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DSM IV
不安障害
1.不安とは
2.全般性不安障害(Generalized Anxiety Disorder)
3.心的外傷後ストレス障害(PTSD/Posttraumatic Stress Disorder)
4.強迫性障害(OCD/Obsessive-Compulsive Disorder)
5.パニック発作(Panic Disorder)
6.恐怖症(Phoiba)
6.恐怖症
(Specific Phobia)


症状 原因 治療法

恐怖症とは、ある特定の物や状況に対してのみ、極度の不安を抱くという障害で、その症状自体は珍しいものではなく、逆に殆どの人が何か一つは恐怖を覚えるものがあるとも言えるでしょう。怖がられる対象としてアメリカで一番良くあるのは、ヘビ、高い所、そして飛行機に乗ること、などです。しかし、殆どの人の場合、その恐怖はそれほど強いものではなく、アメリカでは人口の約11%の人が、人選の中のある一定期間で恐怖症と呼べるほどの極度の恐怖を持つことがあるようです。(1996年) また、たとえ特定の物や状況が怖くても、それによって本人の生活に支障をきたさない場合、恐怖症との診断は下されません。

例えば、飛行機に乗ることに強い恐怖を覚えるとして、その人が一生飛行機に乗る必要がなければ、その人の生活には何ら影響がないため、精神障害とは言わないのです。逆に、エレベーターに乗るのが怖い人が、高層ビルの60階にオフィスのある会社に勤めた場合、毎日通勤するのが苦痛で仕方ない、という状況に陥るため、これは、治療が必要になってきます。

恐怖症は幼児や子供に良く見られる症状で、年を取るにつれて減っていきます。また、男性に比べると圧倒的に女性の方が多いようです。


症状
恐怖症の一番の症状として、特定の物を見たり特定の状況下にいたり、また、それらの物との接触や状況下に置かれる事を予測する過程で、極度の恐怖を感じてしまう、というのが挙げられます。この恐怖は時にパニック発作という形で現れることもあり、また、子供の場合には、泣く、かんしゃくを起こす、動きが止まってしまう、大人や側にいる人にくっついて離れない、などの行動で現れる場合もあります。大人の場合には、これほど極度の恐怖を感じるのは非論理的でおかしいと、頭では分かっています。しかし、その特定の物や状況がとても怖いため、それらは意識的に避けられたり、避けられない場合でも、大きな精神的苦痛や不安に耐えなければならなかったりします。また、18歳以下の場合、特定の物や状況に対する恐怖が6ヶ月以上継続しない限り、恐怖症と診断される事はありません。

恐怖症の対象は、主に5つに分けられます。
(1)動物(ヘビ、クモ、犬など) −爬虫類や虫を怖がる人は多いが、その恐怖が普通に生活を送る上で支障をきたす時のみ、治療が必要となる
(2)自然環境(高い所、台風、水など)−一時的に恐怖を感じるのは、高いところや深い海などでは良くある事で、恐怖症の場合、その極度の恐怖がそこにいる限りずっと続く
(3)血・注射・怪我 −このタイプは、血を見たり注射を打たれたりすると気を失いそうになる、と言う人が多いのだが、実際には心拍数が上がるため、パニック発作を起こす場合が多い。
(4)状況(飛行機、バスや電車などの乗り物、狭い場所など)−他のタイプが7-9才の子供の時に一番多いのに比べて、このタイプは20代半ばが一番多い


原因
恐怖症の主な原因は、「恐怖の学習」にあると言われています。(なんか怖い学習みたいですね...^-^;)どのように恐怖を学習するのかというのは、主に4つに分けられます。
(1)直接的な体験 本人が過去に特定の物や状況下で、嫌な思いや怖い思いをしたために、その後もずっとその物や状況に恐怖を覚える。例えば、子供の時に犬に噛まれて以来犬が怖い、とか、川で溺れてから水が怖い、というもの。

(2)パニック発作 最初のパニック発作の殆どはどんな状況下でも起こるものであり、そこには周りの人や物、状況との因果関係は何もないのだが、そこに因果関係を見出して自分でパニック発作の理由を作ってしまう人もいる。その場合、例えば高い所にいたから、とか、暑かったから、というような理由付けをする事によって、高い所・暑い=パニック発作というような公式が頭の中で出来上がってしまい、そのために次に高い所や暑い所に行った時、体が自動的にパニック発作を起こしてしまったりする。その場合、パニック発作を怖い経験と捉えてしまうため、高い所、暑い所に強い恐怖を感じるようになる。

(3)代理学習 代理学習とは、人の言動を観察する事によって学習する事。例えば、極度に虫を嫌う親に育てられた子供は、虫を怖がる親の態度を見て、自分も虫が怖くなったりする。もちろん観察の対象は親だけに限らず、兄弟、先生、身近な大人、など、観察するチャンスさえあれば誰でもいいのだが、行動を学習するため、自分より「上」の人を観察して影響を受ける場合が殆どのようだ。

(4)情報伝達 人に何度も言われることによって、学習する事。この場合、身近な大人に「擦り傷からバイキンが入ったままになっていると、足を切らなくちゃならないから気をつけるのよ」と何度も注意されたり、洪水などの災害で家が流されたり人が死んだり、というような話を何度も何度も聞いたりするうちに、怪我をする事が極端に怖くなったり、洪水や水そのものがとても怖くなってしまったりする。

