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第31話「ザンジバル,追撃!」
脚本・星山博之 絵コンテ・斧谷稔 演出・久野弘 作画監督・安彦良和

ナレーター「不敵にもシャアは地球連邦軍本部ジャブローに潜入した。しかし、カツ、レツ、キッカの活躍とガンダムの追撃の前に撤退せざるをえなかった」
アムロ「シャアの奴」

アイキャッチ「ザンジバル,追撃!」

ゴップ「ティアンム艦隊は二十一時にここジャブローを発進する。そこで君達ホワイトベースは、その二時間前に発進してくれたまえ」
ブライト「二時間も前に、でありますか?」
ゴップ「そうだ。あ、おとり艦はほかに三隻出す」
ブライト「…」
ゴップ「ティアンム艦隊はまっすぐにルナ2に向かわせるから、ホワイトベースは反対の人工衛星軌道に乗っていく。そのあとでジオンの宇宙要塞ソロモンを叩きに行くという訳だ」
ブライト「は。ホワイトベース、本日19時をもって発進いたします」
ゴップ「ミライ少尉も体には気をつけてな」
ミライ「ありがとうございます、提督」
ゴップ「大丈夫、ソロモンが落ちれば国力のないジオンは必ず和平交渉を持ちかけてくるよ。そこでこの戦争はおしまいだ。そしたら婿さんの面倒を見さしてくれ」
ミライ「え、ええ」
ゴップ「あ、ああ、フィアンセがいたっけな。ああ、すまんすまん」
ミライ「あ、い、いいえ…」

ミライ「フィアンセっていったって親同士の話よ」
ブライト「どこにいるんです?」
ミライ「戦争を避ける為にサイド6に逃げたとか。来るべきものが来たって感じね」
ブライト「ああ」

カイ「お帰り」
ブライト「ホワイトベースは一時間後にここを出発する。それまでに各部署の準備を急げ」
スレッガー「よう、ホワイトベース隊の責任者は誰だい?」
カイ「なんの用だい?」
スレッガー「どこにいるんだよ?」
カイ「ブライトさん、お呼びだぜ」
ブライト「ん、なんです?」
スレッガー「スレッガー・ロウ中尉だ。今日付けでこっちに転属になった」
ブライト「ミライ、聞いているか?」
ミライ「えっ?あ、あります」
スレッガー「ははは、俺もついてきたな、こんなきれいなお嬢さんとご一緒できるなんて」
ミライ「よろしく、ミライ・ヤシマです」
スレッガー「よろしく」
ミライ「…」
カイ「ヘヘヘヘッ」
スレッガー「へへヘヘッ」
 「よろしく、お嬢さん」
セイラ「セイラ・マスです」
スレッガー「んー?あんた、男の人の事で悩んでる相が出てるよ」
セイラ「えっ?」
スレッガー「ははははっ」
 「よう、俺のねぐらどこ?」

ゴップ「大いなる戦いの第一歩は諸君らの勇気ある行動にかかっている。この戦いに我が連邦軍が勝利した暁には、今日という日は偉大な一日として国民に記憶されるであろう。全将兵の健闘を祈る次第である」
カツ「体の大きいとこなんか死んだリュウさんにそっくりだ」
キッカ「リュウみたいにやさしいかな?」
カツ「お調子もんらしいぜ」
スレッガー「…フフフ」
ブライト「さて、いよいよ発進だ。各員持ち場につけ」
 「ドッキングロック解除、ホワイトベース発進」

連邦兵A「上空クリアー。ハッチ開け」

キッカ「うわ、トイだぁ」
カツ「きれー」
ミライ「…」
ブライト「手の空いている者は左舷を見ろ、フラミンゴの群れだ」
オスカ「ビデオに撮っておきます」
ブライト「よし、許可するぞ」

シャア「木馬はどうなっているか?トクワン大尉」
トクワン「は、南米のジャブローは発進したようであります」
シャア「よし。急げ」

トクワン「30分ほどで戦闘圏内に入れます」
シャア「ご苦労だった。キシリア殿はお怒りだったのか?」
トクワン「はあ」
シャア「我ながらそうは思うよ。このザンジバルがビグロの実戦テストの準備をしていなければ木馬を追いきれなかった」
トクワン「シャア大佐、ご覧になりますか?ビグロを」
シャア「うん、見せてもらおうか。作戦を考える必要がある」

