「知世と小狼と喫茶店」


「ああ、じゃ、3時にな・・・・」
ガチャ・・・・
「3時か・・・・」
誰かと電話をしていた小狼が、なにやら嬉しそうに時計の方を見ている。
それもそのはず、今の電話の相手は小狼が一番好きな女の子 さくら だったのだから。

香港から小狼は、桜の誕生日にプレゼントを渡す為に友枝町に帰ってきていた。
だが、明日はいよいよ香港に帰らなくてならない日だったのだ。
だから、香港に帰る前にさくらと喫茶店で会う約束をしたのだった。
「っと、もうすぐ3時だ・・・・急がないとな」
小狼は少し小走りに、喫茶店に向かっていった。

「・・・・まだ来てないか?」
3時前に喫茶店についた小狼は、店内にさくらがいないか探してみた。
だがさくらはまだ来てない様だ
。 「ひとまず、席につくか・・・・」
小狼はまださくらを来てない事を確認してから、席につこうとした。すると・・・・
「まぁ、李君?」
「あ・・・・大道寺」
小狼が席に座ろうとした時、後ろの席から小狼を呼ぶ声がした。その声は知世だった。
「李君が喫茶店に来るなんてめずらしいですわね」
「誰かと待ち合わせなんですか?」
知世のこの質問に小狼は少し困惑していた。
(さくらが来る事を、大道寺に話してもいいものか・・・)
小狼はさくらと二人で会う事が誰かに知られるのが少し恥ずかしかったのだ。
小狼が知世にこの事を言うかどうか迷っていると、知世が
「李君立ち話もなんですから・・・・ご一緒の席に座ってもいいですか?」
と、小狼に話しかけてきた。
(さくらが来るから一緒に座るのはまずいかな?)
と思った小狼ではあったが、まだ少し時間もあったので、 知世と一緒の席に座る事にした。

