歴史から学ぶ

インドは中国を超えられるか? 11/12/11

 インドも中国も経済成長は著しい 

両国とも経済成長は著しい。2010年の統計で、GDPは、中国は2位、インドは10位だが、経済成長率は、両国とも10%超である。人口は、中国が13億人、インドが12億人であるが、インドの人口増は大きく、2030年には、中国を抜くと言われている。 中国は、世界の工場と言われ、製造業が多い。一方、インドは、製造業は少ないが、知識集約型産業がある。 英国植民地の時代が長く、高い英語能力を買われ、米国のIT産業の下請けが可能となっている。 さて、インドは、中国を超えられるのであろうか。

 ヒンズー教の呪縛 

確かに、インド人の進出は素晴らしい。 IT産業だけでなく、医療分野、NASAの科学者などの科学分野に多くの人材を輩出し、米国で成功した人たちも多い。 しかし、インドの歴史を見ていると、インドが中国を超えることはないと考えざるを得ない。 インドが中国に比べ、チャンスがない国と見るからだ。 インドは、ヒンズー教に呪縛されている。 カースト制度が、3500年前から、各階層間に深い溝を築いてきたからである。 アーリア人が、イランからインドに移住、定着し、インドに支配制度を確立するために、カースト制度を構築してきた。

 業と輪廻 

カースト制度を正当化する考え方は、ヒンズー教の「業と輪廻」に由来する。 輪廻とは、再生を繰り返すことである。業とは、行為の結果によって再生するという考え方である。 現在の階層に生まれたということは、前世の行為の結果である。 また、次の再生の時に、より上位の階層に生まれるには、現世で苦労をいとわず善業をなさねばならない。 支配者にとって、都合の良い理論である。くだけた言い方をすれば、次のとおり。
1.現世の苦役は、前世の悪業の結果なので、しかたない。
2.次の再生時に、よりよい階層に生まれてくるためには、現世で、より多くの苦労をしなければならない。
3.現世での幸福追求は諦め、次の再生時の幸福のために、現世の苦役に耐えなけらばならない。

 チャンスがあるか 

一般的に、チャンスがあると思うからこそ、苦難を乗り越えて挑戦する力が生まれる。 限られた階層に属する人しか、チャンスがないとすれば、国家としては、大きな損失であろう。 インドの人口は、「業と輪廻」の概念からすれば、増加傾向をたどり、いずれ、人口増加抑制している中国を超えるだろう。 しかし、国家の力としては、人口増に比べて、それほど増加すると思えない。

 階層間の溝は埋められるか 

それでは、階層間の溝は埋められるのであろうか。 否定はしないが、難しいと思う。 3000年余もかけて、構築された制度が、短期間で解消されるとは思えない。 11世紀以降、中世インドの各地の諸王権は、ムスリム異民族の支配を受ける。 第1位のバラモン階層は、これらの諸王権を第2位のクシャトリア階層として受け入れていく。 異民族の支配を受けながらも、カースト制度を維持し続けてきているのである。

ヒンズーの教えが、インドから国民の能力発揮のチャンスを奪っていると、私は思う。 その結果として、インドが、よりチャンスのある中国を凌駕することはないと考える。




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