◎ウェールズ戦の延期とその余波

 

 ジンジッチ前セルビア・モンテネグロ首相が暗殺されたことを受けて発令された国家非常事態宣言の影響で、4月2日に予定されていたユーロ予選のウェールズ戦は8月20日に延期されることになりました。

 僕は、フォトグラファーであり東欧フットボールジャーナリストの方がSCGフットボール協会のジェネラル・セクレタリーのブランコ・ブラトビッチ氏に行ったインタヴューにお手伝いということで同行することができました。

 そのインタヴューで氏が語るところによると、この決定はローマでウェールズとSCG、そしてUEFAの三者による会議がもたれ、決められたそうです。サビチェビッチ監督は試合をやりたがっていたということなので、当初我々はウェールズ側が危険だというために一方的に延期を要請してUEFAがこれに同意したものだと考えていました。しかし氏によると、非常事態宣言のために警官や軍がいろいろな場所に配置されていて警備を試合や相手チームに十分まわせない、そしてまた、非常事態宣言下ではデモなどのように人が多く集まることを禁止していてフットボールの試合もその例外ではなかったというこの二つの理由からプラービ側も延期せざるをえなかったようなのである。つまり双方の合意によって下された決断であったようなのである。

 こちらの「では、試合はしたかったですか?試合が行われていたらどうなっていたと思いますか?」という質問に対して氏は「試合はしたかったがこれは政治的な判断であるから我々は何も言えない。もちろん試合には勝ちたいと思っている。」と答えた。

 「ウェールズやイタリアを倒して、ポルトガルでのユーロ本戦に進めるとお考えですか?」という問いには

 「当然、本戦に行きたいと思っている。だが、このグループはイタリア、ウェールズ、フィンランドが集まる非常に難しいグループである。簡単なことではない。我々は現在グループ3位につけている。それでもまだ5試合が残っている。まだまだ本戦へのチャンスはある。本戦に行くことを望んでいる。」と語った。

 このときに非常に気になったのは「望んでいる」とか「なになにしたいと思っている」という希望的な意味合いの言葉を頻繁に使われたことだ。僕には、氏は本当は現在のチーム状況ではウェールズに勝って、本戦に進むのは非常に難しいと考えざるを得ない。しかし立場上否定的なことは言えないためにこのような表現になったのではないかと思えてならない。

 次にこの延期によって本来8月20日に予定されていた日本での日本対プラービ戦はどうなるのだろうかと聞いてみた。

 「日本戦は来年に延期されることが日本サッカー協会とのFAXでのやり取りで決定している。今年中はすでにスケジュールが決まっていて行うことが不可能だが、来年には行いたいと考えている。日本とはピクシーによって友好関係を築くことができている。近年2回もプラービは日本と試合をしている。今まではベストメンバーを送り込むことができなかったが、今度は必ずベストメンバーで日本と対戦する。日本にプラービのファンがいることも知っているので、『来年こそは日本でお会いしましょう』と皆さんに伝えていただきたい。」と。

 最後に代表を休むと言ったケジュマンについて聞いてみた。

 「ケジュマンについては彼がアゼルバイジャン戦後にピクシーに連絡してきて代表をしばらく休みたいと言ってきた。ただし、いつかは復帰する。早ければ4月31日のドイツとの親善試合になるかもしれない。ただし、それはケジュマン自身が決めることだが。」

 なぜ監督のサビチェビッチではなくピクシーに連絡をしたのか?そして現在、ケジュマンとは連絡をとっているのですか?と聞いてみた。

 「サビチェビッチでなくピクシーに連絡したことはたいしたことではない。ピクシーとサビチェビッチは古くからの友人で毎日連絡を取り合っている。それにピクシーは協会の会長だ。だからそれは問題ではない。ケジュマンとは現在は連絡はとっていない。」

 サビチェビッチ監督とケジュマンの仲が悪いことは皆がうわさすることだが、氏は立場上そんなことはいえないためにこのような言い方になったのだろう。

 時間がなくなったのでインタヴューはこれで切り上げることになり、 最後にお礼を言い握手をして名刺を渡して自己紹介をした。そうしたら彼は知っている、前にも来たことがあるだろうと言われた。どうやら他の日本人と勘違いしているようだ。「あなたにお会いしたのは初めてですが、また何度か来ることがあると思います。そのときはどうかよろしくお願いします。」というと、「いつでもどうぞ。」と名刺とそれからプレゼントまで渡してくださった。