対象:会津朝日岳 楢戸沢横断〜北西尾根八本歯
期間:3/17〜19
メンバー:曽根、野田、榎並 (日本山岳会青年部)


どこまでもたおやかな山並みの続く、南会津にあって朝日岳は、ゴツゴツした山容を見せる異端児で目を引く。
この手の山にはまるきっかけが学生の時に登ったこの山だった(「マイナーピークハンターズ」序文参照)なので、とりわけ思い入れを持っている。
今回は5回目の朝日で、長年温めていたルートを登れ、またいいパートナーに恵まれ楽しい山だった。

ルートの八本歯は、会津朝日のピークから長須が玉の1506mピークまでのわずかな区間。
長須が玉から、尾根は小戸沢の西俣・東俣を分ける3本の尾根に分かるが、只見の町に出るまで25000分の1の地図を縦に丸1枚分、延々とだらだら延びるので、八本歯も、ふつうは登る機会がなかろう。

私はラッキー?にも、ここを、学生の頃に洗戸沢を遡行し1506mに突き上げた後、会津朝日の頂上の夏道に出るまでここをヤブこぎした(これが2回目の朝日)。
このときはガスの中で尾根の全体像は分からなかったが、洗戸沢側の南壁と、楢戸沢側の北壁に挟まれ両側切り立った中、小ピークがぽこぽこある姿から、これは雪のある時期に登ったらぜったいおもしろいと思った。

その後、JACの図書館をのぞくと、おもしろい資料がぞろぞろと。
「南会津郡西部の山と谷 上・下」・「我が南会津」など、マニア垂涎の地域研究書に、古いヤマケイには読売新聞後援の日本山脈縦走別働隊(この企画とネーミングをなんと評していいのか……)の報告とか。
どうやら5月は登られてるらしいが、積雪期の記録は見当たらず、ますます気になってきた。

ただ、只見の町の尾根の末端から歩くわけにもいかないので、林道が奥まで延びて入山しやすい東側から入り、一端、楢戸沢に下りこれを横断して、1506mピークにあがる計画を立てた。
で、昨年の3月の始めに、2日休みをとって、4日の日程で木下さんと狙ったもの前日に降った雪で、二人で気合いを入れて空身ラッセルしても1時間に標高差60mぐらいしか上がれないという有様で、挫折。
2日目の朝に敗退を決めた。(=3回目の朝日)

昨秋には、横断地点の偵察を兼ねて楢戸沢を遡行。
遡行自体も奥壁のスラブがひじょうに快適で、自分のお勧めの沢の3指には入る、すばらしい内容だったが、横断地点について、昨春の計画の640m地点は下降の尾根の末端がスラブ状に消えており、これより上流の680m地点がベターであることがわかったのが収穫。(=4回目の朝日)
で、今回の計画となった。


3/16 0:00東京駅集合。
出発前に曽根さんに、「80キロ以上出ないボロ車だけどいい?」と聞かれ、まあそんな謙遜しなくてもと聞き流していたが、やってきたジムニーの曽根号は衝撃的だった。
なにせ、
@登り坂ではスピードが落ち50キロくらいになる(たぶん高速道路の最低速度規制の違反)。で、そのあとはバテて平坦路でも最高速が落ちる。ただしサービスエリアで少し休ませると、直るのが山岳部の1年生みたいで憎めない
A幌に隙間があり後ろの扉を空けなくても荷物の出し入れ自由。だたし暖房がないんで隙間風が寒い
B帰りには、前のランプが走行中切れて、あやうく山道から落ちるとこだった
只見まで行ってくれたのには感動的です。


17日 (
快晴後曇)
朝の7:00出発から7時間かけてやっと入山口の白沢集落に着く。
寝ないで(私は後ろでうつらうつらしてたが…)、そのまま歩き出すことにする(8:40)

快晴で、雪が締まっていて、なんて快適。
春山はこうでなくっちゃ。
去年に丸1日かけてついた幕場まで2ピッチで着いた。

1130mピークに出るとこは5mくらいの雪庇になっており、正面突破を試みるが、断念。
弱点を、空身+下から足場を支えてもらって とズルして上がる(13:30)

ここから楢戸沢側への下降を開始。
680mの渡渉地点の手前に15:00着。
眠くてしょうがないんで、今日はここまでとする。
沢の音を聞きながら、雪の上で泊まるというのは贅沢でよい。


18日 (雨後雪)
3:00に起きるはずが、雨の音で妥協。
だらだらして、大寝坊。起きたのは9:00だった。
自己嫌悪…、こんなんで登れなくなったら、悔やんでも悔やみきれぬ。

11:00発。当初は正面の楢戸沢にかかるスノーブリッジを渡るはずだったが、懸垂で少し行ったら、下に水が見えたスノーブリッジの末端がつながってないことが判明したので中止。
左側の枝沢のブリッジに懸垂で下り、枝沢の対岸を経て、上流側で楢戸沢を渡った。

930mPまでの登り返しは、尾根の東面にあたるせいか、意外に嫌らしく、ずたずたの雪壁〜稜線のミニきのこのトラバースに1ピッチロープを出した。
930mPに13:20-13:30。1130mジャンクション15:10。
一時は雨が止み、天候回復の兆しが見えたが、この頃から雪。
また、樹林混じりのこの高度にしては、かなり風が強い。
長須が玉の一角に入り、風を避けるため2重山稜の窪に下り、ここで泊まることとした(16:40)

この天気では、朝ちゃんと出ても、ここから先は突っ込まなかったろうし、結果的には寝坊の帳尻はあった。


19日 (快晴)
ちゃんと起きて5:10発。
幕場の上の雪原からは、夜明けの色に目指す八本歯が染まり、美しい。

1506mPを過ぎると八本歯のポコポコが始まる。
始まってすぐのピークからロープを出す。
野田リードで、稜上のきのこを狩ろうと試みるも、あきらめ右側のバンドを回りこむ。
つづいて榎並リードで、細いリッジをつなぐ。
ここで一端ロープをしまい、次は左の雪庇ラインにはみ出そうな雪壁を榎並リード。
さらに小コルから、ワンポイントの岩登りで岩稜を直上を野田リード。

この先の遠目からも見え、どう越えるか気になっていた20m程の岩峰は、うまい具合に左側の急雪壁をノーザイルで登れた。
他何箇所かちょっと悪いクライムダウンがあたがっが、ロープは出さなかった。
まあロープを出したことも、技術的には簡単ではあるが、全体に両側が切れて、緊張感があった。
資料がないんで、先に何が出てくるかわからないというドキドキが、緊張感を増幅させるのであろう。
満足でした。

会津朝日山頂に10:30-11:05
山頂に着いた途端、気が抜けて、私はなぜか心臓と胃の間の腹が、やたら痛くなる。
結局、下山時はラッセルをほとんどやらず、使い物にならなかった。
(翌日まで残って、やばいんじゃないかと思ったが、いちお直った。前日のウイスキー飲みずぎによる2日酔いなんだろうか??)

1130mPに14:30、行きのトレースに合わさり17:10に車に戻った。



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