「知世と日曜のひめごと」
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「ふう、今日のお夕飯は、これでいいですわね」

食卓に、彩り豊かな食事が並べられている。
もちろん、この夕食を作ったのは、知世である。
今日は土曜日。明日は小狼のアルバイトが休みの日。
知世は明日の休みの前に、アルバイトで疲れている小狼を労おうと、精魂こめて料理を作っていたのだった。

ーーーーガチャーーーーー

「ただいま・・・」

少し、疲れた様子で小狼が帰ってきた。
「あ!おかえりなさい・・・・李君、やっぱり疲れてますの?」
元気のない様子の小狼に、知世は心配そうな顔で話しかけた。
「そ、そんなことはないから・・・そんなに心配そうな顔はするな」
小狼は心配する知世の顔を見て、心配させまいと少し笑顔をみせた。
「大丈夫だ・・・・だからもうそんな顔はするな」
「・・・・はい、わかりましたわ」
小狼は無理をして、笑っている。自分の事を心配させてはいけないと、笑顔を見せている。そんな事は知世は解っていた。
自分の事よりも知世の事だ大事な小狼君。
そんな小狼だからこそ、知世は好きになったのだ。

「ん、そういえば、いい匂いがするな?」
「あ!忘れてましたわ!今、お夕飯の用意が終わったところですの」
そう言いながら、知世は料理が並ばれているテーブルを、小狼に見せた。
それを見て、さっきの笑顔とは違った笑顔を、小狼は見せた。
「うわ!すごいな・・・・どれもうまそうだな」
「うふふ、本当?」
小狼は本当に嬉しそうな笑顔を見せた。
その彩り豊かな料理もすごくて、嬉しかったが、なにより嬉しかったのが、自分の為に知世がこんなにすごい料理を作ってくれた・・・・その気持ち、その行為が小狼は嬉しかったのだ。

「どれ・・・・」
パクっ!
「お!本当、うまいじゃないか!」
つまみ食いをする小狼。
「あ、李君!、ちゃんと手を洗ってから食べませんと!」
そんな小狼を少し叱る知世。
そんな事を言いながら、小狼の顔をみる知世。
そして、お互いの顔を見合って、二人とも笑顔になる。

「あはは!」
「おほほ!」

自然と笑顔があふれ出す。

「それでは、お食事になさいましょうか」
「ああ」

笑顔につつまれながら、二人は食事をする事にありついた。



食事をしながら、二人は明日の休みをどう過ごすか、話をしていた。
日曜といっても、園美の監視がある二人にとって、本当にに休める日とは、言いがたいのではあったのだが。

「そうですわね・・・・明日は、家にいて体を休めましょうか?(パチッ)」
知世はそう話ながら、小狼にウインクをした。
「あ・・・・そ、そうだな、そうしよう」 
小狼はそのウインクをみてから、知世にそう答えた。
「それでは、食事もすんだ事ですし、今日はお休みになりましょうか?」
「そうだな」

二人は食事のかたづけを終わらせると、各自、寝室に戻り、その日はもう、寝る事にしたのだった。


・・・・そのころ、園美は・・・・

別荘の監視室に、仕事を終えた園美がやってきていた。
「どう、二人に、なにもなかった?」
「はい、今日は無事、なにもありませんでした」
園美の問いかけに、監視員の一人がそう答えた。
「そう・・・・それならいいわ。で、今二人は?」
「はい、二人とも、もう寝室に戻られて、就寝されたようです。」
「じゃ、今日はごくろうさま。明日の監視も、しっかりお願いね。」
「わかりました」

さすがの園美も、寝室まで監視をさせていなかった。
娘の寝ている姿を、他人に見せる行為はさすがにできなかたのだ。
そして、小狼の寝室にも監視はついてなかった。
寝室に監視カメラをおかなくても、その入り口にカメラをおけば、小狼が知世のへやに行こうとしても、解るからである。
この監視カメラ、小狼は部屋からでると、センサーで反応をして、すぐさま小狼の姿をビデオにおさめるすぐれものであった。
そんな警備だからこそ、園美は安心しているのだ。


