くぞ」

子供達「わあーい…」
ロボット「ジュース、ジュース、オイシイ、ジュース」
キッカ「あたし、ソフトクリーム」
子供A「無邪気なもんだな、みんな」
レツ「はあ?」
カツ「はあ?」
レツ「子供が無邪気じゃいけないのかよ」
子供A「だけどそんなの大人を喜ばせるだけだい」
カツ「おめえ、かわいくないなあ」
子供A「ずっとこんなとこいたらみんなこうなるよ」
キッカ「今ね戦争だよ」
子供A「関係ないや。ここでじっとしてお父様とお母様が会いに来てくれるのを待ってるだけだもん」
キッカ「…かあちゃん、とうちゃん…」
レツ「…やめろよ」
子供A「だって」
レツ「こいつ」
子供A「うわっ」
キッカ「…お姉ちゃん、あたし帰る、船に帰る…」
レツ「ほれ見ろ、みんなお前のせいなんだぞ」
子供A「ぼ、ぼ、僕だって、う、うちが、うちがいい…」
コーリン「どうしたの?みんな」
レツ「あ、来た」
カツ「逃げよう」
レツ「うん」
 「さ、キッカ、走るんだ」
キッカ「うん」
コーリン「お、お待ちなさい、カツ、レツ、キッカ。…どこへ行くの?」

子供達「…」
コーリン「…戻ってらっしゃい、聞こえないの?あ」
 「お返事してください、キッカちゃん、カツ君、レツ君」
 「…ど、どうしましょう…」

子供達「…」
ラジム「ん?誰か来るぜ」
イワノフ「待て、子供のようだ」
レツ「…」
 「さ、キッカ」
キッカ「…」
カツ「あれ…」
キッカ「…」
レツ「カツ、すべるぞ、気をつけて」
レツ「よいしょ」
キッカ「いっしょ」
カツ「おっと」
 「…ん?」
レツ「カツ」
カツ「う、うん」
ラジム「…ヒヤヒヤさせやがるぜ」

アカハナ「シャア大佐」
シャア「連邦軍もここまでこぎつけた。これなど所詮は一部分の物だろうさ」
アカハナ「やりますか?大佐」
シャア「無論だ」
 「ラジム、お前の班はここに仕掛けろ」
ラジム「は」
シャア「私とアカハナの班は木馬のドックに向かう」
アカハナ「は」
ラジム「フッ、ちょろいもんだぜ」

子供達「…」
レツ「がんばれ、ここで捕まったらまた連れ戻されちゃうぞ」
キッカ「ああっ、もうだめ…」
カツ「キッカ、しっかりして」
キッカ「休む」
カツ「もう、しょうがないな」
レツ「あれ?このドア開くよ」
カツ「え、ほんと?」
 「あ、キッカ、ここで少し休んでいこう。そして船に帰るんだ」
キッカ「う、うん」

ラジム「あとどのぐらいだ?」
ジオン兵A「は、5分もあれば」
ラジム「待て、隠れろ」
ジオン兵A「えっ?」
キッカ「くしゃいね」
レツ「誰もいないのかな?」
キッカ「あ、見て、ガンダム」
レツ「わあ、すごーい」
カツ「たくさんある」
キッカ「でもなんだかガンダムと違う」
レツ「そういえばだいぶ違うな」
キッカ「ああっ、足んとこ」
レツ「えっ、足んとこ?」
キッカ「う、なんか動いた」
レツ「ええっ?」
カツ「ええっ?」
レツ「気のせいだよ、何も見えないぜ」
キッカ「だってほんとよ。ほんとに動いたの。人かもしれないよ」
レツ「えっ、人?だったらまずいよ」
カツ「か、隠れよう」
レツ「うん」
子供達「ああっ…」

ミライ「気持ちはわかるけど、つらくなるわよ、きっと、フラウ」
フラウ「でも、もう一度だけキッカ達をそっと見るだけでもいいの」
ミライ「あら?」
フラウ「あの人、育児官」
コーリン「あっ、ちょうどよかったわ。キッカちゃん達が逃げ出したの」
フラウ「ええっ?」