トクワン「このモビルアーマーのビグロなら、高速戦闘力に関してはモビルスーツなど物の数ではない、ということです」
シャア「しかし、一機では作戦はできんぞ」
トクワン「は、ドムが二機とテスト中止のモビルアーマーが」
シャア「ドム?陸戦用のか?」
トクワン「は、バーニアをパワーアップしてあるリック・ドムです」
シャア「改造型か?」
トクワン「ザクタイプよりははるかに使えます」
シャア「うん」
ジオン兵A「急いでくれよ、出撃は近いんだから」
シャア「パイロットを集めろ。木馬がどこに向かうかわかったところで追撃戦だ」
トクワン「は」

マーカー「追いかけてくるのはどうもザンジバルクラスの戦艦ですね。このままですと20分で追いつかれます。直撃が来ます」
ブライト「よし、コースこのまま、ポイントE3で加速する」
ミライ「はい。そうすれば、ホワイトベースはいかにも月へ向かうように見えるわね」
ブライト「それがつけめさ」
セイラ「シャアがでてくるわ、必ず来る」
ブライト「セイラ、まだそこにいたのか」
セイラ「…」
ブライト「Gアーマーをチェックする時間もないぞ」
セイラ「す、すみません」
ブライト「なぜわかるんだ?シャアが来ると」
セイラ「い、いえ、ホワイトベースってあの人と因縁あるでしょ、だから」
ブライト「恐いのか?」
セイラ「恐くない人、いて?」
ブライト「どう思う?ミライ」
ミライ「ええ、疲れてるんでしょ。それで怯えているんだと思うわ」
ブライト「だろうな」

ジオン兵A「木馬の推定コースが出ました。このままですと月へ向かいます」
トクワン「月だと?キシリア様のグラナダへ向かうのか」
シャア「まさかな」
トクワン「は?」
シャア「引っ掛かったんだよ、我々は。木馬はおとりだ。今頃南米のジャブローからは別の艦隊が発進している頃だ」
トクワン「ならば、転進してそれを」
シャア「本気か?我々が背中を見せれば木馬が攻撃してくる。この機会に先制攻撃を仕掛けるしかない」
トクワン「は」

マーカー「ザンジバルをキャッチしました。最大望遠です」
ブライト「何分で攻撃が来る?」
マーカー「待ってください。このままなら2分20秒後に直撃がきます」
ブライト「アムロ、セイラ、Gスカイ、Gブル、出動用意。ガンキャノンはスタンバイのまま待機」

ジオン士官A「各砲座開け。ビーム砲開け」
シャア「トクワン、ビグロ発進、いいな?」
トクワン「は」
シャア「続いてリック・ドム二機発進用意」
トクワン「トクワン以下二名、発進します」

ブライト「Gスカイ、Gブルイージー、発進急げ。ホワイトベースの後方に展開して敵のモビルスーツを撃破する」
スレッガー「男の人の事で悩んでいるね?」
セイラ「もし、ザビ家に対して仇を討つ為なら、そんな生き方、私には認められない」
アムロ「Gスカイ、行きます」
セイラ「Gブルイージー、発進します」

アムロ「セイラさん、もっと離れてください。このまま直撃を受けたら二機ともやられてしまいます」
セイラ「了解」
アムロ「気を付けてください、スピードを上げると重力に引っ張られて落下します。絶えず上昇する気分で飛行してください」
セイラ「ありがとう、気を付けるわ」
 「来た」

ブライト「後方ミサイル、迎撃急げ」
 「ううっ」
ミライ「うっ」

アムロ「来たな」
 「よーし、見てろ。うっ」
セイラ「あっ」
 「は、速い」
トクワン「このビグロのスピードをよけられるか?」
セイラ「な、なんてパワーなの。けど、引っ掛け方が悪かったわ、ビーム砲で」
 「ま、まさか、このモビルアーマー、兄さんがパイロットだなんて」
 「ああーっ」
アムロ「だ、駄目だ、セイラさん、上昇するんです」

マーカー「モビルスーツは三機です、ガンキャノンも出してください」
ブライト「よし、カイにガンキャノンを発進させろ。スレッガー中尉はどこだ?」
スレッガー「おう、なんだ?ブリッジのすぐ下にいるぜ」
ブライト「ご専門はなんでしょう?」
スレッガー「大砲でも戦闘機でもいいぜ」
ブライト「主砲の方にまわっていただけませんか?中尉」
スレッガー「条件がある」
ブライト「条件?」
スレッガー「ホワイトベースを敵に向けてくれ。慣性飛行をしているからできるはずだと思うがな」
ブライト「しかし、それでは追い付かれる」
スレッガー「じゃあやらねえ。当てる自信がねえからよ」

