なぜ溝に沿って板が動くのか

なぜ板が、溝にそって動くのかを考える

まず、湾曲した溝にはまっている、湾曲した板を押したとき、その板がなぜ溝に沿って動くのかを考えてみる。
【A1 斜め上から見た溝の図】 【A2 真上から見た溝の図】

このとき、画面上で見て上方向(青矢印)に板(緑色のもの)を押したとすると、板が溝からどういう力を受けるかを考えてみる。
【A3 斜め上から見た溝の分力の図】 【A4 真上から見た溝の分力の図】
青矢印方向への力がかかると、水色の部分が溝の側壁にあたり、溝からの反力がある。
溝は曲面になっているため反力は一定ではないが、一点を取り出して考えると、赤矢印が壁からの反力となり、その点での進行方向の力は紫矢印で表されることになる。
これで板は溝に沿って進むことがわかる。

次に、溝ではなくてV字状になっている場合を考える。
【B1 斜め上から見たV字状の図】 【B2 真上から見たV字状の図】
このとき、画面上で見て上方向(青矢印)に板(緑色のもの)を押したとすると、板がV字の溝からどういう力を受けるかを考えてみる。
【B3 斜め上から見たV字状の分力の図】 【B4 真上から見たV字状の分力の図】
この場合も、前記溝の場合とほぼ同様の理由から、溝からの反力があるために溝に沿って進む、ということがわかるだろう。
一点違うのは、力のかかる壁が斜めになっているため、反力は斜め上方へと帰ってくることだ。
【B4 真横から見たV字状の分力の図】
このオレンジ矢印が壁からの反力となり、赤矢印が上記の真上から見た図での赤矢印にあたる。
つまり上に浮き出ようとする黄矢印の力が働くことになる。だが、重力があるため、この黄矢印の力が板の重さm*gの力を越えない限り、このV字の溝を脱線してしまうことはない。

このV字状の溝に沿って進む状態が、エッジが噛んでいる状態と考えればよいだろう。

どういう条件で板がズレるのか

次に視点を変えて、どういう条件の時に板がズレるのかを考える。

サイドカーブのない板が溝にはまっている場合を考える。
当然ながら、板は溝に沿って真っ直ぐに進む。
右側の壁が無い場合も、当然ながら真っ直ぐ進む。
斜面全体が傾いている場合を考える。
この場合は、右側の壁からの反力を得るため、結局板は溝に反って真っ直ぐに進む。
では右側の壁が無い場合を考える。
前の例では支えてくれていた壁がないため、そのままズレ落ちる。
次に、板全体ではなく、一部が欠けていたり傾いている場合を考える。
板が接している点の上に重心がある場合は、斜面が傾いていない場合の右側の壁がない場合と同じで、そのまま真っ直ぐ進む。
重心の真下に、板が接している点がない場合、板は傾いてしまう。
板が接している点の上に重心があるが、接している面が傾いている場合、斜面が傾いていて右側の壁が無い場合と同じなので、ズレ落ちる。
この場合はつまり、雪面に対して角付けされていても、板がズレる場合があることを示している。
これはすなわなち、雪面に対して角付けされていても、板が水平よりも下に傾いている場合、板がそのサイドカーブにそって進むわけではない、という例になる。
ちなみに、板がズレ落ちる角度は、水平よりも傾いた場合であり、これが、「水平面理論」の核となる考えと思われる。

ズレた後の雪面はどうなるのか

これまでは堅い溝で話をしてきたが、雪面の場合、雪面が潰れて溝が出来ていく。ズレる場合の雪面の変化を考える。

板が接している点の上に重心があるが、接している面が傾いている場合、斜面が傾いていて右側の壁が無い場合と同じなので、ズレ落ちる。
このとき、雪の密度がどうなっているか考える。
雪の密度は、凹みの多いところほど詰まっており、それ以上潰れないようになって、結局壁となって支えてくれる。
ズレていく方向は、凹みの少ない方向のため、ある程度ズレると、その重さに耐えきれない雪の密度となり、そこが潰れて凹む。
それを繰り返して段々になりながらズレ落ちていく。

サイドカーブの付いている板が水平になっている場合に斜滑降になるのか

上でこれまでに説明してきた動きから、サイドカーブの付いている板が水平になっている場合の動きを考える。

溝の右側の壁がないものに、湾曲した板が置いてある場合を考える。
前方はあたる壁がないため、そのまま進もうとするが、後方はあたる壁があるため、溝の外側に押し出される力を受ける。
すると、前方から中央はそのまま真っ直ぐ進もうとするが、後方は下にズレ落ちて、進行方向に対して板は少し斜めに向く格好になる。
このズレる動作は、板の一番後ろ、つまり進行方向に対してエッジがなす角が最も大きいところが、同一角度になるまで続く。
ズレときは除雪抵抗が大きいため、回転方向の運動は除雪抵抗で止められて、そこまで回転したところで回転は止まり、進行方向への運動はそれに比して大きいので、少し斜めになったまま進み続ける。
つまり、カービング板の場合は純粋な斜滑降にはならず、若干の横滑りを伴った斜滑降になると考えられる。
どちらにせよ、サイドカーブに沿ってターンしていくわけではない。