暁の月

 

長い長い夢がやっと覚めて、がばっ、てベッドに起きあがって…。

そんでさ、慌てて隣を見るんだ。……したら、やっと安心するんだってばよ。

隣で寝てる、イルカ先生の顔。すんごい安心しきって寝てる。その寝顔見て、俺も安心するんだってばよ。大丈夫だな、って。ここに俺が居たって大丈夫なんだな、って。

 で、そのままベッドに潜り込む。イルカ先生の暖かさの中で眠るのって、大好きなんだ…。

 

 誰も、俺を認めてくれない。いや、見ることさえしてくれないんだ。俺の事、誰も気づいてくれない。いや、気付かない振りするんだ。

「こんな子は見えない。何も聞えない。居やしないんだ」

道の真中で俺が転んだって誰も振り向いてくれやしない。叫んだって、呼びとめたって誰も何もしてくれない。…もう、慣れたから。だから気になんてしない。俺は自由なんだから。誰にも拘束されない。束縛されず、何をしたって怒られすら、しないんだから…。

 

 だからこそ。最初イルカ先生が俺に声をかけてくれたのが嬉しくてしょうがなかったんだ。なのに、俺は何て答えていいのか分からなくて…。結局、無視しちゃったのに。

なのに先生、俺に会う度に声をかけてくれた。嬉しくて嬉しくて。だから先生の気を引きたかった。わざと先生の前で授業失敗したり、悪戯したり…。その度に先生が叱ってくれる。それが嬉しくてたまらなかった。

先生には、俺が見えてるんだ。俺の声が聞えるんだ。俺は先生の前に居るんだ!!!

「ナルト、好きだよ」

先生の照れた声、今でも耳に残ってる。俺はその言葉にわんわん泣いて、そして先生に抱きついた。先生、大好き! 大好きだよ、俺も!! って。先生はぶきっちょに…でも優しく涙を拭ってくれた。

 

「ん……。ナルト?」

眠そうなイルカ先生の声。

「あ、ごめんってばよ。起こした?」

「いや…。まだ暗いぞ…?」

「うん…。何か、目が覚めたんだってばよ」

「そんなとこ、寒いだろ? 何してるんだ?」

出窓に腰かけて空を見てる俺。

「ううん。寒くなんてない。イルカ先生、ほら。夜が明ける」

山の端が薄紅に染まり始め、世界が目覚める。

 そして空には、取り残された月がかかる。

────俺みてー。

明るい空の下では月の光は弱すぎる。誰にも気付かれず、一人ぼっち。俺と同じ。

「お、今日は月が残ってるな」

気が付くと頭の上でイルカ先生の声がした。

「こんな明るくなったら、誰も月になんて気が付かないってばよ」

雲に半分姿を隠された月が、泣いてるみたいに見えた。

「何言ってんだ。少なくとも俺とお前は気付いてるだろ? それで充分」

ぽん、と頭に手を置かれた。

「月に群雲、ってな…。ほら、ナルト。風流なもんだ」

イルカ先生も出窓に腰かけ、俺を膝の上に乗せた。

浅葱色に変化する空に浮かんだ月は、雲の間から弱々しい姿を覗かせる。

「気付いてない奴には気付かせればいい。それでも気付かない奴は放っておけ。構わないさ。人それぞれなんだ。……だけど、俺は気付いたよ」

最後の言葉は、俺の耳もとに囁くように。

ぼろっ。

涙腺、弱くなったんじゃないのかなって思うくらい、よく涙が出る。

イルカ先生は俺の涙を舌で嘗めとってくれた。

 

終わり

 

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何じゃそりゃ、ってな感じになってゴメンなさい(滝汗)無茶苦茶待っていただいた上にわけの分からんモノ押しつけてほんとごめんなさぁ〜い(涙)

 らぶらぶ〜vなイルナル、って感じで書いてみました。