「さくらと知世の料理対決」


「知世ちゃん!がんばろうね!負けないよ!」
「おほほほ!」

いつもの同じ口調で話をしている様に見える、さくらと知世。 だが、お互いの目からは、火花が飛び散る感じになってきていた。 「まっててね!小狼君!おいしいお料理つくるからね!」
「李君、もう少しお待ちになってくださいな」 そう、さくらと知世は料理を作っている。
さくらと知世が台所からテーブルに座っている小狼に向かって声をかけた。
小狼に声をかけたさくらと知世は、一瞬お互いの顔を見ると、相手を牽制するかのように「ニコッ」っと微笑んだ。そしてまた料理に没頭しはじめた・・・・。
「(なんで、こんな事になってんだ・・・?)」
二人の料理する姿を見ながら小狼は考えこんでいた。
そう、事の始まりはこの日の学校での出来事だった・・・・。




「痛っ!!」

体育の授業中、小狼が少し悲痛の声をあげた。
「小狼君!だ、大丈夫!?」
「李君!」
心配そうにさくらや知世、先生が小狼のもとへと集まってきた。
「だ、大丈夫だ、ちょっと手首をひねっただけだ」
今日の体育はバレーボールだった。
小狼は少しはりきりすぎたのか、自分のいた場所より、遠くに飛んできたボールを無理にとろうとして、地面に手首をぶつけてしまったのだ。

「これは、捻挫してるな、保険委員!李を保険室まで連れていってやれ」

先生にそう指示され、小狼は保険室へと向かった。
「知世ちゃん、小狼君大丈夫かな・・・?」
「心配ですわね・・・・」

放課後・・・

「小狼君!大丈夫!?」
「李君、大丈夫ですか?」

保険室から戻ってきた小狼に、心配そうにさくらと知世が駆け寄ってくる。
「ああ、ただの捻挫みたいだから・・・、まぁ、2、3日もしたら治るだろうって」
「ホント!?よかった・・・」
「よかったですわ」
小狼のケガの具合が大した事がないと解って、一安心をした、二人に、小狼は少し話をしてきた。
「ただ・・・・今日1日は包帯で手首を固定しておかないといけないからな・・・ちょっと、不便けどな・・・」
「あ、そっか・・・」
「大変ですわね・・・・」
「ま、おれの不注意だったし仕方ないことだ。それに今日1日の辛抱だしな」
「おれはもう帰るから・・・・じゃあな」
腕の包帯を見て、心配する二人に気をつかったのか、小狼は自分のケガの事など気にしてない素振りをみせた。
そして小狼は二人にさよならを言うと、そのまま家に帰って行った。
小狼が帰るのを見送った後、さくらと知世も帰路につくことにした。
「小狼君・・・大丈夫かな?」
「少し、心配ではありますね」
帰宅途中の二人はまだ、小狼のケガの心配をしていた。
「あの、ケガだと今日はお料理も、ろくに作れないんじゃないでしょうか?李君、お一人ですから、大変ですわね」
と、知世が小狼の事についてさくらに話すと、さくらはその知世の話を聞いて少し考えこんでいた。
「どうかしましたか?さくらちゃん?」
「ん・・・・あ、いや、なんでもないよ知世ちゃん。あ、わたし用事思い出したから、先に帰るね!」
さくらはそう知世に言うと、すぐさま家に帰っていった。
取り残された知世は、少しあっけに取られていたが、「クスッ」と笑い 「(さくらちゃんらしいですわね)」
走り去るさくらの後ろ姿をみてそう思っていた。
そして、知世はさくらが視界から消えると、携帯電話を取り出しどこかへと電話をしだした。

プルルル・・・・ガチャ。

「あ、お母様?今日わたしお友達の家で、お夕飯を御一緒させてもらいますので・・・・」
「さて、あとはお買い物をすませて・・・・」





「小狼君ビックリするかな?」
手になにやら料理の材料をもったさくらが、少し楽しそうに、小狼の住むマンションの前までやって来ていた。
「小狼君、あの手じゃお料理なんて出来ないと思うし・・・・いつも小狼君には助けられてばっかりだから・・・・」
そう、さくらはケガをした小狼が料理が出来ないと思って、日頃のお礼の意味を兼ねて、夕飯をなにか作ってあげようと小狼の家までやってきてたのだった。
「小狼君いるかな?」
そう言いながらさくらは小狼の家のインターホンを押した。

