
■ 手塚治虫傑作短編紹介 ■
1.あらすじ ・・・山奥の小さな分校に通っているモウ太は、町なかの本校に行くたびに「田舎者」とバカにされいじめられていた。そんなある日、モウ太は、橋の下でたたずんでいる奇妙な少年に出会う。雨をまといつかせ、頭から傘をかぶったその少年は、自分は、捨てられた古い傘から生まれた雨ふり小僧だと名乗る。モウ太のはいている長靴を欲しがり、「長靴をくれたら、3つの願いをかなえてあげる」と言う彼に、モウ太は、「町の子も持っていない珍しい宝物が欲しい」 「本校の奴らをこらしめてくれ」と頼む。 雨ふり小僧のおかげでいじめっこ達をやっつけることができ、上機嫌のモウ太だったが、分校が火事だという知らせを受け、「雨を降らせて火を消してくれ!」と3つめの願いを口にする。火に近づいたら燃えてしまうと尻込みする雨ふり小僧に、「火を消してくれたらきっと長靴をやる。あの橋の下で待ってるから」と約束するモウ太。 その言葉につられ、火の中に飛び込んだ雨ふり小僧は、校舎の上に大雨を降らせて何とか火を消し、長靴を受け取るため、橋の下でモウ太が来るのを待つ。一方、分校が廃校になり町へ引っ越すことになったモウ太は、引越に気を取られて約束をすっかり忘れ、喜々として村を後にするのであった。 モウ太が村を離れたことなど知らない雨ふり小僧は、橋の下で彼をじっと待ち続ける。やがて木の橋はコンクリートに変わり、川の両岸に家が建ち並び、四十年という歳月が流れ・・・・。 2.みどころ ・・・モウ太の言葉を信じ、ひたすら待ち続ける雨ふり小僧。橋の下にじっとたたずむそのひたむきな姿に胸を打たれない読者はいないであろう。人間(モウ太)の身勝手さと、妖怪(雨ふり小僧)の疑うことを知らない悲しいまでの純朴さ。30Pという限られた枚数の中でこれだけの感動を与えられるとは、手塚短編のレベルの高さに脱帽である。 3.詳細 ・・・手塚治虫漫画全集(MT123)「タイガーブックス」(3) 講談社発行 520円 他
1.あらすじ ・・・「汎地球防衛警察同盟」の決死隊員である潮(うしお)と味島(みしま)は、本部の命令で地球にやってきた宇宙船を襲い、ほとんどの宇宙人を殺害した。宇宙船に残っていた5人を本部に連れて行くため車に乗った2人であったが、味島が誤って爆発スイッチを押してしまったため、灼熱の太陽の下、広大な砂漠を本部まで歩いていく羽目に陥ってしまう。 水も食料もない彼らにとって、砂漠の苛酷な環境は地獄そのものであった。無情に照りつける太陽が7人の体力を徐々に奪っていく。皆の飢えと渇きがピークに達した時、宇宙人の1人が突然ナイフで自分の腕を切り落とし、火であぶったそれを驚いている2人に差し出した。別の宇宙人は、植物人である自分の身体から水をしみださせ皆に分け与えている。地球では考えられないような、自己犠牲の習慣を持った宇宙人達と行動を共にしているうちに、2人の宇宙人に対する感情は次第に変わっていくのであった。 2.みどころ ・・・個性豊かな宇宙人達。健気で純粋でいじらしくて、とても切ない。エゴイステイックな人間達とピュアな宇宙人達の葛藤と交流。使い古されたテーマを手塚先生らしい見事な切り口で、素直に感動できる作品に仕上げている。 3.詳細 ・・・手塚治虫漫画全集(MT61)「ライオンブックス」(1) 講談社発行 570円 他 |