「ついに」というか「ようやく」というか、シーズン当初から熱烈な気弱ファンの間で話題になっていた超個性派育成シミュレーションゲーム「阪神タイガース 岡田監督育成計画」の発売日が目前に迫ってきた。ふつう育成シミュレーションゲームというと、その対象は都市や街、星、部族といったところだが、この作品では“岡田監督”という実在の野球監督を「1年間かけて名監督に育成する」という、ある意味革命的な仕様となっている。これまでにも「ノムとサチヨの金隠しシリーズ」、「星野組長と愉快な仲間たちシリーズ」など、「阪神タイガース」を題材にしたPCゲームは多数発売されてきたが、今回の「岡田監督育成計画」はそれらにも増してインパクト抜群のゲーム内容となっている。これはもう岡田監督ファン、阪神ファンならずとも、そのゲーム内容が気になって仕方がないところだろう。
ゲームの内容は、阪神タイガースの監督である岡田監督を“教育”すること。プレイヤーは、タイガースの臨時職員として派遣された架空の人物で、その任務が岡田監督の教育。プレイヤーは週に一度、岡田監督宅に赴き、一週間のスケジュールを決めていく。教育期限は1年間で、その教育内容によって、30種類以上のエンディングが見られるとのことだ。
彼は、現実どおり、感情の起伏に乏しく、社会適応性に著しく欠ける面があり、さらに好きな選手の起用以外はまったく興味を示さないという大変困った監督。彼に普通の監督並みの体験をさせ、幾たびかの試合を挟みつつ、充実した1年を送っていく。エンディングは全部で30種類以上ということで、かなり長く遊べるSLGになりそうだ。
というわけで、もはや待ちきれないファンのために、一足先にレビューをお届けする。
■ 登場キャラ全員が喋りまくる驚きのフルボイス仕様
人気球団「阪神タイガース」をモチーフにした本作は、春季キャンプ前に星野SDの呼び出しを受け、SDから1年間という期間限定で「岡田監督の保護監督主任」に任命されるところからスタートする。時代設定は感動的な優勝の翌年に一気に暗黒時代へ突入した阪神とぴったりリンクしており、主人公は阪神球団スタッフの一員として、大筋では現実どおりのストーリー展開の中で、ひとり「岡田監督を名監督に育成する」という極秘任務を遂行していくことになる。
ゲーム中、教育対象である岡田監督はもちろんのこと、「阪神」に登場するあらゆる登場キャラたちとの会話を楽しむことができる。しかし、主人公が何者なのかは、星野SDほかごく一部の人間しか知らない。そのため「常に岡田監督の側にいる人物」として「ファンから罵声を浴びる」「神宮球場でメガホンを投げつけられる」などのとんだ災難にあったり、「安芸キャンプで夜な夜な平田ヘッド・中西コーチなどから『夜のミーティング』に連れていかれる」など意外な反応をされたりと、特殊な立場から見たサイドストーリーが楽しめる。
登場キャラクタとの会話は、常に音声込みで行なわれる。特に岡田監督は、最初のうちは本物と同じく、感情の起伏に乏しいセリフ棒読み状態の喋りだが、正しく教育してあげることで、次第にハキハキした元気のいい返事を返してくれたり、向こうから質問してきたりするようになる。
岡田監督育成計画は、「フルボイスに仕様変更のため」という珍しい理由で発売日を延期した経緯があるが、このフルボイスによる会話システムは、確かに大変魅力的だ。
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■ 臨場感満載のストーリー展開
プレーヤーは育成プログラムに沿ってスケジュールを組み実践していく。スケジュールで最優先事項となるのはやはり「練習」だが、現実の阪神どおり、あまり出席しなくても問題はない。ただし、岡田監督の初期ステータス(投手交代・スタメン決定・作戦決定など全11種類の能力)はぼろぼろ、というかほぼオール0なので、スケジュールの組み方のバランスが悪いと、投手を8番に起用して残塁の山を築いたり、1安打の中日に負けたり、フロントからの補強の進言を根拠のない自信で断ったり、「今の時期はべつに勝ちたくない」と公言したり、土壇場で突然マイヤーズと心中を試みたり・・・と、スリリングな場面が次々と起こるので、プレーヤーは緊張の連続だ。
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■ 週に1度はスケジュールに入れておきたい「メンタルケア」
それともうひとつ重要なのが「メンタルケア」。これこそ本作の醍醐味のひとつで、語彙力ゼロの岡田監督に、言葉をどんどん覚え込ませることができる。覚えさせ方は、キーボードによる直接入力方式。思いついた単語を入力してEnterを押すと、岡田監督が「『つなぎの野球』?・・・それって何や」と聞いてくるので、「ジャンル」「詳細ジャンル」「対象に対する主人公の好み」などを複数の選択肢から順番に選んでいく。そうして1センテンスが完成すると岡田監督が読み上げ、最後に
