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VOLLEYBALL
ポジションと役割
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 バレーボールでのポジションと役割を考える上ではそのバレーボールのレベルを考慮しなければなりません。そしてそのボーダーラインは、バックアタックを攻撃の選択肢として前衛と同じように使えるかどうかを基準に考えると具合が良いようです。

 なぜならバックアタックを自由自在に使えるレベルでは、ベストスパイカーをセッター対角(注1)に置くことにより常に三枚以上の人数(選択肢)で攻撃でき、非常に都合が良くなるからです。

 逆にバックアタックを有効に使えないチームでベストスパイカーをセッター対角に置いてしまうと、ただでさえ弱い前衛二枚の3ローテーションをベストスパイカーの攻撃抜きでしのがなければいけなくなり、とても都合が悪いのです。

 そこで以下ではこの二つのレベルに分けてポジションとその役割を説明します。

(注1)セッター対角とはセッターが前衛のときには後衛に、セッターが後衛の時には前衛としてプレーするポジションの事です。トップレベルではスーパーエース、下のレベルではライトと言われる事が多いです。対角についてはココ(初心者向け用語解説)を参照下さい。


(1)トップレベルでは


スーパーエース

 スーパーエースと言うのは前述の通りセッター対角に位置するプレーヤーの事です。トップレベルではほとんどのチームでベストスパイカーがこのポジションにつきます。日本で言えば中垣内選手や平野選手がスーパーエースとして名高いですね。

 スーパーエースに求められる能力はなんといってもスパイク決定力です。苦しい場面でどんなに難しいトスが上がっても決めるだけの技術、体力、精神力を兼ね備えた選手こそスーパーエースの名にふさわしいのです。

 逆にサーブカット能力などはあまり必要ないです。トップレベルでは上手いこと分業する事が出来るので、サーブカットはエースやリベロに任せてスパイクの体勢をつくるのがスーパーエースの仕事なのでしょう。


エース(レフト)

 エースという呼び方はスーパーエースというポジションが一般的になったあとに良く使われるようになったと思います。私にはまだレフトという呼称のほうがしっくりきますが。

 それはともかく、エースの一番の仕事はサーブカット(=サーブレシーブ)です。スーパーエースやセンタープレーヤーが攻撃に専念できるのもエースとリベロの三人でサーブカットを行うだけの高い能力があるからなのです。試合でのサーブカットの重要性はとても高いものですし、ジャンプサーブも年々威力が増している様なので今後もエースと言うポジションはサーブカット能力抜きでは語れません。

 かといってスパイクやブロックもおろそかには出来ないのがエースと言うポジションです。オールラウンドな能力が必要なのです。それで必然的に全日本の青山選手や加藤選手のような器用なプレーヤーがエースと言うポジションにつくことになります。

 ちなみにエースは6人の中にエース対角として二人います。一方が前衛の時もう一方は後衛なのです。


センター

 センターもスターティングメンバー6人の中に二人います。そしてトップレベルでは後衛に下がった方がリベロと代わることが多いです。

 その理由を一言で言うならば、センタープレーヤーはサーブカットがあまり上手くないことが多いからと言えましょう。少なくともリベロの方が上手いので、後衛ではリベロにサーブカットをさせたほうが良いのです。

 こう書くとセンターってへぼいと感じるかもしれませんが、現在のバレーボールを戦術面で見ると、最も重要なポジションはこのセンターなのです。

 センターの最も重要な仕事はブロックです。そしてブロックと言う技術は、一見簡単そうですが実に奥が深いプレーであり、なかでもセンターブロックは視野の広さや相手セッターとの駆け引き、素早い移動のためのステップ、反応の早さなど様々な能力が必要です。

 ここで挙げたほかにもセンターブロックには多種多様な技術が求められるので、センタープレーヤーは練習の大部分をブロック練習に費やすものと思われます。センタープレーヤーはブロック職人と呼びたい気さえします。

 さて、センタープレーヤーのもうひとつの重要な仕事は速攻です。クイックとも言います。速攻の評価のポイントは高さ、速さ、正確さ、の三つでしょうか。

 高さ、正確さが重要なのはわかっていただけるとして、速さについてちょっと触れておきます。ここで言う「速さ」というのはボールのスピードのことではなく、セッターがトスしてからセンタープレーヤーが打つまでの時間の事です。「早さ」と言った方が正確かもしれませんが「速さ」のほうがイメージ的にしっくりきます。

 なぜこの「速さ」が重要かといいますと、現在世界中で大流行している「リードブロック」に対して「遅い」速攻では無力だからです。下手すると「遅い」速攻には三枚のブロックがつきかねないのです。

 逆に、トスが上がったのを確認してから飛ぶブロックである「リードブロック」に対して「速い」速攻は非常に有効です。相手が反応するまもなく打つことが出来ればノーマークで打つのと同様になるからです。

