【名  前】マスター格評
【タイトル】グレートインタビュー(ヒクソン by SRSDX)
 
【メッセージ】
SRSDXNo.9のヒクソングレーシーへのインタビューが、あまりに素晴らしかったので、ここに一部を再現してみたい。

ーーあなたはVTからもう引退したのですか?
<ヒクソン>
引退という事は全く考えていない。
VTの試合については、実際近い将来出場したいという気持も抱いているんだ。
今はファイターとしてより、グレーシー柔術の宣教師としての役割や、他のビジネスプランを優先すべき時期なんだ。
そのことを分ってほしい。
その時がきたらキミのマガジンに真っ先に教えてあげるよ(笑)
 
ーー武道は現代社会においても有効で、価値あるものだということですね?
<ヒクソン>
もちろんだよ。
武道、特に柔術とは単なる闘いの技術ではないんだ。
そのセオリーは生活の中で毎日直面する事態、仕事、人間関係、新しいテクノロジーなどストレスに満ちた現代社会の中で勝利する方法の一つである、と私は信じている。
もちろん柔術は具体的な闘いの技術をたくさん学べるが、日常ではファイターである必要は全くないよ。
実際私は道場生にチャンピオンになることなど求めていない。
柔術を通して「Retter Way to Live(いかにより良く生きるか)」を学ぶ機会を与えているつもりだ。

いいかい、これは私の人生の目標でもあるが、成功とは継続したものでなくてはならないよ。
一つの目標、敵に勝利したとしても、それらは既に過ぎ去った過去でしかない。
次の日から人生は容赦なく続くんだ。
私には新しいチャレンジが必要なんだ。
柔術は毎日をエキサイティングなものに変えることができるんだ。

勘違いしてほしくないが、柔術のコンセプトは「いかに負けないか」ということなんだ。
いたずらに攻撃的になるのではなく、状況を冷静に判断し、チャンスをじっと待ち、最後には有効な技で勝つというのが基本なんだが。
柔術を学ぶことは体の大きさや体重に全く関係がない、老若男女を問わず全て同じセオリーが当てはまる。

ーー今のお話に出てきた「いかに負けないか」というコンセプトは、VTという観客の前で行うプロフェッショナルな競技としては消極的すぎて面白みに欠ける、という意見もよく聞きます。
<ヒクソン>
「攻撃的ではない」ことが「消極的」だとはならないだろう。

ーーたしかにあなたが日本で見せたファイトは、決して消極的な印象ではないですね。
<ヒクソン>
私の場合で言うと、実は「ネズミ」と「ライオン」を使い分けるようにしているんだ。
体が大きくパワーが強い相手と闘う場合には、まず「ネズミ」となって機会を伺う。
他のファイターのように最初から「ライオン」となって未知の相手に安易に短時間に勝とうなどと無謀なことはしない。
まず自分の中に在るものを信じて、心を空にし、邪念を排除してふさわしい時と技が出るのを待つのさ。
逆に組し易しと思われる相手には「ライオン」となって最初から襲いかかるということもある。

闘いの場だけでなく、実は日常でもこれと全く同じ方法を採っている。
日常生活での敵はまず「プレッシャー」と「恐れ」、そして「不安」であることに誰しも変わりがないだろう。
これらに上手く対処し、クリアーする方法は、むやみに積極的に排除することではないと思う。
まず置かれた状態をトータルに理解することからすべきだ。
柔術の方法論はいかに状況を判断し、いかに自己を対峙させるかとも通じているからね。
それから正しい行動に移る。
日常でも闘いの場でも、素早く的確な状況判断の力と、後は自分を信じて、神を信じて、最善と思われる策を実行する力が大事なんだよ。

ーー日本にもそういう判断力と実行力を兼ね備えた、優秀なファイターがいます。
<ヒクソン>
誰だい?

ーー桜庭和志選手です。
<ヒクソン>
ああ、彼は素晴らしいファイターだね。

ーーその桜庭選手と弟のホイラー選手が「PRIDE8」で闘うわけですが、どう思われますか?
<ヒクソン>
ホイラーには私の技術、魂そのものが宿っていると言ってもいい。
そういう意味では、これは私と桜庭の闘いでもあるんだ。

ーー桜庭選手はホイラー選手に勝って、次はあなたと闘いたいとコメントしていますが?
<ヒクソン>
その質問に対しては、私の答えは無いよ。
ホイラーは絶対に負けないから。

ーー凄い自信ですねえ。
<ヒクソン>
やる前から負けることを考えるファイターはいない。

ーー素晴らしいセリフですね。
ここで私を殴ってもらいたいくらいです(笑)。
最近のVTでは特にアマレス系の選手の優位性が叫ばれていますね。
<ヒクソン>
たしかにレスリングの技術はVTでは有効な場合が多い。
だがレスリングを含め他の格闘技と柔術は根本的に違う。
柔道と柔術も似て非なるものだ。
その違いは「Competition(競技)」と「Gentle Art(穏やかな技)」とでも言えるかもしれない。
本来、柔術はゲームでもバイオレンスでもないし、単なる勝ち負けが問題にされるべきものでもなかった。
そういう意味では最近ブラジル等で行われている柔術の試合が、本来のものから外れてきてしまっているのは残念としか言いようがないがね。

ーーでは、あなたは何を目的に闘うのですか?
<ヒクソン>
これは分ってほしいんだが、父や私が過去ブラジルにおいてやってきたVTの闘いはあくまで我々の柔術をアピールする一つの手段に過ぎなかったということだ。VTの闘いは柔術を知らしめるための手段だ。
私もVTのイベントでは良いアスリートとして、出来るだけ新しい闘い方や技術を表現することを心がけてはいるが、実はそこでの闘いと柔術の試合では全く同じ闘い方をしているんだ。
目に見えない戦略もね。
VTは柔術の一部さ。

ーーということは、やはり柔術のアピールに必要な機会が訪れた時は、あなたがVTのリングに立つということですね?
<ヒクソン>
そういうことになるだろう。
最初に言った通り、それは近い将来実現させたいと思っている。