ピンポーン

「あ、はい李ですが・・・・!?さ、さくら」
ドアを開け、出てきた小狼はさくらの姿になにやら驚いていた。
「あ、小狼君!よかった〜いてくれて!あ、あのね小狼君、手ケガしてるでしょ?その手だとお料理出来ないと思って・・・・だから、わたしが日頃のお礼も兼ねて、お料理作ろうかな?っと思ってきたんだけど・・・・」
さくらは小狼に、家にきた理由を話した。
それを聞いた小狼はなにやら、少し困惑している様にみえた。
それに気づいたさくらは、少し心配そうに小狼に話かけた。
「小狼君・・・わたし迷惑だったかな?」
「ん、あ、いや・・・・全然迷惑だなんて・・・と、とにかく家の中に入ったらどうだ?」
心配そうに聞いてくるさくらに気づいた小狼はひとまず、さくらを家の中に入れる事にした。
「い、いいの?小狼君ありがと!!
」 さくらは嬉しそうに小狼の家の中に入っていった。
すると、部屋の奥、そう台所のある方から聞き覚えのある声が聞こえてきたのだった。
「李君、どちら様だったんですの?」
「!?そ、その声は・・・・知世ちゃん!?」
そう、その声の持ち主はなんと知世だったのだ。
「ま、まぁ!さくらちゃん・・・・」
「知世ちゃん、どうして小狼君の家にいるの?・・・・!?その格好・・・・」
さくらは知世が制服の上にエプロンという姿で台所に立っているのを見て、少し驚いていた。
「もしかして、知世ちゃん小狼君の手の事を気遣って・・・・」
「はい、そうですわ。李君、この手ではご夕飯作るの大変だと思いましたので・・・・」
そう、知世はさくらと同じで、小狼のために夕飯を作りに来てげていたのだった。
ただ、知世はさくらと違って家には帰らず、夕飯の材料を買うと直接、小狼の家にきていたのだった。
「そ、そうだったの?じゃ・・わたしが料理作らなくても大丈夫だよね・・・」
「い、いや、・・・そんなことは、ないぞ・・・それにおれは、さ、さくらの料理が食べてみたい」
小狼はさくらが少し気落ちしてるのを気遣ってか、本心からかは解らないが、さくらにそう話した。
「ほ、本当!?じゃぁ、わたしも作っていいかな?」
それを聞いたさくらはいつも通りの元気なさくらに戻っていた。
「あ、でも・・・知世ちゃんも、お料理作ってるんだよね?」
さくらは知世を見ながら、料理の事について小狼に話した。
「あ、そうか・・・・」
「それでは、わたしとさくらちゃんでひとまず、一品ずつ料理を作って、それを李君に食べていだだきますわ。」
「そして、美味しかった料理を作った方が、続きを作るってのはどうでしょうか?」
迷っていた小狼に知世は思いもよらない提案をしてきた。
「と、知世ちゃん!そ、そんな勝負みたいな事しなくても・・・」
知世の提案にさくらは少し、困惑していた。
そう、いつもの知世ならこんな提案を出してはこないのであったが、今日の知世はひと味違っていた。
「それでは、さくらちゃんはお料理作るの放棄なされますの?」
「う、それは・・・ゆずれないよ〜〜、わ、解ったよ知世ちゃん!」
さくらは小狼に料理を食べて欲しかったので、知世の提案を受け入れたのだった。

