混乱する私の頭脳 [船木を肯定する私]
ヒクソンに完敗した船木は「15年間ありがとうございました」
と言ってマイクを投げ捨てた。
引退する気なんだなと思った。
船木はカッコ悪いことがキライだ。
イヤになったら人であれモノであれ、「もういいや」とあっさ
り捨ててしまうところがある。
自分に対して、「もういいや」と思ったんだろうと感じた。
ズルズルと生きていくのは、カッコ悪いという船木の美学。
船木らしいね、なんて友達と朝まで語った。
それが船木誠勝のやり方なんだなぁ、と思った。
生き恥さらすくらいなら、自ら死を選ぶのが、船木誠勝。
ちょっと(イヤ、かなり)カッコイイと思う。

[船木を否定する私]
負けた時の悔しさが、バネになると思う。
負けてオシマイ、なんて。
じゃあ、このヒクソン戦はなんだったんだろう。
これからの船木に意味のあることだったのだろうか?
これからの船木に価値のあることだったのだろうか?
だいたい、船木がいなくなったら、鈴木の価値も半減する。
だって二人は一対なのだから。
高橋や冨宅や山田のことも捨てると言うのか?
混乱する私の頭脳 彼等を救えるのは、船木だけなのに。
カッコ悪くてもいいじゃねぇか。
これからも生きていこうよ。
貴方は生きているからこそ、光り輝くのだから。

矛盾してます。ハイ。
わかってます、そんなの。
たった十数時間で結論なんて出せねぇし、気持ちの整理だって
つきゃしない。当たり前だろそんなの。
悔しかった。すっげぇ悔しかった。
100%勝てるとは思ってなかった。確率は50%&50%。
でも、船木が負けてこんなに悔しいと思った自分に「そんなに
船木が好きだったんだ」とちょっと驚いた。
ヒクソンのリング上でのインタビューを聞いて、クチビルを噛
み締めて、グレイシー一族をニラミつけながら泣いたんだ。
自称アンチ船木のこの私が、である。

私には忘れられないシーンがある。
94年10月15日。船木VS鈴木で、鈴木が落ちていく、あの顔。
白目をむいて、落ちていく鈴木が頭にこびりついて離れない。
昨日の船木のあの顔も、同じくらい焼き付いてしまった。
白目をむいて、落ちていく船木のあの顔を、私は一生忘れない。

混乱する私の頭脳 船木は弱かった。
グレイシー柔術を意識しはじめて、研究すること5〜6年。
その時間でさえ、ヒクソンの40年には勝てなかった(ある意味
当たり前かも知れないけど)。
だけど、勝てる、というより勝って欲しいという気持ちは本物
だったんだ。
そしてこの悔しさも涙も、本物なんだ。
私は、船木誠勝のことを無意識のうちに、大切に思っていたの
だろう。
叩きたいヤツは叩けばいい。
どんなに叩いたって、私の中の事実が揺らぐことはない。
船木はカッコよかった。
船木は決して逃げたりしなかった。
私はこの試合を観れたことが、本当に嬉しい。
昨日、あの場所で船木の死に様を観れたことが嬉しい。
観れなかったら、一生後悔すると思うから。

ありがとう。お疲れさま。アンタ、カッコよかったよ。

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