ラジム「悪く思わんでくれよ、坊や達」
ジオン兵A「30分後に爆発するようにセットしました」
ラジム「よし、行くぞ」
レツ「…」
子供達「…」
レツ「…ば、爆弾が…」

アイキャッチ 

ブライト「待たせたな。やっと許可が下りたよ」
アムロ「よかった、見学できるんですか」
 「カイさんも行くでしょ?ガンダムの工場」
カイ「あ?ああ、気晴らしに行ってみるか」
連邦士官A「ブライト中尉、作戦会議室へ至急集合だ」
ブライト「あ、はい」
 「これだ、軍というやつはな。お前達だけで行ってくれ」
アムロ「はい」
ブライト「その方が気楽でいいだろう」

レツ「…やったあ。カツ、は、早く」
カツ「助かった」
レツ「は、早く爆弾を外すんだ」
カツ「うん」
レツ「カツとキッカはこの下を探してね」
カツ「おう」
キッカ「えーっと…」
レツ「どうだ?」
 「おい、見つかったか?」
カツ「…駄目だよ。このままじゃドカンだぞ」
レツ「やだよ、どうしよう?」
キッカ「あったーっ」
レツ「あっ?」
カツ「えっ?」
キッカ「これ、これでしょ?爆弾って」
レツ「ああっ、ここにもあった」
キッカ「…」
レツ「…」
カツ「…キッカ、早く」
レツ「早く」
キッカ「…ああっ」
レツ「こいつ、かかれ、かかれ」
カツ「早くしろよ」
レツ「やってんだけどかかんないんだよ」
キッカ「でも、ほんとに動かし方知ってんの?」
レツ「なんとかするって」
 「やったあ、かかったぞ。よーし次は、これだ」
子供達「わあっ」
レツ「ち、違った」
子供達「わあっ」

アムロ「えっ?」
カイ「ん?」
ハヤト「うわあっ」
アムロ「うわっ」
子供達「わああっ」
アムロ「カツ、レツ達の声?」
ハヤト「な、なんでこんな所にいるんだ?あいつら」
アムロ「追いかけるんだ」
ハヤト「うん」
カツ「わあーっ」
アムロ「車を止めるんだ、カツ、止めろ」
キッカ「アムロお兄ちゃん」
カツ「うわっ」
アムロ「いったい何してるんだ?こんな所を」
キッカ「ジオンがね爆弾仕掛けたの。で捨てに行くの」
カイ「爆弾?うっ、こ、これは」
 「アムロ、ほんとらしいぜ。時限爆弾だ」
アムロ「どこにあったんだ?」
キッカ「ガンダム工場の中」
アムロ「…さあレツ、あとは任せてむこうの車に乗るんだ。早く」
レツ「うん」
アムロ「カイさん、子供達をそちらの車へ」
カイ「任せとけって」
 「よしレツ、お前からだ、こい」
レツ「うん」
カイ「いいか、恐くないぞ。せーの、ほいっ」
レツ「うわあ」
カイ「ほら大丈夫だろ」
 「ほら、次はキッカちゃんだ、ほれっ」
キッカ「うわーい」
カイ「さあ次だ。そーれっ」
カツ「うわあっ」
カイ「よーし、上出来だ」
 「アムロ、いいぞ」
アムロ「ありがとうございます、カイさん」
 「…」
子供達「…やったーっ」
アムロ「ホワイトベースが危ない。これを仕掛けた連中はおそらくホワイトベースも狙ってくるぞ」

シャア「…フフッ、ラジムの方は派手にやったようだな」
 「イワノフ、聞こえるか?」
イワノフ「は、はい、シャア大佐」
シャア「こちらは失敗した。アッガイを出して注意をそらしてくれ」
イワノフ「わかりました」
シャア「行くぞ」