「知世ちゃんがんばろうね!負けないよ」
「おほほほ」
こうしてさくらと知世の料理対決は始まったのだった。

「(なんで、こんな事になってるんだ?)」

その二人の料理する姿を、小狼は呆れながらみていたのだった。
そして、料理が始まって数十分がたったところで、先に料理を作り始めていた知世の料理が出来上がった。

「李君、出来上がりましたわ、どうぞお食べになってくださいな。」 そう言いながら知世は、小狼の前へ料理を運んできた。
その料理はスパゲティだった。
そのスパゲティが小狼の前で美味しそうに湯気を立てている。
「大道寺・・・た、食べていいのか?」
「はい、もちろんですわ!」
小狼は一言知世に確認を取った後、そのスパゲティを食べだした。
「李君、お味の方はどうですか?」
「・・・・」
知世の問いかけに、小狼は黙って食べ続けた。
そして、小狼が食べ終わった時に、さくらの料理が出来上がった。
「し、小狼君!わたしの料理・・・・食べてくれる?」
そう言いながらさくらが小狼の前に料理を運んできた。
その料理は、ホットケーキだった。
「小狼君ごめんね、わたし、こんな料理しか作れなくて・・・・」
「そ、そんな事ないぞ・・・・た、食べていいのか?」
「う、うん!もちろんだよ!」
小狼はさくらに確認をとってから、そのホットケーキを食べだした。

「小狼君、お、美味しい?」
「・・・・」

さくらも知世と同じ様に、味について聞いてみたが、さっきと同じく小狼は黙って食べ続けた。

そして小狼が二人の料理を食べ終えたのを見て、さくらと 知世は改めて、どちらの料理が美味しかったか、小狼に訪ねてみた。
「李君、さくらちゃんとわたし、どちらの料理が美味しかったですか?」
「小狼君!どっちの料理が美味しかった?」
それに対して小狼は、ゆっくりと料理の感想を述べ始めた。
「・・・・おれの為に料理を作ってくれたのは嬉しかった。」
「けど・・・今の料理は最低だった。」
「!そんな・・・・」
「小狼君、お、美味しくなかった?」
その小狼の言葉にさくらと知世は驚いた。
さくらも知世も今の料理に自信があったからであった
。 そんな二人を見て、小狼は首を横にふりながら、二人に続きを話してきた。
「さくらの料理も、大道寺の料理も美味しかった・・・けど、おれは二人が競い合って作った料理なんて、食べたくなっかた。」
「おれは・・・・競い合って作ったどちらかの料理じゃなくて、二人で仲よく作った料理が食べたかった・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
その小狼の料理を食べた感想に、さくらと知世は言葉がでなかった。
二人とも自分がしていた行為が恥ずかしく思えてきていたのだった。
そして、さくらと知世二人は、すまなそうにお互いの顔をみて・・・
「ご、ごめなさい、さくらちゃん・・・・」
「ううん、わたしの方こそごめんなさい」
と、お互いに謝りだしたのだった。
そんな二人を見て小狼は少し微笑み、二人に話かけた。
「おれ、まだおなかすいてるんだけど?」
その小狼の話を聞いたさくらと知世は、お互いの顔を見て、「ニコッ!」微笑んだ後
「それでは、さくらちゃん」
「うん!おなかすかしてる小狼君の為に、二人で美味しい料理作ろうね!」
そういいながら、二人で料理を作りだしたのだった。

「ようやくいつもの二人にもどったな。」
「さくらと大道寺はやっぱりこうでなくてはな。」
二人が仲よく料理する姿を見て、少し嬉しく思いながら、料理ができるのを楽しみに待っている小狼だった。

そして

(・・・・そ、それにしてもさくらのエプロン姿・・・・か、かわいい・・・・よな)
(もし、おれとさくらが、けっこ・・・・な、なに考えてるんだおれは!!)
さくらの料理する姿を後ろから見て、そんな事も考えていた小狼であった。


エンド


オマケ
その後の会話。

(しかし、この手じゃ風呂には入れないかな?)
と、小狼が二人の料理ができるのを待ちながら、そう思っていると・・・・
「あ、小狼君!この料理作り終わったら、知世ちゃんとわたしでお風呂入るの手伝ってあげるね!」
「おほほ、李君の背中、流してあげますわ!」

「な!?な、なにいってるんだ・・・・そんな、じょ冗談だろ?」

「うん!冗談だよ小狼君。ね、知世ちゃん?」
「はい、そうですわ!」

「・・・・そ、そうか、冗談だよな、びっくりさせるなよ・・・・はは、」
「・・・・」

少し、残念だと思ってしまった小狼であった・・・・

エンド


戻る