Tsuyoshi Shinjo   Dusty Baker  


 


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No.193 米国プロスポーツ界随一といわれるGMも大パニックに (02/12/29)

 メジャー・リーグに限らず、現在の米国プロスポーツ界で、最も手腕のあるGM、との評価を確立している、ブレーブスのジョン・シュアーホルツ氏

 ロイヤルズとブレーブスを常勝軍団に育て上げた。

 ブレーブスを11年連続地区優勝に導いた。
(注:この連続地区優勝は、GMのおかげじゃなくてコックス監督のおかげだ、いやファーム・システムのおかげだ、いやテッド・ターナー・オーナーのおかげだ、とブレーブス・ファンの間でも意見が分かれているようだが。)

 しかし、今オフの戦力編成において、この米国随一のGMといわれるシュアーホルツGMが、

   やることなすこと、新米のGMみたいで、ぜんぶ裏目に出てるじゃないか

 と、アメリカのマスコミの笑いの的になっている。

 何が笑いの的になっているのか、というと

(1) 先発ローテーションの軸を次々に同じ地区の球団にもっていかれた

 ブレーブスの優勝に貢献してきたグラヴィンを、メッツにかっさらわれた。

 18勝計算できるケビン・ミルウッドをフィリーズに渡した。(ひきかえに獲得したのはマイナーの捕手だったという。)

(2) 先発ローテーションの期待の新星を放出してしまった

 左腕先発の新星と期待されるダミアン・モスを、SFジャイアンツとのトレードでオルティスを獲得するのとひきかえに、放出してしまった。

(3) 中継ぎの主力を残留させることができずFAで次々に失ってしまった

 マイク・レムリンガーとクリス・ハモンドの二人だ。

(4) グラヴィンとの交渉のやり方が下手だった

 最初は単年度契約のオファーから始めた。シュアーホルツGMとカステン社長のプランでは、この単年度契約提案は、あくまでも、交渉における最初のとっかかり、ファースト・ステップにすぎなかったという。

 だが、メッツとフィリーズは最初から複数年契約をオファーしたので、ブレーブス残留を希望していたグラヴィンの気持ちを大きく揺さぶった。

 負けじとシュアーホルツGMとカステン社長のコンビも、交渉の最終段階では4年契約をオファーできるところまでこぎつけたのだが、「年棒の支払に猶予を与えて欲しい」とグラヴィンに頼み込んだため、グラヴィンに決定的にあいそをつかされてしまったらしい。

 アメリカのマスコミは書いている。交渉の最初の段階で4年契約を提示できていれば、カネに淡白でブレーブスを愛しているグラヴィンのことだから、年棒支払猶予も「まあ、しょうがないな」という程度でサインしてもらえたのではないか、と。

 わたくしチートイツも、単年度契約から交渉をスタートしたのは間違いだったと思う。

 ただし、アメリカのマスコミが書いている上述の下線部の箇所は、そうだろうか?、と首をかしげざるをえない。グラヴィンは、今季の労使交渉であれほどキツいセリフを連射しまくったグラヴィンと同一人物だからだ。 

(5) マダックスとの交渉で腰がすわらなかったためブザマなトレードを連発してしまった

 この辺の事実関係はかなりこみいっていて、ブレーブスの「ファン」にとどまり、「大ファン」と名乗れるほどにはブレーブスのことを知らないわたくしチートイツには、いまいちよくわかっていないことがたくさんあり、したがって事実関係に間違いがあるかもしれないが、「前置きはいいから早く本題へ入れ」というあなたの声が聞こえたような気もしたので、かろうじて理解できた範囲だけ、以下にご紹介してみる

 グラヴィンを失ったおかげで(?)、予算が浮いたブレーブス・フロントは、思いきってマダックスに年棒調停を提案

 ところが、マダックスがこれを受諾してくれるかどうか、シュアーホルツGMは自信が持てなかった

 11年同じチームでつきあっていても、その心を読める訳ではない、ということなのだろう。

 マダックスの回答期限は数日後

 マダックスがブレーブスから出て行くことを選んだ場合に備え、先発投手陣を急いで補強しなければならない。

 なぜなら、マダックスが回答をしてきたころには、市場に出ている魅力ある先発投手たちが他球団にすべて押さえられてしまっている、ということになっているかもしれないからだ。

 シュアーホルツGMは、マダックスの返事を待つ、この地獄のような数日の間、大胆なトレードやFA獲得に走った

 若手新星モスを手放してオルティスを獲得し(上述)、あるいはポール・バードをFAで獲得したのだ。

 ところが ― マダックスはシュアーホルツGMの提案を受け入れて、年棒調停を受諾した

 これはこれでめでたい話で、マダックスの来季残留が事実上確定したことになるのだが、― そうなると、別の問題で、またまたシュアーホルツGMは決断を至急くださなければならなくなった。

 マダックスが残留してくれて、いったい何が問題なのか、というと、マダックスの返事を待っている間に急いで立て続けにやった補強で、補強費が予算を超過し、急いで誰かを放出しなければならなくなったのである。

