第82回箱根駅伝往路プレイバック

出場チーム
駒澤大・日本体育大・日本大・中央大・順天堂大
東海大・亜細亜大・法政大・中央学院大・神奈川大
東洋大・早稲田大・国学院大・山梨学院大・大東文化大
城西大・国士館大・明治大・専修大・関東学連選抜


第82回箱根駅伝往路オーダー(2006.1.2)
チーム名 1区 2区 3区 4区 5区


1区   21.3km 大手町読売新聞社前〜鶴見中継所 
区間記録 渡辺康幸(早稲田大) 1時間01分13秒 70回大会@‘94年


 午前8時、東京大手町読売新聞社前、関東学連会長・廣瀬豊氏の号砲によって19大学20チーム20人の選手が一斉にスタートした。最初に曲がったら区間賞がとれるといわれる最初のカーブを1区のスペシャリスト日体大・鷲見がトップで曲がった。なんとその鷲見の最初の1kmの入りが2分44秒、かなりのハイペースであり早くも後続19人とは15秒以上の差が開いてしまった。

 3kmの入りは鷲見が8分38秒、後続は約3分ペースなのでこの時点で100m以上は開いている。後ろの集団を日大・土橋、駒沢・藤山、山梨学院・大越あたりが引っ張る展開になっているが誰も遅れることなく3kmを通過していった。この時点からも鷲見との差は見る見るうちに開いて中継車からはかなり小さくなってしまった。

 田町(4.8km)地点の鷲見の通過は13分23秒、2位集団先頭の通過が13分54秒なので31秒もの差がついてしまっているがまだ誰も集団を抜け出す気配はない。このまま新八山橋を通過しても集団は土橋が先頭で引っ張るが誰かに出てほしいのか周りを見ながら走っている。8kmの通過で鷲見と後続の差は40秒とまた少し離れた。

 10kmの通過が29分42秒と鷲見は1km3分という自分のペースを保って走っている。後続集団は土橋と学連選抜・中尾が少ししかけ縦長になり11km過ぎに国士舘・阿宗が遅れはじめる。14km過ぎに2位集団の先頭が中央大・奥田に変わりペースが上がったのか今度は法政大・高嶺が遅れ、その後専修大・平澤が遅れ始める。

 給水ポイントから蒲田(15.3km地点)にかけて藤山が仕掛け縦長になり、土橋、中央大・奥田が着く展開になる。その後ろには中央学院・木原が着いていく。17km手前に一気にペースが上がり17km過ぎにとうとう後続集団が鷲見を捕らえた。この時点で一気に集団がばらけ先頭は奥田になりこの集団は、鷲見、土橋、藤山、木原、東洋・市川、順天堂・佐藤、明治・岡本の8人になり18km頃に鷲見、佐藤の順で脱落していく。

 六郷橋にかかった時点で第一グループ6人と第二グループの差は30〜40mぐらい、そこから下りを利用してまず岡本が飛び出すが離されずについていく。残り2kmを切ったところで岡本がいっぱいになり、藤山、木原、奥田の3人が少し前に出てそこからはスパートの掛け合いだ。

 残り1kmで木原がトップに立ちそのまま襷を渡した。中央学院史上初の区間賞であった。2位には藤山、3位に奥田とそれぞれ2秒差で渡した。その約10秒後に土橋、市川、岡本の順で入ってきた。第二集団はトップから33秒遅れで早稲田・阿久津が入り注目のルーキー佐藤は46秒遅れの11位、優勝候補筆頭の東海・杉本は59秒遅れの15位、前半1人で引っ張った鷲見は1分9秒遅れの17位でそれぞれ襷を渡した。

 結果的に鷲見は17位にまで落ちてしまったが彼の積極的な走りは来年以降の1区を変えていくきっかけになるに違いない。また区間賞の木原はまだ1年生でありW佐藤に負けない存在になってほしい。順大・佐藤にとってはほろ苦い箱根デビューになった。

2区   23.0km 鶴見中継所〜戸塚中継所 
区間記録 三代直樹(順天堂大) 1時間06分46秒 75回大会@‘99年


 2区はご存知箱根のエース区間。今回からのコース変更で最長区間ではなくなったが、ここが前半戦の山場でエース区間であることは変わりないであろう。先頭を行く中学大の信田は1万、ハーフ共にチーム1の実力者。わずかな差で駒大・佐藤と中大・池永がスタート、トップから12秒差で1万mの学生記録保持者日大・サイモンがスタートした。また注目の山梨学院大・モグスはトップと50秒差でスタート。

