モーリス・スミス 壁 1989年11月29日東京ドーム。
当時人気絶頂だったUWFはムエタイ、キック、サンボなどの世界中の強豪を集め
異種格闘技戦を行った。
骨折した船木の代打が鈴木だった。
相手はキックの世界チャンプ、モーリス・スミス。
「どうせキックボクサーだろ?寝かせちまえばこっちのもんさ…」
そう、簡単なはずだった。

褐色のチャンピオンは、甘くはなかった。
タックルが入らない。
テイクダウンができない。
打撃なんてソバットぐらいしかできない。
「負ける」そう思った瞬間、恐怖に襲われた。逃げ出したかった。

右ストレートが入って、全てが終わった。
自分が惨めで仕方がなかった。

再び向かい合ったのは4年後。
自らが設立したパンクラスのリングである。
前に進む為にスミスと4年前の自分にケリをつけなければいけない。
恐怖の象徴と思い出したくもない惨めな自分。

モーリス・スミス 壁 試合は3ラウンドKOで終わってしまった。ボロボロになるまで殴られた。
4年前と違うのは、倒れても倒れても立ち上がったことだった。
スミスは恐かった。でも、もう逃げるのはイヤだった。
「オレはプロレスラーだよ!」

その後、壁を乗り越えることはできた。
壁を超えることを諦めるのはもうイヤだ。
壁を乗り越えられないのならば、できるまで努力をすればいい。
もうどんな壁が現れても逃げたりはしない。
それを教えてくれたのはスミスだと思う。

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