ヘルメット越しから・・・

FFS!! the last message


2002年に入り、このホームページで微妙なニュアンスでお伝えしようとしていたことがある。「私にとってもひとつの区切り」という言葉をずいぶんと使ってきた。

それは単に4年間チームとともに過ごしてきたという時の流れの区切りでもあるのだが、同時に自分のなかでそろそろ、という気持ちがなかったわけでもない。

今、私はI/BのリザーブGKとして、練習の時にマスクを被っている。きっかけは、昨秋のI/BのSLC代表メンバーからの依頼であった。「練習の時に、GKをやってくれないか」今、確かにチームの状況は変わり、GKのいない寂しい練習が続いている。ただ、自分としてはSLCが終わるまではリンクの外にいたいという気持ちを強く持っていた。しかしSLC直前にセットしたある取材の最中に、メンバーから「GKやれよ」とネタが自分に振られた事に慌てた私は「SLC終わったらやる」とついに断言してしまったのであった。

私の場合、アイススポーツとの縁はこれまでまったくなく、団体スポーツ自体避けていたほどであった。ましてや医療関連職に従事するわけでもなく、様々な偶然でチームに所属するようになったにすぎない。ただ、4年の月日がたった今、自分としてベンチからは何もできない状況に焦りも、苛立ちも感じつつあった。かといってプレイヤーとしてリンクを走り回ることもできない自分で何ができるかとリンクを見回したときに、確かにそこに空間があったのは事実であった。覚悟を決めて、車にフレームと防具を積むことになった。

改めて氷の上でプレイヤーとして同じ目線になってみると、SLCで活躍した面々の凄さを感じるし、代表にはなれなかったもののチームを支えている一人一人の成長を強く感じる。チームいちのダメキャラである岩崎選手といえども、このところバッティング系を多く見せられるようになってきた(もっとも、枠の大外なのであるが)し、昨シーズン各チームを錯乱させたあのタナボタ攻撃も、GKの予測の範疇を超えるという意味では重要な戦術といえる。

また、ベンチの外から「声を出せ」と常に怒鳴ってきた私だが、残念ながらまだ大きく声を出せないでいる。遠慮しているというのもないわけではないが、むしろ声を出せないでいるというのが本音である。プレイヤーとして未熟だからというのもあるし、緊張と疲れで声が出せないでいるのでもある。そんな時、メンバーから「Nice Keep!」と言って貰えると本当にありがたい。だから、練習中に逆にいいシュートを打たれてしまっても「畜生、Nice Shootだぜ!」と言うように心がけている。

声といえば、自分のはるか前方にいるはずの選手の声が、ヘルメット越しに後ろから聞こえることがある。恐らくはフェンスから反射された音が自分の後ろで再反射しているのだと思うが、これは他の選手にはどう聞こえるのだろうか。気になることがある。

全員のシュートを受けているわけではないが、ベンチから見ていたのとは違う怖さ、そして凄さを感じずにはいられない。そして何より仲間であるみんなの気持ちを受け止めさせてもらっているのだと思う。

GKとしての私はまだまだザルである。思った以上に身体が強張り、竦んでしまう。防具があっても、毎回の練習の後にはコールドスプレーが必需品である。そして何よりこの2ヶ月の経験で自分が思い知らされたことがある。「キレる」ということがどんな状況にあるのか、ということである。

「あぢゃ、休む?」副将であり攻撃の柱である遠藤選手が練習中、気を使ってくれる。しかし新人、ぼろぼろになってなんぼという気負いから「いや、もう一本行こうよ」と言ってみる。しかし、そのときというのは大抵、セーブ率が急に落ちてしまうのが現状である。それまで止められていたスライドすら反応できずネットを揺する。

振り返ればその時というのは、直前に食らった打撲が痛みだしていたり、右足が痺れ出していたりという状況にあり、パックに集中できなくなっているのであった。練習後遠藤選手から「あぢゃ、キレテる時あるよねぇ」と指摘され、一瞬「いや、そうではなくて・・・」と言い掛けて「うん」と答えざるをえなかった。そうなのである、パックに集中できないということはすなわち、これが「キレる」なのである。45分という長丁場を戦うホッケーというのは、改めて強い集中力、精神力あっての競技なのだと思い知らされた。

現状を自分なりに考えてみると、ようやっと45分間ナントカもつ、という程度であり試合となればこうはいかない。まだまだ実戦には早すぎる。メニューにもよるが、ミニゲームなどは練習の終盤に行うのが常である。プレイヤーのみんなが楽しみにしているこの時間が実は私には極めて憂鬱な時間なのである。

昨日の痛みを感じながら、そんなことを考えている。実戦はともかく、今、私は過去4シーズンとは異なるプレイヤーという立場で過ごすことになった。これはもう、客観的に試合を見ること自体無理というものだ。

sledge-hockey.jpが日本のスレッジホッケーにおける新たなポータルサイトとしてデビューすることが決まった時から、このページの意義というものを整理しなければならないという問題をずっと考えてきた。何より、このページは何度も変遷をしてきたが、所詮はファンの個人ページでしかなかった。身内ではあるが自チームであるI/Bについて批判的な文章もあったし、JPNについても同様だった。それは、このページにおける私というものは、やはり外側の人間であるという前提のものであった。ただ、その前提は自分自身に課してきたものであるが、周りにも、自分自身にも重荷になっていることを感じてきた。また、JPNに対しても従来よりもやや内側の立場に加わったということもあり、当初のFFS!!からブレが生じてきていることも理解していた。

自分がリンクに実際にどのくらい乗ることになるのか、現時点でははっきりしない。正直に言えばとても楽しいことであるし、GKをやらせてもらっていることにまんざらでもない。ただ、1チームとしてI/Bの戦力や運営を分析してみると、これはあまり良い状態とはいえない。できることならば正副GKがゴールを守ってナンボだと思うし、あるいは有望な新人が登場して欲しいところだ。それが本来の我がチームにとって正しい方向なはずで、今はイレギュラーだと考えざるをえない。

イレギュラーははやく解消してもらいたいところだが、少なくともそのイレギュラーな状態にある私が、従来のこのページでのポジションを死守することは非常に難しい。単なるスケジュール発信の場所ならば、sledge-hockey.jpがあるわけだし、photoレポートはMH-Netやarajun.comがある。唯一FFS!!に残った速報も、外側の視点だからできたのであって内側の視点ではかきにくい。



結論としては、日本最初のスレッジホッケー情報ページであるFFS!!は、本日をもって更新を終了します。あとは、若干の書き足しや修正が入る程度ということになると思います。今後のチーム情報はI/B Official Pageからお伝えします。また、JPNについてもsledge-hockey.jpでお楽しみいただければと思います。

といっても、あちこちのサイトで私はちょこちょこ登場すると思いますし、何よりもリンクでお会いできると思います。それに、いつかきっと、FFS!!という形かどうかはわかりませんが、またページでお世話になることがあるかもしれません。特に氷の上で#87のヘボなGKを見ることがありましたら、そのときはぜひとも応援していただければと思っております。

4年間、本当にありがとうございました。

2002年6月2日
Fan Fun SLEDGE!!
Director:Atsushi John Higuchi(AJH)


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