ビデオに登場する人々の名前はイニシャルにしました。

発言者音声映像・テロップ備考・メモ
アナ続いてお伝えしますのは、四月二十八日に放送いたしましたNHKスペシャル「奇跡の詩人」です。放送終了後、全国のみなさんから感動したというお手紙や電話をたくさん頂戴いたしました。が、一方で、信じられないという声も、たくさん頂戴いたしました。まずは、番組のごく一部をごらんいただきましょう。
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アナ○○○○君(以下R君とする)。脳に障害がありながらこれまでたくさんの詩を綴ってきました。番組では、R君とその家族の日々を紹介しました。4/28NHKスペシャル_3:59〜
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アナ番組の制作を担当しました山元チーフプロデューサーです。山元さん、信じられないという方の中にはですね、どんな具体的な質問が多かったんでしょう。
山元はい。えー、二点あったんですけれども、あんなに速い動きで、ほんとに文字を指しているんですかと、いうものと、書いているのはほんとにR君なんですかと、いうのがありました。その二点については、わたしたちが最初に確認するべき点でしたので、どのように確認したのかということをご紹介していきたいと、いうふうに思います
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たりき……ほんがん?4/28NHKスペシャル_5.13〜
『ひとが否定されないルール』P181
山元お母さんは、他力本願と読み上げているんですが、速いため、確かにわかりにくいと思います。そのシーンをもう一度、スローモーションでご覧ください。R君が指す指は、中指ですのでご注目ください。今、た≠指しています。り=Aき≠フあたりです。中指は文字を指していることがわかります。次です。ほ=Aちょっとわかりません。か≠フあたりです
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山元ちょっとおわかりにくかったかもしれませんけども、R君とお母さんの間には約束事がありまして、文字盤の左端にん≠ニいうのがあるんですが、そこは非常に指しにくいんですね。そこを指す場合は、大体左の端の方を指すと、いうふうなことになっているんだそうです。それともうひとつは濁点。濁点は省略して指すことになっていまして、たとえば、えー、他力本願≠ニいう言葉はたりきほんかん≠ニ。いうふうな、指すふうに(発音不明瞭)なっているんだそうです
アナじゃ、そのあたりをもう一度、見せてもらえますか
山元はい。ではご覧ください
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山元た・り・き・ほ・ん・か・ん上記の映像の繰り返し
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アナで、もう一つの質問がですね。R君が本当に書いてるんですかというご質問があったんですけども、これはどう確認したんでしょう。
山元はい。えー、R君が、この文字盤を使い始めてまだ間もない頃のビデオがあるんですね。そのときの映像をご覧ください
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山元お母さんは、手を支えているだけ。R君は自分の意志で文字を指しているということがおわかりいただけるのではないかと思います6歳当時の映像4/28NHKスペシャル_14:25〜
かれは、うーん、かれは、わたし、に? 彼は私に? い、い、ま、いいま≠ワでいい? 彼は私にいいま……
山元お母さんの問いかけに、今、はい≠ニ指しました」
いいま、し、た。ぎゃは(発音不明)、まる
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アナ確かに現在ではゆっくりなんですけども、こう、指し示しているようですね
山元はい。あの、R君はひとりでも指すことができまして、今でもこういう風に指すことはできるんですね(左腕を下ろす)。ただし、戻すことができないんです。そこをお母さんは、こういうふうに戻してあげてると(右手で左腕を戻す)。こういうふうにしてるんですね。でー、こういった訓練を六年間、毎日のように続けてきて、この手の微妙な動きをお母さんがわかるようになって、今のような方法を身につけてきたと、いうことなんです
アナその、R君の手の動きを、お母さんが読み取れないってことはないんでしょうか
山元え、えー、そのような場面をですね。我々はしばしば目にしておりました。どうぞご覧ください
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世間、一般、とか、常識かな? 常識にとら、われつ、づかな、われづに?4/28NHKスペシャル_48:12〜
『ひとが否定されないルール』P27〜28
山元常識=Aと指す場面を、もう一度スローモーションでご覧ください。
R君は、し=Aよ=Aう=Aし=Aき=Aと指しました。お母さんはここで、R君に聞きます。文字盤には、R君に確認するために、はい≠ニいいえ≠ェあります
05:30
(スーパーインポーズ――母の声:じょうしきかな?)
山元R君は、はい≠フほうを選んでいるようですね。次にR君は、と=Aら=Aわ=Aれ=Aつ≠ニ指しますが、お母さんは、さいごのつ≠フ文字が、つ≠ネのか、づ≠ネのかわかりません06:03
(スーパーインポーズ――母の声:「つ」、「づ」かな?)
山元するとR君が、に≠ニ指しました
(スーパーインポーズ――母の声:(とら)われづに)
山元お母さんは、ここでようやく、R君が指したつ≠ヘ、とらわれづに≠ノのづ≠セと気づいたのです(とら)われづに
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山元最初見たときには動きが速いため、とてもこんなやりとりをしているっていうのは気が付かなかったんですよね。しかしこうした会話は日常的に行われているところを私達は見ています。
アナこんな言い方をしてはなんなんですけども、お母さん自身がですね自分で指して、自分で読み上げているということは考えられないのでしょうか
山元はい、私達はR君を半年近く取材していたんですけども、R君にちゃんと自分の意思があることを示すいろんな場面を見てきました。R君だけが知っていて、お母さんが知りえない話をR君がいつもと同じ速さで文字盤を指し示すということは何度かあったんです。こうした状況の積み重ねから私達はR君自身の意思や理解力が確かにあると確認しました。
アナR君はたくさんの本も読んでいるようですね。
山元はい、えー実際R君が本を読むときのスピードっていうのはかなりの速さで読むことが出来るんですけども、えー一度こういうことがあったんですが、あのー、R君が印刷したばかりの原稿のゲラを読んでいたんですね。
で、私達は果たしてどれくらい果たして理解しているものだろうかと思っていたんですけども、その後そのとき読んだ記憶を頼りにして、いちいちゲラを見返さなくてそれでお父さんと共同作業で、ゲラの校正をしていくことをやっていました。
でー、R君のケースではないんですけど、すばやく読んで記憶していくということはですね、そういった方がいることは知られていまして、専門家の間でもそうしたメカニズムに脳機能の面からアプローチしようとしているというようにしているそうです。
えー、私達は今回の取材の過程で脳に障害を持った子供達の治療に携わるお医者さんたちの間でもですね、高い能力を発揮する子供の存在が認められいるということを知りました。
今回の番組でご紹介しましたのは、あくまでもR君の個人のケースで全ての人にあてはまるケースではないということです。
私達は今後もこのR君をずっと見守ってゆければと思っています。
アナはい、NHKスペシャル『奇跡の詩人』を担当いたしました山元チーフプロデューサーでした。