 サイモンがスタート直後に中大、駒大を捕らえ、1km過ぎに中学大を抜きトップに立つ。追うモグスは1kmで2人をかわした。1kmの入りはサイモンが2分41秒、モグスが2分44秒である。モグスはその後も次々に亜細亜、城西、早大、明大とかわし4km手前には並んで走っている中大、駒大、東洋を抜き、5km手前には中学大を抜いた。

 サイモンの5kmの通過が13分59秒、モグスが13分46秒と2人とも驚異的なスピードで走っているが少しずつモグスが差を詰めているのも事実である。後続をみると去年も1年生ながら2区を走った順大・松岡がモグスには抜かれたものの、国学院、明治、学連選抜などに追いつき吸収する形で集団を作りながら城西・田上に7km付近で追いついた。

 横浜駅前(8.3km)地点でとうとうモグスがサイモンに追いつき一気に前に出た。ここでトップと3位中学大との差は36秒、4位集団の中大、駒大、東洋大とは41秒差である。ここまでの区間記録2人に次ぐ3位には日体大・保科であった。

 11kmすぎる頃には1位山梨学院と2位日大との差は約100mになっている。その後3位を走っていた信田は駒沢、中央、東洋に吸収され3位グループになった。また7位争いも前から亜細亜、早稲田、順大、国学院、学連選抜、城西、日体大、神奈川、明治の9人が50mの中にひしめき合う状態になっておりそれを東海・丸山、大東大・野宮が14位争いをしながら前を追っている。この時点で特に目立って苦しそうな選手はまだいいない。

 権田坂の入り口(あと8.1km)でトップの山梨学院と2位の日大との差は59秒とかなり広がっていた。3位グループはトップから1分35秒遅れで通過した。またここで7位グループのトップに保科が立ち、学連選抜と亜細亜が遅れた。だいたいこの辺りが2分30〜40秒ぐらいの差である。この集団も坂の下りを利用して竹沢が少し前に出ると集団がばらけ保科と三島しかついていけなかった。

 雨が少し降り始め下がった気温の影響からかサイモンのペースが一気に落ち、19km付近で池永、黒崎に抜かれた。このままペースは戻らず後続にも抜かれそうな雰囲気である。7位集団がサイモンに追いつく頃、今度は集団に竹沢がついていけなくなり7位は保科と三島の争いになる。この頃モグスは20kmを通過し56分53秒とまだ区間記録を1分近く上回る驚異的なペースで走っている。残り距離がわずかになりモグスのペースが一気に落ちた。中央と東洋の2位争いは黒崎がいっきに前に出た。またサイモンは残り1.5km付近で13位まで落ちていた。

 結局モグスは区間記録を更新できなかったが歴代4位となる好記録だった。2位には東洋・黒崎が入り1位2位の襷渡しが予選会からの出場校となった。その後中央、中学大、駒沢と続き6位には保科が11人抜きで襷を渡した。注目の東海は3つ順位を上げ11位、日大は15位で襷を無事渡し終えた。サイモンはレースを投げ出すこともあったが今回は歯を食いしばり必死に耐えていたように見えレース後には泣いていたという話もある。

3区   21.3km 戸塚中継所〜平塚中継所 
区間記録 小林正幹(早稲田大) 1時間02分49秒 71回大会@‘95年


 4年ぶりにトップで戸塚中継所の襷渡しをした山梨学院は4年生の片貝がスタートした。2位の東洋大は尾田が41秒差で、3位中央は注目の上野裕一郎がトップと51秒差でスタート。ゴールデンルーキーの佐藤悠基はトップと2分43秒差でスタートした。

 以前3区はつなぎの区間といわれていたが近年は重要視されるようになり、今年から4区が短くなったことによってチームのエースや準エース級の選手が走るようになりさらに重要度を増した区間である。

 序盤、上位校1kmから3kmあたりは1kmほぼ3分ペースと差はあまり変わらないがアップダウンを利用して1位山梨学院・片貝と2位以降の差がすこしずつ詰まっている展開になっているが片貝も非常にリラックスして走っている。3位スタートの上野もいたって普通の3分ペース、やはり後ろから来るであろう高校時代の後輩である東海大・佐藤のことも気にしなくてはならない。

 片貝の5kmの通過が15分ちょうどと自分のペースを守っている。後続は少しずつ詰めてきているので、それより少し早いペースであろう。注目の佐藤も4kmの通過が11分35秒と早くはないがこの時点で神奈川、城西、学連選抜を抜いている。その前には早稲田、国学院、日体大の6位集団が走っている。その集団も7km付近で追い抜いた。6km手前から急にトップの片貝と尾田の差がつまり始めはっきりと見えるようになり8km手前で後ろについた。

 藤沢(8,2km)のポイントを1位2位は同時に通貨し中央は23秒差、続いて駒沢が通過し、ここで東海は中学大を抜き5位で通過した。9kmの通過が25分52秒で区間記録より40秒ほど早いことになる。

