今シーズンのマジョルカを総括する

(激動の2000−2001シーズン前半戦) 後半戦へ


(プレシーズン)

まずマジョルカの2000−2001年シーズンの話題といえば、自らの宗教上の問題により引退をしていたカルロス・ロアが復帰したことである。正直私もびっくりしたがこれは本当の話であった。これによりマジョルカのGKスタッフはカテゴリーこそ違うものの、アルゼンチン代表経験者が3人という豪華なものになった。が、それが後々問題を起こすことになるのだが・・・

次は監督がフェルナンド・バスケス(ベティスへ)からルイス・アラゴネス(オビエドから)に代わったことである。このスペインの名将のマジョルカへの到着はファンに大きな期待を抱かせた。

おまけに上層部のスタッフにも交代が。会長がギジェルモ・レイネスからマテオ・アレマニーに代わった。アレマニーはレアル・マドリーからオファーを受けていたが、それを蹴っての会長就任である。

そして移籍選手、補強選手に移るとまずアーセナルに移籍した右ウイングのラウレン、レンタルでジェイダに移籍したジョカーイ、セビージャに移籍したダビッド、サン・ロレンソに行ったセリスエーラとキンテーロスなどが挙げられるが、なんといっても痛恨だったのはチームの得点王であり、ゴールゲッターの嗅覚を持つディエゴ・トリスタンのラコルーニャ移籍であった。マジョルカは攻撃力の低下が囁かれた。

しかし獲得選手のほうに目を向けると、やはりこういうチームらしく「そつのない」補強を展開した。まずは右サイドのラウレンが移籍した穴を埋めるためにベティスからフィニディを獲得。そして守備的MFのマルコスを「クラブ消滅の憂き目にあい、カテゴリーを落とされ、名前を変えて2部Bで頑張る」メリダからあっさり獲得。そして前線に移ると、まず昨シーズンバルサファンにとって「ノウ・カンプの悪夢」(マジョルカが0−3で勝利した)の立役者エトーがレンタルという形でチームに残ったのを始め、ジェイダから2シーズン二桁得点を挙げているホセミ、マジョルカBで力をつけ昨シーズンはマラガでプレーしたルッケを獲得。これにビアジーニ、カルロスといった選手を加え、FW全体の平均年齢は非常に若いものになった。これに去年からの所属選手を加えマジョルカの2000−2001シーズンが始まった。


(予想外のスタート)

2000年9月10日、2部よりも1週間遅れてスタートした新シーズン。ホームでバジャドリーを迎えた。この試合の大きな話題はやはりカルロス・ロアの復帰だ。彼がピッチに姿を現すと、ファンはスタンディングオベーションで迎えた。しかしこのような華やかな雰囲気にも関わらず、マジョルカは開幕から苦戦を強いられる。立ち上がりは良かった。3分にイバガサが得点を上げる。チームは意気揚揚となるが17分にビアジーニがPKを失敗してしまった。そして71分トゥリエルに得点を決められて、マジョルカの開幕戦は引き分けに終わる。ロアの好セーブが無ければ負けていてもおかしくなかった。

2節は強敵バレンシアとのアウェーゲーム。マジョルカは完膚なきまでに叩きのめされる。4−0、完敗である。おまけにまたビアジーニがPKを外してしまう。実は開幕戦からFWはビアジーニとカルロスが担当している。この年はシドニーオリンピックのためルッケとエトーがしばらく合流できない上に、ソレールとスタンコビッチが怪我をしていて万全とはいえない状況であったが、この敗戦にはなにも言うことは出来なかった。

そして3節マラガ戦(ホーム)、4節アスレティック戦(アウェー)と連続して星を落とし、開幕4試合で1分け3敗となり単独最下位に転落した。ルイスはマスコミから批判されるが、会長は全信頼を置くとコメントした。


(マジョルカ“特有“の問題)

実は5節のラシン戦(ホーム)を迎える前に、開幕前の問題が出てきていた。EU圏外外国人枠の問題である。登録できる(EU圏外)選手は5人、一度にピッチに立てるのは3人である。最初はロア、フィニディ、イバガサがメインであった。しかしこの試合からエトー(カメルーン)が帰ってくるので自動的に誰かがスタメン出場できなくなる事態になる(スタンコビッチはまだ怪我中)。ロアはルイスが高く評価している、フィニディは今シーズン獲得したばかり、イバガサはここまでの試合で一番チームにフィットしている、誰を外すかという問題は解決不可能に思われた。

しかしここでなんとロアが練習中に怪我をしてしまう。診断の結果、長期の戦線離脱を余儀なくされてしまう。この穴をレオ・フランコ(アルゼンチン人だがイタリアのパスポートを持っている)が埋めることによって大幅なダウンにはならなかった。そしてラシンにルッケとカルロスのゴールで2−1と勝利。今シーズン初勝利を収めた。


(地獄の3連戦)

