「さくらと小狼と知世の想い」

病室で、知世が李の背中に抱きついたまま、どれくらいたっただろう・・・・、夕焼け色に染まっていた病室はうっすらと暗くなってきていた。
そして、しばらくつづいた沈黙をやぶるように、李が話だした。
「・・・・大道寺・・・・お前が不安で俺を頼りにしてくれて、俺の事を・・・・その、好きって言ってくれたのはうれしい・・・・」
「!?本当で・・・・」
「けど!・・・・けど、俺はやっぱりアイツの事が・・・・さくらの事が好きなんだ・・・・それに、今のお前は大道寺であっても、大道寺じゃないんだ・・・・」
「そんな・・・・わたしは・・・・」
「とにかく・・・・俺はお前の思いに答えてあげられない・・・・」
「・・・・」
そう李の言葉を聞いた知世黙り込んでしまった。
そも沈黙に耐えられなくなった李はさくらを探しに病室をあとにしようとした。
「俺、アイツの事が気になるから、探してくる・・・・。大道寺はここでまってて・・・・!?」
と、李が知世の方に振り返えると、知世が小狼の視界から消えていた。
「!?大道寺!!」
知世は小狼の視界から消えるように病室の床に倒れこんでいたのだった。
「おい!しっかりしろ!!」
小狼は知世を抱きかかえ、ひとまずベットにはこんだのだった。
「ひとまず。医者にしらせないと・・・・」
知世をベットの上に寝かせた小狼は、ひとまず医者を呼びに行こうとした。
すると、ベットに横になった知世が小狼の手をつかんで小狼が病室から出ていこうとするのをはばんでいた。
「!?大道寺気づいたのか?今、医者を呼んでくるから・・・・」
「小狼君・・・・わたしは大丈夫ですから・・・・」
「けど、倒れたんだぞ」
「小狼君が一緒にいてくれたら・・・・大丈夫ですから・・・今日はこのまま一緒にいてください・・・・」
知世は今小狼が出て行くともう、小狼に会えないような気がした。
そして、小狼の気持ちがさくらの事しか想ってなくても、せめて今夜だけは一緒にいたいと想っていたのだった。
「・・・・わかった」
「・・・・このまま手を握っていてくれませんか?」
「ああ」
小狼は病室をでて行くのを諦めて、その場にとどまる事にした。
心の優しい小狼はこのまま知世をほっておく事などできなかったのだ。
「・・・・ありがとう、小狼君・・・・」


次の朝・・・・小狼君は知世の病室のベット横で椅子に座り知世の手を握ったまま、まだ眠りについていた。
「小狼君おはようございます・・・・」
そんな小狼見ながら知世は小狼より先に目を覚まし、小狼を起こさない様に、小さな声で挨拶をしていた。
「ふふ、かわいい寝顔ですわ・・・・」
そんな小狼を見て笑顔になる知世。
そして、知世が小狼を起こそうとした瞬間だった。
「・・・・さくら・・・・絶対・・・大道寺の記憶をなおすからな・・・・」
寝ている小狼の口から、寝言で「さくら」と名前を呼ぶのが知世には聞こえたのだった。
「・・・・小狼君。」
この時、知世は小狼がさくらの事を、どれだけ大事に想っているか解った様な気がした。
そして小狼の心に自分は入り込める余地がないという事にも・・・・。

「ありがとう・・・・そして・・・・さよなら・・・・」
握られていた小狼の手をゆっくり離した知世は、先ほどまでの笑顔とは裏腹の悲しい顔をして、李の横に手紙をおいて病室を後にした・・・・。

知世が病室を後にしてから、すぐに李は目を覚ました。
「ん・・・・ここは・・・・あ、そうか・・きのうは大道寺に頼まれて・・・・」
李はきのうの事を思い出し、ようやく目が覚めてきた、そして知世がいないのに気づいたのだった。
「!!そういえば大道寺は・・・・?」
李はあたりを見渡したが知世の姿は見えない。
「どこにいったんだ・・・・ん、これは・・・・?」
李はベットの上に置いてあった手紙に気づいた。そしてその手紙を読むことにした。
「!?なんとことを!!」
李は手紙を読むやいなや、服を着て、手紙に術をかけると、「屋上か!」と叫び、病室をとびだした。
「はやまるなよ・・・・」
「大道寺がこんなに思い詰めてたなんて・・・・」
手紙にはこう書いてあった。

[小狼君、わたしの願いきいてくれてあいがとうございました。けど、わたしがどんなに小狼君のことを愛しても、心は木之本さんの所にあるんですね・・・・。 記憶のないわたしには、あなたしかいなかった・・・・。だから、あなたがいなくなってしまったら、わたしにはもう・・・・なにもないんです・・・・。だから・・・・さよならです・・・・永遠に・・・・。]

「ハァハァ・・・・どこだ、大道寺は!?」
屋上につくと一息いれるまでもなく李は知世を捜し出した。
「・・・・!?いた!大道寺!はやまるな!!!」
知世を見つけた李は知世に向かって走りだした。
「!?小狼君きてくれたんですね・・・・でも、もう・・・・」
知世は最後に李の顔を見れて嬉しかった。
そして嬉しくて笑顔になっていた・・・・だが笑顔のはずなのに目からは涙が流れていた・・・・。
「ありがとう・・・・さよなら・・・・」
知世はそうつぶやいた後、屋上から身をなげた・・・・。
「大道寺ーーーーーー!!!!」
李は自分のみをかえりみず、知世のあとを追って屋上から飛び降りた。
「間に合え!!!」
「風華招来!!」
知世が地面にぶつかる瞬間、李のはなった魔術の風が知世の身体を浮かし、地面にぶつかる衝撃を吸収した。
そして、李は華麗に地面に着地したあと、知世の所にかけより、知世抱き起こした。
「おい!大丈夫か!大道寺!!」
その声に反応したかの様に知世がめを覚ました。
「ん・・・・ここは・・・・」
「よかった・・・・ケガはないか?」
「ええ、なんともないようですけど・・・・なぜわたし、李君にでき抱えられているんですか?」
「あ!?す、すまん・・・・って今、李君って言ったか!?」
「ええ・・・・言いましたけど・・・・わたしなんでこんな所にいるんでしょうか?」
「もしかして記憶が・・・・」
李の考えは当たっていた。飛び降りたショックで知世の記憶が戻っていたのだった。
「たしかわたし、さくらちゃんと李君と一緒に遊園地に行ってそれから・・・その後の記憶がありませんわ?」
「じつは・・・・」
李は知世が記憶喪失になっていたことを伝えた。
それを聞いた知世はさすがに驚きを隠せなかった。
「・・・・わたし、記憶を失ってたんですね・・・・」
「・・・・ああ」
「!?それで、さくらちゃんはどうなされましたの?」
「!」
小狼は知世に言われてさくらの事を思いだした。
「・・・・さくら・・・・」
「!?・・・・李君どうなさいました?」
「いや、なんでもない・・・・アイツ、大道寺の事で色々気落ちしてたんだ・・・・と、とにかく会いにいってやれないか?」
小狼はきのうの知世との事は伏せて知世に、さくらの事に話した。
「もちろんですわ!!さくらちゃんに悲しい思いをさせるわけにはいけませんわ!」
「・・・・ああ、そうだな、じゃ、ひとまず医者にこの事を報告してからだな」
「わかりましたわ」
二人はひとまず医者の所に行くことにしたのだった。

つづく・・・・

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