大晦日Suunnistus合宿報告


【報告者】 松澤俊行

【日時】 
 12月30日(月)19:00〜12月31日(火)16:00

【場所】
 愛知県南設楽郡作手村
   宿泊:ペンション「やまぼうし」
   トレーニングテレイン:「亀山城と武家屋敷跡」

 【参加者】
 <オーガナイズ>
  ヤリ・イカ・ヘイモネン (通称:イーキス)
   タル・イカ・ヘイモネン
  尾上俊雄
 <選手>
  加納尚子
  落合志保子
  原響子
  奥村理也
  松澤俊行
  高橋善徳
  羽柴公貴(宿泊なし)

【内容】
 30日晩 フリーディスカッション
 31日午前 ルートチョイストレーニング
      (M:5.5km W:4.2km)
   午後 リレートレーニング  
      (1km× M:5本 W:3本)

 以下、松澤の感想等を織り交ぜながら合宿中の様子をリポートします。

 まずは夕食後、広間にて翌日のメニューについてのイーキス氏の説明を
受けました。

 「今回のメニューは、北欧諸国で行われているようなものを、との要請
 を受けて設定した。まず、午前中はルートチョイスを主眼とした練習を
 行う。ここではトップスピードは要求しないので、とにかくルートチョ
 イスを重視して地図をよく読み、ミスなくナビゲーションして欲しい。
 そして、必ずレッグごとにラップを取ること。走り終えた後ルートとラッ
 プを仔細に検討したい。
  午後はインターバル形式のトレーニングを行う。1kmで3〜5コン
 トロールのコースを5本用意する。まず、先頭で選1人の選手がスター
 トする。そして男子は30秒、女子は1分空けて残りの選手全員が一斉
 にスタートして追いかける。1本ごとに最終コントロールで集合し、次
 のスタート地点にジョグで向かう。次のスタートで先頭の選手が交替し、
 以降同じように進めて行く。この練習では、他の選手を利用し、トップ
 スピードを維持することが大切だ。(ルートを比べるわけではないので)
 ラップを取る必要はない。走り終えた後、簡単に振り返って解散とする。
  選手は設置や撤収のことは考えなくて良いので自分の走りに集中して
 欲しい。」

 午前と午後の練習の間には、一度宿に帰ってシャワーを浴び、昼食を取ることも
告げられました。メニュー設定も設置も撤収も全てイーキス氏が中心になり、選手
の手を煩わすことなく行われるとあって、「デンマークのエリートと同じ扱いを受けて
いる!」と志保子さんが感動していましたが、他の選手も同じ気持ちだったことで
しょう。

 メニューの説明の後は、お茶を飲みながらのフリー・トークの時間となり、そこでイ
ーキス氏は一人ひとりのトレーニングの現状を確認し、それぞれに改善のアドバイス
をしてくれました。例えば、次のように。

 某選手:「夜も公園(不整地)を走りたいんですが、暗くて中々難しいんですよね。」
 イーキス:「ヘッドランプをつけて走ったらどうだろう?」
 某選手:「日本でそれをやるのは『ストレンジ』ですよ。」
 イーキス:「ははは、我々はみんな元々『ストレンジ』じゃないか! デンマークで
       やったってそれは『ストレンジ』、さ。」

 氏は、フィジカル・トレーニングの他、読図トレーニングの方法などもいろいろ示して
くれました。お絵描きOLや、時間を区切ってのスピード読図練習など、我々も知って
おり、合宿などでしばしば行うことがほとんどでしたが、それらを「日常的に」「集団で」
「目的を明確に意識しつつ」「徹底して」行うことが大切だとあらためて思い知らされた
ような気がしました。
 話が進み、場が打ち解けてくると、恐らくフィンランド語で「オリエンテーリング理論」
というような題名が書かれているハードカバーで300ページに及ぶような本(16年前
の刊行)が氏のカバンから取り出され、話はますますヒートアップしていったのでした。

 夜は明けて、実地のトレーニングに入ります。
 ルートチョイス・コースはタルさんが組んだとのことでしたが、ショートレッグでもルート
が分かれるように工夫されており、走後の検討も興味深いものとなりました。そこで確
認された一般的留意事項を下に示します。

 ・ ロングレッグでは距離が伸びても良いから、急な上り下りを避ける。
 ・ ショートレッグは地図から地形を見極め、回避するべき所はした上で最短のルートを行く。
 ・ ロングでもショートでも、ジグザグルートは避ける。シンプルに。
 ・ 同じレッグでもレース中のどこに現れるかでベストルートは変わって来る。
  序盤であれば体力を温存するようなルートを選び、終盤なら体力を使い切る
  ことを厭わず少しでもタイム短縮の可能性があるルートを選ぶべきだ。

 午後はトップスピード重視、とのことなので登りを抑えたコースが提供されるのかと
思いきや、男子のコースはつなぎのジョグ合わせて計7km、登距離540mというも
のでした。4人いる場合、1人ずつあるいは2人ずつ30秒間隔で、というのがこれま
での感覚でしたので、「1対他全て」という今回の形式は新鮮でした。
 男子グループはイーキス氏を含めて5人が代わるがわる先頭を務め、並走の妙味
を堪能しました。ただ、先述のようにコースは非常に厳しく、集団から離れてしまうと 
あとは「忍耐力試し」と化しました。この形式でなければあれほど追い込んで走れな
かったことは確かで、体力的にも精神的にも鍛えられる練習でした。
 このメニュー後の検討の際、イーキス氏から伝えられたコメントを要約します。

・ こういうメニューではとにかく集団から離れないこと。そして他の選手を利用する
 こと。3人いれば現地を見る目の数は3倍になる。
・ 敢えてルートを変えようとしないこと。集団について行く方が、多少ルートで劣っ
 てもスピードが上がるので、結果として早くコントロールに辿り着くことだろう。

 検討では、各選手がイーキス氏から、何度も何度も「どこまで先頭が見えていた?」
「どこで離れた?」「その後再び見えてきたか?」ということを聞かれたのが印象的で
した。個人的にはこれまでリレーにおいて、「人を気にしない」「一人で走っているもの
として最も良い選択をする」ことを重視してきましたが、これからは一層リレーは「個人
レースとは別のゲームである」ことを意識して練習時から対処を図る必要があると感じ
ました。あと、リレーで国際レベルの戦いをするにはやはり体力と体調に対する大きな
自信が必要であることを痛感しました。

 わずか20時間ほどの作手への滞在でしたが、参加者一同、年末ギリギリまでハー
ドな練習をしていられることに対する喜びの表情を浮かべていました。2003年も充実
した一年とするきっかけを与えてくれたイーキス氏に、あらためて感謝の意を表したい
と思います。
 キートス、イーキス。

【追記】
 いろいろ手配してくださった落合夫妻にも感謝!