アイキャッチ 

シャア「いいか、あと15秒だけ攻撃しろ。これ以上の攻撃は味方のモビルスーツを撃ち落すことになるかもしれん」

スレッガー「おっと」
子供達「わあっ」
スレッガー「やれやれ、これじゃあな」
レツ「うしろの機銃でやっつけるんだ」
キッカ「おう」
スレッガー「やってくれやってくれ」

シャア「木馬の奴、なかなか手馴れてきたな。艦長が変わったのか?しかし、まさかとは思うが。民間人があのまま軍に入って木馬に乗り込むなぞ」
 『アルテイシア、アルテイシア、しかしあの時のアルテイシアは軍服を着ていた。聡明で、戦争を人一倍嫌っていたはずのアルテイシアが』
 「フフフ、再び宇宙戦艦に乗り込むなどありえんな」
 「よし、あと3秒で砲撃中止。当てろよ」

スレッガー「ああっ。おおっとっと…」
ミライ「あっ…」
スレッガー「ご、ごめんよ、悪気じゃないんだ…」
 「ブライト中尉さんよ」
ブライト「中尉、一言言っておくがあなたは私より年上だが指揮権は私にある。それを」
スレッガー「それは当然だ」
ブライト「そりゃどうも」
スレッガー「だから頼んでるんだ。ホワイトベースの主砲を使えるように早いところ回れ右をしてくれ、と」
ブライト「今は無理だ。もう少し待ってくれ」

セイラ「パ、パワーが上がらない。どうして上がらない?」
アムロ「リアミサイル、射角、プラス12度」
トクワン「フン、ミサイルの弾幕を張るっていうのはこういう風にやるのよ」
アムロ「くっ」
 「うわあーっ…」
トクワン「下へまわり込んだのか?」
アムロ「いくぞ」
トクワン「よくやるぜ。下へ下へとまわり込んだら落ちるかもしれねえってのによ。しかし」
セイラ「ああっ」

マーカー「敵三機のうち一機はモビルアーマークラスのようです。ガンキャノン発進、急がせてください」
ブライト「カイ、何してるんだ?」
カイ「オーライ、いろいろあってね。カタパルトOKよ」
ブライト「アムロとセイラを援護してくれ」
カイ「了解。行きますよ」
ブライト「ガンタンクは発進口に固定しろ。砲台として使う予定だ。いいな?」

オムル「了解しました。ハヤトには伝えます」

ブライト「ホワイトベース、180度回頭」
スレッガー「ははははっ、いいねえブライト中尉。あんたはいい」
ブライト「主砲の射撃をやってもらいたいものだな」
スレッガー「ミライさん、船は任したからね。頼んだよ」
ミライ「…」

カイ「さてどこだ?俺だっていつまでもふさぎ込んでいる訳にはいかねえんだ」
 「よくやれると思うよ、セイラさんもアムロもよ。ん?」
アムロ「…こ、このままじゃ」
トクワン「圧倒的にこっちのもんだな。もう時間の問題、おおっ」
アムロ「セイラさん」
 「カイさんか。ようし、この間にガンダムに換装させてもらう」
 「と、とにかくスピードを落とさせないと。やってみるか」
 「直撃したらおしまいだが、落下速度を落とさないと」
セイラ「ううっ」
アムロ「よし」
 「いいですか?ドッキングに入ります」
 「セイラさん、大丈夫ですか?」
セイラ「ええ。アムロ、急いでね」
アムロ「はい」
セイラ「アムロ、あのモビルアーマーのパイロット、どういう人だと思って?」
アムロ「え?なぜですか?」
セイラ「…ううん、いいのよ」
 「アムロ、ドムが来たわ、急いで」
アムロ「はい」
セイラ「アムロ」
アムロ「だ、大丈夫。なんとかします」
セイラ「Gファイター、ドッキング終了」

マーカー「モビルスーツの戦いは高度が下がっています。砲撃戦に入れます」
ブライト「総員、艦隊砲撃戦用意」

シャア「Jタイプのミサイルが使えんのはやむを得んな。砲撃戦用意。回避運動を行いつつである。よーく狙え」
ジオン兵A「30秒で有効射程距離に入ります」
シャア「木馬の射程距離とどちらが長いか。神のみぞ知るというところか」
 『アルテイシア、乗っていないだろうな?』