10km手前で追いつかれた片貝が今度は逆に尾田を少しずつ離し始めた。また後続の集団に中学大・木村が追いつかれ、順大・松瀬が追いつき、順大、早稲田、日体大、国学院、中学大、城西と少し大きな6位集団ができた。12km手前には佐藤がとうとう4位の駒沢・井出に追いつき前に出たが少し併走したがやはり佐藤が前に出た。上野は2位との差を徐々に詰めている。

 また小雨が降り始めた茅ヶ崎(あと7km地点)の通過は山梨学院と東洋の差が22秒で東洋と中央はわずか7秒になっていた。東海はトップと1分23秒差、15位でスタートした日大・福井は11位まで上がっており、中学大・木村は10人に抜かれていた。16km付近でとうとう2位と3位が入れ替わり2位は中央になった。それを佐藤が追いかけているが残り距離が少なくなり抜くのは少し厳しいかもしれない。トップの片貝は安定して走っている。佐藤の20kmの通過は57分55秒と区間記録を1分近く上回っており、更新はほぼ間違いないであろう。

 山梨学院は9年ぶりに3区トップで襷を渡した。2位には中央が21秒差、東洋が33秒、東海が37秒であった。佐藤の区間タイムは1時間2分12秒と30秒以上区間記録を更新した。駒沢は1分46秒と離され5位、6位には日大が入り福井は学連選抜を含め10人抜きを達成した。日体大は4分7秒差の13位まで落ちていた。個人順位は佐藤が文句なしのトップ、2位には日大・福井が入り、3位は上野であった。ここまでの3区間はいずれも1年生が区間賞をとったということになる。

4区   20.9km 平塚中継所〜小田原中継所 
区間記録 なし(初コース)


 今回から5区の距離延長に伴い、短くなった区間であり、10区間の中で唯一20kmを切る区間である。短くなったことにより箱根を走ったことのない1年生や1500mや5000mを得意とするスピードランナーが配置されている。注目は順大の1500のスペシャリスト村上がいる。駒沢は怪我で全日本を走ることのできなかったがエースの1人である斉藤が配置されている。トップの山梨学院は2年生の飯塚で今年初めての箱根である。21秒差で追う中央は3年生の小林、東洋は北島、東海は市村がそれぞれスタートした。

 4区がスタートしてすぐ村上が城西大・橋本を抜き8位に順位を上げる。2km付近で小林が飯塚に追いつき併走をほとんどせず前に出て差を広げていった。4.5km付近の直線道路になると1位の中央から4位の東海までが見える展開になっている。後続は4km手前で村上は亜細亜・菊池に追いつき7位集団となる。駒沢はトップまで450mぐらいある。7,5kmすぎに日大・笹谷が村上、菊池に追いつかれるが離されず3人で6位集団になる。その後ろの早稲田・本多と城西・橋本も9位集団として併走している。

 二宮(9,1km)地点でのトップ中央から4位東海までがわずかに27秒差となっている。その後5位駒沢までが1分26秒差である。トップの小林は10kmが29分52秒と小刻みなアップダウンのあるコースとしてはいいタイムであろう。斉藤はやはり体調が万全ではないのか30分を超える通過になってしまった。二宮の中継点辺りからまた小林と飯塚の差が縮まり始めたがなかなか詰まらない。15kmで市村が北島を抜き3位に上がるが突き放すことができない。この頃村上がスパートをかけたのか笹谷が少し離された。

 ラスト500mほどになり小林にアクシデントが起こる。右足をつったのか少し跳ね上がったり、たたいたりしながらラスト懸命に走っているが無事に襷をトップで渡すことができた。2位には山梨が入り10秒差と過去10年でもっとも少ない差だった。最後まで併走を続けた市村と北島は北島が先に襷を渡し東洋が3位であった。駒沢は少し離され1分56秒差の5位、村上が最後スパートをかけ亜細亜を引き離し6位と3人を抜いた。ただ日体大は3区4区に多少不安があるといっていたが4区が終わり16位と優勝争いどころかシードも危なくなってきた。やはりどこの大学も次の走者のことを考えると順大よりは先に渡したかったというのが本音であろう。そうなると優勝争いは東海、駒沢、順大に絞られたといってもいいのだろうか。

 区間賞は3人抜きを見せた順大・村上がとり、2位にはその村上と長い併走を続けた亜細亜・菊池が入り、3位は14位から11位まで順位を上げシード争いに戻した神大・坂本が入ったが距離が短かったからかあまり区間の個人記録に差は生まれなかった。