治療法
恐怖症の治療で最も効果があるとされているのは、実に単純ですが、Exposureです。Exposureとは「さらす」という意味で、つまり恐怖を感じる特定の物や状況にクライアントをさらしていくわけです。しかし、もちろんいきなり、「はい、慣れなさい」と言ってさらすわけではないです。それはとてもダメです。逆にクライアントの恐怖をあおって悪化させるだけでなく、カウンセラー・セラピストへの不信感を抱く元になりますから。ちゃんとしたExposureには、ちゃんとした段階があります。

まずは、恐怖症の症状や一般的な原因についてはもちろん、これから行われる治療法についても、クライアントが納得して同意するまで説明します。納得・同意だけでなく、この治療法で治るんだ、という信じる気持ちも出来ればあったほうがいいです。これは恐怖症を治す過程では特に大事で、なぜかというと、Exposureとは、クライアントが最も怖くて恐れている物や状況にクライアントをさらす、という、言った側から「絶対にイヤ!!!」とクライアントに言われること確実な治療法だからです。ですから、クライアントの信頼を得ている、ということはExposureをするに当たって第一条件です。間違っても、セッションに来たクライアントに「はい、今日からExposureです。ヘビ出しますからね〜。」というような、ビックリ作戦はしてはいけません。まぁ、治療の効率どうのという前に、これは非倫理的なのでダメですよね。^-^; クライアントにExposureの効率や良さを「売る」時に、Exposureはいきなり恐怖の対象にさらされるのではなく、少しずつ、軽い段階から始めて、完全にクライアントの恐怖がその段階でなくなるまで、絶対に次の段階には進まない、ということを固く約束します。

Exposureをしよう!というクライアントの決意が固まったら、クライアントと一緒に段階を決めていきます。治療者が決めてもいいのですが、もし時間があってクライアントに異議がなければ、出来るだけ多くクライアントの意見を取り入れたほうが、クライアントの治療に対するやる気が違ってくるので、できれば一緒に考えましょう。ここでの段階とは、Exposureをする上で、どのような順番を踏んで勧めていくか、ということです。例えば、高いところが怖い人は、高いビルを見上げる、から始めて、建物の一階の窓から下を見下ろす、そして二階、三階、と進んでいって、最終的には、その人に必要なだけの高さ、前の例で言うと仕事場のある60階まで続けます。最終的なゴールはクライアントの必要性と本人の希望を考慮して決めましょう。もし必要性がなかったら、現実性のないゴールはクライアントの希望があったとしても、出来れば避ける方が良いようです。その分治療期間が長くなるし、なかなか不安を取り除けないと、クライアントのやる気も減っていくので。

段階を決めたら、その段階に沿ってExposureを実行します。ここでとても大事なのは、一回一回Exposureを体験するごとに、クライアントの不安や恐怖などの感情、そして何が怖いのか、認知的要素も話し合う事です。話し合う事で恐怖が消えるわけではないのですが、強い恐怖を毎回味わうであろうクライアントにとって、その恐怖を表現できて、受け止めてくれる人がいるというのはとても重要なのです。そして、もう一つ、一つの段階でクライアントが完全に恐怖や不安を感じなくなるまで、次の段階には進まない、ということも大事です。恐怖が強ければ強いほど、一つの段階に要する期間は長いわけですが、もし、高いビルを見上げる、という行動自体が怖い場合、その恐怖を消し去るためには、それが怖くなくなるまで何度でも見上げてみる、ということが必要なのです。とは言っても、とにかくクライアントは怖いわけですから、一回一回のExposure、つまり「見上げる」という行動の間には、一週間とか3日とか、一定の期間を置いた方が良いでしょう。動物タイプの場合は、例えばクモの絵を見る、から始めて、写真を見る、ゴムで出来たクモを実際に見る、触る、フタをしてある容器に入った本物のクモを遠くから眺める、1メートル離れて眺める、近くで見る、フタを取ったものを見る、などの段階を踏んでいきます。

このように、その段階での恐怖が完全に消えて、クライアントがその行動や状況、物を全く怖がらなくなるまで、辛抱強く一つ一つの段階を繰り返していきます。あくまでも、辛抱強く、完全にその段階での不安がなくなるまで、です。


最後に
特定の物や状況に恐怖や不安を感じるのは、誰にでもよくある事です。ゴキブリが怖かったり、高いところが怖かったりする人は沢山いますよね。恐怖症を精神障害の一種として治療を必要とさせるものは、その恐怖がどれだけ極端で、その人の生活に支障をきたしているか、です。実際には危害はない物をものすごく怖がるあまり、毎日お風呂に入るのが怖い、とか、雨が降るたびに外出できなくなる、というように、普通の生活を送る事に精神的苦痛を感じる場合、きちんと治療を受けて、恐怖を感じずに生活が出来るようになるまで頑張りましょう!

注 意
このページに書かれている すべての情報は、私個人が教科書や他の文献をもとに集めたもので、 必ずしも正しいとは限りません。出来る限り正確な情報を載せているつもりですが、 間違いがあった場合には、掲示板あるいは メール>にて一言教えていただけると 本当に嬉しいです。

また、ほとんどの情報はアメリカで使われている
DSM IVに基づいています。日本ではそうではない、ちょっと違う、などの点がありましたらどんどん指摘してください。
出来るだけ皆さんからの情報も反映させて、より良い ページをつくっていきたいと思っています。