こころの病気トップ


Diathesis-Stress Model

(脆弱性ストレスモデル)


脆弱性ストレスモデルとは、殆どの精神障害は様々な要素が重なり合って引き起こされるものであり、遺伝と環境的要素の両方がその発達に影響していると主張する説です。この説によると、遺伝や脳の構造、脳内物質などの身体的要素は確かに精神障害を発達させる上で関連があるが、それはただ単に「脆弱性」、つまり「より発達させやすい性質」を作り上げるだけで、それのみで何らかの精神障害を発達させる事はほとんどありません。例えば、躁鬱病は遺伝的要素が高く、一卵性双生児のうちの一人が躁鬱病を持っていると、二卵性双生児の約5倍近い確率でもう一人も躁鬱病を持っていると言われています。その確率は80%近いとも言われています。しかし、もし躁鬱病の原因が遺伝のみだとすると、一卵性双生児は全く同じ遺伝子を持っているのだから、その確率は100%であるべきですよね?でも、100%ではないのです。どの精神障害も、一卵性双生児の間の一致率(concordance rate)は100%ではないのです。つまり、ある精神障害を引き起こしやすい、という性質はもっていても、それで自動的にその障害を発達させる、というわけではないのです。そこには環境的な要素が関係しているのです。

環境的な要素とは、遺伝や脳の構造などの身体的要素が生まれながらのものに対し、人が生活していくうちに段々と形成されていくものです。例えば、親との関係やしつけなど、自分が育った環境。友達や先生との関係など、社会的な対人関係。仕事や収入など職業的・経済的要素。住んでいる場所など地理的要素。そのほかにも国や文化、思想や信仰、経験や学習、食べる物から眠る時間まで、それこそ私達の周りにあり、私達に影響を与える様々なものです。これらの要素が遺伝的要素と重なり合った時にのみ、精神障害は発達するのです。

たとえ同じ遺伝子を持った二人でも、生まれ育った環境、経験、性格など色々な物が違うために、全く同じ人間になることはありえないですよね。それと同じで、遺伝でのみ発達する精神障害はないのです。もちろん、遺伝などの身体的要素の影響の大きさには精神障害によって差があります。PTSDやうつ病は身体的要素よりも環境的要素が大きいとされていますが、OCDや躁鬱病は、その他の精神障害に比べるとその影響は大きいようです。それでも、やっぱり身体的要素が100%ではないのです。そのために、精神障害の治療法は、その特定の障害の原因をよく理解する必要があり、身体的要素には薬物療法を、環境的要素(性格や考え方も含めて)には心理療法を、と、適切な治療法を考えなければなりません。

注 意
ここに書かれている全ての情報は、私が個人的に教科書や他の文献をもとに集めたもので、必ずしも正しいとは限りません。出来る限り正確な情報を載せているつもりですが、もし間違いがあった場合には、掲示板あるいはメールで一言教えて頂けると本当にうれしいです。

また、ほとんどの情報はアメリカで使われているDSM IVに基づいています。日本ではそうじゃない、ちょっと違う、などという点がありましたらどんどん指摘してください。
出来るだけみなさんからの情報も繁栄させて、より正確で役立つページを作っていきたいと思いますので。