次の日の朝、いつもなら、とっくに起床している時間に、知世も小狼も寝室からでてこない。

監視員は少し疑問を感じたが、今日は日曜、疲れもあるから、遅くまで寝てるのだと、気に止めなかった。

それから30分後・・・・

「どう、二人の様子は?」

「は、いまのところ以上はありません」
朝の様子をみに園美が監視室にやって来ていた。

「そう、ところで、二人は今どこにいるの?」
「は、二人とも、疲れもたまってるのか、まだ寝ている様子です。」
「まだ・・・・寝ている?」
監視員の報告を聞いて、園美は少し疑問を感じた。

(李君はバイトで、疲れがあるから、まだ寝ていてもおかしくないけど・・・・知世まで?)

「少しおかしいわね、ちょっと、李君の部屋をみてきなさい、わたしは知世の部屋をみてきます」

園美はこれはおかしいと思い、小狼と知世の寝室を確認する事にしたのだ。

コンコン・・・・

園美が知世の寝室のドアをノックする。
だが、中からは反応が返ってこない。

「知世?入るわよ・・・・」

おかしいと思った園美は、知世の部屋に入って見た。
すると・・・・

「知世・・・・?」

そこには知世の姿はなかった。
「知世・・・・どこに行ったの?」
園美が誰もいない部屋に呼びかけていると、小狼の部屋を確認しにいった監視員が、園美のもとへと、駆け寄ってきた。

「大変です!李少年の姿もみあたりません!!」
「な、なんですって?・・・・や、やられたわ!!」

園美はこの瞬間、小狼と知世に出し抜かれたと、感じとったのだった。

「いますぐ、この別荘の周辺をさがすのよ!!」
「は!!」

日曜日の朝、この一日はこうして始まった。


2、

「おほほ、今ごろお母様が、気づいてるころでしょうか?」
「だろうな・・・大道寺の母上は、やたらするどいからな」

小狼と知世が、歩きならが会話をしている。
うまく別荘を抜け出せたからか、二人の顔には笑顔溢れかえっていた。

「さすがは李君でしたわね!わたしの合図の気づいてくださるなんて。」
「ああ、夕食の時のウインク・・・だろ?」
「そうですわ!!この別荘に来る前に決めていた合図だったので、李君お忘れになってるのでは?・・・・と思って いたんですけど。」
「わすれるわけないだろ」

そうなのであった。
知世と小狼は、別荘の生活に、園美の邪魔が入った時の事を考えて、いくつか合い言葉みたいなのを決めていたのだ った。

「ウインクは・・・・こっそり部屋をぬけだす・・・だっただろ?」
「ええ!!だから、李君がわたしを部屋からつれだしてくれたのには、本当、嬉しかったですわ!!」

「そ、そうか?(かぁぁ)」
(おほほ・・・照れてる李君も、良いですわ〜〜!!)


「で、今からどこに行くんだ?」
小狼は歩きながら、知世にこのあとどこに行くのか、訪ねた。」
「おほほ・・・・夏と言えば・・・・行くところは一つですわ!!」
「・・・・海か?」
「さすがは李君、その通りですわ!!」

「あはは」
「ふふふ」

こうして二人は海に向かうことにした。

歩くこと30分・・・・小狼と知世はようやく海水浴ができる浜辺にたどりついた。
「ふう、ここまできたら、大道寺の母上も来ないだろう」
「そうですわね!!」


・・・・小狼と知世の考えは、甘かったのかもしれない。

「どう、居場所はつかめた?」
「はい、ここからそう遠くへは行っていません」
園美が部下に、なにやらレーダーの様な物をみさせている。
「ふふ・・・知世も李君も甘いわね・・・・わたしが二人に何もしないでおくと思ったのかしらね?」
「社長、発信機から、二人の現在地が解りました!」
そう、園美は知世のくつに発信機をしかけていたのだった。
「それじゃぁ、急いで二人のいる場所へ、急ぐわよ!!」
「はい!」
こうして、園美は二人のいる場所へと向かったのであった。


