● 警察にはどんな階級があるのか?
警察官の階級は、「巡査」から始まり、「巡査部長」「警部補」「警部」「警視」「警視正」「警視長」
「警視監」「警視総監」までとなっている。そしてどの階級がどんな役職に就いているのかといえば、
必ずしも階級と役職は一致しないが、例えば我々の一番身近な(?)存在である各警察署の署長クラスは
警視正、または警視。警察署の課長は警視、または警部が続いている(詳しくは別表参照↓)。
● 階級と主な役職の関係図
階級\所属 |
警察庁 |
警視庁 |
県警本部 |
署 |
― |
長官 |
― |
― |
― |
警視総監 |
― |
警視総監 |
― |
― |
警視監 |
次長、局長、審議官 |
副総監 |
本部長 |
― |
警視長 |
課長 |
部長 |
本部長、部長 |
― |
警視正 |
室長、理事官 |
参事官、課長 |
部長 |
署長 |
警視 |
課長補佐 |
管理官、課長 |
課長 |
署長、副署長 |
警部 |
係長 |
係長 |
課長補佐 |
課長 |
警部補 |
主任 |
主任 |
係長 |
係長 |
巡査部長 |
係 |
係 |
主任 |
主任 |
巡査 |
― |
係 |
係 |
係 |
● いま全国に警察官はどのくらいいるのか?
平成10年度の定員は228,711人。その内訳は警察庁2,310人(皇宮護衛官を含む)、都道府県警察
226,401人(警視庁は41,712人と最大規模)。
この人員体制下で、どのような階級構成になっているかというと、全体の約30%が巡査、同じく約30%が
巡査部長、さらに約30%が警部補と言われている。つまり、約9割の警察官がこの3階級で占められている
ことになる。そして残りのうちの約7%が警部、約3%が警視以上のクラスだとか・・・。まるで釣鐘のような
階級図式である。
● 警察庁と都道府県警察との違いは?
日本の警察組織は、国と都道府県の警察機関から構成されている。そのうち、国の機関に当たるのが警察庁。
警察庁は全国47都道府県の警察本部を指揮、監督する立場にある。いわば“国家警察”という訳だ。一方、
警視庁をはじめ地方自治体が運営するのが都道府県警察。実際に犯罪捜査などを行う。“実働部隊”を持ち、
個人の生命、財産、公共の安全と秩序の意地といった、警察の責務を遂行するのが、これら“自治体警察”の
大きな役目である。
● キャリアってどんな人達なの?
国家公務員T種試験の合格者から、将来の幹部候補生として警察庁が採用したエリート達のことをいう。
キャリアとは警察庁だけでなく、各省庁同様の呼び名である。現在警察庁には約520人のキャリア組がいる。
ちなみに、今年警察庁が採用したのは12人。将来の長官、警視総監は、このキャリア組の中から生まれると
言ってもいいのである。
● では、ノンキャリアってどんな人?
各都道府県警察が実施する採用試験に合格し、警察官となった人達のことをいう。エリートのキャリア組と
区別する意味合いで使われる。つまり、現在いる警察官のほとんどが、このノンキャリア。ここから警察の
トップまで出世する者はまずいない・・・。
● キャリアの昇進システムは?
まず警察庁に入庁した時点から、いきなり警部補からスタート。キャリア組には昇進試験などはなく、
入庁後、警察大学校で幹部となる帝王学を学び、警察署で見習い期間を経るなどしたのち、警部に昇進する。
ここまでたったの1年というハイペース。その後、警察庁で2年勤務し、再び大学校で教育を受ければもう警視。
25〜26歳で所轄の警察署長に馴れるとか。ここからは警察庁や都道府県警察などを行ったり来たり。
その間に階級や役職も上がり、出世街道をひた走る。
● 一方、ノンキャリアの昇進は?
ノンキャリアは巡査から始まり、警部までは階級ごとに昇進試験を受け合格しなければ、出世の道はない。
大卒の場合、実務経験1年(高卒なら4年)で巡査部長への受験資格を得られる。合格すれば、さらに1年(高卒は3年)
で警部補の受験資格。そしてそれに合格すればさらに4年(高卒も同じ)で警部の受験資格・・・と、順調に
合格していけば30歳で警部になれる。ただし、これはあくまでも机上の計算。現実はそう甘くはない。
ましてや、ノンキャリアが定年までに警視以上になることは、至難の技に近いそうだ。
『踊る大捜査線』に描かれているような二重構造は、実際にはもっとシビアなのかもしれない。
● 年齢で見る昇進モデル(最短の場合)
階級\採用 |
キャリア |
ノンキャリア(大卒) |
ノンキャリア(高卒) |
巡査 |
― |
22歳 |
18歳 |
巡査部長 |
― |
24歳〜 |
22歳〜 |
警部補 |
22歳 |
26歳〜 |
26歳〜 |
警部 |
23歳 |
30歳〜 |
30歳〜 |
警視 |
25〜26歳 |
40歳〜 |
40歳〜 |
警視正 |
34〜35歳 |
50歳〜 |
50歳〜 |
警視長 |
42〜43歳 |
55歳〜 |
55歳〜 |
警視監 |
50代前半 |
― |
― |
警視総監 |
50代後半 |
― |
― |