コッヘル・クッカーを選ぶ

折角苦労してやってきた山の中、飯ぐらいウマイものを食べたい。
いくら登山だから軽量化だからって、インスタントラーメンや
一汁一菜(正確には一飯一汁)では悲しすぎる。
そう考えると食器・調理具も簡単にはコレ!といえないものがある。
メニューや量、人数によってこれらは微妙に変化するものなのだ。
とりあえずここでは幕営用個人装備的な観点から選んでゆきたい。


【神話とカタログに御注意!】
 意外と長くアウトドア界に息づいているのが飯盒神話。ハンゴーは一番飯がうまく炊けるというが、本当のところそうじゃない。考えてもみてください。北アルプスなど国立公園内では焚き火は原則禁止。必然的にコンロ(ストーブ)で調理することになる。飯盒は本来焚き火用、あんな楕円形の鍋ではバーナーの円形の炎がまんべんなくあたらない。要はうまく炊く方法や原理を知らなければしょうがないのだ。
 あと、アウトドア用カタログによくあるホーローのセット。これも重いし錆びるし、自分で背負うとなると後悔する。やはり最初は軽くて錆びないアルミ製をお勧めする。角形クッカーなるものもある。これはパッキングには無駄なくて良いのだが、均一に御飯が炊けてないのと、どうしても隅が汚れやすいので経験上おすすめできない。まずは円形の鍋を選ぶべし。
 登山用品カタログにはモリタ、ニュートップ、エバニューなどのコッヘルセットが何種類も掲載されているが、あわててなにも高価なセットを購入することはありません。いずれ登山慣れしてくると使わなくなるものの代表が、ケトル、フライパン、お玉ということを覚えておこう。特にスミフロン加工のフライパンはすぐにダメになってしまう。

【食器から鍋まで】
 では、どうすれば良いの?と悩む人に。まず個人用食器としてアルマイト(アルミ)製のφ12cm前後のボウルをお勧めする。なぜならガスコンロのカートリッジのサイズがφ11cmと規格が決まっており、カートリッジにかぶせられるサイズのものが煮炊きに適した最小サイズで、直接火にかけられる食器となるからだ。これから考えるとニュートップなどの手付き3食器(碗2枚と皿になる蓋1枚)だとインスタントの一人用御飯と味噌汁ぐらいは食べられる。なんとか火にかけられるが、底の傾斜角度がなんとも熱効率が悪いのが難点。しかし、幕営登山でだれかと一緒に行くなら、個人用の食器として充分使える。
 個人用の食器は最低でも碗になるもの2枚、アルミのスプーン・フォーク各一本づつが必要。もちろん箸でも問題なし。直接自分が調理しないのなら食器はポリ容器でもよい。常に大勢で行くなら全員同じサイズの把手のない食器を一人2枚ずつ持参すれば、重ねて一つにまとめることが可能。この場合、人数が増えるに従い、鍋は人数に応じたサイズものを用意することになる。

 せっかくのアウトドアグッズにこだわりたいなら平底のシェラカップを。類似品のロッキーカップ(1パイント)はこれよりひと回り大きく、蓋があるのでこちらの方が便利。直接火にかけられ食器にもなるが、いずれも柄が邪魔なのと高価なのが難点。
 個人用で理想的だと思ったのは昔のBPIガスコンロ容器兼用のクッカーだった。これは折畳式の手付きの平底鍋φ13cmで、浅鍋と深鍋が上下で組み合わさったものだった。なかにカートリッジ、コンロその他小物が入れられるスグレもの。深鍋で御飯2合が炊けた。もちろん食器としても手ごろなサイズ。最近は見なくなったし、カタログにも載っていない。EPIでは別にクライマーズクッカーとして似たようなものがあるが、こちらは深鍋と蓋の組み合わせとなってしまい、鍋が少し深すぎるし、蓋は蓋としての機能しかない。

 最低でも、個人用として一つは火に掛けて煮炊きできるもの。そしてコップ兼用碗として食器2個はなにかと欲しいところ。数人の場合、鍋が1枚だと食事のメニューが限定されてしまうのでかなり不満が出る。2人用鍋φ14〜16cmで入れ子になる鍋大小2枚あれば大抵の食事に対応でき、これにさらに食器を内蔵できる様にあわせてゆくと3人分の食事ぐらいまではなんとかいける。家族や数人で行くのなら、鍋や食器は組み合わせられる様に、大中小サイズの違う鍋を割り当てて揃えたい。16cm鍋が4個集まっても無駄だから。あくまで目安だが御飯を4人分炊くなら容量にφ18cm、H10cm以上は欲しい。

【激安ショップ/\100ショップを活用せよ】
 コッヘルシステムを考えると食器やコッヘルのセットがアルミのくせに高価なのに気付く。そんなときに是非とも立ち寄って欲しいのは激安ショップ(\300〜\500)や\100ショップだ。工夫次第でかなり良いシステムが組めるのでその一端を紹介する。参考になれば幸いである。
 まずは鍋。φ13〜15cmくらいのアルマイト片手鍋などどこでも安く手に入る。この安物の鍋の把手を工具ではずしてしまい、止めてあるところをボルトナットに交換してしまう。ドライバ付きのアーミーナイフを持っているなら現地で即組み立てが可能になる。プラスチックの柄が大きすぎるならば適当に切ってしまうか、芯のアルミを出してガムテープで保護すればよい。
 鍋の把手を完全にはずしても良い。登山用品店にはアルミの万能取手(モリタ)なるものが\300余で売られているのでこれを持って行く。こいつは柄のない金物容器を火にかける時に非常に便利で、空き缶さえ鍋に変身させてしまう。また、普通の鍋の蓋はつまみが大きすぎるので邪魔ならはずしてしまい、急須用の小さいつまみに付け替える。急須用つまみはスーパーなどでも\100くらいで売っている。

 鍋を確保したら、内蔵する食器は\100円ショップで適当に入れ子になる様に合わせながら探す。小形のボウルや丸い蓋付タッパーなど組み合わせるとかなり便利なシステムが出来上がる。小形の丸い焼き網なんぞもある。小さな急須用の茶漉網と漏斗も何かと便利。同じぐらいの直径のものを買って、重ねて収納できるように。これがあると水筒への給水や、鍋からお湯を注ぐのに大活躍してくれる。漏斗や茶漉用に金魚すくいの枠のような柄を針金で作ってやると、ケトルは不要となる。
 実例として、私の一人暮らしの友人はφ14cm、H10cmの自炊用片手鍋を改造し、どこで見つけてきたのか小学校の給食用アルマイト食器を組み合わせてオリジナルのコッヘルシステムを楽しんでいる。食器やコップは必要に応じて粗品のプラスチック製を合わせ、内蔵して持って来る。以前、松本駅で売られていた駅弁(鳥釜めし弁当?)のポリ容器が、14cm鍋の内径にぴったり入ったと言って喜んでいた。さすがに金鳥蚊取線香の缶の蓋を皿代わりに使おうとした時は抵抗があったが、これはすぐに錆びてしまうので食器には向かないことが判明した。

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