「大道寺、まだ着替えが終わらないのかな?・・・・しかしながら、水着まで持ってきてるなんて、用意周到だな」

小狼は、知世は持ってきていた水着に着替えて、知世の着替えが終わるのを待っていた。

「大道寺の水着姿・・・・(かぁぁ)」
小狼は待っている間、知世の水着姿を色々想像しては、顔を赤らめていた。
小狼が、そうこうしていると・・・・

「お待たせしました・・・」
「あ・・・・(かぁぁ)」
「どう・・・・ですか?似合ってますか?」
「あ、あぁ・・・・に、似合ってるよ(かぁぁぁ)」

知世の水着は、なんとビキニの水着だった。
大人へと成長をしている知世の水着姿は、小狼にはまぶしかった。
いや、小狼じゃなくても、同世代の男性も同じであろう。
小狼は昔の知世みたいに、おとなしい感じの水着姿を想像していた為、そのビキニ姿に驚きと戸惑いを隠せなかった。

「おほほほ!」

そんな小狼をみて、知世は嬉しそうに、微笑んでいた。
「それでは・・・一緒に泳ぎましょうか?」
「そう・・・だな」

「そうはいきませんわよ!」

・・・・と、その時、後ろから声がした。
「今の声は・・・・ひょっとして??お母様??」
「!?」
二人は慌てて後ろを振り返った。
なんと、そこには園美がたっていたのだった。
「な、なんでお母様が??」
「ほほほ、私を甘くみてはいけないわね、知世の行くところはおみとうしよ・・・・さぁ、一緒にきてもらうわよ」

「パチンッ!」
園美がそう言いながら、指をならすと、後ろからボディーガードが出てきて、二人を取り押さえようとした。
だが、

「李君、にげましょう!!」
「?!わ、わかった!」

知世は小狼にそう話すと、ボディガードを振り切り、一目散に海へと走り出した。


「しまった!!早くつかまえるのよ!!」

「泳いでにげるんだな?よし!!」
小狼は知世と一緒に、海へと飛び込んだ。

バシャーーーン!!

「ぷは!!よし、急いで逃げる・・・ぞ??って、大道寺??」
5メートルほど泳いだあと、後ろを振り返った小狼だったが、後ろについてきてたはずの知世の姿がみえなくなっていた。

「あ!!知世は5メールしか泳げないのよ!!!」

岸の方から、小狼に向かって園美が奇声をあげている。

「なんだって!?」

小狼はすぐさま海に潜って、知世の姿を探した。

「ごぼっ・・ぼうじ(大道寺)!!!」

知世は園美の心配通り、5メートルをすぎたあたりで、おぼれていたのだった。
ばしゃーん!!

「ぷはっ!!大道寺!!しっかりしろ!!」
小狼は沈んでいた知世を抱き抱え、海から出てくると、直ぐ様、岸へと向かった。

「知世!!しっかりして・・・李君がついていながらなんて・・・こと・・・」
「非礼はあとで詫びます。それより今は大道寺のことです!!」
「そ、そうね・・・・ちょっと待ってて、救急車を読んでくるわ」
小狼に怒りをぶつけようとした園美だったが、知世を心配する小狼の気迫に負け、怒れなくなり、ひとまず、救急車を呼びに走っていったのだった。

「大道寺・・・・もうすぐ救急車がくる・・・!?息をしていない??」
小狼は知世が息をしていないのに、気がついた。
「くそ!!水をのんだせいか・・・・このまじゃ・・・・・・・大道寺」
小狼はそうつぶやいた後、自分の顔を知世の顔へと近付けた。


「俺が・・・助けてやるからな・・・」



つづく。


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おまけなあとがき?

ここまで読んでくださった方、ありがとうございます!!
この話しが完成するまで・・・・めちゃ時間かかってしまってすいませんです(苦笑)
その上、続いてるし・・・・(さらに苦笑)
ひとまず、この続きは、次の話しに続きますので、数少ない、ニセの小説のファンの方(いないと思うけど・笑)
今しばらくお待ちいただけたら、幸いです〜〜。

うーん、次はいよいよ・・・・?