3月16日
 今日は、日本では卒業式だ。本当は俺も出たかったんだけどな。でもいいや。大学院のときに出られるさ。今、インドでは7:23。日本では11:00になろうとしている。少し寂しいがしょうがない。
 結局18日までデリーに足止めになりそう。ホーリーのせいである。
 日本のラジオ放送が流れている。渡辺美里の「卒業」が流れている。16日、自分の卒業式の日に異国の地で聞くとは、なんとも感慨深いものがある。
 今日はクタブミナールとラールキラーにいってきた。クタブミナールにはオートリキシャで往復100ルピー。なかなかグッドプライスであった。運転手がよい人で、ガンディー記念館にも連れて行ってくれた。
 ラールキラーには人力車、サイクルリキシャでいった。往復一人20ルピー。暑い中を一生懸命こいでくれて感謝、感謝、感謝。
 さすが3日目になるとインド人対応にも慣れてきた。日本人を見つけてトモダチなどと近寄ってくる奴には本当にろくな奴はいない。みんな嫌な奴ばかりだ。
 高橋君、どうですか。憧れていたインドの旅は。ちょっと疲れているんじゃないですか。肉体的な疲れよりも、どちらかというと精神的な疲れの方が大きいんじゃない。でも、精神的に疲れることなんか日本ではあまり経験できないことだよ。いことじゃん。またインドにきたいね。
 本日は下痢の一日だ。同室の人に薬をもらった。ありがとう。今度くるときは整腸剤を持ってこよう。
 PM10:43。あーあ、もうねよう。
 
〜追憶〜
 3月16日は大学の卒業式であった。一緒に学んできた友が大学から飛び立ち、社会人として出発していくときである。できれば一緒に出席したかったが、やっぱりひねくれ者のせいか、インドにきてしまった。大学院への進学が決まっていたこともあるが、それだけではないことは自分自身がよく知っている。失恋かな。
 ドミトリーで一緒になった日本人が持っていたラジオから渡辺美里の「卒業」が流れてきたときのことは今でも鮮明に思い出すことができる。まちがいなくNHKであったと思う。卒業式のことを考え、少し感傷的になっていたところに流れ込んできた曲。なんともいえない気持ちで聞いた。
 クタブミナールまでいった。ここでは見ず知らずのおばさんが近寄ってきて、写真を撮るための良い場所を教えてくれるという。案内されると、確かに写真になるなぁと思わせる場所である。日本ならこのまま「ありがとうございました」で終わりなのだが、さすがインド。「金をよこせ」ときた。当時は頭にきて無視をしたが、今になって考えるとそうまでしなければ食べていかれないインドの現実にもう少し気持ちを寄せても良かったのではないかと思う。帰り際に駐車場でコブラ使いが芸をやっていた。テレビでよく見る、笛を吹くとコブラがかごから出てくるやつである。博くんは珍しかったのか写真をパチリ。そのままオートリキシャに乗り込むと、芸人がやってきて金を払えといってくる。写真をとったのだから金を払えというのである。もっとなことであるが、博くんは無視を決め込み、そのままオートリキシャは発進。先日、テレビでクタブミナールの風景が流れていました。同一人物かどうかはわからないが、やっぱり駐車場でコブラ使いが芸をしていました。変わらないなぁと思いました。
 昼ご飯はどこで食べたのだろう。記憶にない。何かを食べたと思うが…。
 人力車でラールキラーに向かった。料金交渉も慣れたものです。嫌なら別の人に交渉すればいいだけ。暑い中を、大人ふたりを乗せて、足の細いインド人は一生懸命こいでくれました。途中、インド映画館らしき建物があり、いかにもインド的な大きな絵が描いてありました。
 ラールキラーはとても大きな、赤い色をした建物でした。中は比較的整備されていて、のんびりとした空気が漂っていました。中をぐるっと回って別のリキシャマンと交渉。途中、なぜだか別のリキシャマンと交代してゲストハウスまで帰ってきました。
 日記を読むと、妙に人恋しくなっている自分がいる(書けない部分があるので、日記は一部削除して載せてあります)。卒業ということもあったのだろう。学生の頃は精神的な疲れを日本ではあまり経験してなかったようである。確かに、気の合う仲間の中で、きちんとコミュニケーションが取れ、のほほんと過ごしてきた自分には、人との中で起きてくる精神的疲れを経験してこなかった。インドでは、時間はたっぷりある。休みたいときにはどれだけでもベッドでのんびりできる。しかし、全く知らない人々の中で、言葉もわからず、意志疎通をままならない状況での精神的苦痛は日本では経験できないことである。何かにイライラし、インド人に当たっていたように思う。「ノープロブレム」この言葉はインド人がよく使う言葉である。「そんな細かいこといいじゃん。問題ないよ」という意味でよく使われる。そんな文化の中にいながら、この「ノープロブレム」の精神を忘れていたように思われる。
 現在、仕事に追われる日々の中で、精神的苦痛を数多く経験している。肉体的な疲れよりも、今は精神的な疲れの方が多い。インドの青空の中で、あの暑さの中で、目的もなく時間を使っていたことが懐かしい。また行きたい。