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スパイクスイングの「分類」1/6
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 オリビアさん(mail)からまたまたスパイクに関する投稿を頂きました。6ページにわたる記事ですが、とても読みやすくその分量を感じさせません。UPして一日ではやくも良い反響を頂いていますので、期待して読み進めて下さい。ではどうぞ!(byたれいらん)

スパイクスイングの「分類」

 スパイクスイングを野球の投手のピッチングフォームのオーバースロー、サイドスロー、アンダースローといった分類のようにハッキリと分類することは普通ありません。選手のボールの打ち方を見ていると、いろいろな個性もありますが、似たフォームのグループにまとめることができそうです。スパイクスイングをわかりやすく分類することができれば、指導したり、自分のフォームを考える上で好都合です。スパイクスイングは「自分の頭より高い位置に手を振り上げて、ボールをヒットして相手コートに入れる」スイングです。助走において、手は肩よりも下にありますから(手を上げたまま助走する初心者は別として)スパイクを打つまでの間のどこかで手を肩よりも高く振り上げなければなりません。
この手の振り上げ方に注目するとスイングはいくつかのパターンに分けられそうです。

スイングは何通りある?

 手を頭の上に振り上げると、腕がボールを打つ方向と反対方に向かうスイングとなりますから、「バックスイング」と呼びます。一方、ボールを打つ時は前に振り出すスイングとなるので「フォワードスイング」と呼びます。スパイクスイングはまずこの二つに大別されます。

 外国のバレーボールに関する論文に二つのスイングのイラストがありました。


 左の‘Backswing’styleは野球のピッチングのように手を肩の下から後方に持っていくスイングです。右の‘Elevation’styleはもっと一般的で手を肩の上に振り上げてから後方に引くスイングです。
‘Backswing’style、‘Elevation’styleという二つの用語は一般的ではなく、この論文で便宜的に使われた名称のようです。(左の絵のフォームは‘Backswing’styleとなっていますが、‘Elevation’styleでも腕は後方にスイングしていますから、「バックスイング」があるわけで左のフォームをことさらに‘Backswing’ styleと呼ぶことは疑問が残るところです。) ‘Backswing’styleと‘Elevation’styleはともにバックスイングの形を分類したものです。このように選手間の個性の違いが見られるのは主にバックスイングの時ですから、スパイクスイングを分類するということはバックスイングを分類すると言い換えてもよさそうです。

セリンジャー氏の分類

 上の二つの分類をすればスイングの分類は十分と言えるでしょうか?これだけでは分類出来ないスイングも当然あります。セリンジャー(Arie Selinger)氏は著書「セリンジャーのパワーバレーボール」(ベースボールマガジン社 1993年刊)の中で5つのスイングについて述べています。

(参考)セリンジャー氏のスパイク5型分類

【1】ストレート・アームスイング
「長い間、多くのコーチ達はこの技術が最も高い位置でボールにコンタクトできると信じ、頭上後方に腕を伸ばしてスパイクするように選手達に教えてきた。」

【2】ボウ・アンド・アロウ・アームスイング
「弓から放たれる矢のようなアームスイングは、非常に人気がある。踏切りの後、左腕は上昇を続けるが、その間右腕の肘は肩の高さのやや上後方へ引く。前腕はほぼ床に平行で、それから床に垂直になるまで引き前方を向ける。それからボールにコンタクトするために上方へ伸展する。」

【3】スナップ・アームスイング
「スナップ・アームスイングは、ボウ・アンド・アロウに似ているが、ボウ・アンド.アロウのように大きな負担を肩にかけない。腕は肘で約90度に曲げ、肘は肩のやや下で肩の高さに横から回して上げ、前腕は床に垂直にする。ここから腕をボールの方向へ振り出す。」

【4】サーキュラー・アームスイング
「サーキュラー・アームスイングは腕を横から上げるときに肘が肩の周りを下から回転し、完全に止まることがないことを除けば、スナップ・アーム・スイングに似ている。サーキュラー・アームスイングには、2通りある。リミテッド・サーキュラー・アームスイングでは右手は頭よりやや高く上げ、前腕を床と平行に保ち、上腕と前腕を約90度にしながら下方に回転する。スイングの終末に向かって、腕はボールの方向へ伸展する。ワイド・サーキュラー・アームスイングでは踏切りの間、右手が腰の高さまで前に振り出される。それから腕は肩の周りを下から回転し、ボールに向かう。」

【5】ラウンドハウス・アームスイング
「スナップ、ボウ・アンド・アロウ、そしてサーキュラー・アームスイングに加えて、ラウンドハウス・アームスイングがある。それはラウンドハウス・サーブのような風車に似た腕の動きである。この技術は最近、ファスト・チップや緊急時にボールの下を叩くときに、とくに用いられている。」


 【1】ストレート・アームスイングと【2】ボウ・アンド・アロウ・アームスイングはともに一般的で、よく見かけるスイングです。【3】スナップアームスイングと【4】サーキュラー・アームスイングは後述するようにかなり近い動きをしますので一緒に考えることとします。【5】は日本では以前より「バランス・スマッシュ」と呼ばれているスイングで、説明にあるように常時使うスイングでありません。こう考えてくるとセリンジャー氏の分類は

(1)ストレート・アームスイング
(2)ボウ・アンド・アロウ・アームスイング
(3)サーキュラー・アームスイング

の三種類にまとめることが出来そうです。先に挙げた外国の論文のイラストの‘Backswing’styleはセリンジャー氏の分類ではサーキュラー・アームスイングに相当し、‘Elevation’style はボウ・アンド・アロウ・アームスイングに当てはまります。セリンジャー氏の分類法は非常に優れた分類ですので、これを中心に考えます。

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