◎政治に左右されるセルビア・モンテネグロ 

 

 アゼルバイジャンでは政府が協会会長を交代させたり、代表チームを大幅に変更するなど、政府によるサッカー協会への介入が行われていた。これに対し、FIFA(国際サッカー連盟)はアゼルバイジャンがサッカー協会を正常な状態に戻さない限り、国際試合への出場を停止するという決定を下した。

 4月17日(現地時間)のセルビア・モンテネグロ(以下SCG)の地元紙『ブリッツ』は、このアゼルバイジャン出場停止に対するSCGサッカー協会首脳のコメントを載せた。

・ドラガン・ストイコビッチ(SCGサッカー協会会長) 「FIFAは長い間アゼルバイジャンに対してサッカー協会の組織を整備するよう要求してきた。ブラッターFIFA会長はローマでの会議で、アゼルバイジャンに対して今、強い姿勢で臨まなくては今後もこのようなことが起こり得ると警告した」

 FIFAの決定によって利益を得るのはSCGであり、損をするのはイタリア、そして特にウェールズである。(ユーロ2004=欧州選手権=予選グループ9において、SCGはアゼルバイジャンとホームで引き分け、さらにアウエー戦を控えていた。一方、イタリアはアウエーで2−0と快勝の上に、大量得点を望めるホームでの試合を残していたはずで、ウェールズに至ってはすでに2試合を消化し、いずれも2−0、4−0と大勝している) 「別にわれわれがFIFAに対してアゼルバイジャンを出場停止にしてくれと頼んだわけではない。アゼルバイジャンがいなくなったからといって、ウェールズ、イタリアとの対決を乗り越えてポルトガルに行けると有頂天になるつもりもない。もしアゼルバイジャンが復帰してきても、ヘルシンキのフィンランド戦、そしてベオグラードでのウェールズ戦などに勝たなければならないことに違いはない」

・ブランコ・ブラトビッチ(SCGサッカー協会ゼネラル・セクレタリー)は、この決定は予想されたことだと語った。

「アゼルバイジャンの問題はすでに1年半も続いていたことだ。UEFA(欧州サッカー連盟)もFIFAも、事実上サッカー協会も国内リーグも存在しない状況を改善しようとしていた。この決定は残念なことではあるが、FIFAがサッカーの組織内での争いを許さない以上、避けられないことだった。出場停止が続いて、もしアゼルバイジャンがこれからも国際試合を行えないのならば、ユーロ2004(欧州選手権)予選における彼らに関する結果はすべて消される。これはわれわれにとっては少しではあるがチャンスである」

・デヤン・サビチェビッチ(SCG代表監督兼モンテネグロサッカー協会会長) 「私にはまだアゼルバイジャンがユーロ2004の予選から完全に除外されるのか定かではない。この決定はSCGのイタリアへの陰謀であるといううわさがあるが、そんなことは信じられない。もしそうならば、アゼルバイジャンはウェールズ戦の前に出場停止になっていただろう。FIFAがそれをしなかったのはどうしてだと思われますか? 私は6月までにはこの問題は解決し、私のチームは6月11日にアゼルバイジャンと試合を行うと思っている。当然、もしアゼルバイジャンとの成績が無効になるのならばSCGには好都合であり、イタリアにはダメージがあるだろう。しかし、UEFA内のだれかがSCGを助けようと望むことなど完全にあり得ないことだ」

 FIFAはなぜ早く決定を下さなかったのか? この疑問に対しては、アゼルバイジャンに対して勝ち点3を獲得していたイタリアがこの決定を望んでいなかったために先送りにしていたのではないかという憶測がある。また今回の決定はウェールズ対アゼルバイジャン戦の前にも行うことができたが、そのときはウェールズがすでに7万4000枚のチケットを売り上げてしまっていたために行われなかったとも言われている。

 いずれにせよこの決定はプラービ(SCG代表の愛称)にとってはプラスではある。しかしそれでポルトガルへの切符を手にできると決まったわけではないし、今後アゼルバイジャンの出場停止が解かれることもあり得る。強豪との試合がまだまだ残っているプラービにとってポルトガルへの道はまだまだ険しい。