 以上の様にセンタープレーヤーをチェックするときにはブロックと速攻の速さを重視してみると玄人っぽいですね。いちど試してみてはいかがでしょうか。


セッター

 野球のキャッチャーに良く例えられるセッターの登場です。セッターは司令塔の名にふさわしく、昔から試合の行方を最も左右するポジションだったと言えるでしょう。そして現在では、その重要性はますます高まっています。

 セッターの最も重要な仕事はいうまでもないでしょうがトスです。そして現在のバレーボールでセッターのトス技術が戦略面に与える影響は昔より大きくなっているのです。

 詳しくは戦術解説の項に譲りますが、どれだけ正確で速い平行トスを上げられるかが相手ブロックシステムとの兼ね合いで大きな意味を持つようになりました。具体的にはセッターの平行トスが速いと相手はバンチリードブロック戦術を採れなくなり、そうなるとパイプ攻撃と言うものが非常に有効になるのですが、それに関しては戦術解説を参考にして下さい。


リベロ

 リベロの役割は非常にわかりやすいでしょう。サーブレシーブやスパイクレシーブなどの専門家ですから。

 サーブレシーブの他にスパイクレシーブを挙げたのにはチョットした意味があります。まず、スパイクレシーブというのは成功すると非常に盛り上がるプレーだということを頭にいれておいてください。時速100kmを確実に超えるスパイクを放たれ、やられた!と皆が頭を抱える瞬間に炸裂するファインプレーがスパイクレシーブなのですから盛り上がるのも当然ですね。

 そしてリベロはそのファインプレーを試合で何本も炸裂させる事が求められるプレーヤーだと思います。また、監督はそれだけの期待をかけてリベロをコートに送り出していると思うのです。

 リベロは一方でサーブカットを確実に返す事を求められ、一方でファインプレーを出す事を要求される非常にタフなポジションです。技術面もそうですが精神的にはもっときついでしょう。スパイクを打ってはいけない、アタックラインよりまえでオーバーでトスを上げてはいけないといった足かせもさらに気を重くさせるかも知れません。

 しかしそれらのプレッシャーに耐え、さらには周りのプレーヤーを鼓舞し続ける存在こそがリベロなのです。

(2)一般的レベルでは

   実際にプレーしていらっしゃる方向けの記述も含まれていますので、あらかじめご了承下さい。

サイドプレーヤー(=エース(レフト)・ライト)

 一般的なレベルではチーム構成を考える上でまずセンタープレーヤーとセッターとサイドプレーヤーの三つにのグループに分けるとよいです。そしてサイドプレーヤーの三人に関してはサーブカットの要になる点で共通しています。

 サイドプレーヤーをどの様に配置すべきかを考える際、最も重視すべき能力はスパイク決定力です。最もスパイク決定力が高い選手がセッターの隣のレフトに入り、次の選手がその対角で、三番目の選手がセッター対角に入る事が多いです。セッター隣のレフトを俗に「表エース」、その対角のレフトを「裏エース」と呼ぶこともあります。

 そして二人のエースにはオープントスをきっちり打てる能力が特に要求され、ライトの選手には二段トスを上げる能力とノーマークのスパイクを確実に決める能力が必要です。ちなみにライトプレーヤーはつなぎのプレーが上手い人が多いのも特徴です。


センター

 センタープレーヤーに必要な能力はブロック力と速攻の決定力でトップレベルと同じですが、多少内容が違います。

 まず速攻ですが、リードブロックは一般的には普及していないのでそんなに速さは要求されません。それよりもブロッカーがヤマをはって飛んできたときにかわせるだけの技術と滞空力(=高さ)、正確性のほうが大事でしょう。もちろん速いに越した事はないのです。

 次にブロックですが、こちらもリードブロックが出来ないと仮定すると、何よりも「読み」が重要になります。セッターに対する観察力や駆け引きの力、経験などでこの読みの能力を上げる必要があります。あまり上手くないセッターに対しては、百発百中で読みを当てなくてはいけません。あと矛盾する様ですが、読みが外れても何とかしようとくらいつく姿勢も大変重要です。

セッター

 やはりセッターの基本は良いトスを上げることです。これをおろそかにしてはなりません。ただ、時期によってはフォーム改造などでトスが多少乱れるのも許されると思います。それでもチーム事情は最大限に尊重すべきですが。

 さて、綺麗なトスを上げられるレベルを超えると、次の段階は相手に読まれないフォームでトスする事です。フォームが悪いと全てのトスに2枚以上ブロックがついてしまい、よっぽどすごいスパイカーがいない限り、試合にも勝てません。そのためのフォーム改造なのですが、前述の通りチーム事情との兼ね合いが難しいところです。

 最後になりましたが、セッターにとって最も重要な能力は、試合展開に応じて適切なトス回しをする事です。相手にバレバレでもベストスパイカーに丁寧にトスを上げるべき場面が必ずあります。そこで独り善がりにならずにベストスパイカーにトスを上げられることが良いセッターの第一条件でしょう。

(2000年2月)

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