5区   20.7km 小田原中継所〜箱根 
区間記録 なし


 5区は俗に言う山登りコース。今年から距離が延長され23.4kmと10区間最長になり、高低さも864mとよりスタミナと強靭な脚力を必要とする区間になった。また今年は天候が悪く頂上付近は雪になるかもしれないという予報も出ている。この区間には各校エース級のランナーを配置してきた。トップの中央は3年連続の山登りとなる中村和哉であり、追う2位の山梨学院も3回目の山登りの森本である。しかも1年生に走った79回大会は往路優勝のゴールテープを切っている選手である。でもやはり注目は昨年脅威の区間記録をマークした順大・今井であろう。他にも去年のリベンジに燃える日体大・北村や、東海大のエースの1人である伊達、5連覇を狙う駒沢も3年連続山登りになる村上、ロードには強い日大の日本人エース下重などが箱根の山に挑む。

 襷渡しが終わり、3位4位争いはすぐに伊達が東洋・大西に追いついたが譲らず併走が始まった。2km手前には今度はトップの中村が森本に追いつかれ森本が前に出て少しずつ離しにかかった。森本は3kmを8分53秒と上り始めたこのコースではかなり早いといえるであろう。その後ろの伊達が9分16秒、大西は9分20秒、村上が9分17秒と落ち着いた入りといえるだろう。しかしその後ろの今井の姿が少しずつ大きくなってきているのは確かであるが、森本の方が早いペースで走っている。

 函嶺洞門に差し掛かる頃トップの森本は快調に飛ばし2位との差は開いていっている。3位と4位はまだ併走が続いている。トップから5位の駒沢までは2分30秒ほどあり、24秒遅れて今井がいてその後ろに下重も見えている。9km付近でとうとう村上の後ろに今井の姿が見えるようになり一気にその差が詰まり始めた。

 大平台(9,5km)地点でトップと2位の差は44秒とかなり開いている。しかし東洋の1年生大西は伊達によくついていっていると言えるのではないか。3位集団はトップと1分32秒差、駒沢は2分18秒、その後ろの今井はわずか7秒後に通過していった。通過の個人順位はトップが山梨学院の森本、2位に今井、3位が大東文化の佐々木となっている。10km過ぎにはとうとう今井が村上を抜いていった。そして13km手前に今井が東洋、東海を抜きそれと同時に伊達が遅れてしまった。伊達はその後ろにいた村上にも抜かれていってしまった。村上も大西を抜かし4位に上がった。

 14km付近で森本のペースが急に落ち、1kmが4分かかるところがでてしまった。痙攣が起こったのか足を気にしながら走っている。小涌園で測ると森本から中村は53秒差であまり変わらないが、今井はトップと1分20秒差で通過していった。また18位の国士舘までが明日の繰り上げスタート圏内である10分以内に通過していった。森本が足を気にするという仕種はなくなったがかなりきつそうな表情をしたままである。今井は16km過ぎに中村を抜き一気に離していった。森本はうしろから来る今井が気になり何回も後ろを振り返りながら走っていたがとうとう18km手前に抜かれトップが入れ替わった。また18km付近で王者駒沢の村上が中村を捕らえ3位に上がった。

 芦の湯(あと5.1km)地点でトップから3位争いの駒沢までが45秒差で追いかけている。なかなかリズムに乗れない伊達は18km過ぎに亜細亜・小沢に抜かれ8位まで落ちていった。くだりに入っても今井のペースは変わらず自分のペースで走っている。21km付近で村上は森本を抜き2位にまで上がってきた。

 村上はどんどんペースを上げなんと今井との差を縮めていったが、順大・今井が往路優勝のゴールテープを切った。2位には駒沢・村上が30秒差まで縮めて帰ってきた。3位には最後に順位を上げた中央が1分19秒差で、4位には予選会から上がってきた山梨学院が1分24秒差で入った。個人順位はやはり今井が1時間18分30秒でトップ、2位にはちょうど1分差で駒沢・村上、3位には日大・下重が入った。注目の北村は5位、伊達は18位に終わった。

 優勝争いは復路の順大と言われているが往路でもトップで入った順大と去年と同じ30秒差で2位に入った駒沢の紫紺対決になるのであろうか。また優勝候補に上げられていた3位で1分19秒差の中央大や5位で2分1秒差の日大や3分以内の6位亜細亜まではまだ優勝が狙える位置といえるであろう。シード争いは9位早稲田から12位国学院までが53秒差とまだまだわからない。ブレーキが多かった日体大は10位まで2分14秒とかなり危ない位置であるがシード入りを狙う学校にとって日体大は脅威になるであろう。明日は去年と同じ16位までが時差スタートとなり、近年上位と下位の差が詰まってきた感がある。