 シュアーホルツGMが決断したのは、同じ地区で打倒ブレーブスに燃えて景気のいい補強戦略をブチあげているフィリーズさらに喜ばすトレードだった。― そう、上述の、ミルウッド放出トレードだ。

 ブレーブスが失ったのは先発投手陣の柱であったが、フィリーズが失ったものはマイナーの捕手であった。

「しかし、我々の予算では、こうするしかなかったのです・・」(シュアーホルツGM)

 マダックスの返事を待ってから補強に乗り出してもよかったのではないか、と尋ねられると

「いえ、その頃には、もう、オルティスもバードも、他球団にもっていかれてました」(シュアーホルツGM)

 親会社のAOLタイム・ワーナーの業績が急速に悪化し、ブレーブスもない袖はふれない時代を迎えたのだろう。

 戦力編成予算の急激で大幅なカットというのは、おらがチームのライアンGMならともかく、シュアーホルツ氏には初体験で不慣れなことがたくさんあったのかもしれない。

 シュアーホルツGMは次のように告白した。

「私は、いっとき、パニックに陥りました」

「なにしろ、私たちの目の前で、ウチの投手陣がバラバラに崩壊していくのを見たのですから」

<オマケ― ブレーブス・ファンの希望>

 以上のような次第で、ブレーブスの先発投手陣は、このオフでがらりと変容した

 
今季 来季
マダックス
グラヴィン
ミルウッド   
ハンプトン
モス
マルキス
マダックス
オルティス
バード
ハンプトン   

マルキス

 シュアーホルツGMを失笑の的にしておきながら、アメリカのマスコミも勝手なものだと思うのだが、来季の先発投手陣の方が今季の先発投手陣よりも多い勝ち星を挙げる可能性がある、と書いている。・・・



No.192 ありがとうボンズ (02/12/22)

 久しぶりの更新再開なのに、その手始めがまたまた金銭ネタなのはいかがなものか、とはわたくしも思う。

 しかし、数あるメジャー・リーグ関連サイトの中で、本サイトの特色を出そうとすると、どうしても、コミッショナー罵倒ネタか、ダメ・フロント嘲笑ネタか、この金銭ネタに限られてくるのである。

 ★ ★ ★

 日米野球に出場したメジャー・リーガーが、リーグ機構側からいくらもらったのか ― というのは、スポンサーの日本側(おそらくヨミウリ)の要請で、機密扱いになっているものとばかり、わたくしは思っていた

 ところが、メジャー・リーグ選抜チームに4人も出場したおらがチームの面々が、地元紙すたあ・とりびゅうんのインタビューにウホウホ顔をしながら、ギャラの額をあっさりバラしているのである。

たくさんもらいました。ほんと、うれしいです」

 と言うのは、全戦ほとんどで先発マスクをかぶった、ピエルジンスキー

 彼は、日米野球開催直前に、ベニート・サンチアゴ捕手(SFジャイアンツ)の代役としてチームに合流させられたのだが、

「そんなこと、全然気にしてませんよ、俺は。だって、勝ち負けに関係なく、1300万円もらえる、ていうんですから」

 この額について、金満球団から派遣されたバーニー・ウイリアムスやジオンビーらも「たくさん」と認識しているかどうか、は微妙なところだが。

 華麗な守備を日米野球でも披露してくれたおらがスターハンターは、MVPを獲った。そのことで、さらに笑いが止まらないそうだ。

その賞金が550万円だったんだよ、エヘヘ」

 MVPをとれなかった残りのメジャー・リーガーたちも、日米野球シリーズで勝ち越したために、全員が賞金を手にしたという。その額は130万円だという。

 結局、メジャー・リーガーたちは、1500万円のギャラを手にしたことになる (ハンターは1900万円) 。

 貧民に属するわたくしには、どう転んでも手の届かない額である。

 しかし、メジャー・リーガーのギャラとしては、かなり低い額ではなかろうか?

 念のため、すたあ・とりびゅん紙の記事を確認してみたが、何度読みなおしても、メジャー・リーガーたちは、(MVPをとったハンターをのぞき) 全員同額のギャラをもらった、と書いてある。

 1500万円という額では、ジーターやアレックス・ロドリゲスを呼ぶことは不可能だろう。そして、親日派ランディ・ジョンソンも、日米野球参加よりも自宅休養の方を優先するのはまず間違いないものと思われる。

 そして、このギャラで来てくれたメジャー・リーガーたちを、驚きの眼で眺めざるをえない。

 密命を帯びて派遣させられた(らしい)バーニー・ウイリアムズやジオンビー、低年棒に歯ぎしりしながら耐えているおらがチームの面々、彼らがこのギャラで来たのは、別に驚くべきことではないかもしれない。

 しかし、ワールド・シリーズに出場、本当は心身クタクタのはずのボンズが、このギャラで来てくれたことは、わたくしとしては驚かざるをえない。



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