さて、ラシンに勝利したマジョルカだがそうそう息をつくわけにもいかない。ラコルーニャ(アウェー)、バルセロナ(ホーム)、レアル・マドリー(アウェー)の3連戦が待ち受けていたからである。しかしマジョルカはここで最高と言ってもよい結果を収める。

ラコルーニャ戦はバレロンに先制されたもののルッケがその後に同点となるゴールを決めた。しかもビクトルがPKを失敗したこともあって、引き分けに終わった。

バルセロナ戦は今シーズンのマジョルカのなかでもベストゲームの一つといってもよい。全員が非常に組織され、攻撃面はエトーとイバガサとルッケが大暴れし、バルサディフェンスをずたずたにした。とった2点はディフェンスのミス(ともにドゥトゥルエルとセルジのミス)だったが内容は完璧だった。このような試合が出来れば決して負けないだろうと私は確信を持った。

舞台をサンティアゴ・ベルナベウに移してのレアル・マドリー戦、ここでのマジョルカは「アウェーゲームをどう戦うかの見本」を具現化した。レアルの攻撃をベテラン選手が巧みにかわし、防ぎきり一気にカウンター、これが成功しイバガサがループシュートを決める。これにあせったレアルは攻めざるを得ないがますますマジョルカの網に引っかかってしまう。そうこうしているうちに今度はカルロスがとどめの2点目を決めた。この勝利はレアルに今シーズン初のホーム黒星という結果を与えることになったのだが、この勝利以後サンティアゴ・ベルナベウでレアルに勝利するチームは出てこなかった・・・


(今シーズン初の快挙)

この後もアウェー戦となったレアル・ソシエダ戦、マジョルカは90分にナダルがヘディングを決めてソシエダに競り勝ち、ヌマンシア戦では今シーズン初となるフィニディのゴールとルッケのゴールでヌマンシアをホームで2−1で沈めた。翌節のラス・パルマス戦で久しぶりの敗戦を喫するも、ヌマンシア戦終了時までにどのチームよりも早く4連勝を達成した(バルサ、レアル、ソシエダ、ヌマンシア)。


(エトーとルイスの喧嘩)

次はソン・モッシュでビジャレアルと対戦した。ビジャレアルはこの時点で「ジャイアントキリング」といわれており(バルサとラコルーニャに対してドラマティックな勝利を収めた)、マジョルカもビッグチームに対する相性がよかったので「ジャイアントキリング同士の決戦」という文句がつけられていた。この試合から長らく怪我で戦列を離れていたスタンコビッチが復帰。ベンチに下がったのはエトーだった。マジョルカは前半ビジャレアルの勢いに完全に引いてしまい、先制を許してしまう。が、後半エトーを投入し、流れが良くなったマジョルカはマルコスのヘディングで同点とすると、今シーズン初ゴールとなるノボのゴールでなんとかラス・パルマスでの敗戦を引きずることなく試合を終えた。

そしてサラゴサ戦、4分にジャメーリに先制されるがルッケが芸術的なミドルシュートを決め同点に。そしてその直後ルイスはエトーをベンチに下げた。これに対してエトーは「交代が早すぎる」として不満げな様子をありありと見せていた。その数秒後、ルイスがエトーの元に向かい襟首をつかんで怒り出したのだ。その後のエトーはしょぼくりかえっていたが、試合後「マジョルカでプレーできるかどうか考えなくてはならないよ」と移籍を匂わせる発言をしたため騒然となったがその翌日「移籍だって?いいや。マジョルカ以上の場所がどこにあるんだい」と180度発言が変わっていた。他の選手が励ましたりしたおかげとエトーの成長でこれからの彼は驚異的な活躍を見せるのである。彼はサッカー選手として規則を学び、成長したのである。


(論議をよんだ審判の判定)

サラゴサ戦後のオサスーナ戦に引き分けたマジョルカ、息つく暇も無くビーゴでセルタと対戦した。しかし、この試合は審判に泣かされた試合だった。結果は2−2、であるがマジョルカの取り消しにされた3つのゴールのうち2つは完全にゴールだったうえに、セルタの2点目はアシストしたジオバネッラがイバガサに真上からのしかかりながらのプレーにも関わらず審判はそれを見逃した。なんとかロスタイムにオライソラの1部リーグ初となるゴールで引き分けに持ち込んだものの、ゴールを取り消されたアルマンドは怒り心頭だった。現地で観た私も怒り心頭だった。審判のミスにはこれからも泣かされつづけられるとはこのときは予想できなかった。


(前半戦終了へ)

論議をよんだセルタ戦の後はソン・モッシュでエスパニョールと対戦。シーソーゲームを3−2で制したマジョルカ、ラージョに2−2に引き分けアラベスを4−3とクラッシュ。難地オビエドで1−1で引き分けたマジョルカは前半戦を終了した。順位は5位。素晴らしい出来である。


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