席に座った小狼は少し緊張していた。
そう、小狼はいままで知世とは、二人で話した事はあったが、こうして向き合って、それも喫茶店のような場所で話したことがなかったのだ。
そんな緊張をしている小狼を、さらに緊張させるような話が回りから聞こえてきた。
「まぁ、あのカップル小学生かしら?」
「なにか、初々しくてかわいい!」
「お似合いのカップルね!」
どうやら、回りの席に座っているお客が小狼と知世のことを恋人同士と勘違いしている様だ。
それを聞いた小狼は顔を真っ赤にしていた。
そんな小狼とは対象的に知世は「ニコッ」と微笑んでいた。
「おほほ、どうやらわたしと李君、恋人同士と勘違いされてる様ですね!」
「あ、ああ・・・・」
小狼が思っても口出さない様な事を、知世はあっさり話してきた。
そして、知世は小狼の顔がさらに真っ赤になるような事を話してきた。
「李君は・・・・わたしと恋人同士に見られるのは、・・・・嫌ですの?」
「え?な、なにを言って・・・・」
「わたしは嬉しいのですけど・・・・」
「え!??」
小狼は一瞬自分の耳を疑った。
「だ、大道寺、今なんて・・・・嬉しいって・・・・」
そう、小狼には知世が「嬉しい」といったように聞こえたのだ。
だが知世は先ほどの言った事がなにもなかった様に、いつもの笑顔で小狼に話しかけてくる。
「李君、こちらがメニューですわ」
「あ、ああ・・・・(さっきのはいったいなんだったんだ?)」
小狼は先ほどの知世の言った事が気になって仕方ない小狼ではあったが、知世の言う事に従って、メニューをみるのだった。
「李君は何にいたしますか?」
「ん、そうだな・・・・」
知世が小狼に何を頼むか聞いてきた。小狼もなにを頼もうかメニューをじっくり見ていた。が、その時あることを思いだした。
(そういえば、俺はさくらと待ち合わせをしてたから、今何か注文したらまずいな・・・・)
そう、小狼はここでさくらと待ち合わせをしていた事少し忘れていたのだ。
それを思いだした小狼はひとまず何か注文するのを止めにした。
「俺はまだいい・・・・そ、その、待ち合わせの相手がきてから頼む」
「あ、李君は誰かと待ち合わせをしてたんですね?・・・・それじゃ、今注文するのはまずいですわね。」
知世は小狼の言うことに納得して自分だけ飲物を注文することにした。 「これをお願いします」
「かしこまりました」
ウェイトレスが注文を聞いてその場を離れて行く。
ウェイトレスがいなくなるとすぐに知世が小狼に話かけてきた。
「李君は今日誰と待ち合わせなんですか?」
「う、そ、それは・・・・」
少し顔を赤くする小狼。
小狼は知世がさくらと自分の仲を知ってるとはいえ、さすがにここで待ち合わせ・・・・いわゆるデートの待ち合わせをしてるなんて、恥ずかしくて言えなかったのだ。
「ほほほ、言いたくないならいいですわ!」
知世は小狼が話さなくても全てを解ったかの様な微笑みで小狼にそう話した。
「それはいいとして・・・・李君はここのちょっとしたジンクス?みたいなこと知ってますか?」
「ジンクス?」
知世先ほどの質問が終わると、話題を変えて小狼に話しかけてきた。どうやらその話題はこの喫茶店にまつわる話のようだ。
「ええ、ここの喫茶店のクリームソーダがありますよね?」
「ああ」
「そのクリームソーダ一つを、二人でなかよく分けて食べたカップルはずっと両想いになれるらしいですわ」
「へ〜(そんなジンクスがあったのか)」
小狼は知世の話を素直に聞いていた。
そして、このあと来るさくらとこんな事ができたらいいと、考えていたのだった。
小狼がそんな事を考えていると、知世が注文した飲物がテーブルに運ばれてきた。
小狼はそれを見て少しビックリしていた。
「クリームソーダでございます。」
「ありがとうございますわ」
そう、知世が注文していた物はさっきの話にでていたクリームソーダだったのだ。
そして、そのクリームソーダにはご丁寧にストローが2本添えられていた。
「だ、大道寺!?これって・・・・」
「あら、どうやらウェイトレスの方はわたしたちが二人でこれを飲むと勘違いしたようですわ」
「あ、そ、そうか・・・・(ホ・・・)」
知世の話を聞いて少しほっとする小狼だった。
だが、小狼がほっとしたのも束の間、知世が小狼に驚かす様な事を話してきた。
「せっかくですし・・・・李君、ご一緒にお飲みになりませんか?」
「な!?」
「大道寺、さっきの話の事忘れたのか?」
小狼は少し顔を赤く染めて慌てる様に知世にさきほどのジンクスのことをはなした。
「忘れてはいませんわ・・・・だからわたし、李君と二人でこれを飲みたいんです・・・・」
「え!?」
知世の口からは小狼が驚くような話がつづく
「さきほど李君が聞いてきた話・・・・恋人同士に見られて嬉しいって話・・・・あれは、本当なんですわ」
「な、なにを・・・・」
「だから・・・・李君と両想いになりたいから・・・・このクリームソーダを注文したんです・・・・」
「だ、大道寺・・・・」
「・・・・李君、わたしと飲んでくれますか?」
知世の思いがけない告白にさすがに小狼は驚きを隠せなかった。
そして、知世が自分の事をこんなに想ってくれてたなんて、少し嬉しい感じもしていた。
だが、すでに小狼の気持ちは一つだった。
「大道寺・・・・お前の気持ちは嬉しい・・・・けど」
「けど・・・・俺はさくらが一番なんだ・・・・」
小狼の正直な気持ち、いままで他人に恥ずかしくて言えなかった気持ち、だけど知世なら言える、いや、知世にだからこそ言えたのかもしれないそう思えた小狼だった。
「ごめん、大道寺・・・・」
申し訳なさそうに小狼は知世に謝った。
だが、そんな小狼をよそに知世はニコニコ微笑みだした。
「ほほほ、断ってくれてありがとうですわ!!」
「へ!?」
「さくらちゃん、もう出てきていいですわ!」
知世がそう何処かに呼びかけると喫茶店の奥の席から、誰かが歩いてきた。
「!?さ、さくら!!」
そう、それはなんとさくらだった。
「ほえ〜〜ご、ごめんね、小狼君〜〜」
「ど、どうなってるんだ!?」
小狼はなにがなんやら解らなくなっていった。
「ほほほ、ではわたしが説明いたしますわ!」
困惑している小狼に知世が説明をはじめた。
「じつわ、わたしさくらちゃんに相談されたんですの」
「相談?」
「ええ、李君が香港に帰る前に、もう一度李君の気持ちを確認したいてって」
そこまで、知世が話すとすまなそうにしている、さくらが話し出した。
「う、うん、そうなの小狼君。」
「小狼君が、そ、その・・・・わ、わたしの事・・・・す、好きって気持ちを小狼君が香港に帰る前に確認したかったの・・・・」
「そしたら、知世ちゃんが協力してくれるって・・・・」
小狼は半分あきれた状態で二人の話を聞いていた。
そして、さくらの気落ちも解らなくはなかった。
「・・・・俺の一番は・・・・さくら、お前だよ・・・・たとえ香港に帰ってもな」
小狼はこんなさくらの気持ちも考えてか、恥ずかしいながらも、今の気持ちを素直につたえた。
「ありがと、小狼君・・・・」
「あ、ああ・・・・」
少し小狼はてれながら、そうこたえた。
さくらにそう話た小狼は、知世に今日の事について少し話かけてきた。
「・・・・じゃ、今日のクリームソーダの話は嘘だったのか・・・・?」
少し残念そうに知世に話かける小狼。
「いえ、あの話は本当ですわ!そして、これがわたしからのさくらちゃんと李君へのプレゼントですわ!」
知世がそう話すと、ウェイトレスは新たにクリームソーダ一つ持ってきた。もちろんストローはふたつで。
「さくらちゃんも、李君も二人でこれをお飲みになりたかったんですよね?」
「大道寺・・・・」
「知世ちゃん・・・・ありがと」
知世は二人のお礼を聞いたあと、気を聞かしてその場を跡にした。
「そ、それじゃ小狼君、一緒にのもうね!」
「あ、ああ」

これから二人は幸せの時間をすごしたのだった。


「わたしは、大好きな人が幸せならそれでいいの・・・・」
「さくらちゃんお幸せに・・・・そして、李君も・・・」

「幸せならそれでいいのに・・・・」
「なんで・・・・涙がでるの・・・・」

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