◎セルビア・モンテネグロカップはサルティドが初優勝

 

 5月29日(現地時間)パルチザンスタジアムにおいて、レッドスター・ベオグラード対サルティドによるセルビア・モンテネグロ(以下SCG)カップの決勝戦が行われ、サルティドが延長109分のゴールデンゴールでレッドスターを1−0で下し、初優勝を果たした。

 試合は終始レッドスター優勢で進んだ。しかし、攻め込むもののゴール前でのアイデアがなく、決定的に崩すシーンはまれで、徐々に守り慣れてきたサルティドとの我慢比べになった。特に後半、レッドスターが中盤のボール回しと守備に貢献していたネナド・コバチェビッチとチャンスメーカーのボガワツの2人を交代させてからはイライラする展開が続いた。

 試合は0−0のまま延長戦に突入し、デリエ(レッドスターサポーターの愛称)からは激しいブーイングが飛んだ。前日に行われた欧州チャンピオンズリーグの決勝が0−0のままPK戦までもつれ込んだこともあって、客席からは「またPKか」という声が漏れたその時、試合は動いた。右サイドから切れ込んだサルティドFWのパンテリッチが放った右足アウトサイドのシュートが、レッドスターゴールのバーに当たってゴールに吸い込まれたのだ。

 チーム初のビッグタイトル獲得に喜びを爆発させるサルティドの選手、監督たち。それとは対照的にグラウンドに座り込んでしまったレッドスターイレブン。そしてふがいないわがチームに怒りを爆発させ、客席に火を放つデリエ。

 この試合は今シーズンのレッドスターの悪い部分が一番出た試合だった。ボールは支配するもののゴール前でのアイデアが不足してチャンスが作れない。そしてだらだらと試合が続いて、結局引分けかカウンターで失点して負ける。リーグ戦のタイトルをパルチザンに取られ、カップ戦だけでもと臨んだこの決勝戦で、一番悪い試合を演じてしまった。最後までこの悪い癖を改善することができずに、レッドスターの今シーズンは幕を閉じた。

 無冠に終わったことでフィリポビッチ監督の進退を問う声が出ることは必至だろう。そして来シーズンに向けては攻撃陣の補強が急務だ。SCGリーグでは格下のチーム相手に確実に得点できるようでなくては優勝はしにくい。レッドスターが強くなくては、来シーズンもまた今シーズンのようにパルチザンの独走というつまらないリーグになってしまう。リーグの面白さを保つためにもレッドスターにはこのオフシーズンに積極的に動いてもらいたい。

 

喜びを爆発させるサルティドとグラウンドに座り込むレッドスターイレブン

怒りを爆発させるデリエ(レッドスター・サポーター)

暑さを新聞で作った兜でしのぐおじさん

【Photo by Koji Watanabe】