「そらそうよ」
「もう一緒よ」
「そんなもん、オマエ・・・」
「まあええことよ」
「グフフ」
とさまざまなリアクションを返してくる。いくつかの単語を覚え込ませるとメンタルケアは終了となり、岡田監督のステータス「基本語彙」が向上すると共に、それ以降の会話や各種イベントでその単語を使い始める。
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■ 語彙習得システムのおもしろさ
この人工無能プログラムを応用した語彙習得システムのおもしろさは、何でもかんでも言ったとおりに覚え込むところで、自分のローカルな好みや馬鹿っぽい「あいさつ」、マニアックな「遊び」など、プレーヤーの望む岡田監督像を自らの努力で創り出すことができる。人名を教えればその人に会いたがり、地名を教えればその地に行きたがるなど、単純な部分もあるが、「所詮は人工無能だからなぁ」と冷静に見ているつもりでも、イベントや試合中に教えた言葉が出てきたりすると、意外と嬉しかったりする。
ずんずん言葉を覚えていく岡田監督。一度覚えさせた言葉を再び入力すると「○○は○○よな?」と鋭く切り返してくる。
しかし、時々「オレはプロ野球選手の年金問題とかにも尽力した。そのためにOBとかも話をしたり、意見を聞いた。古田はそんなことをしてないやろ」とタイミングの悪い自慢話をはじめたり、「もう井川よ。見ての通り。三回までの投球よ」「もう下柳よ。見ての通り。四回までの投球よ」 「もう福原よ。見ての通り。(以下略)」と同じようなコメントを繰り返してファンから罵声を浴びてしまうことがあるので注意が必要だ。
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■ 敵は相手にあらず!身内に要注意!
こうして岡田監督を育成しながら激しいペナントレースを戦っていくわけだが、岡田監督が成長するだけではゲームに勝てないケースも度々ある。「病院には行かずにテーピングで様子を見る」との猿木トレーナーの報告を鵜呑みにして結局「長期戦線離脱」したり、平塚コーチが「高めの甘い玉を狙え」と指示をだしたら「今日の三浦はここまで甘い高めの球なんか1球もないやろ。(平塚は)どこ見てるんや!」とTV解説の一枝修平氏から激怒されたりと、身内のスタッフから見事に足を引っ張られるので注意しなければならない。
また、たまたまめぐり合わせが良かったりなどで連勝したりするとそれでなくても自信家の岡田監督がますます自信をつけてしまい本作の大目的である「岡田監督の育成」がなかなかできなかったりするので、試合と訓練はバランス良くスケジュールに入れておく必要がある。
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■ 表情の変化
岡田監督の状態は、普通(正常)、病気、怪我、非行、恋愛などがあり、それぞれ顔の表情と言動に違いがある。岡田監督の状態変化に必要なステータスの拾得には長い期間を要するため、1回のプレイでは岡田監督が秘めるポテンシャルのすべてを見ることはできない。ちなみに今回の評価では、監督適応度に注意して「普通」から外れないように教育してみたが、普通にも2段階があり、監督適応度が人並みになると、影のあるムスッとした表情から、常に微笑をたたえた可愛らしい表情に変化する。この変化の過程を見守るのもまた楽しい。
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ともあれ「阪神タイガース 岡田監督育成計画」は、「阪神ファン」という人なら性別、年齢を問わず楽しめるゲームに仕上がっている。四の五の言わずに阪神タイガースの一員になりきり、全力で岡田監督と相対することが楽しく遊ぶ秘訣で、堀内巨人との名采配対決やシーズン終了後のオーナーへの報告イベントなどは、岡田監督のステータスにより展開が微妙に変化する仕組みになっているため、何度でも繰り返し楽しめるのも嬉しいところ。ウィンドウ表示でも楽しめるので、ぜひ気軽にプレイしてみてほしい。
【動作環境】
CPU:PentiumII 300 MHz以上(PentiumIII 533 MHz以上)
メモリ:64MB以上
HDD:350MB以上(800MB以上を推奨)
CD-ROMドライブ:2倍速以上 (起動時必須)
解像度:800×600ドット固定
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・・・え?
「こんなゲーム誰が買うか!!」って?(涙笑)
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