ブライト「回避運動は3秒単位だ」
ミライ「了解」
マーカー「あと20秒で射程距離に入ります」

ジオン兵A「あと20秒で撃てます」
シャア「うむ」

マーカー「あと15秒です。各員、用意」
スレッガー「ヘッ、このホワイトベースの主砲の威力がどのくらいあるものか知らんが、まあ見ていろ」
マーカー「3、2、1」
スレッガー「おし」

ジオン兵A「来ました。こちらも」
シャア「待て」
ジオン兵A「ううっ」
シャア「まだ撃たせるな。引きつけて撃つ」

ブライト「ミサイル、連続発射だ」

シャア「…よし、よく我慢した。撃てっ」

ハヤト「ザンジバルめ、なんとしてでも撃ち落してやる」

シャア「よし、木馬にぶつかるつもりで突っ込め」
ジオン兵A「は、しかし」
シャア「うろうろ逃げるより当たらんものだ。私が保証する」
ジオン兵A「は」

マーカー「ザンジバル、よけません。突っ込んできます」
ブライト「なんだと?ミライ、右へ逃げろ」
 「シャアだ。…こんな戦い方をする奴はシャア以外にいないはずだ。セイラの言った通りだ、シャアが来たんだ」

シャア「木馬は怖気づいている。砲撃手はよく狙ってな」

スレッガー「こいつ」

ジオン兵A「ああっ」
シャア「うっ、直撃か?」

スレッガー「どうだい。俺の乗っている艦に特攻なんか掛けるからよ」

ブライト「後部ミサイル、撃て」

セイラ「あっ」
 「ああっ…まだまだ。逃げるものか」
 「あと一機のドムは?ガンダムは?」
アムロ「よし」
 「速ければ狙いも正確でなくなる」
トクワン「ビグロの使い方、見せてやるぜ」
アムロ「クッ」
 「うわあっ…」
トクワン「ん?付属物が付いたぞ。まさかガンダムだったら?い、いや、もし捉まったなら加速度のショックでパイロットは気絶しているはずだ」
アムロ「…そ、そうか」
 「クッ」
トクワン「…なぜだ?パイロットは平気なのか?うおおっ」
アムロ「ほかのモビルスーツと、ザ、ザンジバルは?」
セイラ「モビルスーツ一機は後退したわ。アムロ、大丈夫?」

シャア「トクワンが沈められた」
デミトリー「シャア大佐」
 「私に出撃させてください」
シャア「あせるな。奴らは我々の庭に飛び込んだヒヨコだ。まだチャンスはある」
デミトリー「はい」
シャア「破損個所の修理を急がせ」

アムロ「セイラさん、どうしてあんなことを?」
セイラ「えっ?」
アムロ「さっき、モビルアーマーに誰が乗っているかって聞いたでしょ?」
セイラ「何か手ごわい相手だったでしょ、それだけのことよ」
アムロ「そうですか」

ブライト「まず第一段階は成功だな」
ミライ「そうね、ザンジバルの目は眩ませたはずよ」
ブライト「スレッガー中尉、さすがですね。直撃はあなただけでした」
スレッガー「いやあ、まぐれまぐれ。それよりさすがだねえ、皆さん」
ブライト「ああ。みんなご苦労」
カイ「敵も足が速くなったからよ」
アムロ「どうだった?」
ハヤト「恐かったよ、ザンジバルとすれ違ったときはさ。あれはシャアの戦法だな」
アムロ「シャアか」
ハヤト「うん。ほかの奴にできる戦法じゃない」
スレッガー「いやあ、尊敬しちゃうよ、セイラさん。モビルスーツ一機撃墜、たいしたもんだい」
セイラ「そ、そんな、やっとのこと」
スレッガー「そんなことはない、俺にはわかるよ。あんたの強さはすごいよ」
 「よう、シャワーでも浴びさせてもらうぜ」
ブライト「5分間だけならな、ジオンはまたすぐに来る」
スレッガー「了解」
 「ミライさんも行かない?」
ミライ「お一人でどうぞ」
スレッガー「はいはい」
 「よう、行こうぜ」
カイ「行こ行こ」
アムロ「はい」
ハヤト「はい」
キッカ「行こ行こ、一緒に行こう」
セイラ「…」

次回予告「シャアの追撃を振り切ったホワイトベースの前に、ドレン大尉率いるムサイ艦隊が立ち塞がる。スレッガーの奮戦、そして、ガンダムはムサイに特攻を掛ける。機動戦士ガンダム、次回、『強行突破作戦』。君は、生き延びることができるか?」
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