カイ「荒れてきやがったな」
ハヤト「モビルスーツが出てきたんですよ」
アムロ「…?」
 「あれは?」
セイラ「カツ、キッカ」
フラウ「レツ」
ミライ「キッカ、どこにいるの?」
フラウ「カツ」
セイラ「カツ、レツ、返事をしてちょうだい」
ミライ「カツ、レツ」
フラウ「キッカ」
セイラ「カツ、レツ、キッカ」
シャア「ア、アルテイシア」
セイラ「ああっ…」
シャア「やはり」
セイラ「…ま、まさかジオン軍に入っているなんて。やさしいキャスバル兄さんなら」
シャア「軍から身を引いてくれないか、アルテイシア」
ミライ「セイラ、いるの?答えて、あっ」
シャア「いいな?」
セイラ「兄さん、ああっ」
ミライ「セイラ」
セイラ「…」
 「どこにいるの?キッカ」
ミライ「…セイラ」
セイラ「あ、あ、今の銃声なあに?ジオン兵でもいたの?」
ミライ「いたのって、この岩の上にジオンの士官が。気が付かなかったの?」
セイラ「ごめん。じゃあ、むこうに行かない方がいいかしら?」
ミライ「…」

アカハナ「シャア大佐」
シャア「構うな。全員脱出する。作戦が失敗となればただちに撤退だ、いいな?」
アカハナ「は」

アムロ「行きまーす」

アムロ「逃がすものか、四機や五機のモビルスーツなぞ」
 「あっ」
イワノフ「うわーっ、シャ、シャア大佐」
アカハナ「大佐、イワノフのアッガイがやられました」
シャア「止まるな、止まったら助かるものも助からんぞ、走れ」
アムロ「ん?」
 「シャア」
 「逃がすものか」
ラジム「ま、まだ来る。うわっ」
 「来る」
シャア「アッガイといえども、一瞬のうちに四機も仕留めたのか。腕を上げた。あっ?」
 「地下水脈」
アムロ「わあーっ」
 「…ま、前が」
 「シャアのことだ、この隙に逃げたな」

コーリン「あなた方の気持ちはわかるわ。でも、ここにいれば安全であることは間違いない。それに子供達は連邦軍の未来を背負う者として大切に育てられるんですよ」
カイ「今日みたいなことがあってもかい?」
フラウ「それに、この子達の気持ちを考えれば、あたし」
アムロ「それに、連邦軍の未来って。この子達が生きてる間にジオンも連邦軍もない世界だって来るかもしれないでしょ。そんなふうにお考えになれませんか?」
カイ「うちのチビ達はね、そんじょそこらのとはちと違うのよ。今まで何度も何度もドンパチの中、俺達と一緒に潜り抜けて戦ってきたんだぜ。大人のあんたにだって想像のつかない地獄をね、このちっこい目でしっかり見てきたんだよ。わかって?俺達と離れたくないんだよ」
 「な?」
子供達「うん」
コーリン「で、でも」
 「そ、そうかもしれないわね。手続きはワタクシがなんとかしてみます」
フラウ「じゃ、じゃあ」
子供達「うわーっ、やったー」
フラウ「よかった、よかったわね、みんな」
キッカ「…」
ミライ「…」
ハヤト「よかったなあ。これからも喧嘩できるな」
カイ「そうそう」
アムロ「うん」

ナレーター「その頃、地球連邦軍はシャアのゲリラ攻撃等の理由によって、宇宙戦略を急ぐことに決定した。提督達は考えたのである、ホワイトベースの実力をジオンは高く評価しており、これはおとりとして絶好である、と」
ブライト「第13独立部隊というのはおとり専門ということなんですか?」

次回予告「ホワイトベースは発進する、巨大な戦場の待ち受ける宇宙へ。シャアの追撃はついに艦隊攻撃を行わしめる。迫る巨体がモビルスーツを粉砕するか?機動戦士ガンダム、次回、『ザンジバル,追撃!』。君は、生き延びることができるか?」
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