「”タイプA”性格」

 

 1950年の中頃、アメリカのサンフランシスコでマイヤー・フリードマンとレイ・ローゼンマンという二人の心臓病学者は、心筋梗塞という心臓病のかかりやすさと性格・行動の関係に関して検討を加え、タイプAという心臓病にかかりやすい性格を規定しました。

 

 タイプAの性格とは、

 

1)非常に競争的で野心的である。

2)早口でしゃべり、他人の話をしばしばさえぎる。

3)敵意をもやしたり怒ったりすることが異常に多い。

という性格です。

 

 さらに1959年にこのフリードマンとローゼンマンは、3000人の中年男性をタイプAとそれ以外のBにわけ、その後の8年半にわたり追跡調査したところ、タイプAの人は、Bの二倍以上も動脈硬化性の心臓疾患にかかりやすかったのです。

 

 このタイプAの場合、血管の壁は厚くなって狭くなった血管に血栓を起こすから心筋梗塞になるのか、それともそもそも血管の壁が厚くなりやすいのかが問題になります。

 

 1970年代デューク大学のレッドフオード・ウイリアムスらは、タイプAの性格の中にある気短か、野心、敵意(怒り)のうち、どれが一番心臓病に悪い影響を与えているかを検討しました。そこで多くの人々(女性を含む)に「怒りやすい」「人にたいしてイライラする」とか、敵意や怒りを示すような質問に答えさせた。結果、タイプAの人はそれ以外の人より敵意を示す点数が多く、この点数の高い人は男女とも、低い人の二倍も心臓に血液を送る冠動脈に狭窄があることが分かりました。

 

 血管の壁が厚くなる動脈硬化の成因には、いろいろあります。血行力学的変化、つまり血管の収縮なども大きな役割をしています。交感神経は怒りの時に興奮し、その結果、副腎から放出されるアドレナリンというホルモンは血小板を刺激し、血液の凝縮を促進させます。また交感神経末端から放出されるアドレナリンは血管を収縮させ、血流を乱します。さらに血小板から出る、血小板由来増殖因子(PDGF)は、血管壁の中膜と呼ばれる膜の平滑筋を増殖させ、内膜下にひきよせます。

 

 このように、”怒りや敵意”は血管壁を厚くさせるのに大きな役割を持っています。

 

 コレステロールに関しては、食事中のコレステロール量、血中のコレステロール値は必ずしも血管の壁が厚くなる動脈硬化の引きがねではないと言われています。

 

 南カリフオルニア大学の研究によると、血管の壁が厚くなる動脈硬化をもつ患者の食事のコレステロールを減らし、さらに血中のコレステロールを下げる二つの薬を投与させた人のうち、16%は動脈硬化の症状が改善したのに、60%は症状が悪化したといいます。薬を用いず食事中のコレステロールのみを少なくした場合、症状がよくなったのは3%にすぎず、61%は症状が悪化し、症状がよくなった人も、心筋梗塞の死亡率は、何もしなかった人と同じだったといいます。

 

 このことから、コレステロールは、もちろん危険因子ではありますが、いままで述べました血液を変化させる因子や喫煙の方が、より重要な因子と考えられます。

 

 血流に関係するもう一つの因子、高血圧は、多くの場合はっきりとした原因をつきとめることが出来ません。しかし交感神経の絶え間ない刺激が血圧上昇をもたらすことは疑いありません。

 

 これらを考えますと、虚血性心疾患の発病には、ある種の性格(タイプA)が深く関与していると考えても間違いないようです。自分がタイプAだと思う方は人生にブレーキをかける努力をしてください。